食事を挟んでひと時の休息をした後に話の続きを始めた。
「……で、次の話はもう予想がつく人も居ると思うけど、篠ノ之束の話です。私と束さんが面会し話を出来たのは4年前の一夏事件後半年ぐらい経った時です」
「やはり私が留守の間に束は花蓮と面識があったのか…」
花蓮の話を聞いて千冬は真剣な表情で頷いた。箒は目を閉じじっと、何か身構える様子で聞き入っていた。
――花蓮は束との面会した時の話をした――
「――で、束さんは最後に私に言っていた。私は私の欲望を止められない。選択を間違い続けている。だから間違いを起こしたら正してとだから私は決心した。なら私が束さんの間違いを正すことを、運命の歯車となる事を決めて、今ここに居る」
淡々と強い口調で言う花蓮の話を聞いた箒が急に立ち上がった。
「黙って聞いていたが!姉はそこまで分からず屋ではおらんぞッ!!」
「篠ノ之、落ち着け。束は花蓮の言う通り分からず屋の大馬鹿者だ。近くに居た私だからこそわかる」
「なっ……」
今まで花蓮が話したのは姉である束の懺悔にも思える話だった為にそれに激怒した箒を隣に座る千冬が箒の肩を掴み抑えた。
厳しい表情で千冬が力強く言うのを聞いて箒は困惑と驚愕が入り混じった。
花蓮は何か察したような眼を細めて箒を見ていた。
「箒は今感情を抑えられなかった?だから感情を爆発させても誰かに止められなければ感情の制御ができないでいる。赤椿を貰ったその後の箒はどうなっている?」
花蓮が鋭い言葉で箒に質問すると、箒は心当たりがあるのか暗い表情を浮かべた。。
「私は姉から赤椿をいただいた時は力に身を任せて…でも一夏が倒れたとき私は気づいた。周りが見えてなかった…だから赤椿を捨てようと…」
「はぁ……そっちじゃない。私が言いたいのは『その後の箒』の話だ」
「「なっ!?」」
箒の答えを聞いた花蓮は溜息を吐いてから鋭く力強く強調する言葉を聞いた箒は驚き、一夏は何か気づいたように驚愕の表情で席からガタっと立ち上がった。
「花蓮さんちょっと待ってくれ!代わりに俺に言わせてくれ。あの事件の時の箒は声が弾んで浮かれていたように俺は感じて不安と心配で心苦しかった。だけど今の箒もそうなんだ。俺と模擬戦したときの箒は声が弾んでいる。特訓の時もそうだ。箒は声が弾んでいる…あれは浮かれているんだ…しまった…今の俺ですら強くなろうと熱くなっていて箒の異変に気づかなかった…」
「私は、た、たしかに…一夏に強さを…見せ付け、ていた…」
一夏が真剣な表情で力強く言う言葉に箒は動揺を隠せず眼が泳いでいながらも震える声で言った。
鈴、セシリア、ラウラ、シャルロットは「そういえば…」と心当たりがあるのか落胆したかのように暗い表情で呟いていた。
「箒は力に身を任せるという欲望を持っている。そして後からそれに気づいてもなお繰り返している。それは束さんも同じ。束さんの欲望の意味は『自慢』ただそれだけ」
「いや…たしかに私は力に身を任せて見せ付けておった…それのどこが姉の自慢だと…?」
「束め…はぁぁぁ…どうりで言う事を聞かなかったわけだ。やりすぎるなとあれほど言ったのにな…」
花蓮の話を聞いても箒は理解できない様子で困惑していたが、千冬が深い溜息を吐いてから心当たりがあるのか額に手を当てて話した。
「織斑千冬。あなたなら知っているはず一番近くに居た人なら束さんが赤椿で何をしたかったのか、それを教えないと箒は今も力に身を任せて浮かれて後戻りできなくなる。今言わないと何かがあってから気づくタイプは言われても繰り返します」
「篠ノ之座れ…。花蓮の言う通りだ。束は妹を自慢したいが為に赤椿を作った。篠ノ之が望むも望まないにも関わらずもう作り始めていたのだ。だから私はやりすぎるなと言い聞かせていた。だが赤椿が来た時の事を覚えているか?『銀の福音』の暴走事件あれはどう考えても束が引き起こしたものだ」
