石流龍(石流龍じゃない)の肉体を手に入れた   作:和尚我津

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怪力乱神仙台会戦5 肉料理(ヴィヤンド)

 規格外の極ノ番。

 それを受けてなお死なず、完全体へと変貌を遂げた両面宿儺と、領域を展開して万全に迎え撃つ石流龍。

 高専の一団も、両者の闘いを食い入るように見つめる。

 そこからの戦闘もまた一進一退。

 異形でありながら呪術師にとっての理想の身体。それを完璧に操る体術と上乗せされた式神の力に翻弄されようが、決して壊れることのない石流龍の肉体。

 術式が回復後、三度発動された閉じない領域。その全身全霊を相手取っても、決して崩れることのない石流龍の領域。

 

 領域展開が使用されているとは思えない、あり得ないほどの長期戦。だからこそ、あれほど圧倒的だと思われていた両面宿儺の呪力は、見て分かるほど如実に減り続けていた。

 

 日下部は興奮気味に目前の事実を分析する。

「領域内の格闘戦では互角だが、領域の力と反転術式の力で常に満タンの呪力と体力で万全に戦える石流に対し、魔虚羅を使えず石流の領域を破壊する術も持たず、不用意に発動した領域の維持で加速度的に呪力が減少している宿儺」

「これって……」

「ああ……」

 

 史上最強と謳われた当時の姿を取り戻した両面宿儺を相手にしても、石流龍はなお戦いを成立させ、あろうことか詰みの盤面まで持ってきていた。

 すなわち――。

 

「――石流の勝ちだ」

 

******

 

 ――もしこのまま行けば石流龍が勝つ、などと考えているなら

「「甘いな」」

 一致した声色に、裏梅は露骨に顔を顰める。 

 だがそれが彼らの共通認識。

 確かに、このまま進めば如何に両面宿儺と言えど敗北は必至。呪力に限りがある以上、先に力尽きるのがどちらなのかは明白。

 しかしそれは『これから何事もない』という甘過ぎる前提を前にした結論に過ぎない。

 そして、両面宿儺がこのまま為す術なく敗北を喫するなど、天地がひっくり返ってもあり得ない。

 

「石流本人もそれは分かっているみたいだけどね」

 その顔に勝利を確信した浮つきはなく、むしろ今やらねばやられるという強迫観念染みたものすら感じる。

 攻撃の勢いは今なお増すばかり。

 

「だがそれが奴の限界だ」

 危険だとは分かっている。それでもなお、石流龍は両面宿儺を仕留め切れず押し切れない。両面宿儺を崩すための攻撃力を、一撃で仕留める手段を極ノ番以外に持たないがため。

 一言でいえば手札不足。

 

 術式順転による攻撃力(大砲)か、術式反転による防御力(装甲)回復力(補給)か。その2択で前者を選んでいれば、起こりえなかったかもしれない事態。

 石流龍の判断そのものに誤りはない。呪力の吸収による継戦能力。それがなければここまで両面宿儺と闘うことは出来なかったのは、他ならぬ宿儺本人が認めるところであろう。

 しかしそれは同時に守りの姿勢――雷神、鹿紫雲一が語るところの『雑魚の思考』でもあったのかもしれない。

 

 そしてモニターの向こうで――事態は動いた。

 

******

 

 受肉体の特性を利用した反転術式を使わない回復により、完全体へと変貌を遂げた両面宿儺。

 千年前に暴虐を撒き散らし、今に至ってもなお最強と謳われる男が、真の姿を取り戻した。

 

「極ノ番・(シュガー)――」

 自爆覚悟。呪詞と手掌(指向性)を放棄した無制限の極ノ番で 今度こそ消し飛ばすべくタバコを取り出して――。

 

「そう何度も喰らうものかっ!」

 

 ――巧い!

