【完結】司令官(プレイヤー)の顔がわからない低レアさんの苦悩   作:ソシャゲ低レアさん

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※本作は執筆過程においてAIを補助的に使用しています。
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第4章:気付いた後で
第十七話:怖いまま、進む


 入院中、司令官さんがドクターに、私の事情を聞きに来たらしい。

 そのとき、ドクターがこっそり通話を私に繋いでくれていたので、

 私は、司令官さんの反応を知ることができた。

 

 相当、ショックを受けていたみたいだった。

 

 だから私は、

 ドクターさんに「司令官さんの様子を聞いた」という体で、

 フォローのメッセージを送った。

 

【司令官さん、お疲れ様です。

 ドクターさんから、私の事情をお伝えしたと伺いました。

 今回の件は、司令官さんのせいではありません。

 私は、司令官さんを責めるつもりも、怒るつもりもありません。

 ただ、お互いの折り合いが悪かっただけだと思っています。

 これから、この症状と向き合っていくつもりです。

 もし、ご協力をお願いすることがありましたら、

 その際は、どうぞよろしくお願いいたします】

 

 しばらくして、司令官さんから返信が届いた。

 

【ケーラの気持ちは分かった。

 私を恨まないでくれて、憎まないでくれてありがとう。

 協力できることがあれば言ってくれ。

 喜んで手伝わせてもらおう。

 今は、ゆっくり休んでくれ】

 

 端末を閉じて、私は素直に休むことにした。

 ちゃんと、話は通じたのだと、そう思えたから。

 

 ──―

 

 それからの入院生活は、思ったよりも退屈ではなかった。

 

 第4班のメンバーやフィアをはじめ、

 よく遠征を一緒にする人たちが、お見舞いに来てくれたからだ。

 

 一度、ポポラが騒ぎすぎて、

 ドクターさんに医務室から叩き出されていたけれど、

 ポポラらしいな、と呆れて笑ってしまった。

 

 そして、退院した日。

 私は──いや、私たちは。

 

 司令官さんの執務室に向かっていた。

 

 ⸻

 

「ケーラちゃん、本当に大丈夫?」

 

 エルフィー班長が、心配そうにこちらを見る。

 ラニやリリ、フィアも、同じような表情だった。

 

 私は、一度だけ深呼吸をする。

 

「大丈夫……ではないかもしれないです。

 ですが、ここで止まっていたら、

 司令官さんにも、みんなにも迷惑をかけてしまいます。

 それに……」

 

 少しだけ、笑ってみせた。

 

「ダメそうでしたら、支えてくれるんでしょう?」

 

 みんなは顔を見合わせて、頷いた。

 

「「「「もちろん!」」」」

 

 そして、執務室の前に立つ。

 もう一度、深く息を吸ってから──扉をノックした。

 

「どうぞ」

 

 入室許可が下りる。

 私は扉を開き、そのまま一息に言った。

 

「司令官さん、第4班所属、ケーラです。

 本日、退院しましたのでご報告に参りました。

 ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」

 

 視線は、司令官さんの顔に向けられない。

 机の上を見つめたまま、立っていた。

 

 司令官さんの視線を感じて、思わず肩が跳ねる。

 体が、勝手に動いてしまった。

 

 それでも──

 逃げ出さずに、ここに立っている。

 

 けれど、その視線は、すぐに逸らされたのが分かった。

 視線を感じないまま、声だけが聞こえてくる。

 

「お、おう……報告ありがとう、ケーラ。

 病み上がりだが、これからどんどん遠征任務にも出てもらう。

 こちらこそ、よろしく頼む」

 

「は、はい! 

 こちらこそ、よろしくお願いします!!」

 

 そのまま、沈黙が落ちた。

 

「「……」」

 

 誰も、何も言わない。

 

「ぷぷっ」

 

 小さな笑い声が聞こえた。

 声の方を見ると、リリが口を押さえて肩を震わせている。

 

「リリアーナ? 

 どうかしたのか?」

 

 司令官さんが尋ねると、リリは笑いを堪えながら答えた。

 

「だって~。

 司令官さんもケーラちゃんも、何も言わないんだもの! 