花蓮の話の後に千冬は立ち尽くす箒を席に座らせてから厳しい表情で話を続けた。
話を聞いた花蓮は全てを察したかの様子で深い溜息をついた。
「束さんは力を見せ付けたかった。10年前の『白騎士事件』同様。妹の箒を高みへと登らせる為に、まるで『あの時のように』織斑千冬。隠している事を話してください。私にはもう憶測はついています。そう『白騎士の操縦者』は織斑千冬あなたでしょう?」
「千冬姉。俺からも頼む。あれはどう考えても千冬姉だって最初から気づいていたけどバレたら危ないだろうから俺は何も聞かなかった。でも今話してくれないと困る。今なら極秘としてみんなの口が堅いからさ…」
「織斑先生。話して貰って構いませんよ。学園長の私でも予測はついていますよ。あなたが白騎士の操縦者という事はIS適性Sと発覚した時になんとなく想像はつきましたから、篠ノ之博士とあなたが一緒だったからね」
真剣な表情で花蓮と一夏、そして穏やかな表情で学園長である十蔵までもが千冬に視線を向けて話して、千冬は落胆したような表情だった。
「ふぅ…学園長にまで言われてしまっては言うしかないか…極秘の極秘だぞ…わかっているとはおも…いやもう銀の福音事件でわかっているか…」
千冬は観念したような落胆した表情のまま席の背もたれに寄りかかった。
「10年前の白騎士の操縦者はたしかに私だ。だが、束が泣き喚き私に抱きついて願ったのだ…『ISを認められたい』とそして『白騎士に乗って欲しい』と。それで仕方が無く私は乗った。ISが兵器だと言う事は重々承知の上で力を見せ付ける為に私は故意にやった。出来る限り人的被害は出ないようにしたがそれでも無理な物は無理だ。公式発表では人的被害はないと出ているが、実際には人的被害はあった。だがその事は世界が隠蔽し世に隠したままISは認められた。そして世界は狂ってしまった。女尊男卑の世界を作り出したのは私だ。私の罪は重々承知の上で罪を背負い続けてきた。花蓮のように並みの人じゃないようにな。だからもう私はISには乗りたくないのだ。乗るとまた…一夏のように我を忘れ狂ってしまうんじゃないのか。恐怖は同じだ。白騎士事件と一夏誘拐事件の二つの経験が私の体をISには乗らせてくれなくなった。暮桜自体も凍結されたように石像になってしまった。私の暮桜は実はコアが望んで誰にも乗らせなくなったのだ。私自身ももう乗りたくないから同じようだがな」
千冬は10年前の事を話したが花蓮は鋭い目つきと真剣な表情で視線を向けていた。
「しかし!織斑千冬!あなたは乗らなくてはいけない暮桜を!あなた自身が乗らないと未来は絶望へと向かう。はっきり言います『世界大戦は年明けと共に始まります』」
花蓮は会議室に響くほど力強い言葉で言い放った。
「「「「え、ええぇぇぇ!!??」」」」
「それはどういうことだッ!?」
「……(やっぱり花蓮ちゃん…世界の戦い…重要な意味がそこにあったのね…)」
皆の驚きの声が会議室に広がり、千冬は驚愕で声をあげ、楯無は無言のまま厳しい表情を浮かべた。
「エイミー、ローレン…そこに居るのはわかっている。今どうなっている?」
「す、すみ、ません…」
「花蓮。久しぶりね…」
「「「っ!?」」」
花蓮以外の学園長、千冬、楯無含めてで驚いて身を震わせ固めた。
円卓テーブルの反対側からエイミーとローレンは2人ともスーツ姿でいきなり現れたからだ。
「ローレン貸して…これは今世界の動きを表している地図よ」
ローレンが手に持っていた端末をエイミーは手にし、投影ディスプレイによって虚空に地図が表示された。
地図には何かが表示された点が日本の周りや太平洋に多数表示されていた。