 

 その行動を、一瞬にして間合いを詰められ阻害される。

 彌虚葛籠を展開しながら接近。タバコを叩き落とし、そのまま空いた両腕での連打が襲い来る。

 負けじと拳を繰り出すも、流れるように捌かれカウンターを貰う。

 

 鋭い踏み込み。体重を乗せた一撃。体術の質というものが、伏黒宿儺の時とはまるで違う。

 本来の肉体を取り戻した宿儺。その真の体術を浴びる。

 

 しかし魂への打撃による肉体の不和か、打撃の威力自体は以前と同等か少し上回った程度。低下した身体能力を、肉体を取り戻したことで補完した、というところか。

 簡易領域と同様、彌虚葛籠にも領域バフが存在する。それを加味すると、宿儺の肉体同調率は相当に落ち込んでいるのかもしれない。

 魂と肉体の齟齬。それがなければ一層手が付けられない状態だったと思うと恐ろしいものがある。

 

 与えていたダメージは消え去り、肉体的には万全な状態。

 ――されど、その呪力総量は回復せず。

 2度の領域展開。都合5度に及ぶ魔虚羅の召喚。適宜使用していた反転術式。そして今なおその呪力は、オレ自身とその領域により奪われ続けている。

 もはや宿儺の呪力量は5割を下回ろうとしていた。

 

 必中を中和しようが呪力を対象にしている以上、領域内部では絶えず呪力を奪われ続ける。

 だからだろうが、遠距離攻撃を喪失している宿儺はひたすら近づいて攻めて来ていた。

 

「ハッ! 毎度毎度の肉弾戦! オレはまだまだ行けるがよ、テメェはそろそろ飽きてんじゃねえの!?」

「図星だな! だが貴様は手間暇掛けて調理せねばならんようだからな! 光栄に思え、石流龍!」

 

 されどその選択はオレからしても都合が良かった。

 

 宿儺を一撃で葬るには、極ノ番の直撃が必須。

 遠距離からの放出は彌虚葛籠により必中を中和されている以上、決定打にはなりえず。

 彌虚葛籠を崩してからの指向性放出か、近距離での無制限自爆。

 どちらを選んだとしても近づく必要がある。

 

 客観的に見て、現状優勢なのは間違いなくオレ。

 

 じわじわと呪力を吸い続け、枯渇するのを待つのも良し。

 彌虚葛籠の掌印を崩しての、必中状態からの極ノ番でも良し。

 魂の輪郭を揺さぶり続け伏黒恵から吐き出させるも良し。

 

 どれを選んでも問題なし。急ぐ必要はない。ゆっくりと仕留めていけばいい。

 

 ――宿儺を相手にその考えは甘すぎる。あまりにも。

 事実、目の前の奴は、何かを狙っている目をしている。

 

 考えられるものとしては『世界を断つ斬撃』。

 手本もない状況で習得できるものかは分からない。だが習得できないと安易に考えるのも危険。

 世界そのものを対象とするこの斬撃なら、確かに領域を切り裂くことも考えらえる。

 または、それ以外の方法で領域を破壊しようとしてくる可能性もある。

 領域の破壊に関して対策は考えているが、最終的には出たとこ勝負になるだろう。

 宿儺が相手ならこれはもう仕方がない。勝ち目があるだけマシと考えよう。

 

 結局のところ宿儺の狙いが何かは分からない。だが『世界を断つ斬撃』であれ何であれ、最良なのは行動を起こす前に叩き潰すこと!

 宿儺を相手に余裕を与えるな。時間を与えるな。

 長期戦での勝ち目は見えてんだ。だったら短期戦のつもりでケリを着けに行け!

 やることは変わらねぇ。被弾覚悟での連打。10発も打てば1発ぐらいは当たる。それがガード越しであっても問題なし。ひたすらに魂を揺さぶり、極ノ番をぶち込めるだけの隙を作れ!

