IS~Lost Memory~   作:竜太

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11話『力の意味と謎』

『秋葉と更識。第1アリーナのピットへ集まれ』

翌日の朝、私と楯無の相部屋に来た織斑先生の言葉だった。

楯無もいきなりの来訪に驚いた。

 

「朝から第1アリーナですか…?」

「そうですよ。突然すぎませんか?」

率直な疑問だった。

その気持ちは楯無も同じみたいで険しい表情をしていた。

 

「朝だからだ。アリーナ区画は早朝から閉鎖されている。それがどういう意味かわかるな?」

「専用機ね…」

織斑先生の言葉に険しい表情で呟くように言う楯無。

先日の覚悟というのはこんな感じなのかな…?

 

「そういうことだ。すぐに支度しろ。ISスーツは制服の中にでも着て来い。ではな」

織斑先生はそう言うと退室していった。

私は嵐の前触れとは言わないけど唖然としていた。

 

「朱音ちゃん。着替えましょう」

「そうですね…」

楯無の言葉に私は我に戻った。

今は考えるだけ無駄ですね…。

そういえば、ISスーツの上から制服着ても別に構わないんだね。

 

 

…。

……。

………。

 

 

IS学園―第1アリーナピット―

第1アリーナは大会以外では機体の動作テストやデータ収集などで使用されている。

道中はアリーナ区画を閉鎖するように教師が立っていた。

そして第1アリーナのピットに集まったのは1年生の専用機持ち全員と楯無と私、そして織斑先生と山田先生だった。

みんな制服姿だけど、私と楯無だけなのかなISスーツ着用しているのって疑問になったけど聞く暇はない。

 

「この場に集まって貰ったのは他でもない。秋葉の専用機だ。だが事情が事情だった為にアリーナ区画を朝から閉鎖する事となった。そして…これが秋葉の専用機だ」

織斑先生が話しながらピットの格納ゲートが開き、そこには鎮座している紺色のISの機体があった。

 

「ちょっとまてこの形…」

一夏が早くも気づいたような表情を浮かべて呟いた。

 

「スラスターの形状は違うが私の赤椿と似ているぞ…」

そう言うのは箒…これで察した赤椿と機体の装甲の形状がスラスター以外似ているのね…。

ならこれは篠ノ之束製作…。

 

「そうだ篠ノ之。秋葉の専用機は束が作った奴だ。しかし恐らく束は来ない…これが機体と共に添えてあった」

織斑先生はそう言うと、私に手紙のような紙を手渡してきた。

みんなも覗き込むように手紙を見る。

それは直筆で書かれていた。

 

 

 

 

 

 

――手紙――

 

秋葉朱音へ

この機体の名前は霞桜(かすみざくら)

ちーちゃんの暮桜(くれざくら)から名前を取ったよ

箒ちゃんの赤椿を元に作ったから後は貴女ならわかるはず

ちーちゃん後はよろしく

 

 

 

 

 

 

 

「千冬姉…これ束さんが本当に書いたのか…?」

「姉の言葉とは思え…いや昔はたまに使っていた言葉だ…」

私は手紙を見たまま固まっていると唖然とした表情で一夏と箒が口を開いた。

この手紙の意味する事は……昔の私は篠ノ之束と会った事がある…?

何か意味深な言葉『貴女ならわかるはず』が綴られている…。

 

「私もこれを見た時は我が目を疑った。だが束が真面目な話をする時に使う言葉遣いなんだ…何より直筆の字は束のものだ」

どこか懐かしむような声で言う織斑先生。

私は手に持った手紙を箒に渡した。

私宛でも篠ノ之束の直筆で書かれた手紙は箒が持ってたほうがいいかなって思った。

そして"霞桜"と名づけられたISの機体を眺める。

 

「事情を説明する。この機体が届けられたのは秋葉がこの学園に入学した日だ。性能を調べさせてもらったがこの機体は手紙の通り赤椿が元になっているがいくつか違う点が見つかった」

織斑先生の説明を聞きながら、投影ディスプレイがみんなの目の前に出てくると性能一覧が出てきた。

 

 

 

名称: 霞桜

エネルギー量: 1000

展開装甲: 両の腕肩脚部と背部に装備され、自動支援プログラムにより一つ一つはエネルギーシールド、スラスターへの切り替えと独立した稼動が可能

武装1: 村雲

形状刀の近接ブレード

出力調整可能のエネルギー刃を放出させる事が出来る

武装2:【LOCK】

武装3:【LOCK】

単一仕様能力: N/A

 

 

 