「日本を除いた世界中の軍という軍が日本を包囲しつつあるわ。年明けと共に国際IS委員会を完全無視して日本に宣戦布告する目論見だわ。花蓮が必死に守っていたのは亡国機業からじゃない世界よ。花蓮の代わりに私達が世界の軍の基地を襲っていたから襲撃が止んでいただけよ。スコール達も亡国機業以下全部隊を挙げて基地を襲撃しているけど追いつけないわ…。ちなみに亡国機業は過激派と穏健派に分かれていたのよ。花蓮や私が居た部隊は穏健派によって作られた部隊だったわ。花蓮はそれを秘匿組織って言っていたけどね…花蓮が居なくなってから私達は知らされたわ。そこがモノクロームアバターの核心だったのね…」
厳しい表情で説明するエイミーの側に花蓮が歩み寄って後は自分でするとささやいていた。
「まだ年末の年明けまで数週間もあるにも関わらず、既に太平洋公海にアメリカの軍の塊が5箇所以上ある。南シナ海にはヨーロッパや南米からの軍船まで停泊している始末だ。日本周辺国はまだ動きを見せていないけどそれも時間の問題。それだけ世界規模で行うだけに遠い国からゆっくりと着実に世界の軍が日本を包囲しようと集まりつつある。恐らく年末にはこの点が無数になり日本の周りを囲むように完全に形作る事になるだろう。そして何故年明けと同時なのかはIS学園に居る海外の学生生徒は帰省で居なくなるからただそれだけの事。つまり狙いの的はIS学園であり日本が宣戦布告されたら日本政府自ら自衛隊を引き連れてここに乗り込んでくるだろう。そうなると…想像絶する」
鋭い目つきで投影された地図を見ながら言う花蓮の言葉を聞いてIS学園の皆は落胆の表情を浮かべていた。
「ふぅ…それにしても亡国機業ファントムタスクの実働部隊モノクロームアバター…って花蓮ちゃんがそこに居たというわけ…?」
楯無は一息ついてから更識家が把握していた情報を並べながら花蓮に視線を向けて質問すると花蓮は頷いた。
「楯無、そういう事。私は部隊長で今も変わらない。辞めていないから、私がここに来た理由は世界からこの学園を守る為だけどそれをさっきまで忘れていた。でも暮桜が思い出してくれたから。ここに居るだけではダメだと」
花蓮が告げる言葉に千冬はまゆを潜めた。
「私の暮桜だと…?」
千冬が鋭い目つきで花蓮に視線を送って花蓮は頷いた。
「白い髪の少女。あれこそが暮桜のコアの姿。白騎士のようなものはさらに白騎士のコアだけどそれは白式のコアであり、それが起点となってそれぞれのコアネットワークを介して霞桜によって私に伝えた。記憶は消えて無いんだから霞桜のコアが私の記憶を読み取って私が世界大戦を引き起こさない為に動いていたのを知って私の頭の中でずっと言っていた。それが始まったのはここに来た時だから全部話してから言うつもりだったけどつい口が滑った。それになぜ姿が見えたからって、私も同じだから。私の場合は幻影として目の前に出ていたけど束さんの独自理論と独自知識を持っていたから投影方法を見つけたんだろう。ワンオフアビリティみたいに恐らく私にだけ起きてても幻影として見せてくるんだろうけど…一夏や織斑千冬は見えていた?」
花蓮は淡々と話を進め、それを聞いた一夏と千冬は一息はいていた。
「花蓮さん…それは当たりだ…白騎士のような姿と白髪の少女は俺に現れていた…そして世界大戦か…はぁ…」
「一夏もか。私もだ…実は4年前に叫んだ後の私は放心し意識が飛んでいた。それを起こしてくれたのは白髪の少女だった…『あなたは何しにここまで来たの?』と…あれがコアが見せる姿なのか…」
うな垂れながら言う一夏の話に同情するように千冬も言うと、それが暮桜だった事に驚きで動揺を隠せない。
「織斑千冬。私は全てを思い出した今急がないといけない。まだ数週間の猶予はあるけど年明けで始まる因果を歪めないといけないから。暮桜は私の記憶によってこれは寝ている場合じゃないって思っているから…恐らく解凍しているはず。後はあなたの覚悟次第」
