転生特典《防御完全無視》で異世界を生きる~冒険者組合の直属冒険者です。二つ名が【人狩者】になりました~ 作:KNa\
さて、本日の
Q.現代日本の男子生徒が、すぐに
A.んな訳ねえじゃん。
「……」
「……」
やぁどうも、俺だ。実技と実戦の講習・試験を受けようとしていた
イントネーションがな、ちょっと違うんだよな。「
「いやぁ、まさか俺がここまでとは……」
「まさかここまで、ですねぇイズナくん……」
現在、俺とフォウさんは
俺はそれらの武器の中から、ショートソードを模した木剣を手に取る。そして軽く振ったり、構えたり、持って走ったりしてから元の場所へと置きなおす。そしてまた、フォウさんと共に、首を傾げる作業に戻るのだ。
さて、簡単に言えば今は武器のお試しをしている所である。基本心得はすでに終えている。アレはほぼルール説明みたいなものだった。【普通の人に武器を向けてはいけません】とか、【街中ではこうやって武器は目立たないように持ちましょう】とかだったのですぐ終わった。部活の体験入部でボール触ってパス回し体験、みたいな感じだ、長引くわけもないな。
……そんな風に言ったところで、第二歩目で止まっている事実は変わらない。
武器選び。
うん。
「……どれも!変わらん!!」
「大体どの武器も少し振れるかなぁ?くらいですもんねイズナくん……」
「残酷な真実は、時に人を傷つけるんだぞ?フォウさんよぅ……」
ついには
もうかれこれ一時間程度触って試してみたのだが、しっくりくるものが見つからない。どの武器も基本の構えは取れるし、そこからある程度使えるようにはなるのだが、そこから先へと進まないのだ。
俺の頭にある言葉が浮かんでいる……あとたぶん口に出してないけどフォウさんも同じだろう。俺は「ンヌァー……」と、大きくため息をついてから口を開く。
「器用貧乏、極まれり」
「あ、あはは……えと、選択肢が多いのは良いこと……だよ?多分」
「仕事に出来なきゃ意味がねぇんだぁ……!」
マジで悩む。何がよくないってどれも使えなくもないって所だ。これが遠距離が苦手だ、重量武器が苦手だとかあるのならまだ良かった。マジでどれも中途半端に使えてしまうので、自分に合った武器が俺目線でも、フォウさん目線でも判断がつかない。
まさか動かす駒を選ぶ段階で千日手になるとは……。
「うーん……こうなりゃアレで選ぶしかないか……?」
「アレって何です?」 」
「『どれにしようかな』」
「?、それを今決めているんじゃ……?」
あまりにも決まらな過ぎて、本気でそんなことを考えているのだが。どうやら異世界じゃ通じないらしい。天神サマ、もといカミサマに一発ぶち込んだ気分になれそうなんだけどなぁ。
伝わらないなら仕方ない、とりあえずオーソドックスなのをもう一通りだけ試してみてから……と、そんなことを考えている時、俺たちの背後から聞き覚えのある声がした。
「なーにを迷ってんだイズナ?」
「いや、マジで武器が決まんなくて……って、何でいるんだよレイン?」
不意に問いかけられて、咄嗟に答えてしまった。振り返ってみれば、そこにいたのは昨日の夜中に出かけて行った方の片割れであった。いや、何で居るんだマジで?朝までギャンブルオールナイトじゃなかったんか?
