【完結】司令官(プレイヤー)の顔がわからない低レアさんの苦悩   作:ソシャゲ低レアさん

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※本作は執筆過程においてAIを補助的に使用しています。
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第三話:まだ、何も始まっていなかった頃

 

 私は医務室を出て、端末を確認した。

 表示されている時刻は、11:48。

 

(もうすぐ、第4班のみんなが帰ってくるし……昼食は一緒に取ろうかな)

 

 そう考えながら通路を歩いていると、背後から足音が近づいてきた。

 

「ケーラちゃ~~~ん!!! 何してるの~~!!!」

「ぐっ!?」

 

 突然、背中に重みがかかり、体が前のめりになる。

 飛びついてきた人物は、そのまま私の首に腕を回した。

 

「ほかの第4班のメンバーが居ないじゃ~~ん!」

「こら! ポポラ! ケーラの首、締まってる!!」

「え~? 締まってないよ~~?」

 

 ポポラを追いかけてきたミレイが声を上げる。

 そのやり取りの最中、ポポラはようやく私の背中から降りた。

 

 私より頭一つ分以上低い彼女の腕は、さっきまで首にがっちり回っていて、私はほぼ海老反り状態だった。

 思わず、何度もその腕を叩く。

 

 それに気づき、ポポラは慌てて腕をほどいた。

 

「ありゃりゃ~~! ごめ~~ん、ケーラちゃん!!」

「ゴホゴホ……だ、大丈夫、だけど……」

 

 そう言いながら、私は右手でポポラの顔を掴んだ。

 この程度で済むと分かっている相手だからこそ、だ。

 

「いつも言ってるでしょ。急に飛びつくのはやめなさい!!」

 

 ぐっと力を込める。

 

「イダダダダ!! ごめ~~ん!! 許して~~!!」

 

 涙が浮かび始めたのを確認して、手を離す。

 それを見ていたミレイが、呆れたように言った。

 

「自業自得。誰彼構わず飛びつくの、いい加減やめなさい」

「~~~!! だってさぁ~~」

「だってじゃない!」

 

 その様子を眺めていると、二人が来た方向から別の声がかかった。

 

「あら~~。ミレイちゃんもポポラちゃんも、ケーラちゃんも仲良しね」

「……そ、それはちょっと、ち、違うんじゃないで、しょうか」

 

 第6班のシエラ班長と、その後ろに隠れるように立つフィアだった。

 私は姿勢を正し、敬礼する。

 

「シエラ班長、フィア。お疲れ様です。こんにちは」

「うんうん。ご丁寧にどうも。こんにちは、ケーラちゃん」

「ケ、ケーラさん、こ、こんにちはです」

 

 ポポラへの説教が一段落したのか、ミレイがこちらを見た。

 

「ケーラ、さっき医務室から出てきたみたいだけど……大丈夫?」

 

 胸が、少しだけ跳ねた。

 

(……まさか、見られてたなんて)

 

 一度、深呼吸してから答える。

 

「うん。検査結果は異状なし。少し疲れが溜まってるだけだって……。

 午後の訓練は見学になっちゃったけど」

 

(流石に……まだ、()()()のことは言えない)

 

「え~~!? 午後の訓練、見学なの!? つまんない~~!」

「こら、ポポラ! 無茶言わない! 

 医務室から出てきたってことは、ドクターストップでしょ!」

「アッ! そっか!! お医者さんの言うことなら仕方ないね! ごめんね、ケーラちゃん!!」

 

 ポポラは不満そうに頬を膨らませる。

 ミレイがそれをたしなめる横で、私は気にしていないというように首を振る。

 

「そうだ~~。今さっき医務室出てきたってことは、お昼ご飯まだでしょ? 

 よかったら、一緒にどう?」

 

 シエラ班長が、柔らかく声をかけてくる。

 

「お誘いは嬉しいんですが、第4班のメンバーがもうすぐ戻ってくるので……

 それを待とうかな、って思ってて」

 

「そっか~~。残念ね。久しぶりに一緒に食べられると思ったんだけど……」

 

「また誘ってください。その時はぜひ」

 

 そう言って離れようとした、その時。

 袖を、きゅっと引かれた。

 

 見ると、フィアが私の袖を掴んでいた。

 

「わ、わたし……ケーラさんと……い、一緒に、た、食べたい……です」

 

 引っ込み思案な彼女の行動に、思わず息を呑む。

 その瞳には、はっきりとした決意が宿っていた。

 

