転生先で行き倒れを拾った結果。   作:如月雪見

7 / 10

霊術院生時代~死神になって以降。

この【世界線】の結末は?






間違えて原案を消してしまい、頭が真っ白に…結局、何を何処まで書いてたか思い出せず…改めて書き直すのに時間がかかりました。
このスマホとの相性悪過ぎ…



取り敢えず思い付いたもしも/その3の分岐3つめ後編

 

 

真央霊術院に入学して早々、惣右介は兎に角モテた。

ほぼ毎月必ず誰かしらに告白されていたし、鬼道衆からの依頼で〈魔法〉を指導する事になった途端、受講希望者が殺到したし。

 

…そう言えば、原作でも人気者だったよなぁ

 

当の惣右介は毎回同じ断り文句を言っていたが。

 

「僕には想い人がいるんや。その人は僕にとって掛け替えの無い太陽そのものや。僕の生涯かけて守りたい大切な人やねん。せやからアンタの想いには応えられんわ」

 

断られた人達曰く、みんな一言一句同じ台詞で振られているとか。

 

…あの惣右介がそこまで言う相手かぁ

…どんな子なんだろう?

 

霊術院を卒業する時、入学する前に言った「ウチに似合う簪」を渡されたのは驚いた。

 

「はい、真子さん。約束の簪やで」

「…ウチの髪、まだ元の長さちゃうで?」

「結える長さにはなっとるやろ?卒業記念も兼ねてや」

「まぁそういう事やったら…よっと…どや?」

「良ぉ似合うとるで」

 

この日以降、私は惣右介がくれた藍色の玉簪を挿すようになった。

 

卒業後は2人揃って、推薦状を書いてくれた京楽春水が隊長を務める8番隊に所属した。

原作通り、平時は緩々な京楽春水の下でしっかりと経験を積ませて貰った。

そんな折、5番隊の隊長が高齢を理由に引退した直後、副隊長を含む席官が数名死傷して、人材不足に陥った。

そこで京楽春水と浮竹十四郎、そして卯の花烈を含む5名からの推薦で、惣右介が隊長、私が副隊長として5番隊に異動した。

 

そこからが本当に大変だった。

5番隊の現状把握に始まり、各隊員達との親睦を深める為に時間を割いたりと、兎に角忙しい日が続いた。

 

「…全部1から立て直しってのは、こないしんどいもんなんやなぁ」

「ほんまになぁ…」

 

 

 

仕事に慣れて来て、隊員達とも仲良くなれた頃、凄く久し振りに〈前世〉の夢を見た。

 

「…で、この絵の…楽器?が夢に出て来たん?」

「せや、ごっつえぇ音色やったなぁ…」

「ふ~ん…こない形のは見た事あらへんなぁ…」

「やっぱりかぁ…なぁ、惣右介」

「何や?」

「これ一緒に作ってみん?」

「…え?本気なん?」

「せや。必要なモンは何となく解んねん。作っとるところも夢で見たんや。…ダメやろか?」

「…しゃあないなぁ、手ぇ貸したるさかい、詳しゅう教えてぇな」

「よっしゃ、おぉきに!先ずはなぁ…」

         ー略ー

楽器作りを始めてまる半年、試行錯誤を何度も重ねて、とうとう夢に見た楽器が完成した。

 

「…うん、これや。この音…夢のと同じや!」

「…はぁ~、綺麗な音やなぁ」

「失礼します。藍染隊長、平子副隊長、今宜しいでしょうか?」

「何や?」

「京楽隊長がいらっしゃいました。急で済まないが、少し時間を貰えないかと仰っていましたが…」

「「?」」

 

心当たりが全く無い私達は首を傾げながら、来賓室へと向かった。

会って早々、ゲッソリした表情の京楽が頭を深々と下げて来た。

何でも、遠縁の貴族令嬢がお忍びで出掛けた時に、偶々見かけた惣右介に一目惚れしたらしい。

そして、娘に甘い父親がコネをフルに使って、会わせてやって欲しいと頼まれたんだとか。

 

「…」

「ちょちょちょ、待ちや惣右介。今ちゃちゃっと会うて早よ帰って貰おぅや。な?その方が絶対楽やで?」

「…真子さんがそう言うなら」

 

用件を聞いて、無表情で回れ右した惣右介を何とか説得して、令嬢が待つ部屋に入った。

令嬢は目を輝かせて、惣右介へと駆け寄ったが、隣に私が居るのを見て顔を顰めたと思いきや、碌な挨拶もせずにこう言い放った。

 

「貴女、惣右介様の姉代わりとして色々とお世話をして来たようね。今までご苦労様。これからは私が彼を支えていくから貴女はもうお役御免よ。ねぇおじ様、あの女をおじ様の隊に「黙りや醜女」かはっ!?」

