ただの主人公になりたくて!   作:鮎川Q

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はじめまして。
あらすじだけ思いついて書き始めたので、長期的なことは何も考えていません。
書けるところまで書きます。

どうぞよろしくお願いします。


1.始まりと終わり

僕は、前世から陰の実力者を目指して努力し続けた。

 

 その甲斐あってか、今の世界ではそれなりに陰の実力者として振舞えたと思う。

 盗賊やエキストラさんとの戦いから始まり、スーパーエリート・エージェントのジョン・スミスに武神祭での活躍、古代の謎に触れたり、竜と戦ったり、弟子を育成したり、復活したりとエトセトラエトセトラ。

 

 まぁそんな感じで、うまくいかないこともあったけど、友達たちと一緒に、それなりに楽しい人生を送ってこれたと思う。

 

 しかし、そんな僕でもいつかは寿命が来てしまった。

 

 1000年。

 人間にはすぎた寿命だ。

 核に勝つ力を持ってしても、始まりがあれば終わりがあるのだ。

 

 あいにく、僕を見守ってくれる人はいなかった。

 親しいエルフの友達はそれなりにいたけれど、彼女たちも例外なく死んでしまった。

 

 こうやって死ぬ側に立ってみると、隣に誰かがいてくれると言うのは幸せなことなのだと、最初で最後の実感をする。

 

 少し、ほんの少し、寂しい。

 

 どうせ死ぬのなら、最終決戦の末、主人公に未来を託す的なアレがしたかった。

 というか、それをずっと待っていたのに、主人公は結局現れてくれなかった。

 もしかしたら、僕が見逃していただけかもしれないけど、見つからなかったものは仕方がない。

 

 ああ、これで終わりなのか、終わってしまうのか。

 自分の中から魔力が漏れていくのを感じる。止められない、無力感。

 

 もし、もしもまた次があるのなら――

 

 

 

 ――今度は、主人公をやってみるのも、悪くないかもしれない。

 

 

 dead.

 

 

 

 reincarnation.

 

 

 目を、開けてみる。

 そこには光があった。

 天国かな、と一瞬思った。

 

 僕の目の前には女性の辛そうだが嬉しさを噛み締めている顔があって、となりには男性の泣いて笑っている姿がある。

s 最近の天国は、こんな感じなのか。何歳児用なんだよ。

 

 なんてツッコミを入れる前に、僕は理解したのだ。

 

 二度目だしね。

 

 これは転生したのだと。

 

###

 

僕が転生してからはや数年。

どうやら、ここは僕が長いこと過ごした同じ世界だった。

しかも驚くことに同じ時間。これはどちらかと言うともはや逆光。

カゲノー男爵家に長男が生まれたと言うのが風の噂で流れてきたのだから、多分、一週目の僕もいるのだろう。

 

ちなみに、今回の僕も下級貴族の生まれ。ココジャナイ男爵家というらしい。

それで名前はジト。

 

ジト・ココジャナイ。

 

なんか名前似てるなぁ、これが運命かぁ、と思わないでもないが些細なことだ。

 

さてさて、僕は一週目に負けず劣らずの強化ラーニングに入っていた。

今回、僕は兄弟がいなかったので前回以上の最高効率で修行を回していく。

前回の経験から、この世界には主人公らしい主人公がいないだろうと言うことがわかったので、今回は僕が主人公だ。

それでもって、前回の僕を陰の実力者として引き立たせる。

 

この仕組みは、実際には今回の僕が前回の僕を操っているので、今回の僕が陰の実力者であるという二重構造を孕んでいる。

ウィンウィンの関係ってやつだ。

 

前回の僕は今回の僕に、今回の僕は前回の僕に満足する。

完璧なシステム。

そのためには、僕は僕よりも強くなり、その上で弱くなければならない。

成長と主人公補正は主人公の特権だからね。

 

しかし、それも今の僕にはお手のもの。

 

前回、600歳頃につかんだ魔力の新たな考え方──融合。

 

圧縮して増大させ続けた魔力を極小単位まで分解し、融合させる。

イメージとしては、今までやっていたのが核分裂だったのに対して、核融合になった感じかな。

これは今まで以上に魔力を取り出すことができ、そして同時に魔力制御も求められるものだ。

たとえ僕でも、この世界に来たばっかりでは、簡単にラーニングすることはできないと思われる。

 

と言うことで準備万端。

 

主人公はここにいるぞ。

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