「赤椿と違うのはエネルギー量と展開装甲にエネルギーソードが無い。単一仕様能力はともかく、武装が2つもロック状態で既に用意されている。だから秋葉、お前にすぐに専用機を渡せなかった。ISは兵器だ。その力を正しく扱えるかどうか見定めたかった。束の最後の言葉は私に宛てていたからな。最後の判断を任せたのだろう」

織斑先生の説明する言葉に私は理解した。

わからない武装が二つも用意されているからどんな武器かわからない…。

ロックされているこの武装が強いものなら…何が起きるかわからないからだね…。

でも何故か乗らないといけないって気持ちが沸く。

 

「織斑先生。私の赤椿は私が望んだ物とはいえ、織斑先生はあの時どうして私に何も言ってくれなかった?」

箒が険しい表情で織斑先生に質問してきた。

 

「篠ノ之、あれは束が一緒に持ってきた物だ。束の家族だからこそ私は何も言わなかった。だがそれは間違いだった。お前は赤椿という力を手にした時は浮かれていたから周りを見失わなかったか?専用機、ISという力を持つ意味、秋葉はそれを理解し先を見失うことなく正しく判断できると見込んだ。少なくともお前達より人としてしっかりとしている」

真剣な表情で、強い口調で箒に言い聞かせるように織斑先生は言っている。

力を持つ意味…強い力に身を流された事が箒はあるのね…。

箒は顔を俯かせて考え込んでいる様子だった。

 

「そうだ。たしかに私は赤椿を手にした時その力に私は流された…織斑先生の言っている事は合っている…理解した」

箒は納得したように真剣な表情で顔を上げ答えた。

 

「所でちふ…織斑先生、どうして朱音さんの専用機の性能を見せたんだ?本来は隠すものだろ?」

一夏が首をかしげながら質問している。

そういえばそうだ…こんなのみんなに見せるものじゃない…。

 

「実は私にもわからない。何故かこの場にいる諸君には知っておいて貰いたいと思っただけだ」

織斑先生でもわからないんだ…。

知っておいて欲しいという気持ちが沸いただけなのかな…。

私のようにこれに乗らないといけないような気がする気持ちと同じ…。

 

「織斑先生、それでも私はこれに乗らないといけない気がします」

「そうだ。秋葉は乗っても大丈夫だろうと見込んで今日この場を設けた。ISスーツは着てきたな?」

私の気持ちを素直に言うと織斑先生は頷きながら話を返した。

その後、制服を脱いだら簪が駆け寄って私の制服を持ってくれた。

ISスーツは着ているのに一夏はそっぽ向いてたけどね。

異性はやっぱりISスーツ着ているのわかっていてもこういうのは見たくなかったりするのかな?と場違いな考えをした。

 

「それじゃ乗りますね」

私の言葉に織斑先生は頷いて、霞桜に乗り込む。

そしてISの起動をさせる。

 

 

《IS起動》

《多段階瞬時加速(マルチステージ・イグニッション・ブースト)システムアシスト初期起動開始》

 

 

「っぁ……」

打鉄の時と感覚が全然違う…。

ハイパーセンサーの感覚がとてもクリアというか鮮明で研ぎ澄まされている…。

何よりただIS起動しただけなのに多段階瞬時加速(マルチステージ・イグニッション・ブースト)のシステムアシストってどういう事?

詳細はこれ以上はわからない…実際に動かさないとわからないね…。

 

「秋葉、大丈夫か?少し声をあげたようだが…」

「大丈夫です…多段階瞬時加速(マルチステージ・イグニッション・ブースト)のシステムアシストの感覚で思わず…というかこれどういう事ですか…?」

私を心配するように言う織斑先生に首を振って伝える。

多段階瞬時加速という言葉を聞いて全員の目が点になって驚いていた。

織斑先生だけは険しい表情だった。

 

「使ってみないとわからないだろうな…では更識…姉のほうな。このまま霞桜のファーストシフトするまで相手してやってくれ」

「わかりました。朱音ちゃんよろしくね」

「はい。お手柔らかに……」

手紙によって私の何かを知っている素振りの篠ノ之束の言葉に戸惑いはあったけど、なるべく落ち着かせようと私の声は小さかった。

そのままピットからアリーナのフィールドへと飛ばした。

続いて楯無のIS"ミステリアス・レイディ"もフィールドへと来た。

 

ミステリアスレイディの性能は知っているけど本気の勝負じゃないだろうから、作戦は特に考えなかった。

武装はさっき見た近接ブレードである"村雲"だけだからそれを呼び出して手に持っている。

 

「それにしても朱音ちゃんの霞桜…エネルギー量1000とか1桁超えたわね」

呆れたような表情で言う楯無。

打鉄のエネルギー量が400だから第3世代は間をとっても600か700とかそこらへんでしょう…。

それなのに1000って……多段階瞬時加速のせい?

