烈日よ、さざ波を追って   作:夜鷹ケイ

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<前回のあらすじ>
 願いを結ぶ若木を前に、ヒアンシーは七夕企画の象徴としてそれを選び、ファイノンへ成長促進の協力を求める。
 アナイクスの監督のもと、彼は大地と支えの権能を用い、根の安定と環境調整に留めた慎重な干渉を行う。
 軽口と観察の応酬の裏で、火種を含む力の扱いは静かに制御され、周囲には気づかれぬまま木はわずかに息を整えていく。やがて作業は許可条件付きで進行し、若木は祭りの中心として準備を整え始める。


072 若木に結ぶ遠い恋

 土へ意識を沈めると、広間のざわめきは一枚薄い布をかけられたように遠のいた。聞こえなくなるわけではない。アナイクスが記録を取る硬い音も、ヒアンシーが息を詰めすぎないように小さく吸い直す気配も、サフェルが面白がっているとき特有の喉の鳴らし方も、背後からちゃんと届いている。

 けれど、指先の下にある冷たい湿り気と、根の細い震えを拾おうとすると、ファイノンの感覚は自然にそちらへ寄っていった。

 

 若木は怯えてはいなかった。もちろん、木が人のように怯えるわけではない。だが、根はまだ新しい土の中で位置を探しており、水を吸う力も、枝葉へ送る力も、どこか慎重だった。

 鉢の内側で細い根がゆっくり広がろうとしている。その先々へ触れるたび、ファイノンは無理に引かないよう気をつけた。強い力で背丈だけを伸ばせば、葉は増えるかもしれない。けれど、根が追いつかない木は、見た目ほど強くならないことを、ジョーリアから教わったことがある。

 だから、まず気にすべきは土だった。柔らかすぎる表面を少しだけ締め、根が呼吸できる隙間は残し、鉢の底へ余分な水が逃げる道を作る。

 ファイノンの指先から広がる力は、光のようでもあり、手で土をほぐしているようでもあった。ジョーリアの名を思えば、大地は厚みを持つ。ケファレの名を思えば、倒れそうなものの下に見えない支えが差し込まれる。そのどちらも、いまは大きな奇跡として振るう必要はなく、若木が明日も同じように葉を広げられるよう、足元の居心地を整えるだけでよかった。

 

 ここへ来る途中で、ヒアンシーがこの木を運ぼうとしていた姿を思い出す。

 荷車の持ち手に両手をかけ、顔を真っ赤にして、華奢な肩と腕をぷるぷる震わせながら、それでも一歩ずつ押していた。イカルンも横で一生懸命手伝っていたから、正確には一人ではなかったのだろう。

 けれど、あのまま放っておけば、木より先にヒアンシーが鉢へ植わっていたかもしれない。そう言ったとき、彼女は「植わりません!」と胸を張り、少し遅れて「たぶん……」と小さく付け足した。

 あのときのやり取りを思い出すと、口元が緩みそうになる。ファイノンは笑いを深くしすぎないよう注意しながら、根の周りへ薄く力を通した。笑うと心拍が上がる。火種の熱も、ほんの少しだけ呼応する。今はヒアンシーもアナイクスも見ているので、余計な心配を増やす必要はなかった。

 

 若木、と呼ぶには、目の前の木は案外大きい。ファイノンやヒアンシーの背丈をゆうに超え、足元から見上げると枝先が朝の光を少し遮る。

 けれど、樹庭の古木と比べれば幹はまだ細く、年輪を重ねたものが持つ重さも少ない。支柱に添えられた姿は、背伸びをしている子どもにも、初めて人前へ立たされた若者にも見える。枝葉の数は十分とは言えないが、葉の色は悪くなかった。薄い緑は、まだ柔らかくて、触れれば傷つきそうで、それでも光を受けるたびに小さく透けた。

 

(うん。少し手を貸せば、きっと大丈夫だ)

 

