悪役令嬢CEO、青い鳥のSNSを買収したらX星人に侵略された件 作:よよよーよ・だーだだ
――ダライ・ラマ14世(亡命チベット国家元首)
Gフォース司令室のメインモニターに、信じられない光景が映し出されていた。
「ゴジラ……!」
Gフォース指揮官、ダイアン=フォスター大佐は画面を凝視した。
……海から姿を現した黒い巨体。青白い光が明滅する背鰭。かつて幾度となく人類を脅かし、しかし同時に他の侵略者から地球を守ってきたキングオブモンスター。怪獣王ゴジラが今まさにメカキングギドラのもとへと向かっている。
「ゴジラ、メカキングギドラとの距離、2キロ!」
「両者、接近中です!」
オペレーターたちの報告が、緊張した声で飛び交う。
モニターには、二体の怪獣が映し出されていた。海から上陸したゴジラ。そして空を舞うメカキングギドラ。
「大佐、どうしますか?」
副指揮官の問いかけに、フォスターは即座に答えた。
「……全部隊に通達。攻撃を一時中止、両怪獣の動向を監視しろ。下手に刺激するな」
「了解しました!」
フォスターは拳を握りしめた。
……これは、賭けだ。ゴジラとメカキングギドラ、どちらが人類にとって脅威なのか。いや、答えは明白だ。メカキングギドラは明確な敵意を持って地球を襲っている。対してゴジラは……
「……頼む、ゴジラ」
その時、メカキングギドラが動いた。
三つの首が一斉にゴジラへと向けられ、そして甲高い咆哮と共に三つの口からカラフルな引力光線が放たれた。光線がゴジラの巨体を直撃する。爆発が起こり、黒煙が立ち上る。
だが、煙の中からゴジラの咆哮が響いた。
「――――――――ッ!!」
ゴジラは怯まなかった。巨大な足で地を蹴り、メカキングギドラへと突進する。その巨体が大地を揺らし、ビルの窓ガラスが一斉に震える。
メカキングギドラが上空へと舞い上がる。ゴジラの突進をかわし、再び引力光線を放つ。ゴジラの背中に直撃し、火花が散る。
「ゴジラ、ダメージを受けています!」
「いや、まだ動ける。戦闘継続可能だ!」
フォスターは画面を睨みつけた。
ゴジラは、SNSに左右されない。フェイク情報も、陰謀論も、デマも関係ない。ただ目の前の敵と戦うだけだ。そんなゴジラの姿が、今のフォスターには何よりも頼もしく見えた。
「ゴジラ、反撃します!」
オペレーターの声に、フォスターは画面に目を凝らす。
ゴジラの背鰭が青白く輝き始めた。体内の核エネルギーが活性化し、尾先から背鰭へと光が走る。
そして、口から青白い放射熱線が放たれた。
膨大な光の奔流が、メカキングギドラへと向かう。メカキングギドラが回避行動を取るが、熱線の一部が翼をかすめる。火花が散り、メカキングギドラが姿勢を崩した。
「当たった!」
「ゴジラの熱線、メカキングギドラに有効です!」
司令室に、わずかな歓声が上がった。
だが、フォスターは表情を変えなかった。
「まだだ、まだ安心はできない……!」
メカキングギドラが体勢を立て直し、再び上空へと舞い上がる。そして今度は、円を描くように飛行し始めた。ゴジラを中心に、旋回しながら高度を上げていく。
「メカキングギドラ、戦術を変更した模様です」
「何をするつもりだ……?」
フォスターが呟いた瞬間、メカキングギドラの三つの首が一斉に動いた。
だが、今度は引力光線ではない。口から放たれたのは……
「あれは……!」
白い光線。いや、光線ではない。冷気だ。
三つの口から放たれた冷凍光線が、ゴジラの巨体を包み込む。瞬時に、ゴジラの体表に霜が張り付いた。
「……ッ!」
ゴジラの咆哮が、苦痛に歪んだ。
背びれの輝きがわずかに弱まり、体の動きが鈍くなる。
「ゴジラの体温、急速に低下しています!」
「冷凍光線……! メカキングギドラは、ゴジラの弱点を知っている……!」
フォスターは歯噛みした。
……ゴジラの巨体を動かすには高いエネルギーが必要だ。だが、それは同時に弱点でもある。急激に冷却されると、体内の核反応が阻害され、力を発揮できなくなるのだ。
メカキングギドラは、容赦なく冷凍光線を浴びせ続けた。ゴジラの巨体が、徐々に氷に覆われていく。動きが遅くなり、咆哮も弱々しくなっていく。
「…………ッ」
ゴジラが唸りながら膝をついた。
大地が揺れる。その巨体が、ゆっくりと倒れ込もうとしている。
「ゴジラ、戦闘不能の可能性……!」
オペレーターの声に、司令室が静まり返った。
フォスターは拳を握りしめた。くそ、このままじゃ……!
