「発見」 第6飛竜隊マールパティマ 中央暦1639年1月24日 午前6:00
マイハーク南方第6飛竜隊基地
飛竜隊兵舎2階 午前6:00
寝ぼけ眼に暁の光が入る中、マイハーク北東海域の海上定期哨戒の任を受けた私は兵舎を出て相棒が待つ飛竜舎*1へ向かう。
「マールパティア飛竜士」
「相棒の様子はどうだい?」
「快食快便、任務にも問題無く出せますよ」
「うん、有難う」
飛竜は軍馬や陸鳥以上に体調管理に気を使うからな、あまり腹を減らし過ぎると【何でも】食べ様とする程に雑食*2だ。
その為、飛竜の使役飼育には専門の資格を持つ者しか関われぬ様公国法で決められている。冒険者*3であってもだ。
「さて、行くぞ相棒!海の上にな!」
正直な所、緊張が高まっている西部の飛竜隊程此方は危機感を抱いている者は少ない、むろんマイハークの防衛騎士団や第2艦隊の司令部はそうでもないが⋯。
午前7:55 高度1500m
「定期哨戒空路を哨戒中、我が国沿岸、異常なし、クワ・トイネ公国は本日も収穫日和なり」
飛竜基地管制塔*4へ定時連絡の魔信を送ると、陸地から大東洋へと続く海上へ出る。
「流石に、我が国の飛竜隊が哨戒している海域に襲撃して来る海賊は居ないか」
1週間程前、マイハーク北方海域に現れた漁船*5を改造したと思われる小型海賊船がクイラ王国とを結ぶ定期商船*6に襲撃するのを運よく発見した第6飛竜隊の同僚が導力火炎弾を以て焼き払ったらしい。
「海軍司令部からの噂だと、ロウリア王国が絡んだ海賊船の可能性あり、か」
ロウリア王国は近年討伐した山賊や海賊を王国へ組み入れ急速な軍拡を図っているとされ、侵攻も遠くないと言う同僚も居るが一飛竜士でしかない立場ではな。
午前8:00 高度2000m
海上へ出て直、妙な轟音が前方斜め下方から響き渡ってくる。1500mの雲が密集する辺りか?
「相棒、高度を下げるぞ」
「飛竜⋯じゃないな、飛竜こんな変な羽音はしない筈」
最高速235kmに速度を上げ、下降する。
「んん?なんだ?」
雲の切れ目に僅かに反射する光、金属⋯か?飛竜基地通信塔への携帯魔信機*7が仕込まれた兜側方へ手を当て、基地との通信を準備する。
「は、速い!なんだコレは!」
相棒の首を翻させ、交差した国籍不明騎の後方から追いすがる格好となる。
「此方は最高速なのに、どんどん離される!」
「管制塔!聞こえるか!」
「こちらカルミア、どうしました!?」
「国籍不明の…飛竜が我が国領空に侵入した!追跡しているが追い付けない!飛竜の倍以上の速度が出ている!奴はマイハーク方面に向かっているぞ!」
魔信の向こう側から、通信塔内が慌ただしくなっているのが騒音で伝わる。
「その国籍不明騎の特徴は!?」
「生物じゃない!羽ばたいてもいない!前に基地内の図書室で見たムーの飛行機械に似ている!」
「追跡は無理だ!此方はどうすれば!?」
「私だ、飛竜士マールパティアに告ぐ、現海域より南方沿岸の小飛竜基地*8へ一時退避せよ!迎撃は第6飛竜隊主力で対応する!」
基地司令が塔まで登って来たのか、訓練通りとは言え早いな。
「了解!頼みます」
「うむ、相棒を十分休ませてから戻ってこい」
戻って来る我が基地が残っていれば、だが。
午前11:00
小基地にて相棒と共に休息を取っていると、小基地司令から呼び出される。
「飛竜士マールパティア、参りました」
「うん、御苦労。大変な1日になったな」
戯けた様に言う司令だが、残念な事に目が笑っていない、絶対に厄介事だ。
「飛竜士マールパティアへ、君には我が国領海へ侵入した大型船に乗り込み水先案内人としてマイハーク港湾へ案内せよとノウカ司令からの指示だ。」
飛竜隊は海軍ではなく総飛竜司令*9直属の筈だが⋯。
「分かっている、指揮系統が違う事はな。ノウカ司令官が公都へ行く為の火喰い鳥を借り受ける序に基地司令に要請したらしい」
喰えない御仁とは伺っていたが、妙に手回しが上手い人の様だ。
「大型船は現在クワ・トイネ北部沿岸を第2ガレー船隊と共に西へ航行してマイハークに向かっているそうだ、彼等が我が国沿岸に点在する浅瀬に座礁せぬ様露払いをしてくれ」
「了解しました」
その後、我が国のガレー船とは比べ物にならぬ程の大型船に再び驚愕する事になるのだが、それは別の話になる。
初投稿、如何でしたでしょうか?
日本国召喚に多数登場する人物達には掘り下げる事の出来そうな人物ばかりな為、私自身の独自解釈を入れつつ今後も投稿して行きたいと思います。