 

 守りではなく攻め続けることにこそ活路はある。

 拳、脚、呪力砲、極ノ番。

 

「そう急ぐこともあるまい。貴様の有利は動かんのだぞ?」

「これから何かしますって、言ってるようなもんじゃねぇか!」

 

 手札の全てを用いたオレの攻勢はしかし、戯言と共に防がれ、捌かれ、避けられ、崩された。

 打撃は届く。だが致命的な一打は全て捌かれて。

 彌虚葛籠を狙った呪力砲も、諸共巻き込もうとした極ノ番も、どちらも無理なく対処された。

 

 ――宿儺の概算呪力量、5割。

 

 ついぞ彌虚葛籠を崩すことは出来ず――宿儺の術式が回復した。

「領域展開――伏魔御廚子」

 

 本日3度目の領域展開。

 領域によるバフを獲得し、彌虚葛籠の掌印も組み続ける必要はなくなった。

 ついに4つ腕による猛攻が始まる……その予想は外れた。

 

 宿儺は掌印を崩すことなく、閻魔天印を組み続けた。腹の口も何らかの呪詞を唱え続けている

 

 展開された閉じない領域を広げ、外部からの領域外殻への斬撃が再開される。

 勢いを増す斬撃の嵐。だがそれは先ほどやった攻撃の繰り返し。何の意味もなさない。

 

 意味のない掌印。意味のない詠唱。意味のない攻撃。

 

 ――だからこそ何かある。

 

 両面宿儺が、意味もなくそんな真似をするわけがない。

 無駄ではない。無意味ではない。必ずそこには意図があるはず。だがそれが何かは分からない。

 

「鵺・渾――嵌合獣・顎吐」

 

 再度顎吐を身に纏い打撃戦の備えを取る宿儺。

 

 ……何故だ? ここに来てまた打撃戦?

 オレの領域に何かしらの手を打つと思っていたが、違ったのか?

 最も可能性として考えられたのは魔虚羅の存在。オレの領域への適応の速さは宿儺が一番知るところ。例え自らに牙を剥く未調伏の状態であっても、この場を切り抜けるために使用してくるかと思っていたが。呼べないような縛りでも組んだのか?

 

 宿儺の思考を探り続けることは出来ず。

 影の衣に包まれた呪いの王がその拳を――否、爪を振るってきた!

 

 新しく生えてきた爪が、オレの肉に食い込んだ。

 

 ――玉犬の要素も組み込んだか!

 

「別の式神取り込んだんだ! 名前ぐらい変えろよ!」

「貴様に任せる! 余りに長ったらしいのは御免だがな!」

 

 攻撃力の向上は著しく。先の例と同様、領域に付与した御廚子の斬撃も併用してくる爪撃は脅威の一言。

 

 隙を晒せば命にまで届く。思考が接近戦に限定されていく。

 

 ――まさか宿儺が狙っているのは、単純なダメージによる領域の破壊か?

 考えられないわけではない。五条悟が実行しているわけだからな。

 だが、この互いに決め手を失った状態でそれを選ぶのか?

 

 ……いや、決め手なら――術師であれば誰であれ起こりうる現象ならある。

 

 黒閃の発動。

 

 本来なら運ゲーと呼ばれる出来事だが、この長期戦の最中であれば。

 そして両面宿儺であれば。

 むしろ、起こって当然だと考えるべきだ。

 

 それを想定して、一撃で致命となる部位への攻撃だけは堅守。死なないように頑張れ、オレ。

 

 傷つけるに足る攻撃を放つが命にまでは届かない宿儺。

 傷は負うが、命だけは死んでも守り抜くオレ。

 

 戦いはそのまま千日手に移行。

 領域は外殻を斬撃で刻まれ続け、しかし僅かの揺るぎもなく、全てのエネルギー(呪力)を呑み込まんとしている。

 

 概算呪力量、4割。

 

 限りなく近い未来、宿儺の黒閃は発動する。

 それを念頭に置いて――黒閃を出させる前に、勝負に出る!