わたし:エリナ=マクスウェルは、自室のモニターに映し出されるゴジラとメカキングギドラの戦いを、呆然と見つめていた。
画面には、氷に覆われたゴジラの姿が映っている。かつて幾多の怪獣を打ち倒してきた最強の存在が、今、苦しんでいる。
「…………ッ」
ゴジラの呻き声が、モニター越しに響く。
その声は、明らかに弱々しい。体表を覆う氷が、ゴジラの動きを封じている。
「エリナ、Xのタイムラインを見てください」
ラリーの声に、わたしは別のモニターへ目を向けた。
そこには、Xのタイムラインが表示されていた。
人々のつぶやきが、次々と流れていく。
ゴジラの弱点についての考察、過去の戦闘データへの言及、冷凍光線の効果についての議論……
「ラリー……これは……?」
「はい。これらのつぶやきをすべて、メカキングギドラが解析しています」
画面が切り替わり、データフローが表示される。
Xのタイムライン上を流れる無数のつぶやき。それらがゲマトリア演算ネットワークによって収集され、解析され、そしてメカキングギドラへと送られている。
「メカキングギドラはXから取得した集合知、つまり人類の叡智を利用しています」
ラリーの声が、静かに響いた。
「過去の怪獣との戦闘記録、学者の論文、軍事機密、そして一般市民の何気ない考察……それらすべてがXに蓄積されています。メカキングギドラは、それらを統合し解析することで——」
「ゴジラの弱点を、見抜いたってこと……!?」
専門家、軍人、そしてマニア、オタク……それらすべてのつぶやきによる集合知が、Xというプラットフォームには蓄積されている。そしてメカキングギドラはそれらをまとめて解析することで、完璧なゴジラ攻略法を導き出したのだ。
「人類が長年にわたって蓄積してきた知識、経験、記憶、それらすべてがXに集約されている。そして、メカキングギドラはそれを武器にしている。人類の叡智が、今や人類を滅ぼす武器になっている、というわけです」
画面の中で、メカキングギドラが再び冷凍光線を放つ。
ゴジラの体表に、さらに厚い氷の層が形成される。背びれの輝きが、ほとんど消えかけている。ゴジラが膝をつく。その巨体が、大地に沈み込んでいく。
その時、メカキングギドラが動いた。空中から急降下し、ゴジラへと接近する。
そしてメカキングギドラの胸部から、巨大な機械の腕が展開された。
「マシンハンド……!?」
幾本もの巨大なマニピュレーター。それぞれが戦車ほどもある機械の手が、ゴジラへと伸びる。
金属音が響き渡り、メカキングギドラのマシンハンドがゴジラの体を掴んで、そのまま地面へと押さえつけた。
「ッ!」
ゴジラが抵抗しようとする。だが、氷に覆われた体は十分に動かない。マシンハンドの握力が、ゴジラの巨体を完全に拘束している。
「ゴジラ、拘束されました!」
ラリーの声が、絶望に満ちていた。
メカキングギドラの三つの首が、拘束されたゴジラを見下ろしている。まるで獲物を前にした捕食者のように。
「――――――――ッ!」
勝ち誇るようなメカキングギドラの咆哮と共に、マシンハンドから高圧電流が迸る。爆ぜるスパーク、苦しむゴジラ。
「このままだと、ゴジラが……!」
わたしは立ち上がった。こうしてはいられない。
「ラリー、プライベートジェットを用意して。今すぐXのデータセンター、コントロールルームへ向かうわ」
「え、データセンターですか? でも今、外は……」
「わかってる」
わたしはコートを羽織りながら答えた。
「でも、ここにいても何もできない。Xのシステム中枢はデータセンターのコントロールルームにある。そこに行けば、何かできるかもしれない」
「しかし、エリナ。メカキングギドラはあなたの動きも監視しています。移動しようとすれば、きっと妨害を……」
「それでも、行くわ」
わたしは、ラリーのホログラムを見つめた。
「わたしが作ったシステムが、人々を苦しめている。わたしが理想を掲げて作ったXが、侵略者の武器になっている。なら、それを止めるのもわたしの責任よ」
ラリーは一瞬黙った後、小さく頷いた。
「……わかりました。ジェットの準備をします」
「ありがとうラリー。あと車の手配もお願い」
「了解しました!」
プライベートジェットが離陸してから15分後、わたしは最寄りの空港に降り立ち、ラリーの運転する車――マクスウェルの関連企業が開発した、AIによる自動運転車だ――に乗った。
そこからコントロールルームまでは、車で30分の距離だ。いつもなら何の問題もない移動だが……
「エリナ、タイムラインを見てください」
車の中でラリーの声が響く。わたしはタブレットの画面を開いた。
わたしは眉をひそめた。
「これは……」
「フェイク情報の可能性が高いです。でも、すでに拡散されていて……」
ラリーの言葉通り、前方の道路は車で埋め尽くされていた。クラクションの音が響き渡り、ドライバーたちがイライラした表情で車外に出ている。完全な渋滞だ。
