烈日よ、さざ波を追って   作:夜鷹ケイ

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<あらすじ>
 オクヘイマの会議場から大講義場へ、ヒアンシーとファイノンは一本の若木を運んだ。
 大地の権能に支えられた根は揺らがず、街の人々はその姿を笑顔で見送る。ケファレの神像前に広がる講義場へ木を据え、支柱を結び終えたとき、そこには過去の再現ではなく、これから育つ未来の姿があった。
 まだ短冊のない枝葉は、やがて人々の願いを受け止める場所になる。


095 若木に風神話解く

 ファイノン様が頷いてくださったので、わたしはもう一度だけ若木と大講義場の広さを見比べました。

 植えたばかりの根元には新しい土が柔らかく盛られ、三方から添えた支柱と紐が、風を受ける幹をほどよく支えてくれています。枝先はまだ大きな木陰を作るほど茂ってはいませんが、陽光に透ける薄い翡翠色の葉がさらさらと重なり合い、ケファレ様の神像を背後に置いた景色へ、ほんの少しだけ新しい色を加えていました。

 ここまで運んできた木は、若木と呼んではいても決して小さなものではありません。けれど、七夕の催しで大勢の方が短冊を結ぶこと、その後もこの大講義場で育てていくことを考えると、もう少しだけ枝葉が安定していた方がいいのではないかというお話は、以前から出ていました。

 根を張ったばかりの木へ、いきなり大勢の方が集まる。短冊の重さなんて一枚ずつなら大したものではないとはいえ、結びつけるために枝へ触れる方もいるでしょうし、風に煽られた紙が一斉に引っ張れば、細い枝にはそれなりの負担になるはずです。

 なにより、植え替え直後というのは人間でいえば住み慣れた場所から突然違う環境へ移ってきたようなものですから、見た目が元気だからといって無理をさせていいわけではありません。

 それは木も、人も、たぶん同じです。そう考えながら最後の項目を見ていると、ファイノン様もわたしの視線の先へ気づいたらしく、若木を見上げました。

 

「成長の調整も、今やっておこうか?」

「はい。ただし、前にお話しした通り、無理に急成長させるのではなくてですね。根がこの土地へ馴染んで、枝がもう少し安定するくらいでお願いしたいです」

「分かってるよ。いきなり何十年分も育てたりはしないさ」

「本当にお願いしますね? 振り返ったら大講義場いっぱいに枝が広がっていました、なんてことになったら、わたし、たぶん声も出ませんから」

「そこまでやったら僕だって驚くよ」

 

 くすくすと笑ったファイノン様は、根元の土を一度確かめてから若木へ近づいていきました。

 先ほど運搬に権能を使ったばかりですから、もう少し休んでいただきたい気持ちもあります。けれど、これは事前にアナイクス先生にも確認していただいていた作業で、運搬とは違って大きな力を瞬間的に使うものではなく、ごく緩やかに大地と陽光を巡らせる方法なのだと聞いていました。

 だからこそ、わたしも許可しています。もちろん、許可したからといって観察しなくていいわけではありませんけれど。

 

「ファイノン様」

 

「うん?」

 

「途中で息苦しさや眩暈、身体が熱くなる感じ、逆に急に冷える感じ、力が抜けるような違和感が出たら、すぐ教えてくださいね」

 

「了解」

「あと、胸が痛いとか、鼓動が変だとか――」

「ヒアンシー」

「はい?」

「ちゃんと言うよ」

 

 振り返った彼が困ったように笑ったので、わたしは言いかけていた注意事項をいったん飲み込みました。……いえ、心配しすぎではないのです。医療者として必要な確認なのです。

 ただ、説明を重ねすぎて患者さんの方から「分かりました」と止められるのは、少しくらい反省してもいいのかもしれません。

 

「では、お願いします」

「ああ」

 

 ファイノン様は幹の前へ立つと、片方の手のひらをそっと木肌へ当てました。押すような力はありません。指を大きく開くでもなく、何かを握り込むでもなく、ただそこに触れる。人肌と樹皮の境目を確かめるような、静かな手つきでした。