 

 左脇を削る貫手を抱えて、右手でタバコを上に掲げる。

 

「『流転』『空界』『無辺(むへん)(さきがけ)』――」

「撃たせると思ったか!」

 

 すぐさまタバコを払われる。ただそのために一歩分、宿儺が近づいた。

 

 ――ここ!

 宿儺の右腕を放し、左手を詠唱し続ける宿儺の腹の口――そこを覆う式神の鎧へと触れる。

 

 ――拡張術式『炙り』で、式神の呪力の一部を外に放出する!

 

 拳は無理だ。だが指一本だけならどうだ!?

 

「!」

 

 気付いた宿儺が急いで腹の口を閉じる。

 噛み止められたが、指が食い千切られようが別に構わねぇ。本命はこのあとの――。

 

「グラニテブラスト!」

 

 ――指先からの呪力砲!

 

「――――っ!」

 

 狙い通り、腹の口の詠唱を止めることには成功。だが上の口が詠唱を引き継ぎ、呪詞を途切れさせることはなかった。

 けど体内への攻撃は、さしもの宿儺にも効くみてぇだな!

 一瞬だけ緩んだ反応。その隙に顔――むき出しの顔面を殴りぬく!

 

 久々のクリーンヒット。久々の――渾身の魂への打撃。

 宿儺の呪力が乱れるのを感じる。

 

 イケる! この距離なら、無制限の極ノ番で宿儺ごと吹き飛ばせる!

 

 再度タバコを取り出す。構えは要らない。詠唱も最小限で――。

 

 領域の中で、黒い火花が散ったのが見えた。

 ――黒閃。

 クソがよ……! まさか、このタイミングで、黒閃とはな……っ!

 

 余りの衝撃。内臓が飛び出し、胴体が千切れ掛けているような状態。

 腹をやられてしまっては、通常の反転術式では修復不可能。

 

「――極ノ番・純黒(シュガーレス)

 

 ゆえに奥の手。孔雀明王印を組み、タバコ1本(1グラム)の質量という呪力(エネルギー)、その全てを吸収し、己に取り込む!

 

 馬鹿げた呪力量の全てを反転術式による回復で使用する。その縛りにより呪力は回復しないが、肉体は秤金次同様、瞬時に復活を遂げた。

 術式回復による脳の損傷も治るかと一瞬期待したが、そこまで旨い話はない。だが瀕死であろうが胴体を飛ばされようが回復できる最終手段。

 いざという時のために隠し持っていたオレなりの、術者を対象とした際の『世界を断つ斬撃』対策。頭部以外であれば復活できると考えていた一手。ここで使わされたか。

 

 いや、そんなことより問題は――。

 

「クククッ、際どかったな」

 

 ――ゾーン状態に突入した、呪いの王。

 呪詞が漏れ聞こえるということは、腹の口も何事もなく詠唱を再開してやがる。

 ここぞという所での黒閃。やはりこいつも持ってる側だ。

 

 面倒だな。一体どこまで回復した?

 呪力の出力が上昇したというのなら、どれほどまでに?

 いや、とにかく構えろ。今にも宿儺が攻めて……攻めて、こない?

 

 不自然なまでに、宿儺は動かなかった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう思った瞬間、背筋に走る圧倒的な悪寒。

 突き動かされるようにこちらから接近し、宿儺に向かって殴りかかる。

 宿儺が何かを起こす前に、仕留めなければ!

 

 懸念とは異なり、状況は先ほどと大きく変わらない。

 呪力出力や体術に大きな向上は見られない。

 ただ、宿儺の気配だけが不気味だった。ひたすら何かを模索し続けている。

 

 そして、宿儺を仕留め切れないまま時間だけが過ぎていき――ついに、呪いの王が動き出した。

 

 概算呪力量、3割。

 

「――脱兎」

 うじゃうじゃと溢れ出す脱兎が、宿儺の姿を覆い隠す。

 ここに来ての目眩まし。脳内の警報が最大級の危機を告げる。

 