「何?……わかった。暮桜に乗れというのだな?さすがに世界が相手なら乗ってやるが荒療治だな。真耶後で覚悟しろ。酒でな」
花蓮の話を聞いて千冬は思い悩んだが意を決して力強い表情で言ったが最後の言葉に終始黙って聞いていた真耶がずっこけた。
「あらら?結局先輩はお酒に走るんですか?それでISに乗れるなら何回でも付き合いますよ」
「千冬姉…相変わらず心労は酒で消すのか…」
「真耶も一夏も何を言う。酒は私の楽しみだ。だがいろいろ話をして知った今は私の気持ちは幾分すっきりとしているから荒療治はそれほど必要ないかもしれないが試さない限りはわからないだろう」
微笑みながら言う真耶とがっかりとうな垂れながら言う一夏に、ムッと険しい表情で話を返す千冬。
「…花蓮ちゃんはこれからどうする気?」
「私は行かなければならない。軍の部隊が出ている今各国の基地は恐らく最低限の警備状態で手薄。基地を狙われたと知ったら日本包囲している軍は引かないといけないからそれに数ヶ国が軍を引けば計画は崩れると思う。ただ、1つ気がかりなのがある」
険しい表情で楯無は質問すると、話を返す花蓮は最後の言葉は厳しい表情になった。
「織斑マドカ…あの子の存在がある。スコールが施設で見つけて強かったから引き入れたらしいけど私でも事情がよくわからない状態なんだけど、織斑千冬…これどういう事?」
「お、おい。それ…俺がこの前聞いた妹がどうとかだ…千冬姉!?」
「………」
花蓮が告げる織斑マドカの話に一夏が驚きで大声を出すが千冬は驚愕の表情で身を固めて言葉を失っていた。
「花蓮。私から説明するわ。花蓮が居なくなってから事態が悪化したからスコールが教えてくれたわ。織斑マドカは織斑一夏の2歳年下の妹で10年前は織斑一夏は5,6歳だから織斑マドカは約3歳ね。後花蓮これ」
「エイミー。そういう事か…10年前の白騎士事件で日本や世界を大騒動にした原因を作った織斑千冬は両親に叱られた…後は私の憶測だからはっきりと教えてください。織斑千冬」
エイミーの説明から花蓮は予測を先に話をして千冬に視線を送ると千冬は観念したかのように溜息を吐いた。
それからエイミーが手渡した紙を花蓮は見て眼を細めて見ていた。
「そうだ。白騎士事件の正体なんてな…織斑、篠ノ之両家の親から見ても私と束しか考えられなかったからな。篠ノ之のほうは保護プログラムで別れる運命になってしまったが、私の両親はそうではなかった。当初の両親は私だけを置いて家から出て行くつもりだったが束は一夏の事を弟のように可愛がっていたから私の傍に置いていたほうが会いに行きやすいと思ったのだろう…私の両親に束が自分のせいだからと土下座までして願い出たからそこまで言うならと一夏を置いていってくれた…が、まさか…そんな事になっているとは…思わなかった…」
千冬は落胆し頭を抱えながら話を聞いた一夏は胸が苦しいのか険しく浮かない表情を浮かべていた。
「私は1を聞いて10を知るということわざの通りの理解力がある。で、今エイミーが見せてくれた紙で全てが繋がった。織斑の両親は既に他界していて織斑マドカは織斑千冬の身内だからとIS関係の施設に預けられた。その施設でマドカもIS適性Sだった。恐らく何かがあって私とは別の訓練所のような施設に送り込まれた。そこも亡国機業が管理している施設の1つだ。後は言わなくてもさすがに私の境遇と照らし合わせたらわかるだろう」
花蓮は真っ直ぐで真剣な表情ではあるが相変わらず感情は篭らなくても言葉一つ一つを力強く言う話を聞いた皆は理解し納得した表情で頷いた。
「俺がマドカと出会ったとき、何か復讐染みた言葉を言っていた。あれが花蓮さんの境遇と合わせたら…俺でも捨てた両親に少なからず嫌いに感じていたからそれが悪化したと考えるほうが早いな」
「憎悪と復讐のマドカか…想像したくないが花蓮。今まさにそうなっているという事か?」
