IS~Lost Memory~   作:竜太

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3章『記憶回帰・干渉』
1話『目覚めと真実』


IS学園―特別医療室―

 

「…………」

私は長い夢から眼を覚ました。

とても長い記憶の夢はそれはとても言葉に言い表しずらい。

織斑千冬、織斑一夏、篠ノ之束、篠ノ之箒、いや…はてはラウラもドイツで…。

全てを思い出した今、私は説明を果たさなくてはいけない。

私の深い闇と罪悪感を耐え凌いだこの記憶は…しかし、これまた…膨大な記憶だ…。

 

 

「はぁぁぁ…それでも私はどのくらい眠っていた?」

深い溜息をつきながら独り言を呟く私。

窓を見ると青空が見えて太陽が真上にあるから昼だけど保健室ではない。

時計を見ると1時前を指していてIS学園は休みじゃなければ昼休みか。

点滴とかいろいろ私の体に繋がっているからここは学園の医療施設の区画だろう。

室内を見回すと1人部屋、横の台には花瓶に花が挿されているからこれは楯無か簪がしたのだろう。

 

「体はなんともないようだ…」

ベッドから身を起こしても体の痛みとかは感じない。

長く寝てても体の力は落ちていないのは確認した。

あれだけ鍛えた分並みの人程度には戻ったのかもしれない。

そこへドアが開く音が聞こえ人の気配を感じる。

記憶を思い出したせいか人の気配をより鮮明に感じるようになっている気がする。

 

 

「…ぁっ…………」

入ってきた人はIS学園の制服姿の楯無だった。

私の姿を見た瞬間身を固めて放心している。

ちょっと間抜け顔になっているけど長い間寝ていたせいかな。

声かけないと放心したままになってそうだ。

 

「楯無。おはよう」

「………………ハッ!見間違いじゃないわよね?朱音ちゃん?」

眼を見開いて我に戻る楯無は慌てた様子に疑問の声を出した。

まったく、この…ん?この感覚エイミーと似ている…。

人は違うけど感覚が似ていたから記憶喪失しても私は寂しいと感じなく気を張れたのか。

 

「私は幽霊じゃない。後、寝すぎたけどそれは過去の記憶を夢見ていたせい」

溜息を吐きそうになりながら、私は、ん?ってして今言った言葉遣いに気づいた。

昔に戻っている…闇を纏っていた頃に…モノクロームアバターに居た頃に…。

 

「朱音ちゃんその言葉遣い…それが正体なのね…。雰囲気が、いいえ…朱音ちゃん。あなた闇の気配が戻っている…」

「記憶が戻った影響か…」

絶句したような表情で身を震わす楯無に私は呟いた。

組織が敵対する関係は感じるべき気配が違うから身震いは恐怖か。

 

「ふぅぅ…それで朱音ちゃんはどこまで記憶が戻ったの?」

「その前に私はどのくらい寝ていた?」

一息ついて、ベッドの傍にある椅子に腰掛けた楯無の話を返す前に私は気になったことを聞いた。

 

「12月にはいった所よ。もう朱音ちゃん寝すぎ!1ヶ月ぐらい寝ているとか…起きないかと思ったわよ」

「はぁぁ…で、思い出した記憶は全部。そして私の記憶に関わった人物は織斑千冬、織斑一夏、篠ノ之束、篠ノ之箒」

「そんなに、多すぎよ…朱音ちゃんの記憶……」

楯無の話を聞いて1ヶ月も寝ていたのかと溜息をつきながら、話を返した事で楯無は絶句の表情をした。

にしても記憶喪失は早くて思い出すのは時間がかかるのか。

 

「困ったわね。人が多すぎるとか話が長くなるじゃない?」

「私でも今どう順番から話せばいいかわからない。だからまとめて話したいから、とりあえず私の本名は"青木花蓮"で歳は18歳。ただそれしかわからないから私の戸籍があるかどうかから頼んでもいいかな?」

まゆを潜め困った表情で言う楯無に、私は平然とした態度で告げる。

楯無は頷き「調べてみる」と言ってきた。

 