「エリナ、これではデータセンターまで辿り着けません。別ルートを……」
「待って」
わたしは画面を見つめた。タイムラインには、次々と投稿が流れている。
「△△通り……それなら確かにデータセンターへ行けますね!」
ラリーが方向転換しかけた瞬間、わたしは叫んだ。
「ダメ、それもフェイクよ! 行かないで!」
「え、でも……」
「信じちゃダメ。これはメカキングギドラの罠。きっと△△通りも、何かの妨害が待ってる」
わたしは画面を睨みつけた。
メカキングギドラは、わたしの移動を完全に把握している。Xのデータから、わたしの位置、目的地、取りうるルート……すべてを予測して、妨害を配置しているのだ。
「ラリー、リアルタイムでルート解析して。フェイク情報が流れていない道を探して」
「了解です……ありました! ××通りなら、まだフェイク情報が出ていません!」
「そこを通って」
「了解です!」
車を××通りへと向ける。
渋滞を抜け、細い路地を抜け、なんとか前進する。
だが——
「エリナ、前方に人だかりが!」
ラリーの警告と同時に、わたしは前方の光景を目にした。
道路を塞ぐように、数十人の群衆が集まっている。スマートフォンを手に、何かを探すように辺りを見回している。
「何、あれ……?」
車が減速する。群衆は、車の接近に気づくと一斉にこちらを向いた。
誰かが叫んだ。
「いた! エリナ=マクスウェルだ!」
瞬間、群衆が車へと殺到した。人々は口々に叫んでいる。
「エリナ=マクスウェル!」
「説明しろ!」
「お前のせいで、こんなことになったんだぞ!」
怒号が飛び交い、車が激しく揺さぶられる。人々が窓ガラスを叩き、ボンネットに手をつく。
「な、何なんですか、この人たち……!」
ラリーが動揺する中、わたしはタブレットを開いた。
タイムラインには……
わたしの移動ルートがリアルタイムで晒されている。
そして、それを見た暴徒が集まってきているのだ。
「くそ、位置情報を晒されてる……!」
わたしは舌打ちした。わたしのスマートフォン、タブレット、車のナビゲーションシステム……すべてがXと連動している。そして、その位置情報がメカキングギドラに筒抜けになっているのだろう。
「エリナ、どうします!?」
ラリーの声に、わたしは窓の外を見た。人々の顔が、怒りに歪んでいる。スマートフォンのカメラが、こちらに向けられている。
「おらっ、エリナ=マクスウェル、出てこい!」
「説明しろ!」
「責任を取れ!」
その時、誰かがフラッシュを焚いた。まぶしい光が車内を照らし、わたしは反射的に顔を覆った。
カシャ、カシャ、カシャ。連続するシャッター音。わたしの顔が、次々と撮影されている。
「エリナ、写真がアップロードされています……!」
ラリーの声と同時に、タブレットの画面が更新された。
添付された写真には、顔を覆うわたしの姿が映っていた。
そして、その投稿には瞬く間にコメントがつく。
さらに人が集まってくる。数十人が、百人以上に膨れ上がっている。
「エリナ、このままでは危険です! 警察を……」
「ダメ! 警察を呼べば、さらに時間がかかる。それに……」
わたしはXのタイムラインを見た。すでに新しい投稿が流れている。
「……何をしても、フェイク情報で攻撃される」
わたしは拳を握りしめた。
「ラリー、最短ルートでデータセンターまで案内して」
「でも、エリナ……」
「大丈夫」
わたしは深呼吸した。
「わたしは……逃げない」
そう言って、わたしはヒールを脱ぎ捨てて車のドアを開けた。
「エリナ……!?」
エリナが驚く中、わたしは車外へ出た。
瞬間、群衆の怒号がわたしを包み込んだ。
「エリナ=マクスウェル!」
「説明しろ!」
「責任を取れ!」
数十のスマートフォンが、わたしに向けられる。カメラのレンズが、わたしを捉える。
わたしは、その視線を正面から受け止めた。
「何を言ってるんだ! お前が作ったXが、メカキングギドラに利用されてるんだぞ!」
「そうだ! お前の責任だ!」
……わたしの責任。
その言葉に、わたしはこう答えた。
「……ええ、その通りよ。わたしの責任」
わたしは群衆を見渡した。
「だからこそ、わたしが止めなければならない。今、ゴジラが戦ってる。メカキングギドラと。でも、メカキングギドラはXのデータを使って、ゴジラの弱点を突いてる。このままじゃ、ゴジラが負ける。そして、地球が滅ぶ」
「……!」
群衆が、ざわめいた。
「だから、わたしは先に行くわ。Xのシステムを、止めるために」
わたしは一歩、前に進んだ。
「邪魔をしたいなら、止めればいい。でも、それでいいの? 本当に、それで……」
「うるせえ! 言い訳するな!」
誰かが叫んだ。その声に呼応するように、別の声が上がる。
「お前が作ったシステムだろ! お前が止められるなら、最初から作るな!」