一夏と千冬は花蓮の話を聞いて俯きながらも、一夏の話を聞いた千冬は察したように表情が真剣に戻った。
「そう、しかもスコールが任務で束さんと接触したときにマドカが持っていたISを改造して赤椿以上に得体も知れないISを作り上げた。私がここから離れたら恐らく襲撃してくる。私もIS適性Sで赤椿並みの力があるから邪魔されたくないだろうから近くで見守っているかも」
「なんだとッ!?束は本当に大馬鹿者だ!赤椿のみならずまた自慢をしたいのか…それほど力を見せつけたいのか…」
花蓮が告げる言葉を聞いて千冬は驚きの声を大声で出し、最後には声が小さくしぼんでいった。
「姉は何を考えているのかもう私でもよくわからん…本当に花蓮がおっしゃった通り欲望のままに動いておられる…」
「俺はわかる気がするがもう何も言わない。箒は今ここにいるから俺達が言い聞かせれば変にならないだろ?でも束さんは今ここに居ないからどうしようもできない。それだけの事だ」
「そうだな…一夏の言う通りだ。私が見失っても一夏が居てくれれば殴ってでも私を止めてくれるだろうが姉は居ないから止めようがないものな…辛抱するとしよう」
箒は心が痛んだのか浮かない表情でも一夏が箒を言い聞かせて気を取り戻したのか表情を真剣に戻した。
「私の霞桜は束さんの後悔と反省で我に戻ったから急遽大急ぎで作った。赤椿が元になっているのは変にやりすぎない為に原型にしたんだと思う。システムアシストがついている多段階瞬時加速は赤椿が暴走したときは私が取り押さえる為の速度を誇れるようにした為と私はそう予測している」
「まったく…束は我に戻るのはひと時でしかないとはな…」
「姉は私のように力じゃなく知識に浮かれされて反省しては繰り返して…ということか…」
花蓮の話を聞いてやれやれといった表情で言う千冬と納得した表情の箒。
「恐らく、もう束さんの頭のネジは狂っては戻って、狂ってはを繰り返しているから私…いや私より身近だった織斑千冬が不規則な頭のネジを毎回直すように側に置いてないといけない」
「そうか。束のあの狂った大馬鹿な頭のネジは私が殴ってでもネジを直してやろう。それと花蓮。私の事は千冬で良いぞ。花蓮の心の強さと正義の志に私は負けたからな」
花蓮の言葉を聞いて千冬は決意をしたように、体を力ませていた。
「そう…わかりました。千冬」
「花蓮さん。俺や千冬姉よりほんと正義だ…俺のみんなを守るなんて言った正義感なんてほんのちょっとでしかなかった」
「一夏。1人で全員を守るのは無理。理想を語るのは自由だけど、未来の為にここに居る皆で皆を守るように心強くしないといけない。それと世界の軍は一夏を狙って包囲を始めているんだから一夏はむしろ自分で自分を守るぐらいの決意で強くならないといけない。千冬みたいになれば世界が敵にならなくなるかも知れない。その理由は千冬が知っている」
花蓮は頷き言った後の一夏の言葉を聞いて、厳しい顔で一夏を見ながら言った。
「あぁぁぁ…やっぱり狙いは俺か…なんで日本が包囲され始めているかなんてなんとなく俺だよなって思っていた…だけど俺そこまで強くなれるだろうか…」
「織斑一夏くんは国際IS委員会を通しての身柄引き渡し要請を再三に渡って今まで学園は拒否し続けていましたからね。痺れをきらしてしまいましたか…」
落胆の表情の一夏と学園長は溜息をつきながら話した。
「一夏。こうなった以上はお前の鍛練は私が直々に教え込んでやる。私が世界大会の決勝に勝ち進むまで私を狙う輩は何回かあったがその度になぎ倒していた。だが勝ち進んだ途端に私を狙う輩は居なくなったからな。人気は…それは仕方がない。それと私がISに乗れたときには1年生の諸君も覚悟しろよ?1年生で教えない事を一気に教え込んでやる。本来3年生で教える物ばかりだぞ?特別待遇だ」
