本日から再開いたします。
なお毎日更新はできない可能性がありますので悪しからず。
『
「続けて、乙骨に100点譲渡」
『承知しました。
「これで良し」
原作と同じく死滅回游離脱の
「どうして乙骨さんに渡したんですか? 直接伏黒くんに譲っちゃってもいいんじゃ?」
「お前さんは会ったことのない奴から100万ポンっと渡されたらイヤだと思わないか?」
「いいえ全然バッチコイです! 誰から貰おうとお金はお金ですから!」
「そうか。喜ぶ奴も割といるわな。これはオレの例えが悪かった」
いくら貧乏苦学生とはいえ少しは警戒心を抱いた方がいいぞ……オレに頭掴ませてるようじゃ無理か。
東京
実は乙骨との約束が縛りに該当しているかどうか分からないから、ビビって乙骨にしか渡してないというのが真実なんだが、ダサすぎるからクールに黙っておくぜ。
「あとは僕から伏黒くんに100点を譲れば……」
「伏黒の姉貴が助かるって寸法だな。たしか津美紀とかって名前だったか?」
「そうそう。あ、
『は? いちいち指図するなクソガキが』
「えっ口悪い」
無駄に個性的なコガネにも舐められている三輪に悲しい過去が。一生刀を振るえない縛りで振るった一閃がノーダメっていうのは凄く悲しいよな。
まあ所詮は死滅回游の端末。口ではどう言おうが
宙に映し出される伏黒津美紀の情報。
中身が平安生まれのどす黒いナニカに入れ替わってるなんて想像つかないな。
しかし危なかったな、情報開示に『覚醒型か呪物型か』の記載できるかどうか試さなくて良かった。
組み込んでたらいつか、最悪この時点で受肉してたってバレるし。
まあその情報開示もしてたら、万は病院で待機せずにどこかの
そんなことを思っていると、おずおずと三輪が手を上げる。
「あのー、今更言うことじゃないとは思うんですけど、離脱の
マジで今更が過ぎるな。
「滞留
「……なるほど!」
「なんで外様のオッサンの方がお前より状況理解してんだよ」
「え、エヘヘ」
笑って誤魔化そうとするが真希の圧に目が泳いでいる。
情報アドについては許してやってくれ。オレの
「加えて言えば、出入りについては死滅回游の
乙骨の補足が入るが、多分もうすぐその仮説が真か偽か証明されることになる。望んだ形ではないだろうけど。
「覚醒型はまだしも、そこのオッサンみたく呪物型は根っからの呪術師だからな。そいつらがうじゃうじゃ居る内は安易な開放は取れねぇ。羂索みてぇな呪詛師が居ればもう最悪だ」
「そっかー……一応聞いときますけど、
「当たり前だろ? 大量虐殺を好んでやるタイプじゃねえぜ、オレはな」
「……そうかよ」
ん? なんだその反応……あ。
そういや今の真希って真依ちゃんオーダーの、禪院全員全滅マラソンの完走直後か寸前だったっけ? 確かフィジギフ覚醒したのって今日の昼ぐらいだから、エレンもビックリなスピードで駆逐してるやん。
そんな誤字でも比喩でもない大量虐殺者の前で、『虐殺なんてするわけないじゃんw いやオレはね?w』と、意図せず煽るような発言をしてしまったわけかオレは。
三輪も地雷踏んだことに気づいて『しまった!』って顔をするんじゃあないよ。お前が始めた
「あ、そうだ! 石流さんの反転術式受けていきませんか?! 場所変わりますんで! もうほんとにスゴいんで! 真希さんの火傷跡も多分あっさりと治っちゃう――」
「あー、そいつは恐らく無理だ」
「――んじゃないかと……思ってたんですけど……む、無理なんですか?」
うん無理。
これは呪物になって修行している時に気づいたことだが、反転術式――より正確に言えば『正の呪力を用いた回復』は、肉体ではなく魂に作用する技術である。
詳しい説明は省くとして、魂が保有する『万全な肉体の情報』に、生身を近づけるのが反転術式による回復だ。再現の方が表現としては適切だがな。
それを踏まえてフィジギフについて考えてみる。
降霊術でパパ黒を降ろした時のように、フィジギフは魂より肉体の方が情報としての強度があり、魂の方が上書きされる。恐らく成長して肉体が完成した段階――真希なら天与の暴君として覚醒した状態の肉体が、そのまま『万全な肉体の情報』として魂に保管されているはず。火傷跡もそのままに。
つまり天与の暴君として完成する前ならともかく、成った以上はもう魂が火傷跡を身体の一部として認識しているから治しようがないということだ。
じゃなきゃフィジギフ単体の回復能力で時間はかかったとして火傷跡ぐらいなら消えているはず。それがないということは、そういうことなのだ。
「えー、あー、そうなんですか」
より一層ザックリとした説明となったが、それを聞いて思いっきりテンパる三輪。
話を逸らせようとした結果、女性にとってデリケートな部分に思いっきり踏み込んで空振ったわけだからな。
大丈夫、まだ2アウトってところだ。3アウト制なのかは知らん。
「真希さん。伏黒くんにたった今
「……おう、任せろ」
そんな気まずい空気の中、乙骨が自然と真希に任務を与えて、退席を促した。
おいおい、何サラリと気遣い見せてんだ乙骨イケメンかお前。いいぞもっとやれ。
「アンタは早く出てっていいよぉ、じゃあねぇ」
「はいはい、邪魔して悪かったな」
本音なのか気遣いなのか分からんリカちゃんの悪態を背にして、真希は闇に沈みつつある仙台
三輪は助かった。
「おい三輪、その前にちょっとツラ貸せ」
「ひゃい!?」
やっぱダメかもしれんね。
******
そんなこんなで11月13日、時間は15時過ぎ。
「あ! 津美紀さんが東京の
先ほどから出しっぱなしにしている伏黒津美紀の
真希に絞められたはずなのに変わらずピンピンしている。そのメンタリティやはり呪術師か。
釣られるように近づくオレと乙骨。しばらくすると伏黒津美紀の
それを見た乙骨もどこかホッとしたような雰囲気を醸し出した。
「どうやら
懸念していた
それで伏黒津美紀という人物は呪い呪い合う世界から抜け出すことができる。高専生徒の殆どはそう考えているだろう。
――それが叶わないことを知っているのはオレと
オレたち3人のコガネが同時に現れ、揃ってベルを鳴らす。
死滅回游が始まってから幾度も聞いてきた、
『
突如として追加された
「これは、一体どういう?」
「え? 突然なにやってんですか石流さん?」
「いやオレじゃねえよ」
なんか
「見てみろ。伏黒津美紀の情報を」
コガネが表示し続けている伏黒津美紀の
「津美紀さんが
「――石流さん、
困惑しっぱなしの三輪を放置して、乙骨はすぐさまオレに
直感か経験か、コイツはもう尋常ならざる事態が起きていると予感しているらしい。
「確かにオレは融資するとは言った。だがそれは必要な分に関してだけだ。今この瞬間、お前らにとってその
「僕の取り越し苦労で不要な
「分かった分かった。コガネ!