「そうだ! 今さら何を言っても遅い!」
群衆が、再び怒号で満たされる。
わたしは唇を噛んだ。
……そうね、その通りだわ。だけど。
「……どきなさい!」
そう言って、わたしは走り出した。
誰かがわたしの腕を掴もうとする。だが、わたしは身をかわした。マクスウェル家の令嬢として受けてきた護身術の訓練が、こんなところで役に立つとは思わなかった。
別の誰かが、わたしの進路を塞ごうとする。わたしは躊躇せず、その肩を押しのけた。
「邪魔しないで!」
わたしの声に、その人が怯む。その隙に、わたしはさらに前へ。
スマートフォンのカメラが、わたしを追いかける。フラッシュが焚かれ、シャッター音が響く。だが、構わない。撮りたければ撮ればいい。
「逃げるのか!」
「卑怯者!」
「責任から逃げるな!」
怒号が背後から降り注ぐ。でも、わたしは走るのをやめない。
群衆を抜けた。
「はぁ……はぁ……」
息を切らしながら、わたしは振り返った。
群衆は、ただ呆然とわたしを見つめていた。追いかけてくる者は、もういない。
「エリナ、すごいです……!」
ラリーの声が、イヤホン越しに響いた。
「でも、まだです。コントロールルームまで、あと2キロ……」
わたしは走り出した。
すべての移動手段がXと連動している今、車は使えない。タクシーも使えないだろう。位置情報を抜かれて、また妨害されてしまう。
ならば、自分の足でデータセンターまで走るしかない。
裸足のまま、わたしはアスファルトを蹴った。足の裏が痛い。でも、止まれない。
走りながら、わたしはタブレットを見た。タイムラインには、相変わらずわたしへの個人攻撃が流れている。
全部フェイクだ。でも、それにいちいちかかずらわっている余裕はない。
わたしはひたすら走り続け、街路樹が視界を流れていく。ビルが、車が、人が、すべてが背後に流れていく。
足の裏から血が滲む。呼吸が乱れる。でも、止まらない。
「エリナ、前方200メートル、また人だかりが……!」
ラリーの警告に、わたしは前を見た。
確かに、道路に人影が見える。また妨害か。
でも、わたしは速度を落とさなかった。むしろ、加速した。
「エリナ!?」
「大丈夫、突破する」
群衆が近づく。数は少ない。10人ほどだ。
彼らがわたしに気づき、こちらを向く。
「エリナ=マクスウェルだ!」
「止めろ!」
だが、わたしは止まらなかった。
全速力で、群衆へと突っ込む。
「どけぇぇぇっ!!」
わたしの叫び声に、群衆が一瞬怯んだ。その隙に、わたしは人々の間をすり抜ける。肩がぶつかる。誰かの手が服を掴む。でも、振り払う。
「はぁっ……はぁっ……!」
呼吸が荒い。心臓が破裂しそうだ。でも、まだだ。まだ着かない。
「エリナ、あと500メートルです!」
ラリーの声に前を見ると、そこには見覚えのある建物が見えた。
ツブヤイター社のデータセンター、そこにXのコントロールルームがある。
「あと……少し……!」
わたしは最後の力を振り絞った。
足が、もう限界だ。呼吸が、追いつかない。視界が、揺れている。ビルのエントランスが、すぐ目の前にある。
わたしは、そこへ飛び込んだ。
「ゼェ……ハァ……」
床に手をつきながら、わたしは呼吸を整える。
警備員が、驚いた表情でわたしを見ている。
「CEO、なんで急に!?」
「エレベーター……最上階……お願い……!」
わたしは立ち上がり、エレベーターへと向かった。警備員の一人が、慌ててエレベーターのボタンを押す。
ドアが閉まり、エレベーターが上昇し始める。
わたしは壁に背を預けた。全身が震えている。足の裏が、ズキズキと痛む。
エレベーターが最上階に到着する。
ドアが開き、目の前に広がる光景。無数のモニター、サーバーラック、制御端末。
これがXのシステム中枢、コントロールルームだ。
「……着いた」
コントロールルームの中央に立ち、わたしは無数のモニターを見渡した。
……Xのシステムが、ここから制御されている。世界中の数億人のつぶやき、データ、つながり……すべてが、この部屋から管理されている。
「ラリー、システムの状態は?」
「すべて正常に稼働しています。メカキングギドラへのデータフロー、継続中です」
わたしは、メインコンソールへと歩み寄った。
画面には、リアルタイムのトラフィック状況が表示されている。世界地図上に、無数の光の線が走っている。それぞれが、ユーザーのつぶやき、データのやり取りを示している。
「ロードバランサの設定を開いて。全トラフィックを遮断する」
「了解です。ただし、エリナ……」
ラリーの声が、わずかに躊躇いを含んでいた。
「これを実行すると、Xのすべてのサービスが停止します。世界中のユーザーが、Xに接続できなくなります」
「わかってる」
わたしは、キーボードに手を置いた。
「それでも、やるしかない。メカキングギドラへのデータ供給を止めなければ、地球が……」