「「「あは…あはは…それは、よろ、こんで…」」」
千冬の真剣な表情で皆を見ながら言うと、1年生の専用機持ちは良いのか悪いのか複雑な心境で乾いた声をあげた。
「年明けまでIS学園側は専用機持ち全員の強化が最優先。軍のIS部隊も居るから10年前とは比べ物にならない戦闘の規模になると思う。ただその前にさっきも言ったけど私がここから離れた時には織斑マドカが現れると思うからその時は気絶させてでも捕まえたほうが良い。あれ絶対束さんも見ているはずだから千冬か一夏がマドカを捕まえた時に束さんを呼んだら飛んできてくれる事を願うしかないけどね」
「そうか。マドカは大規模な戦闘になる前に復讐しようとするだろうからな。現れた時にはなんとかしよう。束も無論わかったぞ。飛び跳ねる兎はどこから現れるかわからないからな」
花蓮の話を聞いて千冬は頷きながら、納得した様子で話を返した。
「それで、花蓮ちゃんはここから離れるわけよね?私も連れていけないかしら?そっちは強い人が1人多いほうが楽でしょう?」
「お嬢様っ!?」
「お、お姉ちゃん!?」
「おい、更識姉。何を言っているんだ?お前は学園を守る義務があるだろう?」
楯無の突然の願いに虚、簪、千冬は声をあげたが学園長と花蓮は考え込んですぐに話を返してこない。
「…楯無はロシア国籍でロシアの国家代表だから連れて行けない。顔で正体がばれる。それでも更識家、ロシア国籍。全てを投げ打つ覚悟はあるのか?」
「行くわ。ただその前にISはロシアに返さないといけないわね」
「花蓮。良いの?かなり危ないわよ?」
花蓮は力強い言葉で質問をし返して楯無は決意したように真剣な表情で話を返したが傍に居るエイミーが心配そうな声をかけた。
「やる順番が変わるけど問題はないし覚悟の上でついてくるなら私はそれに答えたい。1つ言える事はISのコアは人の記憶を見るのが好きなようだ。楯無のISにまでコアネットワークでリンクするなんてね」
「ちょ!ちょっと!ミステリアスレイディ!?私の記憶を覗き見して花蓮に教えちゃったわけ!?」
「ふふっ。更識姉はやはり花蓮に惚れてしまったのか」
「そうだと思っておりました。お嬢様が今日に限って生き生きしていらっしゃったのも青木さんが好きだったのですね」
花蓮が告げた言葉に戸惑い顔を真っ赤にして大声をあげる楯無を見て、千冬と虚は"ちゃん付け"を忘れた楯無を見て納得した表情で微笑んでいた。
「良いでしょう。更識くんは花蓮くんに任せます。明日付けでIS学園を退学ということで処理しましょう」
「ありがとうございます。十蔵さん…今までお世話になりました」
「構いませんよ。私は花蓮くんとこうして再会し話を聞けただけでも今は感無量なのですから。更識くんとはいろいろありましたが、私は花蓮くんの生き様を見ていないよ。更識くん、私の代わりに見てやってくださいね」
「はい。わかりました」
穏やかな表情で言う学園長に楯無は頭を下げながら話を返す。
「私達、モノクロームアバターがこれからする事に順番が変わるけどやる事は変わらない。明日明後日…ぐらいにはここから出る。それまでは楯無は引継ぎとか忙しくなるだろうからそれが終わってからにする。運命の因果を歪めて防ぐまでの期限は年明けでありまだ数週間あるから急ぎ足になるのもいけない」
「良いわよ。いろいろ山ほどあるし、生徒会長は副生徒会長の一夏くんに早いけどやってもらわないといけないわね。学園最強自体は次の年度になるまで看板無くすように生徒に通達もしなきゃいけないわ」
「なんだかんだと俺のほうが忙しい気がしないでもないが、花蓮さん達のほうがもっと大変だろうから泣き言は言えないぜ」
「安心しろ一夏。生徒会長というのは学校行事を考える事だけだ。ISを使うような物は教師が考える事だからな。今年は更識姉のせいで去年より行事が多かったのだぞ?」
