騒動の後は一度寮に戻ってローレンが置いていった私の分の部隊装備であるパンツスーツに着替えた
それから刀奈とエイミーは荷物の準備や話し合いの為に別れた。
IS学園―食堂―
朝の食堂のテレビでは今朝から始まった各国の軍のISコアの機能停止と国際IS委員会の会見など様々なニュースが飛び交っているけど私にはもう関係ない話で皆に聞かれたら話す程度の覚悟で朝食しに来たら案の定1年生の一夏含む専用機持ち全員のテーブルに捕まった。
私のスーツ姿に皆は一瞬驚いてたけど千冬みたいと関心を示していたけど動じない私にとってはどうでもよかった。
「それにしてもコアって理解と学習が早いんだな。昨日の話だったのになんでだろ?」
一夏が早速疑問の話をしてきたけど私は予測しか出来ない。
ちょっと考えこんでいると周りは私が口を開くのを待っているかのようだった。
「私が束さんしか持っていないISの全知識があり、その記憶をコアが読み取ったから、1ヶ月も寝ている間に理解し終わったんでしょう。元々コアネットワークは宇宙空間を想定して作られた物だから通信距離は絶大で、私を介して知りえた知識を全てのコアに情報共有した。今まで専用機に私が乗るまでコアネットワークに入ってないのと束さんもISに一度も乗ってないだろうから乗っていればこんな事態にならなかった…損な役回りですよ。コアは私が目覚めるまで待っていたのでしょう」
予測を説明し、最後の言葉を聞いて皆は苦笑いして箒は「姉のせいですまん!」と謝罪してきたけど、そこまでしなくて良いと言っといた。
「俺と千冬姉も正義感があったから白騎士のコアは正義感に目覚めていたけど、言葉として理解できるものが少なかったんだな…。花蓮さんの経験は嫌でもわかっていてあえてやっていたから…白騎士はそれを理解したっていう所か…」
一夏が納得した表情で言うのを聞いて、それで合っていると頷いた
「それにしても僕達のISは戦いが終わった後武装が全部ロックされちゃったね」
「わたくしのブルーティアーズもですわ…」
「私も…もうロック解除されるまで何もできないじゃない…アリーナは無事だったのにね」
「私の打鉄弐式はロック解除試みているけど手動じゃダメみたい…」
「俺は昨日の今日でさすがに頭を休ませたいからちょうどいいけど…」
「貴様ら浮かない顔してどうする。我慢しろ。さすがに私も驚きとショックは隠せないが致し方あるまい」
「私の赤椿もだが…反省の意を込めて少し出力下げようかと思っていたから考える時間が出来てちょうどよかったのだが…うーむ」
それぞれの口調で全員が意気消沈している様子。
そういえばラウラはドイツ軍所属だけどIS部隊は恐らく解散されるだろうけど聞くつもりはない。
「花蓮さんはこれ、どう考えているんだ?今回の元は花蓮さんの記憶でこうなっているんだろ?」
「予測だけど皆のISは武装が全ロックされているのはコアの意志で見せ付けているだけだからそのうち解除されるだろうけど、どこまで武装が解除されるかはコアの意思次第、多分全部解除してくれると思う。皆が競技用に使うならね」
一夏に質問されたから予測を述べると皆は意気消沈とショックでもっとガッカリしている。
語り癖から最後いらない事を言った気がするけど、希望に賭けてみるのも良いでしょう。
「花蓮ここに居たか。あのISをこの学園に送り込んだのはお前だろ?」
「もう届きましたか…。あれはどこに運びました?」
そこへ千冬が来て声をかけられたからすぐに返事を返した。
この話を聞いた1年生の専用機持ちの皆は興味津々な顔でざわついていたけど千冬が『貴様らは静かに食事をしろ』と言って、食事に専念するように向かわせた。
今気づいたけど千冬はお前と貴様を使い分けているとか器用な事していると場違いな考えがよぎってしまって苦笑した。