「んだよ、いちゃ悪いか?俺だって
「いや、教会からの依頼が終わってしばらく金策いらないんだろ、来る理由ないってアイナさんに聞いてるぞ」
心外だとでも言わん様子のレインだが、
まぁつまり、今日
「んだよ、折角宿のおっさんから伝言聞いて来てやったてのに」
「はん?朝帰りでその元気って事は、やっぱりレインも二日酔いは無かったらしいっすねぇ?」
「あ……?あ゛ーそういや、酒酔い用の薬渡して……」
おう、ようやっと思い至ったらしいな!出来れば昨日出てく前に思いついて欲しかったがなぁ!俺はそんな思いを込めてレインへと視線を投げつけてやる。
「んんん、いや!それはマジでスマン!普段他のやつとパーティなんて組まねぇから忘れた!スマン!!」
「うっ……いや、分かってくれればいいんだけどさぁ……」
クソっ、素直に言われててしまうと弱い。意外にもレインは謝れる大人だったらしい。そう言えば審判受ける前もそうだった。言わなくても、と言うか言ったらまずいのに助言くれるタイプの男だった。
「えと、イズナくんレインさんと仲が良いんですね?そういえばアイナさんとも……一体どういう関係なんですか?」
妙な間になって感情の肩透かしって感じの中、突然フォウさんがそう言った。めっちゃ首傾げてる。そういえばレインもアイナさんも
どう説明すればよいのかと俺が悩み始めた瞬間、レインが素早く口を開いた。
「あー!いや、依頼でちょっとな?えっと、それより見た感じ何か悩んでたよな?先輩
「依頼?……お三方の直近の依頼って教会からの禁区調―――」
「おん?……そ、そうだな?確かにレインに相談するのが良い気がしてきたわ!」
レインが慌てて話題転換をし始めたので、どうやら隠さなきゃいかんやつらしい。俺も流れに乗っかっておく。
「―――、聞かなかった事にしますね!」
流石フォウさん。空気が読める受付嬢である。ちらりとレインを見てみれば、結構な安堵の息を吐いていた……教会の依頼の守秘義務ってそこまでなんだ、と一応の当事者だった俺もようやく理解できた気がした。
とりあえずの形で、脱線しかけていた問題が一周回って帰ってきた。そう、今は俺の武器選びを優先するべきなのだ。頼れる先輩
・
・
・
「……なるほどなァ?大体わかった。多分だが」
たった四、五分程度の説明を聞いたレインは、そんなことを言いだした。流石は
「!、本当ですか?流石ですレインさん。私じゃ各武器の基本は教えられても、イズナくんの適正の判断が……」
「おう、まぁ言った通り大体だけどな……てなわけでイズナ、とりあえず……そうだな、使いたい武器三つ程度でいいから取ってきて、ちょっと動いて見せてくれや」
「いや、まぁいいけど。マジで素人目線のそれなり、だぞ?」
「いいって、てかそれを見たいんだよ」
一方フォウさんは、俺と違って全幅の信頼を置いているようだ。そりゃそうか、階級で言ったら上から三番目、実質的には二番目の高位
俺も色眼鏡と言いたいことはわきに置いて、言われた通りに武器を見てみる……使う武器は迷ったけど、“使いたい”武器はあんま迷わんな?
「んじゃ、コレとコレとコレで。ちょっとで良いんだよな?」
「おう、頼む。変な他意はねぇし、嬢ちゃんに教わった通りでいいから、一通り見せてくれ」
レインは先ほどまでの顔を引っ込め、真剣な表情で俺を見ている。つられて俺も気が引き締まった気がした。まぁ、レインの性根が優しいのはもう知っている。俺のある程度止まりの扱いも、馬鹿にして笑ったりすることは無いだろう。すぅ、と一つ呼吸をして、俺は一つ目の武器、大型のナイフを教わった通りに構えて動き出した。
・
・
・
「……よし。もういいぞイズナ!」
レインの声掛けに合わせて、俺は動きを止め、構えていた大剣を下ろした。練習レベルとはいえ流石に三つ分の武器を扱ったので、少し疲れた。ふぅ、と一つ息を整え、俺はレインの方を向いて聞いてみる。
「……あー、で、どうだった?自分ではやっぱそれなり、程度なんだけど」