再度鳴り響く、
『
「コガネ! パンダに通信繋いで! 早く!」
異常事態ということを察したのだろう。乙骨だけでなく三輪もまた表情が呪術師のそれに変わっていた。
二人にとってはやけに長く感じたであろう数秒のコールの後通信が繋がり、テレビ通話のようにパンダの姿が表示される。
場違いな感想だとは思うが、パンダの見た目はマジでパンダだった。
「いきなりゴメン! そっちで一体――」
『――伏黒が宿儺に乗っ取られた!』
白と黒。そこに赤が滲んでいなければ、だが。
その有様に息を飲む乙骨と三輪。
二人を無視して伝えられた情報は、極めて簡潔だった。
宿儺による虎杖の乗っ取りではなく、まさかの伏黒。
現地では恐らく色々あったのだとは思う。ずたずたに引き裂かれているパンダの姿。周囲を見ても、血塗れで横たわるスーツ姿の男。もぎ取られた片腕。果てはバラバラの死体まで。
「現状は!?」
『虎杖と宿儺が一緒だ! 秤も追ってる! アイツらがヤバい!』
こちらも予想通り、伏黒の抵抗によって高専の学生連中は全員生存している。
だがそれが何のプラスにも思えないぐらい、最悪の状況。
「くそっ!」
「東京に居れば宿儺と闘れたわけか。ミスったなぁ」
「そんなこと言っている場合ですか! わ、私たちはどうすれば!?」
「どうもこうも
『不可能です。
「だよなぁ」
ダメ元で聞いてみたが、まあ流石に無理か。
「駄目だな。ここからオレたちが出来ることなんてねえよ。諦めろ」
「僕は今から東京に向かいますっ!」
「分かって言ってんだよな? どれだけ急いだ所で着いた時には全て事後だぜ」
「分かってますよそんなことはっ!!」
声を荒げる乙骨は、だからこそ理解しているのだろう。
単純に距離が遠すぎるし、瞬間移動できる
ライブビューイングよろしく戦闘を傍観するか、今の乙骨のように間に合わないことを承知で移動を始めるかの二択であり、そのどちらを選んだところで東京での戦いになんの影響を及ぼすことはない。
「あります! ここから出来る事、あります!!」
――そう思ってたところに、まさかの三輪が第三の選択肢を提示してきた。
「乙骨さんの――なら――」
正直、期待半分で話を聞いてみたが……なるほど。
たしかにそれなら、ここからでも東京の戦いに介入できる。
仮に原作と同じ状況で戦っているのであれば、宿儺をここで倒すことすら可能となるかもしれん。
だがいいのか? もしかしたら本当に宿儺がここで負けてしまうかもしれない。
せっかく江戸時代からここまで積んできた研鑽が、全て無用の長物になるかもしれない。
両面宿儺を倒すために過ごした時間が、全て無駄になるかもしれない。
……いや違うな。あくまでオレの目的は、石流龍という男がどれだけ優れているかを証明することだ。宿儺を倒すのは、
オレ個人の欲求として、万全な宿儺をタイマンで倒したいというのは、ある。噛ませ犬として処理された
――だが別に必須ではない。最強が宿儺だから闘おうとしているだけで、最強の座が五条悟に移ったのならそっちに喧嘩を売ればいい。
呪物期間含めて長く生き過ぎて、目的が少しブレてしまったようだ。
そう考えると、別に宿儺がここで負けようが構わんな。
この程度で終わるような最強ならば、結局その程度ってことだもんな。
なによりも、三輪のアイデアは
「――ということなんですが、イケそうですか?」
「……面白れぇ。乗ったぜ三輪ちゃん!」
「はい。試す価値はあります。やりましょう!」
同意は一瞬。
各々が今できることをやり始めた。
三輪は巻き込まれないように、遠く離れてコガネによる連絡網を構築していき。
オレは乙骨に並ぶように立ち、出来ることを見つけ冷静さを取り戻した乙骨と共に、掌印を組んだ。
「領域展開、呑天武座」
「領域展開、真贋相愛」
――仙台に再び、オレたちの領域が展開された。
三輪「
石流「闇金ウ〇ジマくんの登場人物みたいな奴が一人も居ないのなら、他者依存の