ダイワスカーレット
「あんた、本当になにやってんのよ!
もう、レースどころじゃないわ!
終わりよ終わり!!」
ウォッカ
「お前、流石に蹴りを入れるのはマズイだろ……。お互い怪我したら、退学させられるぞ?」
ゴールドシップ
「逃げたか……ふん!つまんねぇの…」
飛び蹴りしてきた女が鼻で笑った。
その横で、短髪の女が呆れたように頭をかく。
赤い髪の女は、完全に怒っている。
俺は息を切らしながら、遠くからその光景を見ていた。
(……なんなんだ、あの人たち)
レースのつもりだった。
ただ走りたかっただけだ。
なのに――
飛び蹴りは飛んでくるし、
怒号は飛び交うし、
俺は命からがら逃げる羽目になった。
胸がまだドクドクと脈打っている。
足が震えている。
でも、逃げられたことに少しだけ安堵した。
(関わっちゃいけない……あれは危険すぎる)
覆面の奥で、俺は深く息を吐いた。
新聞部1
「ゼロバンゲートの写真は撮れたか!?」
新聞部2
「遠目ですが……なんとか……」
新聞部1
「遠目か……1面としては弱いな。
“チームスピカ、ヴィラン討伐に失敗”
これで行くか。
アイツらの顔、撮っとけ。」
新聞部2
「わかりました! パシャ……」
カメラのシャッター音が響く。
俺は遠くからその光景を見ていた。
(……マズい。
俺のせいで、あの3人が……)
そんな罪悪感が胸を刺す。
ゴールドシップ
「お、なんか撮影されてるぞ!
ピスピース!」
ゴールドシップが、
まるで観光地に来たみたいにピースサインを決めている。
ダイワスカーレット
「ちょっと!
こんなところ撮られたら、
私たちが非公式レースした決定的証拠になるじゃない!!」
赤い髪の女は本気で焦っている。
その声は遠くからでもよく聞こえた。
ウォッカ
「疲れた……もう帰ろうぜ……」
短髪の女は、
完全にやる気を失っていた。
ーー
朝日が昇り、学園の門が開く。
いつもよりも騒がしい。
ざわざわとした声が、校舎の壁に反響している。
(……やっぱり、昨日の件が広まってる)
遠くからでも分かる。
新聞部が撒いた号外を、ウマ娘たちが食い入るように読んでいる。
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新聞の一面
チームスピカ、ヴィラン討伐に乗り出すも惨敗!
スタートダッシュで差をつけられ、そのまま追いつけず。 ラインを取り合い自滅!
ついにはゼロバンゲートに直接攻撃を仕掛けるなどの暴挙!
なお、予告通りに現れたゼロバンゲートと思われるウマ娘と、
追走祭に出走したゼロバンゲートとの関連性は未だ不明。
ゴールドシップ
「おぉ、ゴルシ様が一面飾ってるぞ!」
ゴールドシップは、
まるで自分がスターになったかのように胸を張っている。
スカーレット
「もう最悪……
内申点下がるの覚悟しなきゃいけないじゃない……」
ダイワスカーレットは涙目で俯いていた。
昨日の混乱が、完全に“悪事”として扱われているのが堪えているらしい。
ウォッカ
「負けたわけじゃねぇだろ! クソ!
しかし、あのスタートダッシュは脅威だったな……」
ウォッカは悔しさを噛みしめながらも、
ゼロバンゲートの走りを冷静に評価していた。
ーーー
掲示板に貼られた号外の前で、
ひとりのウマ娘が立ち止まっていた。
???
「へぇ……面白いな。
どれほどのやつか、見に行ってやるか……」
その声は低く、静かで、妙に冷たい。
彼女はペンを取り出し、号外の上に乱暴に書きなぐった。
ゼロバンゲート
次は私が相手だ
同じ時刻に来い
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いよいよゼロが“ダークヒーロー”として舞台に立つ時が来ました。
次に現れる相手は、これまでの三人とはまったく違う、
静かで、冷たくて、ただならぬ気配をまとったウマ娘です。
誰が来るのか――ぜひ予想してみてください。