石流龍(石流龍じゃない)の肉体を手に入れた   作:和尚我津

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石流龍(石流龍じゃない)に転生した

 時は戦国。所は陸奥が仙台。

 もし世界にタイトルがあるとするなら――『呪術廻戦』で間違いないだろう。

 

 平成令和の世を生きてきたオレが、なぜかそんな地獄に転生していた。クソがよ。

 

 呪術廻戦といえば、モブだろうが人気キャラだろうが空港送り(直喩)にされる、人命がヘリウムガスより軽い世界。ドラゴンボールが存在しないドラゴンボールみたいなもんだ。

 ……字面だけ見たら意味不明だな、これ。

 

 前世で死んだ記憶もなければ、北を選んだ覚えもない。

 だがひとつ言える。呪術廻戦の世界なんか、暮らしたくねえ。漫画としては好きだけど。

 

 もうね。周囲の家具から生活水準が下がったことを察して嘆いていた矢先、アニメや漫画で見た蝿頭とかいうクソ雑魚呪霊が飛び込んできた時には、人目も憚らず泣き喚き散らしましたよ。ええ。

 いや、乳飲み子だから変な目で見られることはなかったけど。

 

 見間違いであってくれと願いながら乳母の乳吸ってたけど、歩けるようになる頃には流石に諦めも付いていた。

 この呪術廻戦という最悪な世界で、呪術師という最悪な職業に就くのだと。

 

 とはいえ悪いことばかりじゃない。不幸中の幸いがいくつか存在していた。

 

 一つ目に生まれた時代。

 呪術全盛の平安でもなければ、羂索ハカセの研究発表会たる平成でもない。

 言うなれば谷の時代。つまり比較的平和な時代に生まれたと言える。

 使用人たちの話を盗み聞きした所、バリバリの戦国時代。戦国時代が平和とか呪術廻戦の世界観終わりすぎだろ。

 近畿の方で羽柴と柴田が戦争した直後らしいから、織田信長が本能寺でファイヤーして敦盛ってたぐらいの時期だな。

 あの『どっちもありうる』でお馴染みのカッシーが満足いく戦いができなくて嘆いていたくらいだ。呪霊や呪詛師も大したことないだろう。ヤバい奴は羂索がスカウト済みだろうし。

 仮に呪術師としての才覚に乏しくても、平穏無事に生涯を全うできるはずだ。

 

 二つ目に生まれた場所。

 これは東北が良いというより、京都から遠いのが……という話だ。

 京都にはまず間違いなくクズの巣窟でお馴染み、呪術御三家が存在している。時代が下れば江戸に本拠を移すかもしれんが、まだ豊臣家が生まれてすらいないのではお引越しはまだまだ先だろう。

 新幹線どころか蒸気機関すら存在しない時代だ。距離という壁はとんでもなくデカい。遠いということはそれだけ影響力が薄くなり、(しがらみ)からも抜け出せるということだ。

 権力を持ったドブカス共が近くに存在していたら、どんな厄介事が舞い込んでくるか計り知れない。いやだよ等級詐欺案件とか。

 そんな恐れがないという地理的アドバンテージは、この時代の呪術師として生きようとする身にとっては、とてつもないメリットだ。

 無論、実力ある呪術師なら京都―東北間を簡単に踏破できるだろうが、実力派御三家呪術師ということは性格ドブカスで間違いない。そんな奴らがわざわざド田舎の東北まで足を運ぶだろうか? いやない(偏見)。

 

 御三家が居ないと、予想と違って凶悪な呪霊や呪詛師が現れた時ヤバいかもしれないが、これからの時代ならあの泳者(プレイヤー)が出てきて対処してくれるだろうし、大丈夫でしょ。

 

 これも生まれた場所と言ってもいいのかもしれないが、三つ目に生まれた家。

 この時代においては結構な良い家柄に生まれたようだ。流石に城主一族ではないが間違いなく上層部といえる武家らしい。

 もしかしたら呪術師の家系なのかも? とも思っていたが違っていた。両親含めて誰も呪霊を認識していなかったのも、さもありなん。

 

 これの何が幸運なのかと言うと、お殿様お抱えのちゃんとした呪術師のもとで修行を積めるようになったことだ。

 というのも殿様に御目通りかなった際、傍にいたお殿直属の呪術師に才能ありと見込まれたのだ。どうやら立ち昇る呪力量が非凡であった模様。

 やるなオレ。ハナタレ小僧のオレをお殿様の前に連れてきた父上殿のイカれた判断にもグッドボタンをやろう。

 

 結果として数えで5つになったころ、武士としての教育と同時に、呪術師としての教育が始まった。

 