「あ?あぁ、まあそうだな。俺から見てもそんなもんだ。というか悩んでた辺り、受付の嬢ちゃんからも同じ評価だったろ」
「レインから見ても変わんないか……やっぱ俺、才能無い?」
素直に感想を聞いてみれば、やはりと言うか、予想通りの返答が返ってきた。流石に三人全員同じ意見となれば、評価は定まったと思ってよさそうだ。俺は少し吐息交じりの声をこぼす。
「なに落ち込んでんだ一丁前に」
「んだよ仕方ないだろ、
結局、高位
見てみろ、そこのフォウさんを、レインの評価に対して俺以上に俯いてくれている。
「早とちりすんなってことだって事だアホ」
しかしレインは、俺の消沈を一笑に付すような事を言いだした。早とちりったって、向いてないのは変わらないだろう。内心で少し恨めしそうに愚痴を零しながら、俺はレインの顔を見る。その顔はいたって真剣なままだ。嘲笑や侮りの気配は微塵も無い。
少しくさっていた俺の目を、レインはまっすぐ見ながら口を開く。
「いいかイズナ。お前は確かに武器を扱う天才じゃあ無い。それは確かだ……が、全くの才能無しってわけでも無い」
「?、いや、レインも評価は俺やフォウさんと同じだったろ?」
「基本の構えや振り方は、だ。多分お前の体の癖が、基本の型と合ってねぇだけだと俺は見たぜ」
頭の中にハテナが浮かぶ。意味がわからん。俺はいたって普通の人間だ。一応異世界育ちではあるが、格闘技の経験なんて柔道の授業程度だ。それだって年中やるわけじゃ無し、そんな癖なんて付く筈がない。
レインと一緒に俺の観察をしていたフォウさんも、同じく分かっていないようだ。頭を捻る俺に変わって質問をしてくれる。
「癖……?イズナくんはどの武器も同じくらいには使えてたような?」
「まぁそうだな、武器の振りだの、構えは基本通り出来てるが……なぁイズナ。お前、武器やら戦闘技の心得は無いんだよな?」
レインは答えを保留にしたまま、俺に質問を投げてきた。なんだ藪から棒に、何度聞かれても碌にないぞ。と、そうやって俺は返答する。と言うか既に言ってあったろうに……そんなことを思っていると、レインは「じゃあよ」と頭につけて質問を続ける。
「走ったり、跳ねたりするような……なんだ、運動習慣が無かったか?」
言われてようやく。ようやく俺にもレインの話が見えてきた。なるほど、それなら、ある。むしろ心当たりしかない。小三の頃、近所の兄ちゃんに憧れてから、高二で転生するまで続けてたわ。
「……ある。飛んだり、跳ねたり、走ったり……あとはボール投げたり、放ったりするやつ」
「おう、それだ。お前の体、鍬だの振ったり薪だの背負ったりする“一般人”とは全く違う肉の付き方してんだよ」
答える俺に、レインはにやりと笑ってそう返しててくれた。思わずははっ、と苦笑いをしてしまう。俺が使える武器が無いんじゃなくて、まだ俺に合った武器を探せて無かったって事らしい。駒選びなんて言いながら、ルール把握が不十分だったとは。
「ってわけだ。イズナが変だっただけで、嬢ちゃんが間違ってたわけじゃあねえさ」
「あ、あはは……ありがとうございますレインさん。でもやっぱり適切な振り分けが出来なかった事は、
俺の武器選びに長らく付き合ってくれたフォウさんは、そう言って申し訳なさそうにしていた。
それを言うならこっちの方だ。フォウさんの知識、ここにある武器種の全ての基本を教えてくれるのに甘えて、自分の動きを試そうとしなかったのだから、悪いのは俺である。だからそう落ち込まないで欲しい。武器の扱いの注意点や狙い方を教えてくれて、本当にとても助かっていた。むしろ職員のフォウさんにおんぶに抱っこで申し訳ない、と俺はフォウさんにそう伝えた。
「はん、まぁそうだな、今回に関しちゃイズナが甘えすぎだ……と言うか嬢ちゃん、ここの武器全部覚えてんの?やべぇな?」
「ええい、分かってるわいそんなん」
俺はレインのお小言を受け止める。というか事実だし、反論も出来ん。