 すぐに何かが起きたわけではありません。光が爆発したり、地面が大きく揺れたり、枝葉が一斉に伸びたりもしない。

 むしろ最初に気づいたのは、足元でした。靴底越しに伝わってくる土の感触が、ほんのわずかに温かくなったような気がしたのです。

 大講義場の石床はまだ朝の冷たさを抱えているのに、若木の根元だけ、日の当たる春の畑へ足を踏み入れた時のような柔らかい温度が滲んでくる。次いで、土の匂いが先ほどより濃くなりました。湿った土を掘り返した時の青い香りに、陽を浴びた草の匂いが混ざり、風に乗ってわたしのところまで届きます。

 見上げると、一枚の葉が揺れていました。風のせいかと思ったのですが、その隣も、そのまた隣も、微かな震えを伝え合うように揺れています。

 細かった葉脈へ光が満ちる。枝先にあった小さな芽が、急ぐでもなく、けれど確実にほどけていくのが見えました。

 

「わあ……」

 

 思わず零れた声に、ファイノン様が少しだけこちらを見ました。

 

「こんな感じでいいかい?」

「はいっ。とっても綺麗です。……じゃなくて、ええと、木の状態としても今のところ問題なさそうです。そのままゆっくりお願いします」

「ははっ、了解」

 

 危ない危ない。お仕事です、お仕事。つい見惚れてしまいましたが、わたしはちゃんと監督役なのですから。

 とはいえ、目を奪われるのも仕方がありませんでした。ファイノン様の手を起点に、幹を覆う光が目に見えて流れているわけではない。それなのに、確かに何かが根元から枝先へ巡っている。土の中から水分や養分を吸い上げる木自身の営みを、大地そのものが優しく後押ししているようでした。

 さらに不思議なのは、陽射しです。雲が流れ、光の強さは絶えず変わっているはずなのに、若木の周囲だけは薄い日向が留まり続けています。強すぎて葉を焼くような熱ではなく、寒い朝に窓辺へ置いた鉢植えが喜びそうな、穏やかな温かさでした。

 ジョーリアの大地。そして、ケファレの陽光。ふたつの権能が、ひとつの木を育てるためだけに使われている。その事実を考えると途方もないことなのですが、当のご本人は、庭の植木へ水をあげている人と大差のない顔をしています。

 ファイノン様は昔から、こういうところがあります。

 こちらが「それはとても凄いことなのでは?」と思っても、ご本人にとっては「出来るからやった」「必要だったから使った」で済んでしまうのです。世界を救うほどの力を使う時もそうだったのかもしれない、と考えると笑えなくなってしまいますから、今は木を元気にしてくださっているという事実だけを眺めることにしました。

 

 すると、遠くから聞き慣れた声が飛んできます。

 

「宣伝やっと一区切りだよ~。やっほー、救世の坊や、医者のお嬢ちゃんも」

「あっ、サフェル様。お疲れさまです!」

 

 声の方向へ振り向けば、大講義場の外周からサフェル様がこちらへ歩いてくるところでした。いえ、歩いてくるという表現が正しいのでしょうか。

 人の間をするり、するりと抜け、段差があれば一段飛ばしに越え、最後には石縁へ片手をついて軽く身体を浮かせ、そのまま猫のようにこちら側へ着地する。宣伝活動を終えたばかりだというのに、疲れて足を引きずっているようにはまったく見えません。けれど、近くまで来ると、彼女は大きく肩を回しました。

 

「あ~、疲れた疲れた。街じゅう回って『なんか面白いことやるよー』って広めるの、地味に大変なんだからね? あたしの速さをもってしても口は一個しかないんだし」

「ありがとうございます。おかげでお問い合わせもたくさんいただいてますよ」

「それ褒めてる? 仕事増えたって苦情じゃない?」

「もちろん褒めてます!」

「ならよし」

 

 サフェル様は満足そうに片方の口角を上げ、それからわたしを通り越して若木へ目を向けました。そして、ぴたりと止まります。

 

「……で」

「はい?」

「あの坊や、何してんの?」

 

 尋ねられて、わたしもファイノン様を見ました。彼は変わらず若木へ片手を当てています。枝葉は少しずつ厚みを増し、まだ頼りなかった細枝も、風に煽られた時の揺れ方が先ほどより安定してきました。見た目としては確かに、青年が木へ触れて何かをしている、それ以上でも以下でもありません。

