転生先で行き倒れを拾った結果。   作:如月雪見

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また思い付いたままに書いてみました。



平子真子(♀)の複製完了。
新たな分岐点に転送します。

転送完了、観察開始。



取り敢えずIF/平子(♀)が真央霊術院に入学が決まった直後からの場合

 

 

真央霊術院の入学試験に行ったら、見学に来ていた京楽春水と浮竹十四郎に会い、両親の事を知っていると、私にはその素質がしっかりと受け継がれていると太鼓判を押され、その場で合格とされた。

 

入学式までの準備をする為に出掛けた先で、ふと物乞いの少年を見かけた。

 

…さっきは人通りが多かったからなぁ

…全然気付かなかったなぁ

…直に寮生活に入るから連れ帰るのは無理

…どうしよう、どうすれば良い?

…あ、そうだ

 

「…すまんなぁ、コレしかやれるモンが無いんや。それと…ちょい見せて貰うで」

「…っ」

 

欠けてヒビも入り、汚れた茶碗に入れるのは気が引けて、左手と左足の向きがおかしい少年に巾着ごと鼈甲飴と金平糖そして昼食にと用意したおにぎりを手渡し、お節介は重々承知で左手足の状態を調べ、手当てをした。

 

「ホンマは連れて帰れれば良ぇんやけど…近々離れんといかんから…堪忍な」

 

無理して歩いたのだろう、足の指は砂利とかで切れてるし、爪も割れていてとても痛そうだ。

手持ちの薬を塗り、買ったばかりの布で傷をしっかりと覆った。

不幸中の幸いか、まだ折れてから余り日が経っていないらしく、添え木でしっかり固定すればそこまで酷い後遺症にはならなそうだ。

早く治るおまじないと称して、〈回復魔法〉のひとつ〈楔打〉と先生から教わった回道をこっそりかけて、手足の骨を矯正して余程の無茶をしなければ後遺症は残らないようにした。

後はその辺で拾った木の棒を杖代わりにして、左手足に負担をかけないように伝えてから帰った。

 

〈回復魔法/楔打〉骨、筋肉、神経等の異常をその中心部から正常に治す為の下地。決して壊れない楔を今回は骨折した部分に打ち込み、其処に元々の骨を集合させる事で、安全且つ治癒を早める効果がある。

 

 

 

 

 

 

少年とはそれきり、XXX年の時が経った。

 

その間、会えると思っていた本物の平子真子とは会えず、物語の重要人物の1人、藍染惣右介も居なかった。

その代わりなのか、親友を殺された東仙要と話す機会を得て、敢えて厳しい言葉を投げかける事で、復讐者ではなく親友の想いを継ぐ者としての道を歩ませる事に成功した。

そして、市丸ギンと乱菊を成り行きで虚の群れから守り、その恩返しの為にと2人は死神になった。

 

…にしてもおかしいなぁ

…あの2人が居ないなんて

 

 

 

 

ある日、報せを受けて急遽虚討伐に出陣した。

 

「そっち行きました!平子副隊長!」

「任しとき!縛道の六十三、鎖条鎖縛!今や!」

 

ザシュッ

ーギャァァアアア!!ー

 

「「「やった!」」」

「良ぉし、討伐完了…!?まだや!」

「「「え!?」」」

 

此処からそう遠くない距離に突然、虚の気配がした。

思わずそちらを見遣ったその瞬間、何かが顔に飛んで来て直撃した。

 

ヒュルルルル…スコーン!

 

「いったぁ、何や!?…箱?」

「「「副隊長!」」」

「っへぶぁ!?」

 

ドンガラガッシャーーーーン!!

 

「…っ次から次へと…何なんやホンマに!?」

 

箱が当たったと思いきや、今度は人が吹っ飛んで来た。

避ける間も無く、吹っ飛んで来た誰かの下敷きになって廃屋へと突っ込んだ。

 

「…っうぅ」

「…って、しっかりしぃ!」

 

伸びっ放しの茶髪に無精ヒゲ、骨と皮と言っても良いくらいの痩せぎすでぼろ布を纏った男の下から這い出て声をかけた。

 

「…に、げ」

ーギャハハハハハハ!オニゴトオワリ!オマエモオワリダ!ー

「…っ」

「うっさいわボケェ!破道の四、白雷×5!」

ーアギャギャギャ!?ー

「そのまま逝けや!」

 

ザシュッ、ドサッ…バシュゥゥゥ

 

どうやら、この虚に追い掛けられていたらしい男を押し退け、耳障りな虚の頭と胸めがけて白雷を放ち、トドメを刺して黙らせた。

 

「ふぅ…大丈夫か?…って、何しとん?」

「はこ…くのはこ…」

「「「ご無事ですか、副隊長!?」」」

「お~、今度こそ討伐完了や。帰るで」

 