 お互い、言いたいことがあるなら、言えばいいのに……っ!」

 

「はいはい。

 言いたいことは分かるけど、さすがに時期尚早よ」

 

 ラニがリリの口を手で塞ぎ、司令官さんに向き直る。

 

「司令官。報告は終わったから、退室するわね?」

 

「あ、ああ……構わない」

 

 呆気に取られたような声で、退室許可が出た。

 

「ケーラさん、行きましょう? 

 司令官さん、失礼します」

 

「し、失礼します」

 

 フィアが私の手を取って、出口へ向かう。

 扉が閉まる直前、もう一度だけ、司令官さんの視線を感じて、

 私はまた、少し肩を跳ねさせた。

 

 ⸻

 

 フィアに手を引かれて辿り着いたのは、小会議室だった。

 

「ケーラちゃん、まずはよく頑張りました」

 

 エルフィー班長がそう言って、頭を撫でてくる。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 されるがままになりながら、私は少し落ち込んでいた。

 

「で、でも……

 あの態度は、さすがになかったですよね……

 司令官さんも、びっくりしてたみたいですし……」

「う~ん。今回は、あれでよかったことにしましょ?」

「……はい」

 

 ラニが、腕を組んで考え込む。

 

「でも、これからどうするの? 

 何かしら対策は必要よね。

 司令官と話さないといけないのは変わらないんだし」

「でも、ケーラちゃん。

 今日は、しっかりしてたと思うけど?」

 

 リリの言葉に、私は首を振った。

 

「あれは、私が一方的に捲し立ててただけ。

 会話、ほとんど放棄してたし……

 それに、司令官さんの顔、一切見てなかった……」

「さ、さすがに、常にあれは……ですよね?」

「うん」

 

 フィアとそんなやり取りをする。

 

「それに、視線を感じると、

 やっぱり体が緊張しちゃって……」

「あ~、確かに肩、跳ねてたね。

 あれはもう反射みたいだったし、

 我慢しろっていうのも無理でしょ」

 

 後ろから見ていたらしいラニに、私は頷いた。

 その様子を見ていたエルフィー班長が、手を叩く。

 

「じゃあ、まずは問題点を洗い出しましょ?」

 

 ホワイトボードを引っ張ってきて、話し合いが始まった。

 

 ⸻⸻

 

【問題あり】

 ・司令官さんの顔が分からないこと

 ・司令官さんの視線

 

【問題なし】

 ・司令官さんが近くにいること

 ・司令官さんの声

 ・司令官さんとメッセージのやり取り

 

 ⸻⸻

 

「こうして見ると……

 面と向かってやり取りしなければ、

 特に問題はなさそうだけど……」

「そ、それは隊員としてどうなのでしょうか……?」

「正直、あまり褒められたものじゃないけど……

 事情が事情だから、ある程度は許容されるでしょう?」

「いや……それでも、あんまりやりたくないかな~」

「報告をメッセージだけって、味気ないしね~。

 司令官だって、無事かどうか確認したいだろうし……」

「それに、私だけ特別扱いもよくないですし……

『メッセージだけでいい』って言い出す人、

 出てきそうですよね。主に……ポポラとか……」

「「「「あ~~」」」」

 

 全員が納得の声を上げた。

 

「それに……

 ある程度会っておかないと、

 症状が良くなってるのか、悪化してるのかも、

 分からなくなりそうで……」

 

 私がそう言うと、みんなが心配そうな顔になる。

 

「それは……そうだけど……」

「無理されるのは、嫌なんだけど……」

 

 エルフィー班長とラニの言葉に、私は頷いた。

 

「分かってます。無理はしません。

 司令官さんと会うときは、必ず一人じゃなくて、

 事前に誰かについてきてもらいます」

 

 そう言うと、みんな安心したように笑った。

 

 そうして私たちは、

 これからどうしていくかを、ゆっくり話し合っていった。

 

 完璧な答えは出なかった。

 けれど──

 立ち止まり続けるつもりは、もうなかった。

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