【完結】司令官(プレイヤー)の顔がわからない低レアさんの苦悩   作:ソシャゲ低レアさん

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※本作は執筆過程においてAIを補助的に使用しています。
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第十八話:向き合う、逃げる

 第4班とフィアたちとの話し合いで、

「合図を決めよう」という話になった。

 

「合図……ですか?」

 

 エルフィー班長は神妙に頷く。

 

「そう。司令官さんとケーラちゃんが対面する時に、

 ケーラちゃんに限界が来たら、合図を受けた人が

 ケーラちゃんを連れて、司令官さんから離れるの」

「それいい! どんな合図にするの〜?」

 

 リリが少し楽しそうな声で言った。

 

「まあ、あんまり派手すぎるのは司令官に気づかれると思うし、

 私たちだけで分かる感じがいいかもね?」

 

 ラニはリリに呆れたような目を向けながらも、しっかり意見を出してくれた。

 

「で、でしたら……袖を掴む、とかはどうですか?」

「その辺が無難でしょうね。

 袖を掴む、服の裾を掴む、手を握る……

 少しの動作で、音も出にくいものがいいでしょう」

 

 フィアとエルフィー班長が、具体的な案を挙げる。

 

「それでそれで! ケーラちゃんは、どれがいいと思った?」

「う〜〜ん……袖を掴む、かな?」

 

 私がそう言うと、ラニが少し困った顔をした。

 

「それはいいと思うけど……そうなると、

 同行者の一歩後ろに、いつもいる感じになるの?」

「あ、そうなるのか……

 用があるのに、私が前に出ないのは失礼、かな……」

 

 私とラニは顔を見合わせた。

 

「そこは、横に立つとか、

 同行者が司令官さんに一言伝えるとかで、どうにかなると思うよ?」

 

 エルフィー班長が、そうまとめてくれた。

 

 合図を決めるなんて、少し情けない気もした。

 それでも──何もしないよりは、ずっといい。

 

 ⸻

 

 この合図を使う時は、意外と早くやってきた。

 

 話し合いから数日後、私は遠征に出ていた。

 遠征リーダーだったフィアが、司令官さんへの完了報告に行くことになり、

 私はそれについていくことにした。

 

 他のメンバーは疲れを取るため休憩に入っていて、

 報告に行くのは、フィアと私だけだった。

 

 フィアは、不安そうな顔で私を見る。

 

「ほ、報告だけですから……

 わたし一人でも大丈夫ですよ?」

「ううん。私も行く。

 自分から行かないと……多分、司令官さんは

 私と会おうとすらしないと思う」

 

 ここ数日、司令官さんと出会った時のことを思い返す。

 司令官さんは、私を見かけると、すぐどこかへ行ってしまう。

 

 誰かと話している時も、

 荷物を持っている時も、

 訓練の見学をしている時も。

 

 前までの自分の行動を、見ているみたいだった。

 

 確かに、司令官さんに見られた時、

 私は思わず、身体を強張らせてしまった。

 けれど、それは私の問題で、司令官さんのせいじゃない。

 

 メッセージでも伝えたけれど、

 改めて、直接伝える必要があると思った。

 怖さは、まだ消えていない。

 一人だったら、きっと行けなかった。

 だから今回の報告には、ついていくことにした。

 

「わ、分かりました。

 でも、無理そうなら……例の合図、してくださいね?」

「ありがとう、フィア」

 

 そう言って、私たちは執務室へ向かった。

 

 ⸻

 

 執務室の前で、フィアがこちらを見る。

 私は、小さく頷いた。

 

 フィアがノックをする。

 

「どうぞ」

 

 その声を聞いて、フィアが扉を開ける。

 私も、その後に続いた。

 

「失礼します」

「し、失礼します」

 

「フィアと……ケ、ケーラか?」

 

 司令官さんは、私が入ってくるとは思っていなかったらしい。

 戸惑った声だった。

 

 視線を感じて、肩が跳ねる。

 体が、勝手に反応してしまう。

 

 でも、すぐに視線を感じなくなった。

 

 司令官さんを見ると、

 顔は相変わらず、黒と白のぐるぐるに覆われている。

 私は視線を逸らし、フィアの少し後ろに立った。

 

「し、司令官さん! 