 

「若木の成長を少しだけ促していただいています」

「ふーん……」

 

 サフェル様が目を細めました。

 尻尾がゆらりと一度だけ左右へ揺れます。

 

「それ、坊やがやる必要ある?」

「事前にアナイクス先生にも確認していただいてますよ。負担も大きくならない範囲でお願いしています」

「医者のお嬢ちゃんが見張ってるならいいけどさぁ」

「ちゃんと見てます!」

「うんうん、そこは疑ってないって。それより、これ……」

 

 サフェル様は若木の根元へ視線を落とし、それからファイノン様へ顔を向けました。

 

「救世の坊やー。あんた、今どの神権使ってんの?」

「ジョーリアとケファレだよ」

 

 返事が、あまりにも普通でした。

 サフェル様の耳がぴくりと動いたように見えました。

 

「……ふたつ同時?」

「うん。大地の方から根を馴染ませて、陽光を回してる。大きく育てるだけならもっと早く出来ると思うけど、植え替えたばかりだし、急にやると木が困るだろ?」

「木が困る」

「うん」

 

 ファイノン様は真面目に頷きます。

 サフェル様も、つられるように一度だけ頷きました。

 

「そっかそっか。木が困るかぁ」

「はい。人でも環境が急に変わったら疲れますから、植物もあまり急激な変化は避けた方がいいと思います」

「医者のお嬢ちゃんまで真面目に返してくるじゃん」

「えっ」

 

 サフェル様が額へ手を当てました。

 何でしょう。わたし、何かおかしなことを言いましたか? 確かにわたしは植物専門の医師ではありませんけれど、負担を減らすという考え方自体は間違っていないはずです。

 そう思っていると、ファイノン様が木へ手を当てたままこちらを振り返りました。

 

「アナイクス先生からも太鼓判を貰ったし、大丈夫だと思うけど……もし、はみ出そうになったら僕がジョーリアの権能を使って調整するから安心してくれ。何ならあっちに今代の大地のタイタン(荒笛)も居るし、先代ジョーリアを引っ張り出してくることもできるよ」

「さ、流石に先代はみなさん萎縮してしまうのでは……」

 

 思わずそう返したわたしに、ファイノン様は不思議そうに瞬きをしました。

 夏の青空にも負けない蒼穹の瞳が、ぱちり、ぱちりと二度ほど瞬き、それから本当に理解できないというように首が少し傾きます。

 

「そうかい?」

 

 そうかい、ではありません。……と、言いたかったけれど、あまりにも自然な顔をされるので、こちらの常識の方が間違っているのではないかという気分になってきます。

 いえ、そんなことはありません。ファイノン様がお呼びすると仰ったのは、先代タイタンです。先代の、大地のタイタンなのです。その方を「ちょっと木が大きくなりすぎるかもしれないから手伝って」と呼び出すことを、鉢植えの世話へ近所のおじさまを呼ぶような感覚で考えていいはずがありません。

 ……ありませんよね? 確認を求めるように隣を見ると、サフェル様も同じような顔でファイノン様を見ていました――良かった。わたしだけではありませんでした。

 

「坊やさぁ」

「うん?」

「先代タイタンを園芸助手みたいに呼ぶの、普通じゃないからね?」

「でも、大地に属することだしジョーリアなら得意分野だろ?」

「そういう問題かなぁ!?」

 

 サフェル様の声が、大講義場へ気持ち良いほど響き渡りました。

 近くで作業をしていた方々が何人かこちらを見ます。ファイノン様はと言えば、叱られた理由がいまひとつ分かっていないらしく、若木へ手を当てたまま眉尻を少し下げました。その姿がなんとも幼げに見えてしまうのが、また困ります。

 背丈もあります。顔立ちだって立派な青年です。永劫回帰という言葉を持ち出すまでもなく、背負ってきた年月なんてわたしでは想像することすら難しい方です。

 なのに、こうして本気で「何がおかしいんだろう」と首を傾げている時だけは、昔、神悟の樹庭で見かけた学生の姿へ戻ったように見えてしまいます。

 

「いや、でも本当に手を貸してくれると思うよ」

 

 ファイノン様が続けます。

 