「んんっあれは私の暮桜の整備場所と同じ所に置いてやったぞ」
「そうですか。あれ束さんに見つかったら改造されるけど大丈夫ですか?」
「束の奴なら心配無用だ。あの大馬鹿者は首輪をつけて学園長と共に今頃は国際IS委員会に向かっている。まあ学園長とは古い仲だからさすがにもう逃げないだろう。では私が直々に案内する」
束は首輪付きで引きずられて行っちゃったか…首輪付き束の姿を想像したのか1年生の皆は顔が青ざめていた。
朝食自体は済んだからトレーを返して千冬の後をついていく。
…。
……。
………。
IS学園には地下特別区画と言われる地下にある区画の1つに特別整備室があった。
そこに鎮座しているのは暮桜の機体とその隣には"例の物"だった。
「まったく、いつ修復したんだ?そもそもコアは一体…」
千冬は不思議そうに例の物を眺めながら質問してきたから、私は記憶を思い返しながら一息つく。
「IS"シルバリオ・ゴスペル"操縦者ナターシャ・ファイルスは査問委員会の時にかなり怒り心頭に話してたのをスコールの耳に入ったから同情心で、そのコアと設計図を強奪して私達の所に持ってきた。元は軍用ISで武装も強力だから後で武装を量子変換で搭載できるようにシステムを改変させた。翼と一体化しているウィングスラスターは前のと同じ構成。ただエンジンは前の半分以下の最高出力に変えたから、もしも暴走しても誰でも捕まえれるようにしてあるから、これなら委員会も納得できると思う」
話を聞いた千冬は鼻を鳴らして微笑んでいた。
言葉通り例の物は銀の福音で武装以外は復元修復が終わってたけど、どう贈ろうか悩んでいたからこの機会に送ってもらった。
「ならばファイルスには私が話をつけておこう。あいつがこの話を聞いたら喜ぶだろうな。あぁ…忘れていたが花蓮とブラインのISは個人の所有物に変更するぞ。どうせ競技用でしか使えないから持っていたほうがいいだろう。他の皆の専用機はいずれ学園で管理してもいいように受け入れる」
千冬の話を聞いて私は安堵から笑うしかない。
朝からの事態なのに手が早い…競技用に向けてIS学園は手回しを始めている。
「千冬。個人の所有物に変更してくれてありがとう」
感謝の意をこめて話すると「別にどうてことない」と千冬は微笑みながら話を返してきた。
刹那。
《現時点をもってIS学園周辺は全武装のロック解除及び機能停止の解除を行います。他追加場所は選定中……》
システムアナウンスが脳内に聞こえた…IS起動していないのに単一仕様能力みたいにシステムアナウンスが脳内に流れるとか束の独自理論ってそこまで出来るのかと感心した。
早速、告げられた内容を千冬に伝えたら驚いた表情をしたけど「そうか」と微笑んだ。
「ふぅ。しばらくはこの学園は騒がしくなるな。元からだがそれ以上になるだろう。しかし昨日の今日だけに暮桜は整備する必要はなかったな。1年生のガキ共の実習相手にはこのままがちょうど良い。起動がもう出来るか試してみようか…」
言いながら両手でぐっと伸ばすようにほぐしながら暮桜の元へ歩いていく千冬。
今から乗る気だろうと私は近くで見守っていながら、千冬は落ち着いて暮桜に乗る姿を見て恐怖心は無くなったのかな?と疑問をしたけど気にしないことにした。
―キュィィィィン
甲高い音が鳴り響く、ISの起動音だ。
「ふむ。しっかり動くな。久方ぶりだが問題ない。さて、コアの姿に戻してやろう」
狭い室内だから足踏みをするように暮桜を動かす千冬。
出力等の問題は実習訓練なら何も問題ないと私は予測しながら、暮桜をコアの姿へと戻した千冬は地上に着地したけど千冬は首をかしげている。
「しかし、零落白夜が使えなくなっているな。まあ私は構わないが…一夏達はどうだろうか?」
千冬の話を聞いて、私はあっと思った。
