バーにも色ついてるしお気に入りもこんなに貰えちゃったら書くしかないやんけ!
まぁ上記はどうでもいいとして(は?)
みなさんはもうデカグラ編見ましたかね?ネタバレになるのと今書くとまともな文章にならないと思うのでしばらくは書かないつもりですがそのうち本作かは分かりませんが関連する話も書くと思います!
書類の捲られる音とキーボードとマウスのクリック音だけか支配するシャーレの部室。
各学園から送られてくる定期報告と連邦生徒会関係の難しい事が書かれた書類などを流し読みし先生の対応が必要な物だけを選別、そして先生の机に分類分けしたサンクトゥムタワーを生成していくだけのお仕事。
今日の当番である早瀬ユウカも先程から時折ため息をついていたりチラチラこちらに視線を送って来ているあたり暇…と言うよりは気まずいのだろう。
そりゃまぁ当番で何回か一緒になったり先生がキヴォトスに来た時にもチラッと会った記憶はあるがその程度、この微妙な距離のタイミングが一番気まずいのよねぇ…は?コミュ障じゃないから。
それに一応ボク指名手配犯なんだぜ?ミレニアムでも仕事で何回か行ってるしセミナーに所属の早瀬さんが知らないはずもない、そんなやつと2人きりとか嫌すぎるでしょ。
そもそも当番だって名前だけで本当は先生とイチャイチャしたいだけだろ!ボクのいないところでコソコソ話してたり早く仕事終わらせて先生と2人きりになろうとしてるの知ってるんだからな!
先生も行政官に呼び出された時すぐ戻るから!絶対戻るから!と早瀬さんに何度も言っていたし先生も早瀬さんのことを心配しているのだろう…あれ?ボクって嫌われてる?
「はぁ…」
「っ!どうかしましたか?」
「あぁいや、ミジンコになりたいなって」
「ミジンコ、ですか…?」
何言ってんだコイツ。
いや、ボクか。
まったく…少しナイーブになりすぎたな、もう少しで先生も戻るだろうしここはさっさと仕事を終わらせてお望み通り先生と2人になれる時間を作ってやろうじゃないか。
そして日下部ルイはクールにサボらせてもらうぜ。
「あぁいや、別に大したことじゃないよ…ところでそっちの書類はどう?こっちはある程度片付いたから残っていたら…」
「はい、任されていた分は終わったので今はシャーレの最近の入出金についてのまとめを「グホァ」何してるんですかルイさん!?」
あまりの恥ずかしさに机に伏してしまう。
先輩風吹かして手伝おうか?なんて聞こうと思ったら相手の方が先に終えててしかも自分から別の仕事を見つけてやるとか…
ボクは…ボクはシャーレのお荷物です…ッ!
「辞めたい…」
「え?」
「シャーレ辞めたい」
無意識のうちに口からから漏れ出していた言葉、先生がいるならまだしもここには早瀬さんしかいない。
これくらいなら愚痴程度で聞き流してくれるだろうし早瀬さんもミジンコがなんか言ってる程度に思ってくれるだろう。
「それ、本当なんですか?」
「ほんとほんと、ココ最近キヴォトス滅亡レベルの大きなイベントも無かったし暇なんだよね」
「暇の基準ガバガバすぎません?」
「とにかく、ボクにはこんな書類仕事向いてないんだよぉ…早瀬さんの力でネル連れてきたりできないの?」
「…何するんですか?」
「第三者世界大戦」
「ダメに決まってるじゃないですか!」
珍しく声を荒らげる早瀬さんがハッと口を抑え顔を赤くする、普段真面目に仕事をしてるとこしか見たこと無かったから少し新鮮。
「…今のは忘れてください」
「え?いいんじゃない?ギャップ萌えってやつ?」
「ぅ…」
「ボクは普段の早瀬さんの一面が見れた気がして嬉しいけどね」
「…そういうこと、他の人にも言ってるんですか?」
「え?いや、あんまギャップ萌えを感じることって無いからなぁ」
「そういうことじゃ…ッ!もう!それはいいですから…!」
顔を背け咳払いをひとつ、顔は赤いままジト目をこちらに向けてくる早瀬さん。
怒っているのか不貞腐れているのか…感情は読めないが何かしてしまっただろうか?