「じゃあ私は更識楯無としてちょっと出かけてくるから、先生達を呼んでおきます」

「わかった。今までありがとう楯無」

楯無の話に私は返すと「どういたしまして」と返事をして退室していった。

声は違うのにエイミーと楯無の雰囲気が何か似ている…。

 

 

それから医療員の人から点滴等をはずしてもらって、ベッドの上で体をほぐしていた。

体の異常は感じないから1ヶ月で体力と力は並みに戻ったのかなぁと考えている所で先生達…織斑先生と山田先生が来た。

 

 

「ふむ。寝すぎだ馬鹿者」

「秋葉さんよく目が覚めてくれました。更識さん12月もずっと寝ているんじゃないかと心配してたんですよ?」

「えー。まあ…はい。ごめん」

2人は微笑みながら言ったから私は返事に困った。

ただ私はこの機会に今話さなければいけないことがあった。

 

「織斑先生。私が夢見ていた時に先生の声が聞こえた。あれは空耳でしょうか…?」

疑問だったあの時聞こえた言葉によって私の夢見の時間が短縮された気がしたから。

 

「……ふふふ。まさか、つい昨日夢幻みたいな事を私がした事が功をなしたようだな。そうだ、私は秋葉に早く起きろと渇を入れてやった所だ」

「そうでしたか…」

織斑先生は絶句したような表情で固まった後に微笑み言った話を聞いて私は申し訳ない気持ちで言葉を返した。

まさに夢幻の行為が功をもたらされている。

 

「それと私の思い出した記憶はかなり多いものです。束さん…篠ノ之束は3年前の失踪直後はしばらく私の所に居ました。それぐらい私という存在は織斑先生にも関係性が深い事を伝えておきます」

私の伝えた言葉で織斑先生のまゆが動いてムッとした表情だった。

 

「秋葉が来てからこの学園がずっと平穏だったのも秋葉と束は関係していたのか…私にも関係があるのは何故だ?」

頷いてから言う織斑先生の目つきは鋭い。

4年前のあれは私は知っているけど織斑先生は忘れたい記憶だと思うから…。

一夏もそうだと思うけど…決して忘れる事なんて出来ない。

それに白騎士事件についても知ってそうだけど、これは憶測だから話してくれないとわからない。

ずっと平穏…?いやまだそこは後で考えよう。

 

「長い話になるのと人の命に関わっているのでとっても暗い話をしても大丈夫な人達に私の過去の全てを話し伝えたい。それまでは具体的には言えません。まとめて言ったほうが良いでしょうから」

はっきりとした言葉で私は伝えた。

私の過去の記憶の全て、人の命、それははっきり伝えないとあれはとっても辛く深い闇だから…。

 

「そうか…それは私のほうで考えよう。今は目が覚めたばかりだからな。ゆっくりとするといい」

「1つだけ確認したい事があります。織斑先生、4年前の一夏の事件の裏側をみんなの前で話せますか?」

織斑先生が言ってから退室しようとした所で私が伝えた言葉にビクッと立ち止まった。

山田先生は事情を知っているかはわからないけどおどおどと戸惑い困惑した表情を浮かべた。

4年前のあの事件を皆の前で話して晒す心の覚悟が織斑先生にはあるのか確認したかった。

 

「…そうだな。秋葉があれを知っているならいい加減話したほうが良いだろうが……だが…私は………」

「わかりました。先に1つ伝えます。あれは『私は耐えきった』と言っておきます」

織斑先生は話を返すのまで長い沈黙の後の声はどことなく震えていた。

だから私は伝える。同じ闇を耐えた私が居る事を知れば、強気になってくれると思うから。

 

「そうか。秋葉はあれを……ふぅ…」

織斑先生は最後、一息ついてから退室していった。

 

 

「…秋葉さん、先輩の4年前の事どこまで知っているんですか?」

立ち止まったままの山田先生が真剣な表情で聞いてきた。

元日本の代表候補生…だから詳しくは知らなくても事件の概要は知っているんだろう。

 

「始まりから終わりまで、でもそれだけ話してもわけわからないから私の過去…"全ての始まり"から話さないといけない、それは皆の前で言います」

全てを話すと決意しているから言葉に戸惑いはない。

言葉を聞いた山田先生は「わかりました」と言って退室していった。

 