 ファイノンは息を整え、指先から流す力をさらに細くした。大地の奥から引き上げるのではなく、鉢の中にある土を落ち着かせる。

 根が伸びたい方角へ、ほんの少し道を開ける。世を負う感覚は、重いものを自分へ載せることに似ているが、今はその重さを引き受けすぎてはいけない。木の重みは木自身が持つべきで、ファイノンは、持てるようになるまで足場を直すだけだ。

 力を通した箇所から、土の粒が微かに寄り合った。見た目には、鉢の表面がゆっくり沈み、根元へ向かってなだらかに盛り上がった程度だろう。

 だが、ファイノンには細い根が土を掴み直す感触が分かった。葉先が風とは別の理由でわずかに震え、幹の内側を水の気配が上っていく。急に大きくなるわけではない。けれど、木の身体が自分の形を思い出すような、静かな変化だった。

 

「出力は?」

 

 背後からアナイクスの声が飛んできた。問いは短いが、耳の奥へ針を置くように正確だった。ファイノンは土から意識を離しすぎないまま、肩越しに答える。

 

「かなり抑えてるよ。根の周りを整えてるだけで、枝を増やしたり、背を伸ばしたりはしてない」

「脈拍は」

「それは僕に聞くよりヒアンシーに聞いた方がいいんじゃないかな」

「あなたの自己申告は参考値として扱います」

「じゃあ、たぶん普通」

「参考値にもなりませんね」

「ええ?」

 

 すぐに返された言葉に、ファイノンは小さく笑いそうになった。だが、すぐそばでヒアンシーが近づく足音がして、笑う前に口元を整える。彼女の靴音は軽いが、急いでいるときと慎重なときでは微妙に違う。今は慎重な方だった。止めに来たのではなく、見守るために近づいている歩幅である。

 

「体調は、いかがですか?」

「苦しくはないよ。土の方も落ち着いてきた」

「はい。お顔色は大丈夫そうです。ですが、終わったら一度、座ってくださいね」

「うん。約束する」

 

 約束という言葉を使うと、ヒアンシーの表情がほんの少し和らいだ。ファイノンはそれを見て、今の答えは正解に近かったらしい、と胸の中でそっと印を付ける。大丈夫と言い切るより、止まる条件や休む手順を渡した方が、彼女は安心しやすい。そう学んだばかりの知識を、うまく使えた気がした。

 そのとき、隣へ柔らかな気配が近づいた。風に混じって、花と陽だまりを思わせる香りがふわりと揺れる。ファイノンが顔を上げると、トリスビアスが若木の枝先を見上げていた。

 鮮やかな赤い髪が肩へ流れ、朝の光を受けて、樹庭の葉よりも少し温かな色を帯びている。彼女は土の動きへ驚くでもなく、神権の残滓へ怯えるでもなく、ただ背伸びをする若木を眺めるように目を細めた。

 

「あら、ふふふっ。この若木の一生懸命背伸びをしようとしてる姿は、まるで聖都オクヘイマにやって来たばかりの頃のファイちゃんみたいね」

 

 ファイノンは指先を土に触れたまま、思わず顔を向けた。力の線が乱れかけたので慌てて整え直す。根元の土が小さく盛り上がりすぎ、彼はそれをそっと均した。

 

「え、僕そんなだったかい?」

「ええ。とっても。知らないものを見つけるたびに目を輝かせて、けれど背筋だけは一生懸命伸ばして、大人の顔をしようとしていたわ」

「それは……田舎から大きな都市に出てきたんだから、多少は仕方ないんじゃないかな」

 

 言いながら、ファイノンの中で遠い記憶が薄く揺れた。

 永劫回帰の前のことは、はっきり覚えているはずなのに、時々、古い夢の向こう側に置かれているように感じる。輪郭はある。声も、光も、足元の石畳の冷たさも、探せば見つかる。

 けれど、それが本当に一度きりの過去だったのか、それとも無数の回帰で擦り切れた記憶が上書きされているのか、すぐには分からなくなることがある。

 