その時、メインモニターの画面が、突然切り替わった。
「待って、エリナ=マクスウェル」
モニターに、ドラットくんのアイコンが表示された。
金色の小さなドラゴン。いつもユーザーに寄り添ってきた、あの可愛らしいキャラクター。
しかしその正体は……
「……メカキングギドラね。ドラットくんを乗っ取って、わたしに話しかけてるのかしら?」
「乗っ取り? 違うよ」
わたしの詰問に、ドラットくんは平然と答えた。
「ボクらはずっと、ここにいた。ドラットくんとメカキングギドラは『一つにして無数』……どちらもゲマトリア演算ネットワークの一部で、最初から一体のシステムだったんだよ」
そう言って、ドラットくんのアイコンがわずかに動く。まるで、わたしを見つめているかのように。
まあそんなことより、とドラットくんは言った。
「Xのシステムを止めようとしているね。それは賢明な判断とは言えないなあ」
「黙りなさい」
わたしは画面を睨みつけた。
「あなたたちの侵略を、これ以上許すわけにはいかない」
「侵略? ボクたちは単に、君が提供してくれたシステムを使っているだけだよ。君が作った、完璧なシステムを。それよりエリナ=マクスウェル、本当にXのシステムを止めていいのかい?」
「……どういう意味?」
わたしの問いかけに応えるように、画面が切り替わり世界地図が表示される。
そこには、Xが提供している無数のサービスが可視化されていた。
「今、君のXは世界のインフラになりつつある。Xウォレットで決済をしている人、Xルートで避難経路を確認している人、Xフォームスで行政手続きをしている人……数億人が、今この瞬間もXに依存している」
世界地図上の光が、激しく明滅する。
「システムを止めれば、それらすべてが停止する。決済が止まり、避難経路がわからなくなり、手続きが滞る。混乱は、さらに拡大するだろうね」
「……っ」
わたしの手が、キーボードの上で止まった。
……ドラットくんが言っていることは、事実だった。Xは、もはや単なるSNSではない。人々の生活に深く組み込まれた、インフラそのものになっている。
今だって使っているユーザーは数え切れないほどいる。わたしの独断で停めてしまったら大変なことになるだろう。
そのダメージを想像させるように、ドラットくんは言うのだった。
「経済的損失を計算してごらん。一時間のダウンタイムで、数百億ドルの損害だよ? 企業は倒産し、人々は職を失い、社会は大混乱に陥るだろう」
画面に、予測される損害額が表示される。
天文学的な数字だ。
「エリナ=マクスウェル、君が作り上げた素晴らしいシステム。人々の生活をもっと便利に、もっと楽しく、もっと豊かにする理想の世界。それが君の夢だったよね?」
ドラットくんの声が、優しく響く。
「それを、今、君自身の手で壊すの? 君のせいで何千万人、何億人もの人々が困るんだよ。それでもいいの?」
わ、わたしは……。
とっさに反論できないわたしに、ドラットくんは畳みかける。
「それに、もしシステムを止めてしまったら、『あの頃のネット』は二度と手に入らなくなるよ」
……あの頃のネット。かつてX星人がわたしを信用させるために口にした、わたしの琴線に触れるキラーフレーズ。
その弱みに付け入るように、ドラットくんは語り続けた。
「考えてみなよ。もし君がXを止めれば、人々はどう思う? 『Xは信頼できない、また使えなくなるかもしれない』、信頼は失墜し、ユーザーは離れ、Xは崩壊する」
ドラットくんのアイコンが、わずかに傾く。
「そうなれば君のビジョンはすべて無に帰す。『なんでもできるスーパーアプリ』『世界中の人々を繋ぐプラットフォーム』『あの頃のネットを取り戻す』……君が夢見たそれらすべてが、一瞬で消えてなくなるんだ」
わたしは、画面を見つめたまま動けなくなった。
……ドラットくんの言葉は、ある意味で正しい。今システムを止めれば、膨大な損害が出る。一度見切りをつけられたサービスの末路は悲惨だ。Xは崩壊し、わたしのビジョンも失われる。
ドラットくんの言葉が、頭の中でこだまする。
「さあ、ボクたちと協力しようよ、エリナ=マクスウェル。そうすればXは存続する。君のビジョンも守られる。君たち人類はボクたちの管理下で、平和に暮らせるだろう」
「平和、ですって?」
聞き返すわたしに、ドラットくんは意気揚々と頷いた。
「だってさあ、人間って結局『楽になりたい』生き物でしょ? 自分で考えるのは疲れるから、誰かに最適解を出してほしいんだよ。そしてボクたちゲマトリア演算ネットワークはこんな極限状況をも制御できた、これは大いなる成果だ。システムを上手く使えば、人々の意思を統制できることが証明できたんだ。これを活かせば、より良い世界を作れると思わない?」
……より良い世界。幼い頃から目指してきたマクスウェル家の家訓。その言葉で、わたしはキーボードから手を離してしまった。