「宿儺っ!」

 構わず兎の壁に突っ込んで殴りかかるも、既にその場には姿がなく。

 溢れ返った兎は、オレに触れた途端にその身体を構成する呪力を吸い取られ、次々と屍を晒していき。

 ブラインドが消えれば宿儺は居らず、自らの領域中心部である厨子の前に佇んでいた。

 

 ――宿儺の腕が掌印を組んでいた。

 1対は変わらず閻魔天印。

 そしてもう1対は――薬師如来印。

 

「領域展開――嵌合暗翳庭」

 

 ――すなわち、伏黒恵の領域が展開された。

 

 同一個人による、2つの領域の同時展開。

 オレの領域外殻を利用した不完全な領域のようだが、まさに神業。

 どういう理屈で成り立っているのか、もはや理解しようとする気すら起きない。

 

 恐らく、これが宿儺が編み出した、オレの領域を打ち破る一手。

 それを目の当たりにし、オレも即座に孔雀明王印を組む。

 印を組んでいる間、術式反転の効果をさらに増大させる。

 例えば『世界を断つ斬撃』。例えば虚式『茈』。そのような領域すら破壊する力を持った術式も、元を辿れば呪力のはず。だったら吸収できるはずだ。

 斬撃であれ仮想の質量であれ、領域やオレに触れた瞬間に全てを呑み干してやる。

 領域そのものに適応されてしまう魔虚羅のような例外は除き、破壊の要因に関しては、これで対抗はできるはず。

 

 ここまで来たなら仕方がねえ。

 あとはオレがお前の一手を喰い破ることができるかどうか――。

 

「――勝負だっ! 宿儺!」

 

 

 

 

「いや、それには及ばん――」

 

 待ち構えるオレに対し、宿儺が動き出し――今まで閻魔天印を組んでいた両手が解かれ、素早く3度組みなおし――その瞬間、嵌合暗翳庭が崩壊し――。

 

「……は?」

「――既に、俺の勝ちだ」

 

 ――そして、オレの吞天武座も解体された。

 

 パラパラと、影の領域と共にオレの領域も、破片となって空を舞う。

 

 今起きた事象に思考が付いていかない――ただ身体だけが次に起こる事象に身構えていた。

 

 どういうことだ?――嵌合暗翳庭にそんな能力が?――いきなり?――領域の圧し負け?――いやそもそも圧し合っていない――じゃあなぜ解体されて――()()?……まさか?!

 

「貴様の領域。力で破ろうとしても上手くはいかないことは分かっていた。ゆえに貴様と同じく迂遠な手段を取らせて貰った」

 

 ――天元の、領域解体……っ!?

 宿儺も使えたのか!? ……いや違うっ!

 

「無駄に長生きしただけのことはある。少々手こずったが、天元も中々良いものを見せてくれた」

 

 ――『()()()や式神術といった汎用スキル』

 ――『どのような神業であろうと模倣してのける、圧倒的な呪術的基礎技術の高さ』

 ――『習得および再現可能の範疇にあるなら、一目見れば模倣してしまう技量』

 

 ――『総則(ルール)17、泳者(プレイヤー)死滅回游専用端末(コガネ)を介しての通信が可能』

 

 そうか……見ていたのか、コガネ越しに。

 薨星宮での戦いを。

 羂索と九十九たちの戦いを。

 天元が領域解体を実行するその瞬間を!

 

「俺の伏魔御廚子(閉じない領域)を空性結界の代用とし、貴様の領域を解析。下地として貴様の領域外殻を利用した嵌合暗翳庭(不完全な領域)を貼り付け、前後から貴様の領域を中和する情報を流し込み破壊――いや解体した」

 

 崩れ落ちるオレの領域の外。そこに浮かぶのは――万物一切が裁断され、サーモバリック爆薬として浮き上がる粉塵。

 

(カミノ)(フーガ)――此度も生き残れるかどうか……魅せてみろ、石流龍」

 

 2度目にして真の、両面宿儺の最終奥義。

 それが今度こそ、仙台の空を、焼き焦がした。

 

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