 オクヘイマへ初めて来たとき、たしかにファイノン――いや、カスライナは圧倒されていた。

 エリュシオンは辺境の地で、畑と風と、遠くに見える山並みと、夕暮れの匂いが生活の輪郭だった。麦の揺れる音や、オリーブの葉が乾いた光を返す様子ならよく知っていたが、白亜の階段が幾層にも重なり、人の声が途切れず、知らない布や香辛料や金属の匂いが市場から立ち上る大都市の呼吸は、まるで別の生き物だった。

 その中で、彼は背筋を伸ばしていた。たぶん、伸ばそうとしていた。何も知らないと思われたくなかったのかもしれないし、知らないものを前にして胸が弾むのを隠したかったのかもしれない。

 アグライアの後ろをついて歩き、説明を聞き、見落としがないように周囲を見回し、礼儀作法の一つ一つを覚えようとしていた。エリュシオンでは「見て覚えろ」と言われることが多かったから、人の動きを真似て学ぶのは自然なことだった。けれど、トリスビアスが言う背伸びは、たぶんそれだけではない。

 回帰する以前の旅路には、いつも桃色の少女がいた。

 ファイノンがカスライナだった頃、彼女は隣にいて、知らない場所へ踏み出す足を笑いながら急かし、時には手を引き、時には少し前を歩いて振り返った。

 幽鬼のように彷徨う少年の隣で、明日という言葉を当たり前のように置いてくれた人だった。光の中へ立つ彼女の髪、冗談めかした声、こちらを見上げる瞳の温度を思い出すと、土に触れている指先の感覚まで少し遠のく。

 キュレネがいない今、カスライナとしての記憶は、微睡みの底に置き去りにされた荷物のように感じられる。開ければ確かにそこにある。けれど、手を伸ばすには少し勇気が要る。

 あの頃の自分は、黎明を信じて疑わず歩けるほど心にゆとりがあったのか。それとも、ファイノンとして過ごした年月と同じように、何かに追い立てられ、失う前に掴まなければと焦っていただけなのか。どちらも本当だった気がするし、どちらも少し違う気がした。

 

「ファイちゃん?」

 

 トリスビアスの声が近くで揺れ、ファイノンは瞬きをした。指先に流していた力が途切れかけ、土の表面がほんの少し不格好に盛り上がっている。彼は慌ててそこを均し、若木の根元が呼吸しやすい形へ戻した。

 

「ごめん。ちょっと考えてた」

「昔のこと?」

「うん。オクヘイマに来たばかりの頃のことを、少し」

 

 それを言うだけなら平気だった。だが、思い出の奥にキュレネがいることまでは、うまく口にできない。

 彼女の名前を出せば、その途端に記憶は柔らかい棘を持つ。楽しかったこと、眩しかったこと、伝えられなかったこと、伝えたつもりで届かなかったと思ってしまうこと。すべてが一緒に顔を出して、今の自分の胸へ触れる。

 トリスビアスやアグライアから、オロニクスの神殿で修行を積んだ聖女を迎え入れると聞かされたときのことも、彼は覚えている。

 使命の話だったはずなのに、カスライナは浮き足立った。神殿から来る彼女を、知らない街で迷わせないようにしたい。エリュシオンから離れた場所で、少しでも安心できるものを渡したい。そんな理由をいくつも並べながら、本当はただ、会いたかった。

 

『僕が彼女を案内するよ!』

 

 昔の自分の声が、記憶の中で明るく跳ねる。思い出すだけで、今のファイノンは土の上に置いた手を少し握りそうになった。

 使命を忘れていたわけではない。たぶん、忘れてはいない。けれど、その一瞬だけは、世界の終末よりも、彼女がオクヘイマの白い階段を上るときに隣へ立てることの方が、ずっと大切に思えてしまった。

