IS~Lost Memory~   作:竜太

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1章『記憶喪失』
0話『プロローグ』


インフィニット・ストラトス、名づけてIS。

それは女性にしか扱うことのできない兵器だったが元は宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツの為に"篠ノ之束"が研究し開発されたものだった。

だが、約10年前のISが発表されてから1ヵ月後に起きた。日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されるも、その約半数を搭乗者不明のIS"白騎士"が迎撃し忽然と"白騎士"は姿を消した。

俗に言う白騎士事件を皮切りにISは軍事目的の為に開発転用される事となった。

だが、ISに搭乗できるのは女性のみの為、世界は男尊女卑から女尊男卑へと変わっていった。

 

白騎士事件後に作られたアラスカ条約によって軍事転用が可能になったISの取引などを規制すると同時に、ISの技術を独占的に保有していた日本への情報開示とその共有を定めた協定。

IS学園は、この協定に基づいて日本に設置されている。

 

ここはそんな日本の『IS学園』と言われる所の近くの街である。

 

時期は秋にさしかかり、木々に赤みがつき始めていた。

市街地のどこかのビルの屋上で見た目が15~16歳と思われる1人の赤髪で長髪のストレートヘアの少女が携帯式の通信端末で通話をしている。

通話相手の声は若い女のようだ。

 

『ちょっと!みんなで**の事血眼になって探しているよ!?』

「ごめんね。全ての責任は私が取るから、後は**がどうにかして、わかる?」

電話相手の声は激しく動揺をしているのか大声をあげていた。

少女は落ち着いた声で話をする。

 

『それは…わかるけど…それが本当に貴女の目的の為なの?』

電話相手はしょんぼりとした声で言っている。

 

「そう…**を助ける為に私が取った選択として、このような行動を取る事になるのは、寂しいだろうけど…仕方が無いこと」

『貴女にとって…それは辛い事なのはわかるけど…』

「でも、みんなは私のこと覚えていてくれるだけで良い…それが敵になったとしても…敵として私を全力で相手してね」

『……わかったわ。さようなら…』

「さようなら」

少女は通話を切った。

電話相手の最後の声は悲しみで震えているに聞こえた。

 

「ふぅぅ……」

少女は眼を瞑り、通話相手の気持ちと想いに悲しみが湧き上がるのを深く深呼吸をして落ち着かせていった。

 

「本当に、良いのかしらね?」

赤髪の少女の傍に居た大人の女性が心配そうに話かけてきた。

少女は瞑っていた眼を開け、空を眺めた。

これから何をするのか、わかっているかのように悟ったような顔だった。

 

「良い。それが私の目的…そして私のわがままに付き合ってくれてありがとう」

「最初で最後の貴女のわがままぐらい聞かないわけにはいけませんわ。礼を言うのは私のほうよ。貴女と関わった仕事は刺激ある人生だったわ」

礼を言う少女はちょっと悲しそうな声で話したが、女のほうは首を振って微笑んでいた。

女の言葉を少女は聞くと微笑み返していた。

 

「じゃあね。この薬は効力が出始めるのは30分後になっているわ。完全に記憶が消去されるかどうかは保証されてないけど」

「それでも、実験ではしっかりと記憶が消える事は判明している。それだけで私は十分。後は臨機応変に対処できる」

女から薬が入った注射器を受け取る少女。

中身の薬の内容を知っていて覚悟を決めているようにはっきりとした口調と真剣な表情だった。

 

「貴女ならそれは出来るわね…。じゃあもうここには長居は無用ね」

「最後に、次に私と会った時は敵でしょう。貴女は貴女の仕事を全うしなさい。これが私の最後の命令。良い?」

「そうね。次に会う時は貴女は敵でしょうね。もしかしたら貴女を殺しちゃうかも?」

女の表情はやれやれと言った感じで最後の言葉はジョーク染みていたのを少女はそれに感づいてふぅっと溜息をついていた。

 

「冗談として受け取っておく」

「あら?冗談じゃなくてよ?」

呆れたように言う少女に、微笑みながら話を返す女。

 

「…さよならね。元気でね」

「さよなら」

別れは惜しまないようお互い微笑んだ。

少女はビルの屋上から立ち去っていく、向かう先はIS学園校門のほうだった。

 

 

(全ては私の目的の為…私のわがままでこうなった…仕方が無いこと…)

少女は着ている衣服以外の所有物全てを道中の川に投げ捨て、薬の入った注射器で自ら自分の腕に打ち込む。

注射器は注射の跡が残らない形式の物、注射の跡がないことを確認し空になった注射器を川に投げ捨てた。

 

(後は…学園の敷地に入るだけ…)

少女は決意を胸に秘めたように真剣な表情で誰にも見つからないように細心の注意を払って学園の校門へ入っていった。

 

 

………それから1時間後。

 

―IS学園内―

 

「先生ー!」

1人の女子生徒が慌てた様子で大声で学園の女性教師を呼んでいた。

 

「ど、どうしました?」

女性教師は女子生徒の声に気づき、慌てた様子を見て教師も慌てた表情で返した。

 

「はぁはぁ…山田先生。えーと…女の子が学園の敷地内で倒れていたのを見つけました。どうしたらいいですか?服装は制服じゃないので学園の生徒じゃないみたいです」

女子生徒はあがった息を落ち着かせてから教師である山田先生に話をした。

 

「えぇと……とりあえず保健室に運んだほうが良いと思います。私も手伝いますからどこで倒れていたのか案内してくれませんか?」

山田先生はしばらく考え込んだが真剣な表情に戻って、女子生徒に指示をした。

 

「は、はい。こっちです」

話を交わして女子生徒と山田先生は敷地内で倒れていた、赤髪の長髪の少女を保健室へと運んだ。

 

 

 

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