この前の先生といいなんだか変な感じがするな…どうせゲマトリアせいだろう、ヨシ。
「シャーレを辞めるにしても…その、ルイさんって先生と付き合ってるんですよね?大丈夫なんですか?」
「Huh?」
「え?」
ボクが先生とお付き合い?
まぁたしかに顔はええわ、スタイルもいいし生徒第一のあの鋼の精神もすげえと思う…でも肝心な中身がアカンわ。
朝は弱いわ何も言わなきゃご飯は平然と抜くわ挙句の果てには目を離せば酒を飲み始めるわ…身近な人ほど恋愛感情から遠のいてく的なやつだね、もはや恋愛と言うよりは保護の対象だよ、うん。
「どう見えてるかは知らないけど断じてそんな事実は無いよ」
「でも常に一緒に動いてますしこの前先生もルイさんことパートナーだからって…」
「まぁ仕事だからね、あの人放っておいたら何するか分からないし…パートナーって言うのも仕事仲間って意味だと思うよ」
「少なくともルイさんはそう思っていると?」
「そうだね、それに先生みたいな倍率の高い人狙ってドロドロに巻き込まれてられるほどボクはタフじゃないよ」
「そう…なんですね………じゃあ私にもまだ…」ボソッ
もしかしたら早瀬さんの他にも勘違いしているやつがいるのかもしれない、正直自分にとっては知ったこっちゃないがそれで恋路の邪魔をするのもなんだかなぁ…
ちなみに先生と生徒が恋愛をするのは犯罪ではありませんし同性でも幸せならオッケーです。
ところで最後何か言っていたような気がするが気のせいだろうか。
「それで…辞めてどうするんですか?」
「うーん、また何でも屋みたいなことでもしようかな、特にやりたいことはないし旅とかも憧れるよねぇ」
「それなら、ミレニアムに来ませんか?」
「ミレニアムに?」
「ミレニアムなら新しいことや自分のやりたいことに挑戦できますし暇しないと思いますよ?」
「うーん、あんまボクそういうアカデミックっていうか頭使う系は無理だからなぁ」
「それならC&Cに推薦しておきますよ!リオ会長もルイさんなら了承してくれるでしょうし!」
「自分で言うのもなんだけどネルと一緒にしておかない方がいいと思うよ?」
「ぐっ…それはそうかもですが…」
「それにボク一応お尋ね者だからなぁ…シャーレ所属って肩書きのお陰で何とかなってるけど傘下から外れたらただの賞金首だし」
「その時はセミナーの全勢力を持ってお守りしますよ」
「かっこいいねぇ…惚れちゃいそうだよ」
「なっ…またそんなこと言って…!」
また顔赤くして視線を背けてしまう、中々いじりがいがあって面白いが単純すぎて悪いやつに騙されないかが少し心配になる。
こうして行く宛ての無くなりそうなボクのことを気遣ってミレニアムに招待してくれるくらいには善性の持ち主、ただの愚痴のつもりだったがその優しさがDNAに染み渡る。
「それにしてもなんでそこまでしてくれるわけ?正直お返しできるようなもの無いよ?被検体とかはやめてね?」
「しませんよそんなこと…それに、お返しはもう充分貰っているじゃないですか」
「ゑ?」
「いつも私が当番で来た時は率先してたくさん書類を持って行ってたり」
(さすがにほぼ毎日してるからさすがにね…いや、今日はノーカンね?ノーカン)
「休憩のタイミングでコーヒーとお菓子を用意してくれたり」
(あれやらないと先生が拗ねるんだよな…というかそれくらいの事わざわざ恩に感じ無くてもいいのに)
「それに、1年前に助けて貰ったのだってまだ恩返しできていないですし…!」
「1年前?」
あれ、ボクと早瀬さんってどこかで会ったことあったっけ?