 あのときの自分は、若木に似ていたのだろうか。細い幹のまま、古木のような顔をしようとして、風に揺れながら背を伸ばしていたのだろうか。そう考えると、トリスビアスの言葉に反論しきれない。けれど、反論しきれないからといって、素直に頷けるほど今の自分は簡単ではなかった。

 オンパロスが救われたら、勇者と聖女はエリュシオンに凱旋する。そうしたら未来のことを一緒に考えましょう、と彼女は言った。

 明るく、優しく、あの子らしい声音だった。けれど、鉄墓を封印するために必要なことだと理解しているのに、エリュシオンへの道が閉ざされ、過去に留まったままの彼女を思うと、その言葉は時々、遠回しなお断りのように聞こえてしまう。

 そんなはずはない、と言い切れるほど、ファイノンは自分を信じられなかった。もしかしたら、彼女はファイノンと会うことが嫌になってしまったのかもしれない。

 永劫回帰の記憶をすべて本として綴って閉じたのなら、その中にいた自分のことも知っているはずだ。何度も壊れ、何度も怒り、何度も殺し、敵味方の境目すら歳月の力で呑み込んでしまった自分を、彼女はもう知っている。

 それでも彼女が笑ってくれるのなら、嬉しい。嬉しいからこそ、怖い。ファイノンは、土の表面を整える指に余計な力が入らないよう、意識して手を開いた。

 

「トリビー先生」

「なあに?」

「……僕、そんなに背伸びしてたなら、見ていて危なっかしかっただろうね」

「危なっかしいというより、一生懸命だったわ。知らないことを恥ずかしがりながら、それでも知ろうとしていたでしょう。あれは、とても可愛らしかったのよ」

 

 可愛らしい。ファイノンは、予想外に放たれたその言葉を受け止める場所を探して、結局見つけられず、土へ視線を戻した。

 若木の根元は先ほどより落ち着いている。幹も、わずかにまっすぐになったように見える。役に立てているならいい。可愛いと言われるより、そちらの方がずっと受け取りやすいのに、言われた言葉はまるで子供のを褒めるような言葉だった。

 

「と、トリビー先生、からかわないでくれ……」

「あら、からかってなんかないわ」

 

 トリスビアスは本当にからかっている声ではなかった。だから困る。冗談なら笑って流せる。悪意なら距離を取ればいい。けれど、彼女の声は柔らかく、昔の少年をそのまま大切に包むようで、今のファイノンには少し眩しすぎた。

 自分はもう、彼女がそう思ってくれるほど純粋な人間ではない。そう言いかけて、やめた。口に出せば、きっとヒアンシーが反応する。アナイクスも記録の手を止める。トリスビアスは困ったように笑って、そんなことはないと言うかもしれない。誰も悪くないのに、また空気を重くしてしまう。

 だから、ファイノンは土を整えるふりをした。実際、整えるべきところはまだある。支柱の根元が少し浅い。短冊を結ぶなら、風で枝が揺れたときに鉢全体へ負担が逃げるよう、土の密度を変えた方がいい。考えるべきことはたくさんあった。考えるべきことがあると、胸の奥の苦さを少しだけ横へ置ける。

 

「ファイちゃんは、今も昔も、頑張るときに顔が真面目になるのね」

「今は真面目にやらないと、若木が困るだろ」

「ええ。だから可愛いの」

「どうしてそうなるんだい……」

 

 ファイノンが困った声を出すと、背後から上品な笑いが聞こえた。アグライアだった。布が擦れる微かな音が近づき、彼女は机の上に置いていた短冊を一枚手にしたまま、若木を眺めた。視線は根元、枝、葉先へと順に動き、最後にファイノンへ戻る。

 

トリスビアス(師匠)の言うとおりです。ファイノン、どうぞ自信を持ってください。あなたの少年時代も、それはもう愛らしかったですよ」

「アグライアまで……!?」

 