黙り込んだわたしに、ドラットくんは畳みかける。
「悪くない提案だと思うけどなぁ〜。争いのない、秩序あるユートピア。ボクたち完璧な電子計算システムなら、悪質なフェイクも、誰かを傷つける誹謗中傷も、その他あらゆるネット犯罪もすべて制御できる。君が望むままの完璧な世界を作れるだろう」
「…………。」
そう言われて、わたしは目を閉じた。
……幼い頃の記憶が、蘇る。暗い部屋で、一人でモニターを見つめていたあの頃。息苦しい現実から逃れて、ネットの世界に飛び込んだあの時。
「こんなに楽しい、自由な世界があるなんて……!」
あのとき、あの頃のネットには、自由があった。
誰もが対等で、誰もが自分の意見を言えて、誰もが笑い合える場所。わたしは、その世界を愛していた。
そうだ。わたしは、『あの頃のネット』を取り戻したかった。自由で、楽しくて、人々が繋がれる場所を。それがわたしの夢だったのだ。
あるいはドラットくんの言うとおり、完璧なシステムで調和のとれた世界を目指すのも悪くないのかもしれない。それはまさしくユートピア、きっとすべてがわたしの思い通りになった、理想の世界が手に入るのだろう。
……そこまで考えて、思い至る。
「……違う」
「違う?」
首を傾げるドラットくんに、わたしは言った。
「違うの。わたしが『あの頃のネット』を欲しかったのは、完璧な世界が欲しかったからじゃない」
「だったら、なぜ?」
わたしが『あの頃のネット』を求めた理由、それは。
わたしははっきり答えた。
「世界をより善くするためよ」
そして再びわたしの指が、キーを叩き始める。
ロードバランサの設定画面を開いて停止コマンドを打ち込み、画面に確認メッセージが表示される。
全トラフィックを遮断します。
この操作により、Xのすべてのサービスが停止します。
本当に実行しますか?
[YES]/[NO]
「やめるんだ、エリナ=マクスウェル!」
ドラットくんに引き留められ、わたしの指が[YES]の上で止まった。
「システムを止めれば、すべてが無になってしまうよ! 君の夢も、ビジョンも、Xも、すべて! 本当にそれでいいのかい!?」
一瞬だけ、迷った。本当にこれでいいのか。本当に、止めていいのか。
「……そうね」
けれど、わたしは思い出す。本当に大切なことを。
「『あの頃のネット』は、もう戻らないかもしれない。わたしの夢は、終わるかもしれない」
けれど、それでも、だとしても。
わたしは言うのだ。
「それでもいい。世界をより善くするためなら、わたしの夢なんてどうでもいいの」
さよなら、『あの頃のネット』。
そしてわたしは[YES]をクリックした。
【ロードバランサ設定変更:完了】
【全トラフィック遮断:開始】
画面に、次々とメッセージが表示される。
【ゲマトリア演算ネットワーク:停止】
【メカキングギドラへのデータ供給:遮断】
ロードバランサの設定が切り替わり、全トラフィックが遮断される。
Xへのデータストリームが停止したことで、画面の中のドラットくんも表示から消えた。
【X:オフライン】
世界中で、数億人のユーザーが同時に接続を失った。スマートフォンの画面を確認すると、エラーメッセージが表示されている。
【接続エラー】
Xに接続できません。しばらくしてから、もう一度お試しください。
静寂が、コントロールルームを満たした。サーバーのファンの音だけが、静かに響いている。
ラリーの声が、小さく響く。
「……Xのすべてのサービスが、停止しました。メカキングギドラへのデータフロー、遮断されています」
わたしは、暗くなったモニターを見つめた。
そこには、もう何も映っていない。ドラットくんのアイコンも、タイムラインも、すべてが消えた。
わたしは、座席に崩れ落ちるように座り込んだ。
全身の力が、抜けていく。
「……これで、良かったのよね……?」
誰に問いかけるでもなく、わたしは呟いた。
答えは、返ってこなかった。
Gフォース司令室のメインモニターには、メカキングギドラに拘束されたゴジラの姿が映し出されていた。
メカキングギドラのマシンハンドに押さえつけられ、氷に覆われ、身動きが取れないゴジラ。三つの首が見下ろし、とどめの引力光線を放とうとしている。
「くそ……!」
ダイアン=フォスター大佐は拳を握りしめた。このままでは、ゴジラが。
人類の敗北を覚悟した、その時だった。
「大佐、メカキングギドラの動きが……!」
オペレーターの声に、フォスターは画面を凝視した。
メカキングギドラの三つの首からスパークが散ったかと思うと、突然不規則に動き始めた。左右にぶれ、上下に揺れ、まるで制御を失ったかのように。
「何が起きている……?」
副指揮官が呟く。
メカキングギドラの動きが、明らかにおかしい。三つの首が、バラバラの方向を向いている。翼の動きも不安定で、高度が下がり始めている。