 遠征の完了報告に来ました」

「あ、ああ……ありがとう。書類を渡してくれ」

「は、はい」

 

 フィアが書類を渡し、

 問題なかったのか、すぐに私の前へ戻ってきた。

 

 私は深呼吸して、

 司令官さんの首元あたりを見る。

 

「し、司令官さん!!」

 

 思ったより大きな声が出てしまった。

 驚いた様子で、司令官さんが私を見る。

 

 また、肩が跳ねる。

 そして、視線が消える。

 

「司令官さん。

 メッセージでも伝えましたが……これは、私の問題です。

 司令官さんを責めるつもりも、怒るつもりもありません」

 

 私は、視線を上げた。

 司令官さんの顔の辺りを見る。

 

 司令官さんは、黙って聞いている。

 

「司令官さんが、私の反応を気にして

 業務に支障が出る方が、私はイヤです。

 私が反応しても、司令官さんは

 自分の業務をしてください

 

 私を気遣って、業務に支障を出したら……

 恨んじゃいますよ?」

 

 冗談めかしたつもりだった。

 でも、声が震えていないか、

 ちゃんと笑えているかは、自分でも分からなかった。

 

 司令官さんが、私を見る。

 視線を感じて、背中が強張る。

 

 でも、今度は逸らされなかった。

 

「はぁ……」

 

 司令官さんの、ため息。

 

「そんな反応をされて、気にするなという方が無理だ……

 だが、ケーラに恨まれるのはイヤだからな

 

 分かった。

 業務に支障が出ないようにする

 

 その代わり、ケーラも

 不調にならないよう、注意してくれ」

「わ、分かりました」

 

 私はそう言って、フィアの袖を引いた。

 

「では、わたしたちはこれで失礼します」

「失礼します」

 

「ああ。報告ありがとう。

 それと……ケーラも、頑張ってくれてありがとう」

 

 そうして、私たちは執務室を後にした。

 

 まだ、恐怖は消えない。

 けれど──

 向き合い方と、逃げ方は、

 少しずつ分かってきた気がした。

 ⸻

 

 フィアが、私と司令官さんのやり取りを報告するため、

 会議室に第4班のメンバーを集めた。

 

「……という感じでした。

 わ、わたしとしては、今回は

 すごく頑張っていたと思います」

「フィ、フィア〜……

 私、ちゃんと出来てた?」

「はい。出来ていましたよ。

 言葉もしっかりしていましたし、

 ちゃんと合図も使ってくれました」

「フィア、ありがと」

 

 私はフィアに抱きついた。

 

 その様子を見て、エルフィー班長がしみじみ言う。

 

「ケーラちゃんが、自分の限界を決めてくれただけでも良かったわ。

 でも……この数日で、司令官さんが

 そんなことになっていたなんてね」

「あれは……

 私も同じことをやったから、気づいたんでしょうね」

 

 私は苦笑しながら言った。

 そして、少し気落ちする。

 

 ラニが、それに気づいたのか、声をかけてきた。

 

「ケーラ、どうしたの?」

「司令官さん……やっぱり、

 私の反応、分かってたんだなって思って。

 これと、どう折り合いをつけていこうか、考えてた」

 

 すると、リリがからかうように言う。

 

「もうさ〜、司令官さんの前で

 ハッチャけちゃえば? 

『いえ〜い、しれーかん! チスチス!』みたいな?」

「そんな失礼なこと、できません!!」

 

 そう言い切った直後、

 私は少し声を落とした。

 

「……それに、恥ずかしいです……」

 

 その様子にラニは肩をすくめた。

 

「まあ、ケーラがやるのは無理だよね〜。

 ポポラ辺りなら、違和感なさそうだけど……」

「そ、それもどうなのでしょう……?」

 

 フィアが苦笑する。

 エルフィー班長が、空気を変えるように手を叩いた。

 

「はいはい。

 じゃあ次は、司令官さんの視線に

 どう反応しないようにするか、話し合いましょう?」

 

 それが、

 “一人じゃなくなった”という変化だとは、

 まだ気づいていなかった。

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