 思わず顔を上げると、アグライアは涼しい顔をしていた。彼女の目は、からかいを少し含みながらも、嘘を言っている色ではない。

 ファイノンは口を開きかけ、何を言っても墓穴を掘る気がして閉じた。昔の自分がどれほど不格好だったかを説明すればするほど、二人はきっと微笑ましそうに頷く。礼儀作法を知らなかった、田舎者だった、緊張していた、必死だった。どれも反論ではなく、彼女たちにとっての可愛いを補強する材料にしかならない気がしたのである。

 

「自信云々じゃなくて、……いや、いいや。女の人のかわいいは少なくとも嫌じゃないってことならいいよもう、好きにしてくれ……」

 

 降参のつもりでそう言うと、トリスビアスは満足そうに微笑み、アグライアは「賢明な判断です」と頷いた。

 背後からサフェルが「坊や、今ので完全に負けてるよん」と囁くように笑い、ファイノンは聞こえなかったことにした。聞こえてはいる。聞こえてはいるが、反応するとまた別のところへ話が転がることを、彼は幼馴染でよく知っていた。

 

 若木の根元へもう一度意識を戻すと、土はちょうどよい硬さになっていた。根は先ほどより深く息をしている。

 枝は増えていないが、内側に通る水の気配は穏やかで、支柱に預けきっていた重さを少しだけ自分で持ち直したようだった。ファイノンは指を離す前に、最後にごく薄くケファレの力を残す。木が自分で育つ邪魔にならない程度の、風を受けたときにだけ支えになる輪郭――それで終わりにする。

 本当は、もっとできる。枝を伸ばすことも、葉を増やすことも、短冊を結ぶのに十分な見栄えへ近づけることもできる。けれど、ヒアンシーに少しだけと言った。アナイクスにも、条件付きで許可された。何より、若木が自分の力で伸びる分を奪いたくなかった。

 ファイノンはゆっくり手を離した。土の冷たさが手袋に残り、指先の奥で火種の熱が淡く揺れている。苦しくはない。胸の鼓動も乱れてはいない。少しだけ疲れたが、座ればすぐ戻る程度だろう。そう判断して立ち上がると、若木の葉が朝の風を受け、さらりと小さな音を立てた。

 

「うん。これで、植えるまではだいぶ楽になると思うよ」

「ありがとうございます、ファイノン様!」

 

 ヒアンシーの声が明るく跳ねる。その響きに、ファイノンは自然と笑った。彼女の喜びが申し訳なさへ変わらないで済んだことに、胸のどこかが少し軽くなる。これでいい。今日は、願いの祭りを準備する日なのだから。

 だが、安心したのも束の間だった。トリスビアスが若木を見上げたまま、さらに懐かしそうに目を細める。

 

「それにしても、本当に似ているわね。オクヘイマに来たばかりのファイちゃんも、こんなふうに背伸びして、ライアちゃんの後ろを一生懸命ついて歩いていたもの」

「トリビー先生、その話は今しなくても」

「でも、ヒアンシーちゃんたちは知らないでしょう?」

 

 その一言で、ファイノンは背後の空気が変わるのを感じた。ヒアンシーの気配がぱっと明るくなる。キャストリスも、椅子の上で少し身じろぎした音がした。

 振り返らなくても分かる。これは、まずい。同期に知られていない少年期の話というものは、時として神権より危険である。ファイノンは制止のために片手を上げかけた。

 けれど、トリスビアスはにこにこと微笑んでいるし、アグライアも止めるどころか短冊を揃えながら静かに聞く姿勢に入っている。モーディスが壁際で面白そうに顎を上げた気配までして、逃げ道がどんどん狭くなる。

 

「僕のいないところでやってくれないかな」

 

 細々とした抗議は、若木の葉音と広間の笑いの中へ、あっさり吸い込まれていった。




絶対かわいいと思うんですよ。
想像してみてくださいよ、真面目で一生懸命で天然で犬のような坊やっぽい(少年っぽい)坊や(青年)坊や(少年)時代を。
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