群雄割拠の世界で戦い続けたとしても―――
君は柔道が楽しいか?
2020年10月12日、月曜日の放課後。
蒼海大学付属高等学院の道場では、ウォーミングアップを終えた生徒達が打ち込み練習に取り組んでいた。
本日は
畳の擦れる音が道場内に響き渡り、その重なりが独特の
監督の
「3本目ぇ~~~!!」
「「「「
「1っ!! 2っ!! 3っ!!……」
「1本1本丁寧にやるんだぞっ!! ……
「
「
「備品ですか? ……はい、問題ないですっ!!」
「そうか……」
「……? 井上監督、なにか考えごとですか?」
「ああ……土曜の試合を思い出してな」
「……黒い
「ああ……このままの指導方法で通用するのか考えていたところだ。
「そうですね……私も一応分析しているのですが……あの
「プロか……
「葵さんですか? 多分事務の作業をしているはずですっ!!」
「練習試合の予算をどれだけ確保できるか、確認してきてくれ。見積もりを取ってほしい」
「
右手で敬礼をした五十嵐は、威勢よく道場を飛び出していった。
敷地をまたぎ、数歩進んだところで足を止めた彼女。
忘れ物を思い出したのだろうか。
次の瞬間、殺人鬼に追われているかのような形相で、全速力で道場へと駆け戻ってきた。
「やややや、
「五十嵐……忘れ物か? 流石にそそっかしい……」
「違いますよ井上監督っ!! 他校の
「他校の
五十嵐が目を見開き、必死に訴えかける。
彼の細い人差し指が示す先には、見慣れない
それは今年のインターハイ出場を懸けた福岡大会決勝で、蒼海大学付属高等学院の選手達と激闘を繰り広げたチームの主将、
ホリゾンブルーの金平糖のような髪型をした彼は、後ろで落ち着きなく周囲を見渡す
「よう、花染。全国は惜しかったな」
「……風はこう言っている。何しに来たんだお前らはとな。それに……」
「ああ、後ろのコイツらはな……見学したいって駄々をこねられてさ。気にしなくていいぞ、
「おう大原っ!! てめぇ
「おいおい、それは物騒過ぎるだろ……
「あぁ? 学校名が変わった? 城南高等学院じゃねえのか?」
「ああ、いろいろ合併されてな……これからは城南国際糸島アイランドスクール学院第5支部高等高校って名前になった」
「あぁ~……なんだって?」
「城南国際糸島アイランドスクール学院第5支部高等高校」
「……誰がそんな糞みてぇな名前付けたんだ?」
「うちの
「そいつ
「……あぁ、そうだな」
花染と木場と話していく内に、どんどん目を背けていく大原。
彼も学内の事情に関しては色々と思う所があるようで、歯切れの悪い言葉しか出てこない。
「……まあ、うん、そういうことだから。それとだ……俺含めて、
最後に一瞬語気が荒くなった大原。
対照的に、彼に紹介されて無言のまま微笑む
来訪者の5人は、入口で一礼すると、道場を後にしていく。
やることを終えた大原達は、校門前で待たせている
「ふー……」
「も~キャプテンだけズルいですヨ!! ワタシ達も
「シモン、流石に収拾がつかなくなるから勘弁してくれ……」
「そんなコト無いヨ!! オリバーはキャプテンの
「HAHAHA!! なんだ? 俺達も
「It's quite difficult to keep silent. I'm about to have a conversation……(無言を貫くのもなかなか大変ですね。俺もそろそろ会話を……)」
「……あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!! やっぱりこうなるじゃねえかよっ!? お前らぁ!! 学校に帰るまで口を開かないことっ!! OK!?」
「「「「「えェ~?」」」」」
「……大原さん、もうよろしいのですか?」
「……!! ああ、もう大丈夫です、ジョンソンヘッドコーチ。無理を言って
「いえいえ、生徒のお願いをなるべく叶えるのが、
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福岡県の離島、能古島。
かつては緑豊かな自然に囲まれていたが、現在では無数の土木作業員が工事に明け暮れ、商業施設が次々と建設されている。
この再開発を推進するのは、
城南国際糸島アイランドスクール学院第5支部高等高校の理事長であり、膨大な財を投じてこの島に高校を創設した人物だ。
豪華な食事を楽しみながら秘書と打ち合わせを進める彼は、金髪のアフロに真紅の服をまとった贅肉まみれの男。
金に魂を売ったような
「財前様、以上が今後の方針になりますがよろしいでしょうか」
「あー……はいはい、
「……あの、
「煩いですねぇ……煩いですねぇ!! ワタクシが言っているのですから、小市民は黙って言う事を聞いていればいいのですよっ!!」
「わ、
「あぁー
『財前さんっ!! 俺だ、
「
『
「あ、はいはい
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