 

「ふぅ…12月か…」

私が来てから襲撃が全て止まっているという事はエイミー達が抑えているんだろう。

だけどそれも時間の問題、傘下の部隊はそれぞれ独立しているから指示された時は止めれないが守るしかない…。

そして私は何か忘れている気がする…。

 

「夢見が飛んだせいかその間の記憶が喪失したままだ…これは運命に抗えるかどうか神が試しているのか…」

自分で呟いておいて神とか何を言っているだろうと心の中で苦笑しておく。

運命の歯車もあるいみおかしな言葉だし。

 

 

しばらく経つと医療室のドアが開く音がした。

人の気配は小さいから簪…?

 

 

「朱音…よかった。やっと起きたって聞いて安心した…」

「夢が長すぎた。長い事心配かけてごめん」

やはり簪だった。気配探るのも記憶と共に戻っているか…。

1ヶ月の月日は長いだろうからそう言葉をかけるしかない。

 

 

「うん…私も心配してたけど、お姉ちゃんのほうがもっと…ずっと、毎日朱音の事お見舞いに行ってた…」

「そう…楯無が…私の補佐にするとか言ったから…」

簪の悲しげな声の言葉を聞いて話を返してふと思った。

生徒会長の補佐はまだ学園の役職だから良い、たしかあの時楯無は『私の補佐』と言ってたから思い返すと疑問が残る。

疑問が残るが今はやる事が山ほどあるから捨てておこう。

そうだ。簪がせっかく1人で来たから…。

 

「そうそう、簪。私が初めて声かけたときのこと覚えている?」

「思わず呟いたやつだね…それがどうしたの?」

首をかしげて言う簪。

そして気づくの遅かったけど初めて会ったときより簪の言葉遣いが人見知りのような途切れ途切れが直っている。

学園の皆は私が寝ている間にいろいろ変わったのか…。

 

「IS武装プログラム。私の知識の正体は篠ノ之束から教えてもらった独自理論、独自知識の中にヒントがあった。あ、私が教えてもらったきっかけの話は長いからみんなの前で話するからそれまで待ってね」

私の話を聞いた簪は呆然として眼を見開いて言葉を失っていた。

無理もないか…篠ノ之束の独自理論は非公開。束しか知りえない情報を私が持っているとか嘘だろうって言うだろう。

 

 

「あは…それは、嘘だよね?」

予想してた通りに苦笑いしている簪から返事を聞いて私は言う。

 

「思わず呟いた武装プログラムの中身は、マルチロックオンシステムと言ったら信じられる?」

返事を返すと簪は戸惑い、体をおどおどし始めた。

記憶を戻してもやっぱりこういうの見るのは微笑ましいという感情は残っている。

そんな子供は私は……その感情は無くしたままだった…感情がなくなりすぎている私に改めてうんざりする。

 

「え、と…合っている…けどどうして、そんな話してくれた…?」

簪は落ち着きを取り戻して質問してきた。

 

「これからもっと大変な事が起きるかもしれないから、簪のISは完成させなければいけない。知っていて教えずにとっとくのがもったいないから、束さんの独自理論は誰よりも喉から手が出るものだけど闇雲に教えるつもりは私は考えていない。けど簪のISは手作りで大事にしてくれると思うから私は教えたい」

淡々と強い口調で言う私。

語り癖は相変わらずだったのか…。

簪は思い悩んだ様子で考えこんでいた。

 

「…朱音、教えてほしい。みんなでこれ作っても、まだマルチロックオンシステムが未完成だから…」

意を決したのか真剣な表情で私を見る簪。

だから私は頷き返す。

 

 

しかし、午後の授業は普通科目だからこのままサボると言うが…思い悩んだが今私が目が覚めた事により事態が変わる可能性も捨てきれない。

だから私は簪と長い話をする事にした。

束から聞かれた独自理論と知識にマルチロックオンシステムの完成への糸口があったから。

簪は私と知識の飲み込みの早さは似ているのかな?真剣な顔でずっと聞いていた。

 

 

…………しばらく経過後。

 

 