「マジかよ。千冬姉…もしかして1学期のペアのトーナメントとかって…」
「んふふ。一夏くん、裏を返せば実は私よ?1年生の専用機持ちが多かったからね。早く強くなって貰わないと白式を守りきれないと思ったのよ。なかなか思ったより一夏くんが強くならなかったから2学期になってから私が直々に出てきたわけよ。半分はロシアからのデータ収集の要請がうるさくなったのもあるけどね」
花蓮の説明からの話のやり取りは楯無、一夏、千冬、一夏と回って最後は楯無の話によって一夏は愕然として言葉を失った。
「…ローレン。部隊装備一式。ステルスも含めて私の分と楯無の分持ってきて。それからこの事もエマ達に伝えて、内容はわかるね?」
「わ、わか、わかりました。い、いってきます」
「しっかりね。ローレン」
花蓮はローレンに視線を向けて指示し、エイミーも見送る言葉をかけるとローレンは虚空に消えていく、完全ステルス迷彩によって空間の歪みさえも感じなくその場から居なくなる。
「今思ったが、花蓮。あのステルスは束の物だろ?」
「そう、夢見での記憶が飛んでて徐々に思い出しているんだけど、束さんが失踪直後に私の所を隠れ家にしてた時に携帯型完全ステルス迷彩装置を結構な数作って置いていった。それと…移動手段も面白い物置いていってくれたけどそれは別れの際に見せることにする」
「束め…花蓮の所が居心地が良いからとお礼代わりにいろいろ作っていったんだな。しかしそれでも花蓮の所から出て行ってしまったか。飽き性の馬鹿者め…」
千冬の質問を花蓮が返すと納得した表情ではあるが最後の言葉はやれやれといった感じで千冬は答えた。
「あの、花蓮…私ちゃんと山嵐完成させる。そしてお姉ちゃんの事よろしくお願い。更識家はお姉ちゃんが居なくても私が居れば名は残るから…」
「簪。がんばって作って完成させて。それと楯無はしばらくは私のほうで預かるけど遅くても年明けには事態がどっちに転んでもここに帰ってくるからずっと別れるわけじゃないから」
「そうよ。簪ちゃん、私はいろいろ国籍とか捨てていくけど。ロシア国籍だった時でも私は更識家には戻っていたでしょう?そんな感じよ。無国籍…?になるのかな?」
「楯無。覚えている人がいれば無国籍でも関係ない。手続きできないものが多くなるけど怪我とかは私達の部隊でどうにか出来るからそこは心配しなくていい」
「うん…お姉ちゃんも花蓮もがんばってね…言うのまだはやい…かな?」
「んふふ。簪ちゃんまだ今からいくわけじゃないのよ?その言葉は別れ際に言いなさいね」
簪、花蓮、楯無は話のやり取りをして微笑んでいた。
「どうかお嬢様をよろしくお願いします。話には伺っておりましたが、恋って人を選ばないという事が理解できました。実は……」
虚が花蓮の傍にきて話をしてきたが最後の言葉で体を揺すりながら顔が赤くなった。
「ふふ…虚。あなたもしかして好きな相手できたの?それも一般人…庶民の人でしょう?」
楯無が察したように微笑みながら虚に質問すると、恥ずかしさで顔を真っ赤にして無言のまま頭をコクリと頷いた。
「虚。がんばりなさい。恋ってね結構きついのよ?」
「は、はい…お嬢様…それは、わかります…すごく…辛いです…」
楯無が虚に向けて言う言葉に赤い顔を俯かせて言う虚。
「それではみなさん今日はご苦労さまでしたね。いろんな話が出てきましたがやる事はただ1つです。がんばりましょう。みなさん帰って休みなさいね」
「「「「はいっ!!」」」」
学園長の話で全員が声を揃えて返事をし、寮へ帰る者は退室していった。
残ったのは学園長、千冬、真耶、虚、一夏、花蓮、楯無、エイミーの8人。
「花蓮くん、君のおかげでこのIS学園の脅威を知らせてくれてありがとうね。まだ脅威は去っていないけど私達を世界を守る為の正義感には心躍らされたよ。まるで8年前君がISに乗って初めてなのに動かした時のようだ」
