出会って???年後の私達
区切りを何処にするか迷った挙げ句、加筆修正に時間がかかりました…。
あの後、私は死神になった。
両親が死神だった事と、自分もかなりの霊圧を有しているのが判明したのと、本物の平子真子と会ってみたいという下心もあったからだ。
しかし、待てど暮らせど彼とは会えなかった。
その代わり私はドンドン出世して、5番隊の副隊長にまで上り詰めた。
因みにケガを完治した藍染惣右介はと言うと
「あなたが死神になるならぼくもなります!」
と譲らず、文字の読み書きを教えて欲しいと請われ、それを拒否する理由も無いからと教えたらあっという間に家にあった教材を読破して試験に合格、同期で死神になった。
…命の恩人である私に恩を返したいらしいけど
…気の所為かな?
…それ以外にも何か理由がある気がする
院生時代は、兎に角私から離れるのをとても嫌がる彼に皆手を焼いたものの、私の傍に居れば物凄く優秀だと判明した途端、必ず私と彼を組ませて事に当たらせた。
…何かなぁ
…優秀なんだけどさぁ、私以外との対人関係にちょっと問題有りなんだよね
…だからそうやって、他の人(特に男性)を威嚇するのは止めなさい
…あ、手が滑ったじゃない
…勢い良くひよ里とリサの頭を重要書類の角でぶつんじゃない
…仮にも他隊の副官なんだから厄介事増やさないで
…何剥れてるのさ?
院生時代に出来た友人は勿論、死神になってから出来た友人(やはり男)にも惣右介は警戒心丸出しで、ちょっと困った絡み方をする(隙あらば胸を揉んだり、お尻を触ってくる)ひよ里とリサにも対応が雑になるのは本当にどうにかならないものだろうか。
そんな彼はあの衰弱振りが嘘のようにスクスクと成長し、私の背を追い越して現在同じ5番隊の隊長を務めている。
見た目は原作の隊長(眼鏡無し)そのものなのに、原作のように暗躍する素振りは一切無く、四六時中私の傍に居たがるし、自分の斬魄刀の能力についても、いの1番でかなり事細かに教えて来た。
原作と同じ鏡花水月だったが、私の目の前で何の躊躇いも無く刀の一部を折って、出来た欠片をお守り袋に入れて渡して来た。
…出会い方次第でこうまで変わるものなのかな?
…本当に私から中々離れないし、私の傍で公私共に尽くすのが生き甲斐と公言して憚らないし
…その所為で周囲から生暖かい目で見られるから、凄く居たたまれないんだよね
そして先日、前世の趣味だった楽器演奏に必要な道具を作ってくれた浦原喜助の前で、うっかり懐かしい記憶が頭を過り、思い出し笑いをしたところを惣右介に見られて以降、彼への対抗心を通り越した敵愾心が凄まじい。
下手を打てば殺意を剥き出しにして噛み付くから、その辺のフォローには物凄く骨が折れた。
…何かなぁ
…この調子だと、主人公どうなるの?
…原作通り生まれて来る可能性凄く低くない?
…そしたら、ユーハバッハとの戦いヤバくない?
…この世界、どうなっちゃうんだろう?