その後、虚との関係を調査する為に、自分を下敷きにした男を保護、連れ帰った。

 

 

 

隊長への報告を終え、男の所へ向かった。

 

…情報、聞き出せてると良いけどなぁ

…ってか、この箱の中身見たけど

…まさか、ね

 

「お疲れ様です、副隊長」

「どや?何か喋ったん?」

「それが…」

 

辺りを見回して何かを探す男を無理矢理連れて来た所為で、凄い抵抗をされてやむを得ず気絶させてから、念の為にと拘束具と殺気石を嵌めて目が覚めるまで監視付きの部屋に置いているらしい。

取り敢えず、改めて話を聞く為に部屋に入った。

男は扉の開く音に反応して目を覚ましたらしい。

飛び起きて、擦れきった声で要求をして来た。

 

「はこ、ぼくのはこ…っげほっ、げほげほっ…ぼくの、はこっ…うっ、げほげほっ…」

「…もしかしてコレの事か?」

「っ!かえっ…げほっ、ごほっ」

「ちょい落ち着きぃ。コレの持ち主ならウチの質問に答えられる筈や。答えられたらちゃんと返したる」

「…っ」

「おー怖。まぁえぇ、早速質問や。この箱の中には名前が書いてあったんやけど、解るか?」

「…あいぜんしょ…そうすけとタケ。ぼくのなま、えとおばあちゃ、ん、のなまえ、かいてあ、る」

「…マジかぁ」

「…?」

 

伸びっ放しの前髪の隙間から怪訝な表情を浮かべるこのどこか舌足らずな男があの藍染惣右介だと、どれだけの人が気付けるだろうか。

原作と余りにも違い過ぎて、名前を聞いても正直「はい、そうですか」なんてすんなりと受け入れられない自分が居る。

 

…でも多分、間違いないんだろうなぁ

 

余程箱を取り戻したいのだろう、箱の中身について必死に事細かに話す彼を持ち主と断定して返した。

明らかにホッとした彼に、湯冷ましを飲むように促したが、警戒の目で見つめるだけで飲もうとしない。

 

…この警戒心の高さとかは藍染っぽいなぁ

 

「ただの湯冷ましやで。ゴクゴク…ふ~。な?」

「…ごくっ……ごくっ…」

 

同じ湯呑みに入れ直して渡すと、チビチビとだが飲んでくれた。

その後は、何故あの虚に追い掛けられていたのかを聞いた。

 

案の定、警戒もしくは別の理由があるのか中々話さなかったが、

「言わなきゃ何も解らんし、伝わらんで」

「お互い初めましての相手やで?逆にアレコレ知っとる方が怖いやろ?」

「この状況で嘘吐く程、阿呆では無さそうやしな」

「まぁどの道、虚と何かしらの関わりがあるのが解っとる以上、解放はでけへんのやけどな」

そこまで言って漸く重い口を開いた。

 

…昔から、何故か虚に付き纏われやすい。ねぇ

…その所為で、何処に行っても厄介者扱いされて根無し草のまま各地を転々として来た。かぁ

…十中八九、その霊圧が原因だろうなぁ

 

湯冷ましを飲んだ彼の霊圧が、微弱ながら回復して来たのが解る。

 

「…なぁ、死神にならん?少なくとも、虚に付き纏われても何とかする方法が身に付くで?」

「…は?」

 

死神になる事で起こるメリット、デメリットを話した結果、まだ死にたくないからと彼は首肯した。

 

「そうと決まればやな。お前さんは先ず体調を整える事に専念せぇ」

 

隊長に藍染惣右介を真央霊術院に入学させる為に、推薦状を用意する事と後見人になる事を報告した。

 

「…やっぱりか…相変わらずだな真子」

「すんまへん隊長。こればっかりは何遍死んでも変わらへんやろな」

「…解ってるだろうが、あの手の者は…まぁ、お前の事だから大丈夫だろうが…何かが起こる前にちゃんと俺や皆に知らせろよ。絶対に抱え込むな。良いな?」

「肝に銘じときます」

 

隊長の許可を得て早速、部下達は勿論、他隊の交流の深い者達にも協力して貰い、藍染のケアに取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

藍染惣右介視点

 

おじさんに家を奪われ、左手と左足を折られた挙げ句に捨てられた。

その後も宝箱を奪いに戻って来たおじさんを手に掛け、どうにか水を得て此処まで来た。

無理して歩き続けた所為で、折られた左足の痛みは酷くなる一方。

身体を休める場所を漸く見付け、偶々拾った欠けた茶碗を前に両膝を抱えて顔を伏せた。

…これからどうしよう

…せめてこの足がどうにかなれば

…どうやって?何処に行けば?