単一仕様能力は一夏の零落白夜は一撃必殺に対して箒の絢爛舞踏はシールドエネルギー全回復するという物だから…。
「恐らくコアの意思でワンオフアビリティはロックされたままでしょう。元々千冬は零落白夜だけで世界大会を勝ち進んだけど新しい競技の時代には一夏には不要ですね」
私の説明を聞いて千冬は「一夏は元々弱いからな。一撃必殺は不要な力だ」と鼻で笑った。
「よし、いろいろわかった所で私はもう少しここで暮桜と共に体を動かそう」
「わかりました。私は戻ります」
「ご苦労だったな。これからもよろしく頼むぞ」
「えぇ。千冬もよろしく」
千冬と話のやり取りすると、暮桜を再度起動させて狭い室内でISを動かしている姿を見ながら私はここから退室していく。
…。
……。
………。
IS学園―カフェテラスエリア―
やる事ないから立ち寄った場所はカフェテラスエリアの1つのテーブルで私はくつろいでいた。
ニュースではまだ、コアの機能停止についてが流れているが、束は国際IS委員会につくまで日本から本部がある所までは半日はかかるから、その前に電話会談で簡素ながら軍のコアを機能停止の凍結させたつもりが全部のコアを凍結しちゃったと真実の半分をごまかす話をしてコアの機能停止に伴う一連の騒動はIS開発者の篠ノ之束のせいだったとなって落ち着きを取り戻しつつあった。
「花蓮様。ご無沙汰しております」
「クロエもやっぱり来たか…千冬には話をつけた?」
クロエの声が聞こえてテーブルから顔を上げたら目の前に立っていた。
相変わらずのメイド服姿で背の小さい少女…束がこっちに来て戻ってこなかったら来るだろうと思っていた。
「はい。お話させていただきました。別に構わないと…ただ…」
顔を俯かせて浮かない表情をするクロエの口は途中で止まった。
「寝床は心配しないで、クロエは昔のように私達の所の空いているベッドで寝れば良い。まあいろいろ察しているから皆まで言わなくて良いから」
クロエは元々束と2人で住んでいたから束と寮の相部屋を当てられるだろうが帰ってくるまで私達の相部屋を寝床にさせる。
どうせ1人では寂しいだろうから心配するような軽い気持ちで言った。
「花蓮様。ありがとうございます。それと妹は…」
メイドのように感謝のお辞儀をするクロエ。
妹とはラウラの事でヴォーダン・オージェ適合者がクロエだから年齢に関係なく妹だから。
「ラウラの事なら一夏の近くに居るのだろう。クロエならわかるだろうから心の準備が出来たらいつでも会うと良い。驚くだろうね。ヴォーダン・オージェ適合者も欠陥品扱いされて捨てられた。それによって束さんに会えたというのが運命だった。私達はこうして運命の歯車のように歪んだ歯車はしっかり正せた。後はここを守るだけ。人の襲撃は来ようとすれば来るから」
話を聞くクロエは頷いた。
「そうですね。花蓮様達はお強いのでここは大丈夫でしょう」
クロエの言うとおり、武術に関しての強さは学園側は刀奈と千冬と私が居るから大丈夫だろう。
「そうだ。寮の部屋の場所はわからないでしょう?今から行こう」
「はい。よろしくお願いします」
席を立ち、クロエを案内するように私達の相部屋がある寮へと向かう。
…。
……。
………。
IS学園寮―相部屋自室―
クロエを引き連れて寮の相部屋へと戻ってきた。
刀奈とエイミーは既に室内でくつろいでいたが私の後ろに居たクロエの姿を見るなり驚いた表情をしていた。
「ク、クロエちゃん!?久しぶりっ!」
「ご、ご無沙汰しております…」
エイミーは嬉しそうに弾んだ声でクロエに抱きついた。
抱きつかれたクロエは顔を赤らめて返事を返しているのを他所に私はベッドに腰掛ける。
「ちょっと花蓮…あの子…織斑先生が言っていた子?」
刀奈は不思議そうな顔して質問してきた。
千冬は伝えにここに来たのかと考えなくても予想はつく。