 シエラ班長は優しく、ミレイは困ったように、ポポラは期待に満ちた目でこちらを見ている。

 

 私は片手で顔を覆い、天井を仰いだ。

 

(……こんなの、断れるわけないでしょ)

 

「わ、わかりました。一緒に食べましょう」

「やった~~! じゃあポポラ、エルフィーに連絡しとくね!!」

 

 そう言って、ポポラは端末を操作し始めた。

 

「あ、あの……ご迷惑、でしたか?」

「迷惑じゃないよ。でも、どうして引き留めてまで?」

 

 フィアは視線を逸らしながら、小さく言う。

 

「い、医務室から出た時の……ケーラさんの顔が……

 す、少し怖くて……な、何かあったのかなって……

 それに……い、いつも助けてくれるケーラさんの力に……

 わ、わたしもなれたらなって……えへへ」

 

 胸の奥が、きゅっと痛んだ。

 私は何も言わず、そっとフィアを抱きしめた。

 

「ケ、ケケケ、ケーラさん!?!?」

 

(ごめんね……)

 ──今は、まだ言えなくて。

 

 その様子を見ていたシエラ班長が、私とフィアの頭を撫でる。

 

 しばらく、そのままでいると。

 

「できた~~~! 早速、送☆信☆!!」

 

 やけに明るい声。

 嫌な予感がして、私はフィアから離れ、ポポラに詰め寄った。

 

「ポポラ。何も言わずに端末を渡しなさい」

「いいよ~~! 見て見て! この渾身の力作!!」

 

 ……思わず叩きつけそうになるのを、必死でこらえた。

 

『フフフ、御宅のケーラちゃんは預かった!! 

 ケーラちゃんは我が第6班のものだ!! 

 返してほしければ午後の訓練で勝つことだな!!! 

 ワハハ!!』

 

「どう? いい感じでしょ! これでケーラちゃんはうちのだね!!」

「何てメール送ってるの!! 急いで弁明しないと!!」

 

 私はすぐに、エルフィー班長へメッセージを送った。

 

『エルフィー班長! 

 第6班の方々に昼食に誘われたので、先に休憩に入ります。

 訓練場へは第6班の皆さんと向かいますので大丈夫です。

 あと、さっきのメッセージは無視してください』

 

 送信を終え、深く息をつく。

 怒られている自覚がないのか、ポポラは期待に満ちた目で見てくる。

 

 ──少し、仕返しをしよう。

 仕返しと言っても、怪我をさせるつもりは毛頭ない。

 

「ポポラ。午後の訓練前のウォーミングアップ、付き合ってあげる」

 

 私は、にっこり笑ってポポラにそう告げた。

 ポポラは、嫌な予感がしたらしい。

 

「え? でも見学って……」

「少しくらいなら大丈夫。うん、大丈夫!」

「で、でも……お医者さんの言うこと……」

「少しくらいなら動いていいって言ってたもん! 大丈夫!!」

「絶対うそでしょ!!」

 

「さ、昼食行こう! 食堂混むし!!」

 

 首根っこを掴んだまま、私は強引に歩き出した。

 

「み、みんな~~! 助けて~~!!」

 

 第6班のメンバーは、苦笑しながらその後をついてきた。

 

 ────

 

 昼食後。

 訓練場で、第6班のメンバー(一名・(ポポラ))とウォーミングアップをしていると、第4班がやってきた。

 

「みんな! 午前の任務お疲れ様! 午後の訓練、しっかり見学するから頑張ってね!」

「うん! 頑張るよ!! 第6班には負けないから!!」

 

 リリが元気よく返してくれる。

 ラニは少し安堵したようで、

 エルフィー班長だけが、私の足元と端末を交互に見て、腑に落ちない表情をしていた。

 

「エルフィー班長?」

「ケーラちゃん、端末のメッセージ、見た?」

 

「……へ?」

 胸が、ひくりと跳ねた。

 

 慌てて端末を取り出してみると気付かないうちに通知が入っていた。

 昼食前に送って以降、確認していなかった。

 血の気が引く。

 

「す、すみません……確認していませんでした! 何か、ありましたか?」

「ううん。急ぎじゃないんだけど……」

 

 エルフィー班長は、少し視線を逸らす。

 

「午後の訓練、〇〇司令官さんも見学するから」

 

「……へ?」

 言葉の意味が、すぐには頭に入ってこなかった。

 

 

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