 

ミシミシミシィィィィ………

 

「ちょ、惣右介!?」

 

今まで一度も見た事の無い鬼の形相をした惣右介が、令嬢に容赦無く霊圧をぶつけて圧死させようとする姿に焦った。

 

「何勝手な事言うとんのやこの醜女は。僕から真子さん奪う言うたんはその口か?あ?」

「そ、惣右介、落ち着きや。な?」

「真子さんはちょぉ黙っとき。てか、この醜女なんか庇う事無いで」

「えぇからちょい霊圧緩めよ?な?惣右介がそこの令嬢手にかけて牢屋行きなるのはウチ嫌やで?」

「…ちっ」

 

物凄く嫌そうな顔で舌打ちしながら、霊圧を死なない程度に緩めた。

 

「けほっ…はっ、はっ…」

「良ぅ聞けや醜女。今の僕が此処に居んのはなぁ、ぜぇ~~~んぶ真子さんのおかげなんや。真子さんが居らんかったらとっくの昔に僕は死んどる。良しんば生きとったとしても、他人様に迷惑かけるだけの碌でなしの厄介者になっとったやろな。せやけどそうならんかったんは、僕を此処までずっと守って来てくれた真子さんの献身あってのものや。真子さんは僕の太陽や。僕の生涯かけて守りたい大切な人なんや。それを…」

「ひっ」

「なぁんも知らん、どっかの誰かに奪われるんはなぁ…辛抱ならんのや。せやから、二度とその不快な面見せんなや。とっとと居ねやこの醜女」

「…っ」

 

恐怖に染まった表情で泣きながら走り去って行った。

 

…口悪っ!でもってドス効き過ぎてて怖っ!

…此処までブチ切れた惣右介初めて見たわ

…ってあれ?今太陽がどうのって

…え?

 

「はぁ~…京楽隊長、もう二度とあぁ言うの連れて来んといて貰えます?時間の無駄やし」

「本当にごめんね。僕も断ったんだけどさぁ…よりにもよってさ、浮竹を味方に付けて来たんだよあの子」

「浮竹隊長まで巻き込んだんかい。何ちゅう傍迷惑な醜女や全く…真子さん?」

「…っ」

 

惣右介が令嬢に放った言葉を聞いて、霊術院生時代に聞いた話を思い出し、自分の鈍さに思わず両手で顔を隠しながら蹲った。

 

「どないしたん真子さん!?」

「…なぁ、惣右介」

「何や?どっか痛いんか?」

「今、ウチの事太陽言うた?」

「え?言うたけど…真子さん、なして耳赤いん?」

「…ウチなぁ、お前の太陽さん、何時紹介してくるんやろってずっと思っとったんや…」

「…は?」

「あんな…」

 

霊術院生時代、兎に角モテモテの惣右介は告白される度に、想い人がいる、その人は自分の太陽そのものだと返事しては断っていたと。

当時、惣右介も周りの人との交流の幅が広がっていたのもあって、その中の誰かに好意を寄せたのだと思い込んでいたと。

真子の思わぬ告発に、惣右介は額に手を当てて天井を仰いでいた。

 

「…なしてそうなったん?」

「…さっきの令嬢が言うてたやろ?惣右介にとってウチは姉みたいなモンやって」

「…僕は真子さんを姉と思うた事一度もあらへんで?そう言う真子さんかて、僕の事弟としか見てへんやろ?」

「…確かに昔は、弟居たらこんなんやろか思うた事はあったけど…そんなん霊術院入ってからのうなったわ」

「え?」

「あっちゅう間にウチの背は抜くわ声変わりするわ手だって大きゅうなるわ…男子三日合わざれば刮目してみよやないけど…卒業した時にはもうすっかり一丁前の頼れる男になっとって…せやけど、惣右介がえぇ人見付けたんなら、そのうち紹介して来るやろ思うて心の準備しとかなあかん、隠し事は好かんけどこればかりは隠さなあかん思うて…惣右介?」

「ちょぉこっち見んといてぇな…今の顔見られとぉないわ」

 

惣右介は口元を手で隠しながら、顔どころか首まで真っ赤になってそっぽを向いていた。

釣られて此方も更に真っ赤になった。

 

「はいはい、ご馳走様」

「「っ!?」」

「良かったね藍染隊長…さて、そろそろ戻らないと副隊長に怒られちゃうな。僕はこれで失礼するよ。…あぁ、近いうちに今日のお詫びを贈るから。じゃあね、お2人さん」

「お、お疲れさんでした、京楽隊長」

 

帰るタイミングを逃していた京楽が立ち去り、2人きりになった。

 