「そうだ。クロエ・クロニクルでラウラの姉。千冬から聞いているなら察しろ」
納得した表情でいつもの扇子をあごに立てている刀奈。
「そう、あの子がラウラちゃんの…クロエちゃんね。ねねっ!その目本当にしっかりなっているのか見せて?」
刀奈は弾んだ声でクロエの目の前に行く。
クロエはいつも両目を閉じているのは恥ずかしいからとの事、刀奈はどんな瞳をしているのか知らないから興味津々な様子。
「良い…けど…驚かないで…ね?」
クロエは顔を赤くなりながら恥ずかしそうに途切れ途切れに言葉を言う。
刀奈の顔がクロエの顔に近いから…そんなに見つめなくてもと苦笑した。
意を決して眼を開けたクロエに刀奈は微笑んだ。
「――綺麗な瞳ね」
刀奈の一言でクロエの顔と頭が上気のように耳まで真っ赤になった。
恐らく昔と同じでその金色の瞳を褒められるのはとても…どういう感情だろう?無感情の私には表現の言葉が思いつかないのが腹が立つ…。
「うふ。クロエちゃんは刀奈に褒められて照れてるのよ。私が初めて見た時のクロエちゃんも赤面してたものね」
微笑みながら言うエイミーの言葉で体が震えるように小刻みに動き出すクロエの姿を見て苦笑した。
恥ずかしさの余りに顔が赤くなっただけか。
「花蓮。あなたのその苦笑ってね。私が代弁しようかしら?『可愛らしい』って思って苦笑しているのよ?ふふ」
「あら?そうなの?花蓮とエイミーは長く居たから何の感情なのかわかるのかしら?」
エイミーと刀奈のやり取りを聞いてムッと顔がしかめる。
よくよく考えてみればクロエの姿はたしかに可愛らしいけど…顔での感情表現がまったくわからない。
一方、クロエは眼を閉じて気持ちを落ち着かせていた。
「エイミー。代弁しなくて良い。多分そうだろう。自覚がないのが私だから…」
「本当ね。花蓮のその無感情、無感覚ってどうにかならないの?」
ベッドに寝転びながら言っていると刀奈が不安そうな表情で言ってきた。
やる事が全て終わっても闇を抱えたまま消えないのだから…。
「刀奈…。それは無理なのよ…花蓮が背負ってきた闇と罪悪はとっても深いから…」
「そうね…。花蓮の境遇の話は私でもとっても気が重たかったから…」
悲しそうな顔でエイミーが言って刀奈も浮かない顔で言う。
暗くなるぐらいなら聞くなと言いたいけど昨日の今日だし難しい問題かと諦めた。
「花蓮様の話は伺っています。無感覚も知っております。それでも花蓮様の想いは変わりません」
落ち着いたクロエは凛とした声で言う。
想いは変わらないのは何度も聞いたから私は何も言わないままにベッドに寝転んだまま眼を閉じて寝る…。
―――。
「それでは私は寝床の確保が出来ましたのでこれにて失礼します。これから荷物を取りに戻ります」
クロエは刀奈とエイミーに向けてメイドのようにお辞儀をしながら2人の別れの返事を聞いて退室していった。
「それにしても…花蓮はもう寝ちゃったみたいね?」
「疲れるとすぐ寝るのがたまに傷なのよ。花蓮は…起きている時はずっと起きているのに変なの」
むぅっとした顔で2人はベッドの上で寝転んだまま寝ている花蓮を眺めるように見ている。
「まあいっか…花蓮にしかわからない事だし…刀奈は1ヶ月ぐらい寝ている花蓮のお見舞いしていたんだっけ?」
「そうそう。いつ起きるかわからない朱音ちゃん…うーん。なんか急に前の名前でちゃん付けで呼びたくなったわね…」
「うふ。朱音ちゃんかぁ…私は花蓮の事ちゃん付けした事無かったわ…」
「あら?エイミーはどうして?結構長い付き合いじゃないの?」
「そうなんだけど…私がちゃん付けで呼ばなかったからそのまま懐かしむ事も出来ないわ…私と初めて会ったときから気が強い子だったから…」
「そうなんだ?じゃあ――」
その後も花蓮の寝ている傍で2人は会話を続けていった。