【完結】司令官(プレイヤー)の顔がわからない低レアさんの苦悩   作:ソシャゲ低レアさん

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※本作は執筆過程においてAIを補助的に使用しています。
物語構成・設定・最終調整は作者によるものです。

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第二話:第4班、異常あり ――不在者一名

 

 司令官との顔合わせの後

 

 司令官との顔合わせを終えた後、

 私は明らかに様子のおかしかったケーラちゃんに、今日の訓練を休むよう指示を出した。

 

 ケーラちゃんは一瞬言葉を失い、肩を落とすと、そのまま居住区の方へと歩いていった。

 

 その背中を見送ったあと、リリちゃんがゆっくりと口を開く。

 

「……ケーラちゃん、変だったね」

「……本当に、いいの?」

 

 心配そうなリリちゃんの隣で、ラニちゃんはどこか非難がましい視線をこちらに向けていた。

 

 私は小さくため息をつく。

 

「今のケーラちゃんは、明らかに普段通りじゃなかったわ。

 そんな状態で訓練をして、もし怪我でもしたら……きっと、あの子はもっと自分を追い詰める」

 

 ケーラちゃんは、訓練も遠征任務も常に真面目に取り組む隊員だ。

 けれど、隊員たちの花形とも言える〈カオス〉討伐作戦には、あまり選ばれない。

 

 拠点防衛において、彼女の能力は非常に優秀だ。

 しかし、〈カオス〉の大群へ突撃し、戦線を切り開くには力不足なのも事実だった。

 

 第4班の中で、彼女だけ討伐作戦の出撃数が少ない。

 それを気にしてか、無茶な訓練をすることも、これまで何度かあった。

 

「もし今日、無理をしていたら……取り返しのつかない怪我につながる可能性もあった」

 

 私は言葉を選びながら続ける。

 

「班長として、メンバーの安全を管理するのも私の役目よ」

「……だから、休ませた」

 

「「……」」

 

 二人は何も言わず、黙り込んだ。

 

 ケーラちゃんのことを思い出しているのだろう。

 

 やがて、リリちゃんが俯いたまま小さく呟く。

 

「……でも、ケーラちゃん、何も言ってくれなかった」

 

 確かに、いつものケーラちゃんなら、

 リリちゃんの揶揄に笑って返すか、苦笑いで誤魔化すはずだ。

 

 でも、今日は違った。

 

「…………もしかしたら、何も言えなかったのかもしれない」

 

「えっ?」

 

 ラニちゃんが続ける。

 

「本人に何か不測の事態が起きて、言葉が出なかった」

「……もしくは」

 

 そう言って、先ほど出てきた司令官室の扉を睨みつけた。

 

「過去に、あの司令官と何かあったとか……それで、何も言えなかったとか」

 

「え〜〜!?」

 

 リリちゃんも慌てて司令官室の扉を見る。

 

 このままでは、新任の司令官に不信感を抱いてしまいかねない。

 そう感じた私は、切り替えるために手を叩いた。

 

「はいはい。本人がいないところで考えても仕方ないでしょ?」

 

「ケーラちゃんも落ち着いたら、原因が分かれば話してくれるはずよ。

 さあ、訓練に行きましょう」

 

 そう言って二人を促し、私たちは訓練場へ向かった。

 

 ⸻

 

 翌日。

 

 補給任務を終え、司令官への報告に向かう途中。

 端末を確認した私は、思わず立ち止まった。

 

【ケーラ隊員 メディカルチェック結果】

【身体的異常なし】

【精神面の不安定が見られるため、午後の合同訓練は見学のみ許可】

 

 ……精神面。

 

 端末を握りしめた私の様子に気づいたのか、リリちゃんが覗き込む。

 

「えっ!? ケーラちゃん、午後の訓練、見学だけなの?」

 

 その声に、ラニちゃんも思わず振り返る。

 

「……昨日も訓練休んだのに、大丈夫なの?」

「……ドクターストップよ」

 

 それでも、胸がざわつく。

 これ以上休めば、ケーラちゃんがさらに自分を追い込んでしまう気がしてならない。

 

「……“精神的に不安定”って書いてあるわ」

「もしもの時は、私たちでフォローするしかない」

 

 ラニちゃんが目を吊り上げる。

 

「精神的にって……」

「やっぱり、あの司令官と何かあったんじゃないの!?」

「あの司令官、問い詰めてやる!!」

 

 そう言って、ズンズンと先へ進んでいく。

 

 私は慌ててラニちゃんを止めた。

 

「待って、ラニちゃん! 落ち着いて!」

「落ち着いてなんて無理!!」

「気持ちは分かってる! だから──報告が終わったら、私が聞く!」

 

 そう言うと、ラニちゃんは深呼吸を始めた。

 どうやら、少しは落ち着いてくれたようだ。

 

「……エルフィー、大丈夫?」

 

 リリちゃんが不安そうに私を見る。

 

「大丈夫……班長として、私が聞く」

 

 そうして私たちは、司令官の執務室へと向かった。

 

 ⸻

 

 司令官の執務室

 

 遠征報告を終えた直後だった。

 

「これから昼食に入るが、君たちも一緒にどうだ?」

「ほんと!? やった〜! お昼ご飯、何にしようかな〜!」

 

 司令官の誘いに、リリちゃんが真っ先に喜ぶ。

 私はラニちゃんと視線を交わし、小さく頷いた。

 

 本当は、報告後に時間が合えば、いつものようにケーラちゃんを誘って昼食を取るつもりだった。

 ここで司令官とケーラちゃんを顔合わせさせるのは、まずい。

 

 断ろうとした、その時。

 

「司令官さん、お誘いは嬉しいのですが──「え〜〜! 一緒に食べようよ〜〜!」」

 深く考えない、いつもの調子でリリちゃんが声を上げる。

 

 ラニちゃんが小声で何かを耳打ちすると、

 リリちゃんははっとして視線を逸らした。

 

 その様子を見て、司令官が慌てて続ける。

 

「午後、第6班との合同訓練を見学する予定だ。それまでに、君たちのことを少しでも知っておきたい」

 

 胸がざわつく。

 

(まさか……午後の訓練に来るつもり?)