 

「エネルギーが多いのは…多段階瞬時加速のせいかな?ちょっと使ってみます」

「そうね。本来は言う事じゃないんだけど朱音ちゃんは隠す気なさそうだからしょうがなく見てあげる」

楯無は頷きながら、興味津々な面持ちで見ていた。

システムの事いきなり明かしちゃったからね。いまさら使わないわけにもいかないし。

私は意識を集中させて、上空に向けて多段階瞬時加速を使おうとシステムに指示する。

 

 

《多段階瞬時加速システムアシスト初期動作スタンバイ……完了》

 

 

システムアナウンスを聞いてから私は多段階瞬時加速を使った。

バシュバシュバシュとスラスターからエネルギーが噴出する音が聞こえた。

ものすごい急加速で一気に上空まで飛んでいく。

 

《50…120…210…》

《警告!アリーナ上空制限のため停止します》

 

ものの数秒でアリーナの上空制限である300メートルまで到達して機体は停止した。

本来の瞬時加速は最高速度へ瞬時に加速する事だけど、多段階瞬時加速は加速した速度に上乗せで超加速するものだった。

例えば瞬時加速で時速80キロだと多段階瞬時加速は時速80、120、150キロへと段階的に瞬時に加速していく物だった。

しかもシステムのアシストがついているから瞬時加速を使おうと指示するだけで瞬時加速ができるという便利仕様になっている…。

マニュアル制御で使う本来の瞬時加速をないがしろにするものだ。

多段階瞬時加速の仕様がわかった所で通常の急降下で地表まで降りていく。

 

 

「ちょっとすごい超加速すぎ…段階的に加速していったわね」

「これでエネルギー結構使ったからやっぱり多段階瞬時加速の為に多くあるみたい」

絶句したような楯無の声を聞きながら、私は推測を述べた。

 

「それならそうでしょう…それじゃ軽く試合しましょう。学園最強の私でも今回はとっても手加減するわよ♪」

「えぇ…お手柔らかに…行きますよ」

ランスを構える楯無、そのランスはガトリングガンも搭載されている。

楯無の気配と雰囲気が戦闘への意思表示みたいに気迫を感じる。

さすが学園最強の雰囲気だけど私の気持ちは動じないで近接ブレードである"村雲"を楯無に向けて構える。

 

 

「あら?朱音ちゃんこないの?」

楯無は不敵な笑みを浮かべて言ってくる。

私は動こうと思ったけど、これはどういう事?と疑問と戸惑いで表情に出ないように装っている。

今私の眼には楯無の後ろにもう1人楯無が見える…『装甲を纏っている楯無』と『装甲を纏っていない楯無』が見えてるんだよ…。

センサーによるターゲットサークルは装甲を纏っているほうの楯無しか選択できないから不具合でもない。

でも見えているって事は原因はこの研ぎ澄まされたかのような鮮明なハイパーセンサーのせいとしか思えない…。

つまり楯無のISの水は何らかの方法で精巧な擬態(装甲を纏っているほう)を作っているんだ…。

 

「楯無。本気で身構えて」

「え?それはどう……くッ!」

言い終わるとバッと一瞬で装甲を纏っていない楯無に体当たりしようとした。

楯無は気づいて顔を歪ませ反射的に身をかわした。

装甲を纏っていないから傷つけないように体当たりだけどね。

身をかわした直後に装甲を纏っていたほうの楯無の擬態は水になって空中を漂いながら本体の楯無へ装甲と水のヴェールになって戻っていった。

 

 

「朱音ちゃんどういう事?どうして見破れたの?」

楯無は険しく焦りを見せるような表情だった。

学園最強というプライドはあるからね…組み手で倒しちゃっているから怒りまでは出ないのかな?