「ぅ、その、一応職員なので……いえ、私がへこんでてどうするんだ!って感じですよね。一緒に手伝わせてください。今度こそ役に立って見せます……!」
一応まだ引きずってそうではあるものの、フォウさんもムン!と両手の拳を握って顔を上げた。露わな右目にはっきりとやる気を灯している。プロとしての意地、という奴だろうか。凄いなフォウさん。俺がそうやって感心していると、レインが俺の方へと歩いてきた。
「イズナとそう変わらんのに立派だねぇ……うし、てことで決めるか、イズナ。お前“に”合った武器選びをよ」
「おう!」
不敵に笑うレインに対し、俺も笑ってそう答えた……この時は、結構嬉しかったんだけどなぁ。
さて、この後なのだが、結果だけ言えば、俺の動きで使える武器はきちんと見つかった。レインやフォウさんが協力してくれたおかげである。そこは感謝しかない。
……ただ、使いたい武器に「大剣」「バトルナイフ」「
仕方ないだろがよぉ!異世界で最初に出会って、しかも結構仲良くなった
フォウさんも微笑ましい笑みでこっち見ないで……「尊敬しているんですね」って?いや、まぁそうですけど。そこは絶対否定したくないから、認めるしかないんだよなあ。
……はぁ、とにかく、一応。俺への羞恥ダメージが少しだけあったものの、俺の武器選びは成功した。
「バトルナイフ」と「投げナイフ」だ。二種類持つのアリなんだ?って聞いてみたら、結構当たり前の事らしい。レインもバトルナイフ以外にも、打撃、刺突などの攻撃手段を持っているとの事だった。あと魔法が少し使えるとも。見せてくれなかったけど。ケチな男である……素人があれこれ手を出すな、という言は最もなので、ここでは飲み込んでおく。
さて、レインによれば俺は普通に戦うよりヒット&アウェイが合っているとの事で小回りの利く近接武器を、フォウさんが言うにはどの姿勢でも動けて、軸が崩れにくいので投擲武器を勧められた。なので上記の武器を試してみたが、まぁどちらも結構いい感じだ。レインとの模擬戦では全部避けられたり、叩き落されたが。
一応レインからは「攻撃避けてからの入り方も、末端狙いの潜り方も、あと投擲も三分の二は悪くない。というか偶にきっしょい体勢から繰り出してくるのなんだお前。きっしょ。ヒヤっとするわ」との褒め言葉を貰っているので良しとし……褒められてるか、コレ?
「よし、素人紛いがこれだけ動けりゃ十分だろ」
「どこがだよ……結局一発も当たらんかったぞ、クソ……」
「い、いえ!私から見ても十分、というか十二分でしたよイズナくん。レインさんは
「んー……フォウさんがそういうなら、納得しとくかぁ」
「おうふざけんな。俺も信用しろや」
信用はしている。模擬戦中にめちゃくちゃ煽ってきたから、ちょっとおちょくってるだけである。言わないだけで感謝も結構しているのだ。言わないだけで。
まぁとにかく、今は俺だって少しは動けてる実感というものを得られていた。「調子には乗るなよ、それやる新人は基本早死にすっからな」との脅迫一割本心九割の忠言は忘れずにいよう……気づけば空の光も傾いている。途中で休憩もはさんでいたとはいえ、流石に時間がかかりすぎだ。
さて、次は確か防御と受け身の練習、その後的への打ち込みだったか……へ?もう終わってる?レインとのがそれに当たるって?ほん、じゃあ解体演習か。
どうやらここに来て、実技と実戦は巻きに入ったらしい。聞けば普通は二時間あれば終わるとか……マジで長く付き合わせてスマン。俺はフォウさんへと頭を下げながら、残りの項目へと進む。
残るは解体と模擬戦の二つだけだ。それじゃ、頑張ってこなしますかね。
「……模擬戦も終わってたりしない?」
「えっと、一応登録試験の場合は試験官は
ダメらしい。じゃあ仕方ないか。さぁ残り二つ。頑張ってこう!
なんかまだ長いな※次で終わらなかった
おまけ フォウさんのちょい情報
フォウ・ソーヤ
左目を前髪で隠している