「どうしてそんな確信があるのさ」

「黎明のミハニを作るために魂を焼きすぎて、ケイオス(僕)が支えきれずに崩れ落ちかけたところを、背中から支えてくれたのが背中から生えた腕(ジョーリアの彼)だし。のりのりで手を貸してくれるとは思うんだ」

「……お、……ッス」

「………………」

 

 わたしは、しばらく言葉を失いました。隣でもサフェル様が止まって、風だけが、若木の葉をさらさらと揺らして。その向こうではケファレ様の巨大な神像が、いつもと何ひとつ変わらない佇まいで大講義場を見下ろしていらっしゃいます。

 わたしはゆっくりと神像を見上げました。……腕がありますね。見ます。もう一度、ファイノン様を見ます。そしてもう一度、腕。

 

「……あの」

「うん?」

「ケファレ様の御神体に、腕が四本あった理由って……」

「ああ。あれ、ジョーリアだよ」

 

 さもありなん。今ここで明かされました。そんな歴史的な事実、今、七夕の木を育てながら明かされていいのでしょうか。

 もっとこう、神悟の樹庭の研究発表ですとか、古代史の講義ですとか、せめて記録官の方が何人か集まった場で明かされるものなのではありませんか?

 わたしの頭の中で、医師としての知識でも、黄金裔としての経験でも処理できない情報がころころ転がっていきます。サフェル様も珍しくすぐには言葉が出てこないようで、半開きになった口を閉じ、開き、また閉じました。

 

「……あたし、あの像ずっと見てきたけどさ」

「はい」

「そういう説明、聞いたことないんだけど」

「わたしもです」

「だよね?」

「はい」

 

 ものすごく安心しました。これもわたしだけではありません。

 

「別に隠してたわけじゃないよ? カリュプソーたちは知ってるし」

 

 ファイノン様が困った顔をします。

 

「聞かれなかったから」

「坊やのその『聞かれなかったから言わなかった』、だいたい後からとんでもないもの出てくるんだけど!?」

「そうかな?」

「そうだよ!」

 

 サフェル様の尻尾が、今度はぶん、と大きく振れました。わたしも横で何度も頷きます。ものすごく頷きます。患者さんが症状を言わずに「聞かれなかったので」と仰るのと少し似ています。

 似ていますが、今回出てきたのは症状ではなく神話史の重大な補足事項です。規模が違います。どうしましょう。アナイクス先生に報告した方がいいのでしょうか。いえ、絶対にした方がいいです。むしろ先生なら、どうして今まで誰も確認しなかったのですか、と頭を抱えられるかもしれません。

 

「それに、ほら」

 

 ファイノン様が、木に触れていない方の手を上げました。

 

「あそこにいるよ」

「……はい?」

 

 指差された方向へ、わたしは反射的に顔を向けます。そこは、大講義場の外れ。ケファレ様の神像の影が落ちる辺りに、一人の男性が立っていました。

 遠目でも分かるほど、ものすごく立派な体格をしています。仮面で顔を覆い、陽の下へ出れば彫刻のように陰影が浮かびそうな腕を組んでいたその方は、わたしたち――というより、ファイノン様の視線に気づいたらしい。

 そして。ぐっ、と片腕を曲げました。上腕二頭筋を見せつけるような、たいへん力強いポーズでした。

 

「…………」

 

 わたしの首が、ぎぎ、とファイノン様へ戻ります。もう一度、男性へ。その男性は今度は空いている方の手を上げ、ぶんぶんと振っています。

 親しげです。ものすごく親しげです。

 

「ま、まさか……」

 

 わたしの口から、やっとそれだけが出ました。隣を見る。サフェル様も、まったく同じ動きをしていました。彼女も男性を見て、ファイノン様を見て、もう一度男性を見ています。猫のような身軽さを誇るサフェル様が、今だけは錆びついた人形みたいに首を動かしていました。

 目が合います。たぶん、言葉はいりませんでした。ですよね。そうなりますよね。わたし、おかしくないですよね。

 そう確かめ合っている間にも、衝撃の中心にいるファイノン様だけは、のどかな牧場で野花でも眺めているような顔をしていました。

 

「あ、やっぱり気づいてたんだ」

 

 彼も男性へ手を振ります。

 

「うん。うん、そう。もう運び終わったよ。……ああ、大丈夫。根も馴染んでる。今ちょっと育ててるところ」

 

 会話しています。誰(どなた)と……!?