しかも恩返しって事はそれなりのアクションを起こしているはず…この微妙な距離がいちばん気まずいとか言ってすいませんでした!
それにしても1年前か、あの時は依頼であちこち飛んでたしどこで縁ができていてもおかしくないとはいえ全然記憶にないな…でもさすがに覚えてないや、ごめんちゃい☆はさすがにだよな…
捻りだせ俺の脳みそ!1年前!俺はどこでいつ早瀬さんと…
青っぽい黒髪で白っぽいジャケット…そして機械的な輪っか…ミレニアム…はっ!
「もしかして…忘れてたん、ですか?」
「そんなわけないじゃん…あれでしょ?夜にメガネ無くしたって言って自販機の前であたふたして…」
「誰の話してるんですか?」
「ヒェッ」
目に光がないよ…前にシャーレ辞めるって言った時の先生みたいになってるよ…怖いッピ。
これ以上油を注いで炎上しようものなら先生みたいに何をしでかすか分からない、ここは1度戦略的撤退をして先生が来るまで時間を稼ぐしか…!
「ささささささて、ボクは外回りに…」
「待ってください」
「あの…早瀬さん?」
横から手が伸びてきて、ボクのフードをつまみ上げる。
クソッ、見た目は華奢な女の子のくせにどこからそんな出力のパワー出してるんだよ!太ももか?やっぱその太ももなのか!?
「何か失礼なこと考えてませんか?」
「な、何も考えてないよ…!それよりほんとごめんね?1年前はそれなりにドタバタしてたというかなんというか…とにかく早瀬さんが嫌いとかそういうのじゃないから…!」
「なら、まずその早瀬さんって言うのは止めてください、距離を感じます」
「いやでも親しき仲にも礼儀ありって言うし…やっぱ早瀬さんも…」
「ユウカです」
「いやでも早瀬…」
「ユウカです」
「…ユウカさん」
「まぁ今回は許してあげます」
掴まれていたフードが解放され新鮮な空気を肺に取り込む、割とガチで苦しかったんだけどそんなに上の名前で呼ばれるの嫌だったの?
本人の方を見ても満足そうにしているし本人がそれでいいならいいんだけどね?
「それと…肉まん買ってください」
「肉まん?」
「はい、今日から期間限定のやつです」
エンジェル24で肉まんのポスターを見かけたからおそらくはそれのことだろう、確か【肉まんをこよなく愛する担当者が山海経(多分)で修行し品質にこだわった黒豚のみを独自にあーしてこーしてなんかできた肉まん】ってPOPが吊り下がっていたのは覚えている。
肉まんで許してくれるなら結局大したことでは無かったのでは?
空気の読めるナイスガイのボクは口には出さなかった。
「それと…念の為聞いておきたいんですけど」
「ん?」
「彼女とかっているんですか?」
「残念ながら年齢=恋人いない歴の悲しき劣等種だけど…なんで?」
「えっと…弱みを握っておこうかなって!」
「弱み!?」
「これは…大ニュースだね…」
「あいつ、なんでまだあんなこと覚えてるのさ…はぁ、とりあえず今ここで聞いた事は絶対に外には…」
「ごめん、モモッターに投稿しちゃった…音声付きで…まだ5分も経ってないけど表示回数凄いことになってる…」
「「「………」」」
ーーー1年前ーーー
「逃げてくださいユウカちゃん!」
ノアが必死に叫ぶのを背に受けながら2丁のサブマシンガンを暴走するメカワニへと斉射する。
しかしミレニアムのエンジニア部お手製なだけあって最後のマガジンの弾も撃ち切ったがその装甲には傷一つ付いていない。
C&Cは不在、保安部の先輩も倒れ残されたのは私とノアの2人だけ、道中で足を負傷したノアを庇いながら撤退を続けていたが万策尽きた。
「ノアを置いて行けるわけないでしょ!」
持っていた銃を放り投げノアを抱えて走る、抱えられながらノアも銃撃を続けるがその巨大な足音だけがドンドン近づいてくる。