…おばあちゃん

物乞いの真似事を始めて数日、誰かの気紛れやお情けで手に入れた雑飯で食い繋いだが全然足りなくて、いよいよもって意識が朦朧として来た。

そんな折、変わった喋り方をする女性が話しかけて来た。

綺麗な巾着ごと鼈甲飴と金平糖、そして大きなおにぎりをくれた。

それだけじゃない、左手足を手当てしてくれた。

早く治るおまじないだと言って、暖かい光で1番痛い所を包んでくれた。

左足の代わりにと杖まで探して来てくれた。

中途半端なお節介で堪忍なと言いながら、彼女は出来る事を必死でしてくれた。

少なくとも、そのお節介のおかげでぼくは命を繋ぐ事が出来た。

左手足の怪我も、貰った飴を食べきる前にだいぶ良くなった。

…あの人の名前、聞いておけば良かった

そんな後悔をしながら、生きる為にどうすれば良いかを考えながら再び彷徨った。

その後、あの人とは会う事無く、代わりに何故か虚に付き纏われる日々を送る羽目になった。

その所為で、何処に行こうと直ぐに迷惑だからと追い出され、厄介者扱いを受けた。

…ぼくだって、好きでこんな目に遭っている訳では無いのに

その内、人と関わる事が恐くなった。

あの嫌悪に満ちた拒絶の目を向けられるのが嫌で、空き家を見付けてはこっそり住み着き、夜な夜な食べられる物を探し、虚が現れたら直ぐに逃げる。

そんな日常はぼくを心身共に弱らせていった。

誰とも話す事すら出来ない日々を送ってどのくらい経ったのか、唯一手元に残った宝箱を奪いに来た輩から逃げている最中に虚が出現し、その輩をぼくの目の前で惨殺した。

その虚は何故かオニゴトを持ちかけて来た。

どの道捕まったら終わり、だから必死に逃げるしかなかった。

時折、身体から発せられる〈何か〉を虚にぶつけて距離を取ってはまた逃げるを繰り返す内に、他の虚を相手取り、倒した黒装束の人達、死神を見付けた。

…あの人達ならどうにかしてくれるだろうか

そう思ったものの、やはり人と関わる事の恐怖が先立ち、速度を落としたのがいけなかった。

虚に勢い良く吹き飛ばされ、誰かにぶつかってしまった。

どうやらぶつかったのは死神の女性らしい。

怒声を上げて虚をあっという間に倒してしまった。

…凄い人だ

…あれ?そう言えばぼくの宝箱は?

吹き飛ばされた拍子になくしてしまった宝箱を探すぼくに用があるからと、虚を倒した女性とその部下らしき人達に無理矢理何処かに連れて行かれた。

扉の開く音に飛び起き、入って来た女性に宝箱の事を聞けば彼女が持っていた。

取り返す為に聞かれた事全てに事細かに答えたら、あっさりと返してくれた。

ぼくの名前を聞いた時の反応が少し引っかかったが、無事に宝箱が戻って来たからどうでも良い。

あの虚との関係性を聞かれたが、虚との関係について話すのは抵抗があって黙ったが、彼女はぼくの話を聞くまで此処に居るらしく、真っ直ぐにぼくを見ている。

…こんな目を向けられたのは何時振りだろう

人とこんなに話をした事は殆ど無くて、所々つっかえて聞こえにくいだろうぼくの話をしっかりと聞いてくれた彼女、平子真子はぼくが虚に目を付けられやすい体質だと教えてくれただけでなく、対抗策として死神にならないかと提案して来た。

死神になる事で起きる良い事、悪い事をしっかりと教えてくれた上でどうするか聞いて来た。

…ぼくはまだ死にたくない

…それに、死神になればあの拒絶や嫌悪の目を向けられなくて済むようになるかも知れない

そんな打算から死神になる事にした。

 

 

 

その後、平子真子がぼくの後見人になった事を伝えて来た。

「そう言う訳やから、これから宜しくな惣右介」

…名前を呼ばれたのは何時振りだろう

…この人はぼくを嫌悪せず、拒絶せずに居てくれるのだろうか

…恐いけど、今はこの人に頼るしか無い

そう思いながら、笑顔で差し伸べて来た彼女の手を恐る恐る握り返した。

 

 

 





取り敢えず出会いと再会。


観察記録X
流石に現役の隊長達から直々に合格を宣言された以上、入学を優先せざるを得なかったようだ。
それでも、己の前世からの矜持〈助けられる命は、常に全力を尽くして救う〉を藍染惣右介相手に実行。
今後、どうなるか観察続行。




観察記録XXX
再会させたが、流石にまだ互いの正体には気付いていない模様。
観察続行中。
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