 そこで発覚する、四つ目の幸運。

 類い稀なる、呪術師としての才能。

 五条悟という才能マンからも分かる通り、呪術師とは才能が全てと言っても過言ではないほど才能至上主義の世界だ。羂索や天元様みたいに寿命の軛を外せるのなら別だが、あれも術式ありきだから、結局のところ才能だ。

 そしてどうやら、呪力量、呪力出力、呪力操作などにおいて抜きん出た物があるとのこと。流石オレ。

 実を言うと呪力のコントロールについては赤子のころから訓練していた賜物であるが。だって暇だったんだもん。

 

 

「今日■■にやってもらうことは、生得術式の確認だ」

「はい!」

 

 授業としては2回目に当たる今回は、生得術式の把握だ。

 

 術師として最重要項目といっても過言ではないのが、この生得術式だ。呪術界隈で術式と言ったら基本これを指す。

 これの何が酷いって、持っているかどうかは運。有用な術式かどうかも運、ということだ。

 

 術式保有ガチャで当たった後に術式ガチャを当てなきゃならんという中々のクソ仕様。なんで2回も抽選があるんですか?

 ソシャゲもビックリなガチャ至上主義だからこそ御三家などは、相伝といった形でガチャの当たり確率を上げたり、ガチャ券を持った子どもを増やすため子どもガチャに勤しむわけだ。

 なお親ガチャは確定で外れる模様。なんだこれ天与呪縛か?

 

 生きていくだけなら術式はなくても良いが、あった方が生き残れる確率は高いのは間違いない。変に有用だったり希少な術式であれば、羂索に目を付けられメロンパン(直喩)されてしまう可能性もあるから、一概には言えないが……。

 

 とにかく、呪術師として立身出世したいのなら、術式が刻まれていることはマスト。

 呪術師として可もなく不可もないという感じで二度目の人生を過ごすつもりだったが、どうやら才能に恵まれているようだから少し欲が出てきたようだ。

 術式がなければ? その時は日下部ルートだ。

 

 そうこうしているうちに術式の確認作業を始めることと相成った。

 

 原作では確か4~6歳ごろに術式を自覚できるようになると記載があったはず。数えで5つ……つまりは4歳であるオレはギリギリ術式を認識できるようになっているわけだ。

 

 肝心要の確認方法であるが、自らの呪力と内面に問いかければ分かる、らしい。随分とふんわりとした説明だが、呪術そのものふんわりとした物だし仕方ないな。

 

 先生曰く御三家クラスであれば生まれた瞬間に赤子の術式を把握する何らかの方法がある、とのことだが、詳しくは先生も知らないらしい。

 

 そう言われてみれば確かに。五条悟は生まれた瞬間、六眼と無下限の抱き合わせであることが判明していたと言っていたような気がするな。

 

 天元および星漿体と因果があるから六眼を持って生まれてくるのは確定だろうけど、六眼があるからといって無下限を持っているとは限らないんだよな。

 何だったら六眼持っているが術式は持っていない、とかいう可能性も全然あるわけで。六眼で見れば赤ちゃんでも術式分かるんだろうけど、その赤ちゃんが六眼持ちだしな。

 なるほど、五条悟はマジで才能マンだったわけだ。

 というか今の時代ってもしかして、まこーらに相打ちされたとかいう抱き合わせ持ちが五条家に居る? 

 

 などと取り留めもないことを考えつつ、己が内面に埋没していき――――――術式を掴むことに成功した。

 

 ふっ、術式すらも持ち合わせているとは、どうやらオレの才能は留まることを知らないらしい。

 

 はてさて、我が身に刻まれた術式はどんな――――――マジか。

 

 いやでもまさかな。名前違うし……あーそっか。

 

 なるほどなるほど。そ~いうことね。アーハッハッハ!……クソがよ。

 

 よし落ち着いた。ではここで術式の発表に移ります!

 

 我が身に刻まれた術式。複雑な物も多数存在する生得術式にあって、その術式はシンプルな――あまりにシンプルな()()()()()

 原作にて()()()()()()()()()()()()()()()()石流(いしごおり)(りゅう)と同じ術式であった。

 

 もう一度言おう。()()()()()()()()()()()()()()()()()泳者(プレイヤー)石流(いしごおり)(りゅう)と同じ術式である。

 

 そのとき俺は直感したね。『パンパカパーン! オレは石流(いしごおり)(りゅう)(石流龍じゃない)の肉体を、手に入れた!』ってね。

 クソがよ。

 

 

 

 




次話は翌日18時ごろ投稿予定です
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