一人ならギリギリ逃げられるスピードかもしれないがその選択肢は取らなかった…いや、そもそも焦りや恐怖心からそんな選択肢すら用意できていなかった、ノアと一緒に逃げる、それでだけが頭を支配している。
進行方向に影が伸びる、振り返ればその巨体が大きく前足を振り上げこちらを押し潰す直前だった。
咄嗟に地面に倒れ込みノアを庇うようにうずくまる、巨大な駆動音と共に振りかざされるその前足の衝撃に備えることしか出来ない。
「これ動力どうなってんだよ」
いつまでも来ない衝撃に不思議に思い振り返るとメカワニの巨体を片手で受け止めている人影が目に入った。
数千キロはあるその巨体でののしかかり、その足元には大きなくぼみができ亀裂も走っていたが当の本人は支えながら覗き込むようにメカワニの体を観察していた。
システムが作動したのかそのまま後退し再度突進の準備を整えるメカワニ、後方に設置された排気パイプから火を吹き出しアフターバーナーを点火させている。
「逃げてください!」
「え?」
その人が振り返ったと同時に猛スピードでこちらに突っ込んでくるメカワニが目に入る。
後悔する時間すらない、ブースターを点火させ瞬く間に接近してきたメカワニはそのまま避ける暇すら与えずにその人もろとも私たちを轢く…
「危ないな」
ことはなかった。
こちらを轢く寸前、そのまま振り返りメカワニの頭へと強烈な蹴りを放つ。
一切ぶれず迷いのないお手本のような回し蹴り、数千キロあるはずのその巨体はゴロゴロと勢いよく回転し壁に激突して行った。
制御系のパーツが多く詰められた頭部に命中したからかひっくり返っているメカワニは変な駆動音と黒煙を上げているだけでこれ以上動きそうにはない。
やっと…終わった…の?
「うわ、ちょっとやりすぎたな…と、とりあえずヨシ!んで、さっき何か言って…え、なんで泣いてるん!?怪我でもした?」
「え…いや、これは違くて…」
「とりあえずこれでも食べなよ、まだ暖かいから」
差し出されたビニール袋を受け取るとまだ温もりを感じる肉まんが入っていた、ふんわりと蒸された生地の甘い香りが湯気とともに鼻腔をくすぐる。
これを片手に持ちながらあれの相手をしてたの…?
再度壁に叩きつけられたメカワニを見るがどう見てもそんな片手間に空いてできるような相手ではないと思うが深く考えられるほどの余裕もなかった。
「えっ、いや!助けてもらったのに貰えないですよ!」
「いいっていいって、勇気ある行動にボクからご褒美ってことで」
「聞いてたんですか…?でも、私じゃ何もできなかったし…」
「仲間のために自分より強いやつに立ち向かうなんてそうできることじゃないよ?ボクはそういうことができる奴が大好きだからね」
「なっ…だっ!?」
「待ちやがれ!」
遠くでネル先輩が鬼の形相でこちらに向かってくるのが見える、メカワニの被害を聞き会長がC&Cを派遣したのだろうか。
しかし会長は今はどうしても動かせないとも言っていた、どうしてここに?
「もう来たんだ…んじゃまた!」
「ったく、これ以上追っても自治区外に逃げられるな…ってなんだこりゃ?」
「ネル先輩!どうしてここに?」
「ん?あぁ、あの男を追ってたんだよ…あいつから何も聞いてないのか?」
「えっと…何も」
「…はぁ〜、とりあえずここの処理は任せたぞ、そういうのは専門外だからな」
頭を掻きながら呆れたようにため息をつき、去っていくネル先輩。
改めて今回の損害を振り返って見ると普通に頭が痛くなってくる、最悪の場合はエンジニア部に全額請求すれば済む話ではあるが…今はいいか。
一瞬の出来事すぎて現実味を帯びないが去り際に渡された肉まんの温もりだけが存在を証明していた。
部室に戻ったら彼のことについて少し調べてみよう。
…ん?彼?