「ふぅ…私の語り癖が災いしたかな…思い出すほど話が止まらなかった。でも完成への糸口にはなると思う」

「すごかった…知らないこと多かった…それに朱音…言葉遣いが変わった…」

話を終えて一息ついてからベッドに横になった私に簪の言葉を聞いて言葉遣いの変化は気づくか。

 

「言葉遣いは昔の私の影響だ。ふぅ…無意識だと言葉がきつくなりそうね」

「でも、朱音は朱音だからそのままで良い。それじゃ、長くなったから私は帰ります」

「そう…またね。簪」

話のやり取りをすると簪は退室していった。

 

「ふぁぁ……」

話疲れたから少し寝るとする…。

 

 

…。

……。

………。

…………。

 

 

――花蓮。起きて

 

 

――起きて…花蓮?

 

 

 

「んぅ?エイ…楯無帰ってきてたか…」

私を起こすエイミーの声で眼が覚めたが目の前に居たのは楯無だった。

声は違うのに雰囲気が似ていると、こうも間違えるのか…。

 

「エイ?どうしたのよ朱音ちゃん。それに今男ぽい言葉遣いだったわよ?まるで織斑先生みたいね」

やれやれといった表情で言う楯無。

思わずエイミーと言いそうになったのを聞いたか…。

観念して教えておくのもいいか。

 

「言葉遣いは過去の境遇のせいだ。私が私であるが為にそうなったんだ。その時出会ったのがエイミーという女性だ」

淡々と言う言葉は楯無の言った通りだ…。

完全にこの学園に来る前の私の他人行儀の言葉遣いに戻っている。

 

「朱音ちゃんの過去に何があったのかわからないけど…記憶喪失してた頃の言葉遣いが元の姿ならそれはちょっと悲しいわね。エイミーって人はどんな人だったの?」

しょんぼりと悲しそうな表情で言う楯無。

雰囲気が似ているからエイミーの姿とだぶりそうだ。ここまで記憶にエイミーが依存していると勘違いしそうできついな。

気を張り直さないといけない…。

 

「この言葉遣いは仕方が無い。私が心強くあろうとした為にこうなった…エイミーは雰囲気と言葉遣いが楯無と似ているとしか言えない」

相変わらず私の口から出る言葉は淡々としていて感情は何も篭っていない。

無感情の私なのだから仕方が無いが…。

私の話を聞いて楯無は首をかしげた。

 

「私と…似ている?うーん、どういう事だろう?」

いつもの扇子をあごに当てて考え込む楯無。

無感情な私では理由が答えられない…。

 

「そういう事。私は過去の境遇のせいで無感情になった物が多くなった。楯無、私の体が無反応だったのも過去の境遇のせい」

淡々と告げる私の言葉に楯無は険しい表情になった。

無感情無反応。並みの人じゃないことを意味しているから。

 

「そう…常人…並みの人じゃなくなっているわけね。エイミーと私は似ていると受け取っていいのかしら?」

やれやれと両手を広げて言う楯無。

少し悲しそうな感じに感じる。

 

「それで合っている。私は知識では理解はしているけど並みの人の感情を言葉として表現する事が出来ない。だから」

「ストップ。朱音ちゃんはなんだか話長くなるから、一言で良いわよ」

私の言葉を止めようと扇子をビシっと突き出して止めた。

まあ…語り癖のせいでたしかに話が長い。

苦笑するしかない。

 

「さてと、朱音ちゃんを起こした理由を言いそびれる所だったわ。これ戸籍情報よ」

楯無は一息ついてから紙を私に手渡した。

それを見て私がモノクロームアバターに居たときに確認した情報と同じだった。

やはり両親は8年前に死亡に入っているが私の戸籍は部隊に身を置いていた時に戸籍復活させたからそれは良い。

しかし前にも確認した時と同じで親が亡くなった事に悲しいという感情は結局沸かない…。

 

「それと学園長が待っているわよ。朱音ちゃん…いいえ、花蓮ちゃんが会ったら驚くかもよ?ほら着替えて」

「学園長が…?まあ、今は従うしかないか…」

楯無の話を聞いて私は険しい表情になった。

なんか違和感と疑問が沸くが素直にIS学園の制服に着替えてついていくか…。

 

 