藍染惣右介視点
彼女と離れ離れになりたくない一心で努力した甲斐あって、同期で入学、卒業、そして希望通り同じ隊に入る事が叶った。
周りから何を言われようと彼女の隣は譲らなかった。
何せ、面倒見の良い彼女は多くの人から頼りにされている。
中にはその親切を勘違いした男から言い寄られるのも両手の指では足りない程で、それは院生時代は勿論、死神になってからも変わらなかった。
そんな連中から彼女を守りたい一心での行動を本人から窘められるのは、面白くないし納得がいかない。
命の恩人で祖母以外で唯一、人の温もりを教えてくれた彼女の為になるならば、何だって文字通り実行する僕を漸く理解した上層部の面々が、常に彼女と僕の2人1組で任務に当たらせるようになった。
※2人を組ませれば、どんなに難しい任務もほぼ無傷、短期間で完遂して戻って来る。
無事に屈伏させて修得した斬魄刀の能力については、詳細を彼女にだけ話してお守りとして刀の欠片を持たせた。
彼女を守る為の力は幾らあっても構わない。
席官になり順調に昇進しつつ、彼女に不要な負担をかける(所謂パワハラとセクハラ)副隊長には早々に引退していただくよう手を尽くし、それ程時間が経たぬうちに隊長も力の衰えを理由に引退した。
空いたその地位には、僕が隊長、彼女が副隊長として昇進する形で落ち着いた。
彼女を矢面に立たせるだなんてとんでもない。
僕の直ぐ傍に居てくれるだけで十分なのだから。
大規模な人事異動で今はバタバタしているが、もう少しすれば落ち着くだろう。
そうしたら、祖母の形見であるあの宝箱に入っていた、母が父から求婚された時に貰ったという簪と、もう少しで完成する〈これ〉を贈ろうと思っていた。
しかし、それを一度見送らねばならない事態になった。
その原因のひとつはつい先日、目の当たりにした光景だ。
2番隊第3席の地位にいる浦原喜助、奴は僕の敵と確定した。
奴は彼女が久し振りに見た夢に出て来たと言う、僕の知らない楽器の話をしてくれているところに、図々しくも横入りして来た挙げ句、数日後、その楽器を再現した物を作って持って来た。
それを渡されて、驚きながらもとても嬉しそうに笑う彼女と、照れ笑いを浮かべた奴を目の当たりにしてからずっと奴が憎くて堪らない。
彼女を守るのも願いを叶えるのも僕がすべき事だ。
しゃしゃり出て来なければ良いものを。
どうやって奴を消そうか思考を巡らせていると、僕の異変に直ぐに気付く彼女から
「同じ楽器を作っている事を知っとったで」
「惣右介が完成させたの持って来るの楽しみにしとるからな」
「そうそう、ウチなぁ夢の中では良く先生と合奏しとったんよ」
「嫌や無かったら弾き方教えたるさかい、惣右介のが完成したらその楽器とで合奏しよや」
と言われれば殺意を収めざるを得ない。
それでも奴に対する腹立たしさは消えないから、見かけると睨み付けるのは許して欲しい。
そしてもうひとつ、藍染にとってその浦原喜助の所業以上に赦せない事件が、楽器騒動が一先ず落ち着いた直後に起きた。
とある貴族出身のろくでなしで有名なドラ息子が、寄りにも寄って平子に妾になれと公衆の面前で居丈高に言い放ったのだ。
その場は何とか凌いだものの、1番厄介な藍染の機嫌を直せないまま数日が過ぎた。
そのドラ息子が追い剥ぎに遭って死亡したと耳の早い隊員から聞いた。
…惣右介の仕業にも思えるけど絶対に違うな
…だって、この話を聞くまでずっと機嫌は悪いままだったし
…ポーカーフェイスが得意そうに見えるけど、実際はその辺隠すのはそこまで上手くないんだよね
※解るのは平子だけ。他の人には解らないし、そもそも気付けない可能性の方が高い。
…大体、忙し過ぎて仮眠と食事、トイレ以外は2人してずっと隊首室に缶詰だったし
「平子副隊長、担当区域の見回りの報告書を提出に来ました」
「…あぁ、はいはいどれどれ…うん、問題無し。よく出来とるわ。今日はこれで上がりやったな。お疲れさん」
「はい、お先に失礼します」
「ゆっくり休むんやで~」
…さて、後はこの書類を1番隊、こっちのは3番隊に持ってってと
思考は直ぐに目の前の仕事へと移って行った。
藍染惣右介視点
この数日ずっと苛立ちが収まらなかった。
原因は解り切っている。
…あのろくでなし、寄りにも寄って公衆の面前で彼女を辱めるとは
…彼女が何を言おうが絶対に赦すものか
仕事の傍ら、ずっとどう始末してやろうかと考え続けていたが、昨夜、破落戸に身包みを剥がされた挙げ句、命も奪われたらしい。
…あのろくでなしに相応しい末路だ
しかも、どうやら僕が手を下す前に、これ以上身内の恥を晒すくらいならと、奴の血縁者が手を回して消してくれたようだ。
しかし、1番危惧していた事態が起きてしまったのは、この上無い痛手だ。
…こうなってはもうなりふり構ってなどいられない
…一刻も早く彼女に――
次回、取り敢えず決着