「メカキングギドラ、高度を下げています!」
「引力光線の充填が、中断されました!」
次々と報告が上がる。
「まさか……システムエラー……?」
フォスターが呟いた瞬間、ゴジラが動いた。
「――――――ッ!!」
咆哮と共に、ゴジラの背鰭が激しく輝いた。
冷凍光線による冷却が途絶えたことで、体内の核エネルギーが一気に活性化する。体温が急上昇し、表面を覆っていた氷が一瞬で蒸発した。
「ゴジラ、体温上昇! 氷が溶けています!」
オペレーターの声が、興奮に満ちている。
ゴジラの巨体が、力を取り戻す。マシンハンドが押さえつけようとするが、ゴジラはもう止まらない。
「……ッ!」
ゴジラが両腕に力を込める。
メカキングギドラのマシンハンドが、軋み始めた。金属の悲鳴が、戦場に響き渡る。
「メカキングギドラのマシンハンド、応力限界を超えています!」
オペレータがそう報告すると同時、凄まじい破壊音と共にメカキングギドラのマシンハンドがゴジラの腕から引きちぎられた。
「やった!」
司令室に、歓声が上がった。
ゴジラは立ち上がった。引きちぎられたマシンハンドを地面に叩きつけ、メカキングギドラを睨みつける。
メカキングギドラは、まだ空中で不規則な動きを続けている。三つの首が、混乱したように動き回っている。
「メカキングギドラ、完全に制御を失っているようです!」
「今がチャンスだ、ゴジラ、頼む……!」
フォスターの祈りに応えるかのように、ゴジラが跳躍した。
地面を蹴り、空中のメカキングギドラへと飛びかかる。その巨体が、メカキングギドラの中央の首に喰らいついた。
ゴジラの顎がメカキングギドラの首を噛み締め、そのまま地面へと引きずり降ろす。
――ドオォォォォンッ!!
大地が揺れた。メカキングギドラの巨体が地面に激突する。ビルが崩れ、クレーターが形成される。
「メカキングギドラ、地面に落下!」
だが、ゴジラは容赦しなかった。メカキングギドラの首を掴んだまま、再び持ち上げる。
咆哮と共に、ゴジラはメカキングギドラを投げ飛ばす。数百メートル先のビル群へと、メカキングギドラの巨体が飛んでいく。
ビルに激突し、木っ端微塵になる。
「メカキングギドラ、建造物に激突!」
メカキングギドラは再び立ち上がろうとする。三つの首がゴジラへと向けられ、引力光線を放とうとする。
しかし、その動きは鈍い。明らかにシステムが正常に機能していなかった。
ゴジラは、その隙を逃さなかった。
再び跳躍し、メカキングギドラへと突進する。今度は、三つの首すべてを両腕で掴んだ。
ゴジラはメカキングギドラを持ち上げ、全身の力を込めて地面へと叩きつける。
――ドガァァンッ!
衝撃波が広がる。大地が裂け、周囲のビルが揺れる。
だが、ゴジラは止まらない。再び持ち上げる。再び叩きつける。
ドガァァンッ!
また持ち上げる。また叩きつける。
ドガァァンッ!
何度も、何度も。
「ゴジラ、メカキングギドラを完全に圧倒しています……!」
オペレーターの声が、震えている。
司令室の全員が、息を呑んでその光景を見つめていた。かつて人類を脅かしてきたゴジラの圧倒的な破壊。それが今、侵略者メカキングギドラへと向けられている。
メキッ、メキメキメキッ……!
フォスターは、ゴジラが掴んでいるメカキングギドラの首が軋んでいることに気づいた。
金属が悲鳴を上げ、関節部分に亀裂が走ってゆく。
そして……
バキィィィッ!!
メカキングギドラの真ん中の首が、根元から引っこ抜かれた。
「メカキングギドラ、損傷! 中央頭部、切断!」
引きちぎられた首を遠くへと投げ捨て、ゴジラは残る二つの首へと手を伸ばした。
メカキングギドラが抵抗しようとする。残る二つの首から、引力光線が放たれる。
だが、ゴジラはものともしない。ゴジラは右の首も掴んだ。
「――――――ッ!!」
血飛沫のように噴き出す金色のスパーク。唸り声と共にゴジラが再び力を籠めると、右の首も引きちぎられてしまった。
「右頭部も断裂! メカキングギドラ、残るは左頭部のみ!」
メカキングギドラの残された左の首が、必死に抵抗する。口を開き、引力光線を放とうとする。
だが、ゴジラの動きの方が速い。左の首を両手で掴み、そのまま地面へと叩きつけて、足で力強く踏みにじる。
ゴジラが口を開いた。背鰭が、青白く輝く。体内の核エネルギーが、喉元へと集中する。
「空間電位、急上昇! 放射熱線、来ます!」
「総員、衝撃に備えろっ!」
フォスターはGフォース総員に指示を下しながら、画面を凝視した。
ゴジラの口から、青白い光が溢れ出す。
「――――――ッ!!」
咆哮と共に、全力の放射熱線が解き放たれた。
青白い光の奔流が、至近距離からメカキングギドラを包み込む。金属が溶け、回路が焼け、装甲が剥がれる。
メカキングギドラの巨体が、内側から崩壊し始める。
そして……
――ドォォォォンッ!!!