…。

……。

………。

 

 

IS学園―学園長室前―

 

「それじゃあ花蓮ちゃん。私はここで待っているから後は1人でいってらっしゃい」

「ん?わかった…」

楯無とは学園長室のドアの前で別れて、私はドアを開け中へと入った。

そこで待っていたのは壮年の男性…いや…あの人は…。

 

「久しぶりだね。君を待っていたよ」

「あ、なた…は…」

花蓮は驚愕し身を固めた。

IS学園の学園長に私は見覚えがあった…。

 

「あの時はすまなかったね。君を保護するべき立場でありながら守れなかった。そして君のご両親には大変に悪いことをしたよ…自己紹介しよう。私はこのIS学園の学園長"轡木十蔵"(くつわぎ じゅうぞう)8年前に君を保護した研究所の所長をしていたよ」

十蔵の話を聞いて花蓮は余計に息を呑み言葉を失っていた。

……こういう形で再会するとかこれが運命という事なのか…?

 

「事情を話すよ。8年前君がIS適性Sと知った時、私は君を保護したつもりだった。だがね。どこかで情報が漏れて嗅ぎ付けた亡国機業によってご両親から研究所の施設の場所を聞き出し殺されてしまった。重要人物保護プログラムに入っていたにも関わらずにだね…。そして君が連れ去られてしまった。私は全てを知った時とても落胆し後悔をしたよ。そこで私は研究所を閉鎖し国際IS委員会に入りこのIS学園設立へ向けて歩みだした。君のような人を今度こそ保護する為に、もうこのIS学園は国際的にも世界からも保護された存在となった」

学園長の十蔵は謝罪の念をこめながら話をし、それを聞いた花蓮は全てを察したように神妙な表情になった。

……8年前私が連れ去られた事でIS学園が設立され…8年前の"全ての始まり"のきっかけから様々な連鎖で今ここに"運命"として再会しているような…。

私の両親はもう前々から知っていたからいまさら驚く必要はない…ないが…学園長の存在には驚いた…。

 

「……学園長。私はたしかに8年前連れ去られていろんな苦しみがあった。様々な闇と罪悪を背負いここまで来た。でも研究所の人達には私は何も悪い気持ちは一切感じてない。あの時の私は孤独感はあったけど人が側に居たから安心して過ごせた」

私は驚きで声が震えていたけど、思い返してみても8年前のあの白い部屋…研究所の施設の人達には悪い気持ちは何も感じていなかったからそれを伝えた。

それを聞いた学園長は頷いた。

 

「それは良かった。君がこの学園に記憶喪失で運び込まれたと知った時、私は何かの間違いかと思ったよ。顔が似ておりIS適性S…君は何をしに記憶喪失までしてここに来たのか、その訳を知りたかったよ。復讐なのか…とね」

話の後半が険しい表情の学園長…私は理解したけどそれは違う。

記憶喪失してまで復讐する者は居ないが私の事情を知っている学園長としてはその可能性は脳裏から離れなかったのだろう…。

 

「学園長、私は連れ去られてから様々な関わり合いによって織斑千冬、織斑一夏、篠ノ之束、亡国機業、裏社会の闇まで関わった。敵の敵は味方の言葉通り私は全てを伝えにここに来た。膨大な記憶と共に『運命の歯車』となって歪んだ歯車を正しい動きへと動かす為に」

私は強い口調で言った。言葉に何も感情は無くても言葉の意味、想いは間違っていない。

 

「そうですか。君はただ連れ去られた訳ではなくそこまで…正義感が溢れるようになったのですね。わかりました。後は君の気が済むまで話をすると良いです。更識くんと一緒に特別会議室へ行きなさい。みなさんがお待ちかねですよ」

「はい、わかりました。花蓮ちゃん、行きましょう?」

穏やかな表情で学園長が言うといつのまにか隣に楯無が居た…。

驚いている内に来てたのか…そして察した。皆が私の話を聞きたくもう待っているという事だった。

 

「「では。失礼します」」

「はい、私も後から話を聞きに向かうからね」

退室するときの学園長の言葉を耳に聞きながら退室して、特別会議室へ楯無と一緒に向かった

 

 

 

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