IS~Lost Memory~   作:竜太

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9話『成長とは…』

朱音と楯無は武道場でかいた汗をシャワールームで流している。

IS学園にはノズル1つずつで区切られたシャワールームがある。

 

「ふぅ…久しぶりに疲労いっぱいと言った気分だわぁ…」

楯無は隣のボックスでシャワーの湯を浴びて安堵と共に疲れたような声を出していた。

 

「そうですね…疲れたけど…私は力量、技量がどのくらいあるのかわかりました。楯無のおかげですよ」

疲労と共に満足した気持ちになったし、感謝の意もこめて言った。

 

「んふふ。最後は私の油断で負けちゃったけど考えるとおかしいわね。学園最強2強とか面白いじゃないっ」

楯無の弾んだ声が聞こえるけど最強2強とか言葉間違えてない…?

 

「それを言うなら学園2強じゃない?それに楯無とはISでの腕の差はわからないし…」

組み手では楯無を床に倒せたけどここはIS学園だから最強の意味はISにも関わると思う。

 

「うふふ。2強だけだと私達が居なくなったら意味がなくなっちゃう。それに朱音ちゃんはISの腕もあるとみているわ。それに朱音ちゃんの専用機は多分イレギュラーだから…性能で負けるかもね」

微笑みながら言う楯無はどこまで私の事見ているんだろう?首をかしげそうになった。

あれ疑問に思ったけど専用機はイレギュラー…?

 

「イレギュラーってどういう事です?」

率直に思ったことを質問する。

 

「んー。箒ちゃんも元々代表候補生じゃないのに専用機が来たのよ。そういう感じで朱音ちゃんのもイレギュラーなの。本来どこかの国とその国内のISメーカーの物が割り当てられるのに朱音ちゃんにはそんな話は来てないのよ。それがいきなり専用機が来る、そして日本の代表候補の枠に入るとか他国の猛抗議が殺到のはずが誰かの根回しでそれも無い……。しかも詳細がきてないの!私に!生徒会長の私ですら今回の話はそのときまで極秘扱いなのよっ!」

楯無の話を黙って聞いていたら、最後は怒っているのか怒鳴っていた。

本気の怒鳴りじゃない気配だからわざとらしく大声あげていたようです。

それにしても専用機が用意されるときはだいたいはその国とその国のISメーカーなのに箒のように…。

ちなみに私の知識でも箒のISは知っていた。

IS"赤椿"箒の姉である篠ノ之束が自ら作りしかも最新のISコアというね…。

 

「もし篠ノ之束が自ら作ったものだとしたらイレギュラーだものね…性能も違うでしょうし」

私は率直に思ったことを言う、白式と赤椿が第4世代でほかのみんなの専用機は第3世代だけど性能や機動性もそれらを上回っている。

 

「そうよ。私のISを覆すかもね。箒ちゃんの赤椿も機動性が上だったもの。操縦技術はまだ未熟だから私は箒ちゃんに負けるつもりはないけど…朱音ちゃんはそうもいきそうになさそう…むむん…」

楯無は悔しそうに言いながらも何か軽い気持ちで言っている雰囲気に感じた。

 

「まあ、そのときはお互い全力でやるだけですよ」

「それはそうね」

ふふと一緒に笑ってから、私はふと1つ忘れていたことがある。

 

 

「そういえば、楯無」

「どうしたの?」

「簪達は大丈夫かな?」

「あー…案外しっかりしている簪ちゃんのことだからきっと――」

 

 

 

 

―――。

 

 

 

―更識簪side―

 

朱音のおかげで一夏と2人きりで一緒に遊び(私はデートと思ってる)に付き合えた…。

お昼は私の手作りお弁当で…ふふっ。

一夏の事だから2人きりじゃないかもって予感してたけどそれは違ってて嬉しい…。

 

「簪。次どこに遊びにいこうか?」

「あ、うん…その前に…」

ドキドキして緊張するけど2人きりのチャンスはなかなか無い…。

でも絶対…専用機持ちのみんなの尾行がある…。

だから一度…。

 

「(一夏…耳打ちでして…みんなの尾行をまきたいから一度モノレールに乗って発車直前に降りる)」

「(……簪がそうしたいなら構わないさ)」

耳打ちで作戦伝えるのすごく恥ずかしかった…でも…視線感じるのは息苦しい…。

一夏は思い悩んだけど了承してくれた…。

 

 

それから簪と一夏は隣街へ向かうモノレールに乗ると、簪が想定した通り2人の後を尾行してきた1年生の専用機持ち女子(箒、鈴、シャルロット、セシリア、ラウラ)が簪達が乗った車両から離れた車両に乗り込んできた。

モノレールが発車する前のドアが閉まるタイミングで一夏と簪は下車し、尾行してきた女子5人は策略にはまったと気づいて悔しい気持ちでガッカリとうな垂れた。

 

 

「一夏…覚悟したほうがいいけど…今日は楽しもう…」

「あぁ。そうする……」

青冷めた一夏の表情、でも私は今日一日楽しめる…。

私はがんばるから…お姉ちゃんと朱音…ありがとう…。

 

 

side end

 

 

―――。

 

 

 

 

「――って感じで簪ちゃんは策士な・の・だー」

楯無は子供のような声で簪の今日の行動予想を言って、それを聞いた私は言葉を失った。

簪は計画を組みなおかつ行動力が高いんだねと思うしかなかった。

 

「あの一夏さんの性格を知ってて行動おこせるなら大丈夫そうね…」

思った感想を述べると楯無は笑っていた。

 

「あははっほんと、簪ちゃん成長しちゃったなー…ついこの前までのツンツン殺伐とした雰囲気の簪ちゃんはどこいっちゃった?」

楯無しかわからない簪の過去の雰囲気ね…。

私が来たときの初対面は無言と無表情しかなかったからそれ以上の負の雰囲気は知らない。

成長か…昔の私は…どうしたかったの?また変な不安を覚えてしまった…。

 

「人は成長し変わるものよ…」

小さい声だけど思ったことを言う。

 

「そうよね…そろそろ出ましょ。そしてお昼にしましょう。おねーさんはお腹が減ったのだー」

「はいはい…まずは着替えないとね」

楯無の言葉の語尾は子供ぽい口調をしていたから私は微笑み、沈みそうな気持ちを抑えて、やれやれと思いながらも更衣室へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――『成長させなくてはいけない。運命に抗う運命の歯車となる為に』――

 

 

 

 

 

 

 

……?

私の頭の中に言葉がよぎった…これは何…?

運命の歯車…でもどこか懐かしい言葉…。

 

 

朱音は表情には出さないが頭によぎった言葉に何の意味があるのか疑問を感じていた。

 

 

 

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