(それじゃ、確実にケーラちゃんと顔を合わせてしまう)

 

 司令官は、私の返事を待っている。

 

 私は深呼吸し、覚悟を決めて司令官を見つめた。

 

「……分かりました」

「その前に、司令官さん。一つ、お聞きしたいことがあります」

 

「どうした?」

 

「司令官さんと、ケーラちゃんの間に──」

「何か、ありましたか?」

 

 ⸻

 

「何か、ありましたか?」

 

 エルフィーにそう聞かれたが、正直、心当たりがなかった。

 

「ケーラと? 昨日が初対面だ。

 顔合わせ以降も、会っていない」

 

 本当に分からない。

 

 確かに、昨日の顔合わせの時、彼女は酷く緊張しているようだった。

 だが、それは性格の問題だろうとしか思わなかった。

 

 エルフィーは、さらに問い詰めてくる。

 

「過去に会ったことはありませんか? 

 司令官さんは覚えていなくても、

 ケーラちゃんが幼い頃に関わった可能性とか。

 出身地が同じ、任地が重なっていた……そういうことでも構いません」

 

「ない」

 即答だった。

 

 年齢も一回り以上離れている。

 私が覚えていないのに、彼女だけが覚えている──

 そんな関係性は考えにくい。

 

「本当に何もしていない。

 昨日が初対面だし、出身地も任地も違う。

 幼少期に会ったこともない」

 

 それでも、エルフィーの目はまだ、何かを量るように私を見つめた。

 

「……なら、どうして午後の訓練を見学するんですか?」

 

 ラニが、エルフィーの隣で静かに口を開いた。

 

「隊員の戦闘能力を把握するのも、司令官の仕事だ。

 合同訓練なら、数値データでは見えない部分も見えてくる」

 

 そう説明しても、二人の表情は硬いままだった。

 

「……本当に、それだけですか?」ケーラちゃんのことは、関係ないんですか?」

 

 エルフィーの問いに、私は一度息を吸い、正面から答えた。

 

「昨日の顔合わせで、ケーラの様子が明らかにおかしかった。

 彼女が人見知りする隊員ではないことは、資料で確認している。

 だからこそ、班長である君が異変に気づいた理由も分かる。

 私が無意識に、何かしてしまったのではないかと思ったんだ。

 だから、確認せずにはいられなかった。

 下心はない。職務として、必要だと判断した」

 

 言い切ると、エルフィーの表情から、わずかに緊張が抜けた。

 

 ラニは黙ったまま、司令官の言葉を測るように見ていた。

 

「司令官さんの思い、分かりました。ただ、お願いがあります」

 

 そう言って、彼女は頭を下げる。

 

「午後の訓練は、ケーラちゃんも見学します。

 ですが、精神面が不安定だとドクターストップがかかっています。

 昨日の態度についての言及は……控えていただけますか」

 

 一拍置いて、エルフィーは続ける。

 

「いえ。控える、では足りません」

「昨日の件には、触れないでください」

 

 司令官は、短く息を吐いて頷いた。

 

「分かった。こちらから踏み込むことはしない。

 ただし──もし、向こうから話しかけてきた場合も、

 距離を取ったほうがいいだろうか?」

 

 エルフィーは少し考え、答える。

 

「少しだけなら構いません。

 ただ、異変を感じたら私たちが割って入ります。

 その時は、諦めてください」

 

「……約束しよう」

 

 そうしてエルフィーと頷き合った瞬間。

 

「ク〜……」

 

 音の方を見ると、リリアーナが腹を押さえて真っ赤になっていた。

 思わず吹き出す。

 

「すまない。昼食は奢ろう。好きなものを頼んでくれ」

「なら、司令官さんを破産させるまで食べてやる!!」

 

 そう言って、彼女は食堂へ駆け出していった。

 

 私たちは苦笑しながら後を追おうとした。

 

 その時。

 

 エルフィーが端末を確認し、ぴたりと足を止める。

 次の瞬間、目を見開いた。

 

「……司令官さん」

 

 エルフィーが端末を差し出す。

 画面に表示されていたのは、ふざけた文面だった。

 

『フフフ、御宅のケーラちゃんは預かった!! 

 ケーラちゃんは我が第6班のものだ!! 

 返してほしければ午後の訓練で勝つことだな!!! 

 ワハハ!!』

 

 ……随分と、ふざけた内容だ。

 

 その直後、もう一通のメッセージが届く。

 

『エルフィー班長! 

 第6班の方々に昼食に誘われたので、先に休憩に入ります。

 訓練場へは第6班の皆さんと向かいますので大丈夫です。

 あと、さっきのメッセージは無視してください』

 

 先ほどの文面とは対照的に、簡潔で真面目な内容だった。

 

 ……どうやら、ケーラとの再会は訓練場になりそうだ。

 

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