「学園長があの施設でISの知識を教えてくれなかったら訓練所という所に行った私は皆を守れなかったのかもしれません。これはお礼返しです。最後の土産は平和を届けたいと思います。それと学園長は国際IS委員会には出向かないほうがいい。軍の過激派が学園長を取り押さえようと本部周辺に居るらしいから」
「…委員会はわかっていましたが軍が出ているなんてね。わかりました。それと言い忘れていたね。花蓮くんの身元は委員会は周知しているけど霞桜はIS学園の所有物の扱いだよ。後はここまで言ったら君なら理解しているね」
「わかりました。元々亡国機業自体がテロリスト集団…それに私は訓練所で汚れた身だから覚悟は全て出来ています。影を纏って闇となり光となる存在"闇光"(モノクロ)だから部隊名の由来でもあります」
「そうですね。花蓮くんは保護したときから…いや、この話はもう止しましょう。私はこれで失礼しますよ」
花蓮と学園長は話のやり取りをして、最後は穏やかな表情で学園長は退室していった。
「…話は今はこれぐらいで楯無。エイミーも寮の部屋に連れてって良い?」
「えっ…うーん。織斑先生大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。今は特別だがどうせ女同士だ。そんな騒がしい問題は起きないだろう。一夏は別だがな」
「千冬姉…なんで俺に話向けるんだよ…」
花蓮の願いに楯無は思い悩んで寮監でもある千冬に聞いたけど平然とした態度で承諾した。
最後の一夏への話で場は笑いでこみあがった。
「花蓮、ありがとう。でもごめんなさいね…結局私達だけじゃ手が追いつかなくて…」
「良い。エイミー達は私が寝ている間だけでも抑えていた甲斐はあっただろうからそれで十分。私が起きてすぐに事が起きる事態だったらさすがに悩む」
エイミーが感謝と謝罪をするが花蓮は首を左右に振って言った。
「じゃあエイミー行こう。楯無も」
「「良いわよ」」
「ッ!?」
花蓮の呼びかけに楯無とエイミーの言葉が揃って花蓮は驚愕したがそれを聞いた千冬がやれやれといった表情を浮かべた。
「まったく、お前達は声は違うが言葉遣いが似ているせいで言葉が重なっているぞ」
「「あはは……」」
千冬の指摘で、楯無とエイミーは苦笑と乾いた笑い声を浮かべた。
その後花蓮と楯無とエイミーは退室していった。
「織斑くん。片付けは終わりましたので私はこれにて…後、年明けまでは生徒会行事は私のほうで行いますので今は訓練に集中してください。それでは失礼いたします」
「あ、虚さんわかった。今日はありがとう」
「いいえ。今日は私にとっても貴重な時間でした」
虚はお辞儀をしながら、一夏に向けて話をすると退室していった。
「先輩、大変な事が山積みになりましたね。これからどうするつもりですか?」
「まず最初は花蓮達がここから離れたらマドカが来るんだろう?黙って見ている場合ではないな。私が暮桜に乗らなくては自分が情けなくなる。花蓮の操縦能力があれほどならマドカも同じぐらいだろうな。ならば一夏はまだ相手にするのは早い。私が直々に出る」
千冬の横から心配そうに言う真耶に決意を胸に真剣な表情で話を返す。
「千冬姉。俺もがんばるけどさ。やっぱりマドカは千冬姉が責任もってやったほうがいいって俺は思う」
「そのつもりだ。お前達はもう帰れ。明日から忙しくなるぞ」
「「了解」」
一夏の言葉に鋭い目つきで千冬は言うと真耶と一夏は頷いて退室していった。
「ふぅ……(暮桜が待っているなら私はやらねばならないな)」
1人残った千冬は闘志を燃やす決心で体を力ませた。
説明話はこれで以上長かった…。
プロットあっても書き起こすと綺麗なまとめ方が思い浮かびません。