 

「んー。楯無の擬態は『見えていた』から仕方が無いのよ。それ以上はわからない」

「うそっ……」

私は見えていたとはっきりと言うと楯無は絶句したように目が点になって驚いていた。

もしこの鮮明なハイパーセンサーが原因なら霞桜を狙う騒動が起きる可能性があるから伏せた。

今は私の記憶喪失が理由で楯無はどうして見えたのか追求はしてこないと思った。

 

 

「もぅ…見えているならしょうがないなぁ…おねーさんのお得意芸なくされちゃったらちゃんとするしかないわね」

「じゃあ、もう手品なしでよろしくお願いします」

楯無はそういうと真剣な表情になって本気を感じる。

これは軽くといっても試合は試合、学園最強が相手だから…本気でやる。

 

 

―――。

 

 

一方その頃、アリーナのピットに居る他の皆は投影モニターでアリーナ内部の朱音と楯無の試合光景を見ていた。

 

「楯無先輩の擬態を見破ったとか…」

「これが学園最強と適性Sの戦いか…」

「動きが早すぎてすさまじいというしかありませんわ…これがわたくし達が目指している道なのですわね」

「方向転換するとき、瞬時転回…向き変えるのに、一時停止とかそんなものじゃない…」

「近接同士だから2人とも向かっていくんだよな…それでも楯無さんのランスのガトリングを急上昇や急旋回で避けているとかどんだけだよ…」

「横に移動とかも山田先生が実習で見せたような動きだわ」

1年生の専用機持ちはそれぞれの感想を述べながら鋭く素早い動きの速さに呆気に取られていた。

 

「んんっ。諸君、軽い試合とはいえ更識の姉はロシアの国家代表だ。代表候補生じゃないのは知っているな。その攻撃を回避している秋葉の操縦能力は国家代表に匹敵している。だから諸君もよく見ておけ」

「「「「「はいっ!!!」」」」」

千冬が咳払いすると、その場の皆は我に戻って顔を向け話を聞くと真剣な表情になって声を揃えて返事をした。

 

 

―――。

 

 

 

楯無の突き出すランスを朱音は村雲で受け流しつつ横へと滑るように切りつけようとしても楯無はバリアに当たる前に回避している。

一方、朱音は楯無のランスに搭載されているガトリングの弾が来ても瞬時に方向転換し狙い打たれないように不規則に動き回って回避していた。

 

「「……」」

さすがに楯無は学園最強と言われているだけに擬態が無くても反応が素早く隙がないね。

私も楯無も攻撃が当たらないほどお互い真剣。

でも一度だけ出来る事がある…多段階瞬時加速で急上昇急降下、そしてさらに急上昇ですれ違い様に村雲をかするように当たる方法が通用するかどうか…やってみよう。

 

 

「はぁッ!」

「ぐッ!」

朱音は想定した通り多段階瞬時加速による瞬時加速以上の超加速で急上昇から急降下ですれ違い様に楯無に切り込んでいた。

かするだけでもシールドバリアが横腹にバーンと音と共に発動音がしている。

急降下した後にもう一度急上昇で繰り返し突撃していく。

 

「ッ!」

「んふふ。よく避けれたわね?同じ手は通用しないわよ。学園最強の名は伊達じゃないのよ」

上空を飛んでいる楯無は蛇腹剣(ラスティー・ネイル)を手に持ち、鞭のような武器は地表から方向転換して急上昇してきた朱音に向けて振り下ろしていた。

朱音はそれを反射的に急旋回でかわした。

それを眺めながら不敵な笑みを浮かべる楯無。

 

「ふぅ…鞭みたいなのもあるなんてね。接近武器はランスだけじゃないのね」

「そうよ。水って手品だけじゃないのよ。ふふ」

朱音は真剣から無表情に戻って淡々とした口調で楯無にしゃべっていた。

楯無は不敵な笑みで水で作られた蛇腹剣をかざしていた。

そこへ朱音の機体に光の粒子が発生し光りだした。

 

 

 

《シームレスシフト(無段階移行)開始……ファーストシフト完了。武装"エネルギーライフル―エネルギー収束砲―"のロックを解除します》

 

 

「それがシームレスシフト……」

楯無の驚くような声が聞こえる。

システムアナウンスがいきなり聞こえた途端に機体が光りだしたものね。

そして武装のロックが1つ解除された…。

光が収まると、いくつか装甲が追加されていた。

それと既に頭の中に武装のデータが流れている。

 

 

武装: エネルギーライフル―エネルギー収束砲―

通常時はエネルギーを放出させる連射式エネルギーライフル

銃身が上下左右の四方に開く事でエネルギー収束砲となりビーム状のエネルギーを放射する

 

 

「エネルギーライフル―エネルギー収束砲―……」

「わぁお…それが霞桜に用意されていた武装の1つ…」

私はそう呟くと村雲が消えて左手に大型のエネルギーライフルが召喚された。

楯無はわざとらしく驚いた声あげたけど不敵な笑みを浮かべていた。

 