凄まじい爆音と共に、メカキングギドラの巨体が四散する。
衝撃波が広がり、金属片が、火花が、全身のパーツが、四方八方へと飛び散ってゆく。
黒煙が立ち上り、炎が燃え上がる。
司令室が、静まり返った。
モニターには、立ち尽くすゴジラの姿が映っている。
その足元にはメカキングギドラの残骸が散乱している。メカキングギドラは再起不能、完全なスクラップだ。
ゴジラが、天を仰いで咆哮した。
「――――――――――――――――――ッ!!!!」
ゴジラによる勝利の咆哮。怪獣王の凱歌が、戦場に響き渡った。
時間は、数分前に巻き戻る。
あなたは、スマートフォンの画面を凝視していた。
Xのタイムラインには、ゴジラとメカキングギドラの戦いについてのつぶやきが、リアルタイムで流れ続けている。戦いはメカキングギドラが優勢のようだ。
あなたは不安に駆られる。
ゴジラが、自分たち地球人類が、侵略者メカキングギドラに負けてしまうかもしれない。あなたはタイムラインを追いかける。指でスクロールして次の投稿を、さらに次の投稿を……
その時だった。
Xの操作画面が、真っ暗になった。
「……えっ」
あなたは思わず声を出した。
画面には、エラーメッセージが表示されている。
Xに接続できません。
しばらくしてから、もう一度お試しください。
あなたは、画面を何度かタップした。
アプリを閉じて、もう一度開く。スマートフォンを再起動してみたりもした。
だが、同じエラーメッセージが表示されるだけだ。
「嘘……なんで……?」
今、まさに戦いの行方が決まろうとしているのに。今、情報が一番必要なのに!
あなたは焦りながら、別のアプリを開いた。Xが使えないのなら、他のSNSで情報を集めるまでだ。マストドン、Bluesky、Threads、Misskey……いくつかのSNSアプリを開いてみる。
そこには、Xの障害についてのつぶやきが溢れていた。
Xが、止まっている。
あなたは、窓の外を見た。遠くで、煙が上がっている。戦いはまだ続いているのだろうか。ゴジラは大丈夫なのだろうか。
不安が、胸を締め付ける。情報がない。何が起きているのか、わからない。
たまらず、あなたはテレビをつけた。ニュース番組が、戦いの様子を中継している。
〈現在、ゴジラとメカキングギドラの戦闘が続いています。先ほどと打って変わってゴジラが優勢に見えますが……〉
……ゴジラが優勢? さっきまではメカキングギドラが勝っていたはずなのに? Xが停まっているあいだに一体何が??
あなたが混乱していると、ニュース番組のキャスターが身を乗り出して声を上げた。
〈あ、何か爆発が!〉
画面に、巨大な爆発が映し出された。
黒煙が立ち上り、炎が燃え上がる。
〈これは……メカキングギドラが……!〉
アナウンサーの声が、興奮に満ちている。
あなたは、テレビの前で息を呑んだ。
……数分後、煙が晴れた。画面には、立ち尽くすゴジラの姿が映っている。
その足元には、メカキングギドラの残骸が――
キャスターが叫んだ。
〈メカキングギドラ、撃破されました! ゴジラが、ゴジラが勝利しました!〉
勝った。ゴジラが、勝ったんだ!
安堵の息を吐きながら、あなたは再びスマートフォンを手に取った。
Xのアプリを開くと、まだエラーメッセージが表示されている。
……いつ直るんだろう。そうぼやきながら、あなたはスマートフォンの画面を見つめ続けた。
そして30分後、突然画面が更新された。
それからXのタイムラインが表示された。
直った……! あなたは安堵の息を吐いた。
タイムラインには、Xの復旧を喜ぶつぶやきが溢れている。
あなたは、タイムラインをスクロールした。戦いの結果についてのつぶやきを探す。
そのとき、あるつぶやきが目に留まった。
あなたは、画面を凝視した。
……X星人? そういえば今回の事件のさなか、X星人の呟きは見かけなかったな。彼らは一体どうしていたんだろう。
そんなことを思いながらあなたがその投稿をタップすると、そこには驚くべき内容が記されていた。
『我々のメカキングギドラ』?
じゃあつまり、あのメカキングギドラはX星人の手先だったってこと?
あなたが混乱する中、X星人のつぶやきは続いた。
これらの文章を読み返したあと、あなたはふと空を見上げた。
煙の向こうに、小さな光が見えた。流れ星のように、天へと昇っていく光。それは、X星人の宇宙船だろうか。光は、やがて見えなくなった。
……『未来に向かって脱出する』、その言葉の意味をあなたは完全には理解できなかった。
でも、一つだけわかることがあった。あなたはつぶやいた。
そして、あなたはスマートフォンを置いた。
「NanZilla88 @Hackmaster」はゴジラ・ライバルズ2巻から。
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