「…やっぱり隠し事は駄目やな。もうこの際やから全部ぶっちゃけよか」

「真子さん?」

「あのな惣右介、うちはむぐっ?」

「…その先は僕に言わせてぇな。な?」

 

手で口をそっと塞がれた。

相変わらず赤い顔のまま、惣右介は胸の内を吐露した。

 

「僕、藍染惣右介は生涯かけて平子真子を愛し、守り、幸せにする為に全力を尽くす事を誓います。この簪はその誓いと覚悟の証や。真子さん、一生僕と一緒にいてくれん?」

 

惣右介が指し出したのは、宝箱に仕舞っている母親の形見の鼈甲細工の簪。

私の答えは勿論、

 

「ウチ、平子真子は藍染惣右介の求婚を受け入れたります。この先、幸せだけやない、苦難やってあるやろ。それらぜーんぶ一緒に乗り越えてこうや。な?旦那様」

 

挿していた藍色の玉簪を外し、惣右介の差し出した形見の簪を挿した。

 

 

 

その後の職務中はずっと鼈甲細工の簪を挿したまま、帰宅まで変える事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍染惣右介視点

 

 

霊術院に入って早々、鬼道衆の特別講師を頼まれた。

講師の柄では無いと思いながらも、腕を磨く良い機会として前向きに捉えて挑んだ。

卒業後は、入学前から何かと世話になっている京楽隊長の8番隊に所属した。

普段はだらしないけど、有能な京楽隊長の下で経験を積み、5番隊の欠員補充で僕が隊長、真子さんは副隊長として異動となった。

隊の立て直しには四苦八苦したが、真子さんの的確な補助のおかげでどうにかなった。

…やっぱり、真子さんは凄いわ

…僕の至らない部分をしっかり穴埋めしてくれるんやから

隊長職も板に付いた頃、真子さんが久し振りに夢の話をしてきた。

何でも、とある弦楽器を誰かに教えて貰い、それの作り方も体験させて貰う夢だったとか。

異動してからずっと真子さんに頼りきりだったから、こういう時に真っ先に頼ってくれるのは凄く嬉しい。

2人で試行錯誤して半年後、漸く完成した楽器を試し弾きする真子さんを堪能している最中に邪魔が入った。

何でも、何処ぞの馬の骨が押しかけて来たらしい。

京楽隊長は何度も断ったが、強硬手段に出られたと憮然とした表情で語った。

案の定、馬の骨は礼儀も知らなかった。

真面な挨拶ひとつせず、僕に真正面から敵対表明をしてきた。

…今何て言うたこの醜女?

…真子さんは僕の姉代わりやない

…僕の太陽、僕が生涯かけて全力で守り抜きたい特別な女性なんや

…それをこの糞女はどっか行けと?

…絶対に赦さへん

この場で消すと決めたが、真子さんからの懇願を無視する訳にはいかず、渋々床に這い蹲らせるだけに留めた。

言いたい放題言われた分、言い返したら逃げた。

真子さんの様子がおかしくなり慌てたが、彼女が周りから得た情報を纏めた結果、僕の想い人を勘違いしていた事が発覚した。

…本当になしてこの人はそっち方面疎いんや

…まぁ、僕もずっと弟としか見られとらん思ぅてたけどさ

京楽隊長に恥ずかしいところを見られたものの、気を利かせて帰ってくれた。

その後、真子さんを困らせるくらいならと、伝える気は無かったこの想いを全て吐露した。

…全身が心の臓になったみたいや

真子さんも僕に負けないくらい真っ赤になりながら真摯に応えてくれた。

…今日は僕の人生で最高の日だ

以降、真子さんは副隊長業務中は藍色の玉簪を、僕の伴侶の時は鼈甲細工の簪を挿すようになった。

 

…使い分けるのも彼女らしい

…この幸せは誰にも奪わせない

…一生一緒やで、真子さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観察記録XXXXXX

 

この観察対象者と出会う【世界線】で最も藍染惣右介が安定し、幸福を享受する分岐と現時点では判明。

他の観察対象者ではどの分岐でも再現不可能。

この観察対象者の更なるコピーの用意を検討、要請…

 

備考:この【世界線】でのみ〈魔法〉が〈魔道〉に名を変え表舞台に登場。






分岐その3、3つめこれにて終幕。














オマケ
〈魔法〉の発動方法について。

〈魔法〉を発動する際に必要なのは〈詠唱〉ではなく脳内に浮かぶ〈陣〉と〈魔法名〉である。
そしてこの2つが完全に一致し、霊力を込めると発動する。
結果、〈魔法〉は鬼道の亜種として【魔道】と名付けられ、私と惣右介は正式に特別講師として鬼道衆と受講希望者に教える事になった。
「卒業後は是非に」
と鬼道衆から勧誘があったものの、2人とも丁重にお断りした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。