 いえ、答えはだいたい分かっています。分かりたくないだけです。

 

「うん。そっか。そうなんだ。じゃあ頼むよ」

 

 誰かの言葉へ相槌を打つように独りごちてから、ファイノン様はこちらへ顔を戻しました。わたしとサフェル様は、たぶんとても似た顔をしていたのでしょう。彼はきょとんとします。

 

「どうしたんだい?」

「ど、どうかしたんですか?」

 

 聞きたいことが多すぎて、逆にそんな言葉しか出ませんでした。ファイノン様は少し考えるように瞬きをします。

 

「どうかって言うか、先代ジョーリアは『後のことは当代に任せる』って」

「…………」

「だから、”大地”を通じて荒笛に――と言うよりも」

 

 彼は一度だけ言葉を切りました。

 その間にも、若木へ触れた手は離れません。力は穏やかに流れ続けているらしく、枝先ではまた新しい葉が一枚、ゆっくりと開いていました。

 

「大地獣たちが、自分で立候補して来たからお願いしておいたよ」

「ちょっと待って坊や」

 

 サフェル様が片手を上げました。

 

「なんだい?」

「今さらっと別のすごいこと混ぜなかった?」

「そうかい?」

「混ぜたよ!」

 

 また大講義場へ声が響きます。気のせいにしたかったのですが、わたしも聞き逃したわけではありません。むしろ聞き取ってしまいました。

 

「ええと……ファイノン様」

 

「うん?」

 

「大地に通じる生き物との会話(そんなこと)まで可能なんですか?」

「可能って言うと、ちょっと違うかな」

 

 ようやく少し説明らしい説明が始まりそうな気配に、わたしとサフェル様は揃って耳を傾けました。ファイノン様は木へ手を置いたまま、足元へ一度視線を落とします。

 

「僕が抱え続けていた火種が完全に昇華されるまでの名残りだろうけど、”大地”としては……そうだね。大地に生きとし生けるすべての存在と意思疎通が出来るものだよ」

「…………」

「…………」

 

 サフェル様が黙りました。わたしも黙りました。いえ、考えてはいるのです。ちゃんと理解しようとはしているのです。けれど、情報量が多いのです。

 大地を通じて、生きとし生けるものと意思疎通。つまり、先ほどの大地獣の皆さんだけではなく。もっと、色々――色々というのは、どこまででしょう。

 植物は。小動物は。虫は。土の中にいる生き物は。そもそも「大地に生きる」の線引きは。医師として分類を始めそうになった頭が、途中で諦めました。

 

「はぇ……」

 

 とうとう、そんな声が出ました。我ながら、とても知性の感じられない返事でした。

 隣ではサフェル様が口元を押さえています。笑いを堪えているのか、同じように処理が追いついていないのか、わたしには分かりません。ただ、その尻尾の先だけが忙しなく揺れていました。

 ファイノン様は、そんなわたしたちの反応を見てもやっぱり何がおかしいのか分からないらしく、少しだけ首を傾げます。




 本作における完全捏造ポイントです。公式ゲーム的にはケファレの腕が四本な理由は、分かりませんし、どうやって黎明のミハニを作ったのかも謎です。
 アグライアたちを当代とし、カリュプソーたちを先代とします。先代時空のオンパロスにおけるケイオス(のちのファイノン)は、黎明のミハニを作ります。
 本作においては、石像ガ〇ダムのような何かに乗り込んだケイオス氏がミハニ作ったんですけど、自前の崩壊エネルギーへの非浸食体質はそのまま世界に移し替えられませんが、それを用いて作った黎明のミハニによる効果で自浄作用と類似する何かを確認し、「照らされてるところから対抗するための抗体作れないかな」と期待して自分の魂燃やしすぎてしまったんです。
 石で作ったので術者の補助が薄れてしまえば崩れてしまう――そんな石像ガ〇ダムをジョーリアが背中から支えてくれたって設定で進めてます。
 だって、あの神像めちゃくちゃデッカァイ! ので。それに、旅立ち姫子が召喚するペガーナの遺産がわりとガ〇ダムだったし、アリかなって。
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