「これはまた大きなものね…恐らくこうする…為の大きさ…」

「……開くのね」

私は言いながら銃身を四方へ開かせる。

バコンと音が聞こえそうなぐらい長身の銃身が開いた。

空に銃身を向けて銃身の根元ではエネルギーが収束されていく音が聞こえる。

 

《出力20…40…60…80…100…完了》

 

「それ私には向けてくれないのね?」

「楯無。よくわからない武器をいきなり向けて撃ちたくないからこうしているのよ」

「朱音ちゃんは優しいのね…」

楯無は最初悪戯ぽく弾んだ声で聞いてきたけど、私は武装の説明を聞いていきなり向けて撃つわけにはいかないと思った。

私は真剣に強い口調で言った後に返事を聞いてからトリガーを引いた。

 

 

ブオォォォォォォッ!!!!!!

 

 

朱音は収束砲から放射された太いビーム状のエネルギーがアリーナ上空にある遮断シールドにバチバチバチという激しい音と共に当たっている。

 

「っぅ…この出力はすごい反動ですね」

「おねーさん驚いちゃった。綺麗…ってそうじゃなくて放射は5秒間ぐらいかしら?」

私は撃った後の感想を述べたら楯無は目を点にしてても何秒間放射していたのかしっかり見ていたようでした。

しかし、すごかった…太くて明るくて爆音だった。

出力100%はあまり使わないほうがよさそう…。

 

ふぅっと一息ついて気持ちを落ち着かれた。

 

『よし、2人とも戻って来い』

「「はい!」」

そこへオープンチャンネルで織斑先生の通信の声が聞こえてピットへと戻っていく。

 

 

 

ピットへ戻って霞桜を解除すると私の首にペンダントとして掛けられていた。

これが待機状態のISコアなんだけどどうも私のはペンダントのチェーン自体もコアの一部な感じだね。

ピットに待っていた専用機持ちの皆はそれぞれ驚愕の表情で感想を述べようと話しかけてきた。

 

「わたくしは惚れ惚れいたしましたわ!流石でしたわ!」

「いやマジ。最後のあれ当たると思ったら避けるとか俺にはまだ出来ないな」

「静かにしろ!2人ともご苦労だった。では更識姉と秋葉はここに残れ。解散!」

「「「「「はい!!」」」」」

話しかけられたところで織斑先生が怒鳴るように声をあげて静かにさせた。

忘れるところだったけど簪に預けていた私の制服を受け取った。

残された楯無と私以外のみんなはアリーナのピットから去っていた。

全員がピットから去っていったのを見届けた織斑先生の口が開いた。

 

 

「ふぅ…秋葉の霞桜は力を秘めていたようだな…先ほどの射撃はアリーナのシールドが壊れるかと思ったぞ…」

「あれは…ごめんなさい…」

「織斑先生、朱音ちゃんは悪気があってあんな事したわけじゃなくて…」

「はははっ。私は何も怒っていないぞ?秋葉がやった事は間違っていない。いきなり与えられた力を人に向けて使っていない。その優しさ、人としてしっかりとしている何よりの証拠だ。それを再確認させてもらった」

織斑先生の話に謝ったら代弁するかのように楯無が言ったら織斑先生が笑った。

ISの武装は力…いきなり与えられた力を人に向けて使うような人は……。

考えようとしたけど頭の中でモヤがかかった…なんで?

 

 

「そうですよ。先輩は秋葉さんの優しさと人のあり方に合格を与えたわけですよ」

「山田先生。その先輩はやめろと何度言ったらわかる?後で武術組み手の相手をしてもらおうか…」

「あ…い、要りません…」

山田先生と織斑先生のやり取りがおかしくて笑いそうになった。

 

「んんっ。それで、私が現役時代に乗っていた暮桜の名前の片割を受け継いでいる霞桜をどうするつもりか聞きたい。このまま国家代表を目指すのかどうかだ。更識はロシア代表であるから目標となる相手でもあるからな」

織斑先生は咳払いしてから質問してきた。

先日の質問の再確認と理解した。

今後の事…でも私には昨日のあの女性の事が気になるから国家代表目指す事は捨てなければいけない。

私の過去には何かしらの悪い闇が関わっている……それが怖い。

 

「私の気持ちは先日織斑先生に伝えた通り変わりません」

結局は考えは変わらないから気持ちを伝えると織斑先生は頷いた。

 

「わかった。では解散していいぞ」

「「はい」」

こうして私と楯無は更衣室で着替えなおす為にアリーナのピットから立ち去る。

何か私の頭がズキンって痛みが感じたけど気のせいかな…。

 

 

 

 

 





次話から独自解釈とオリジナル設定などのオンパレードです。


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