最高効率の周回場解放のためにラスボス最速撃破したらシナリオブレイクしました。 作:ニャル太郎
1.喪失は未来への投資
意識がはっきりとした瞬間“これ好きなゲームに異世界転生しちゃったな”と察し、次に考えたのが“ほなレベ上げするかぁ”だった。
最高効率の周回場を開放する条件は『
ぶっちゃけ『
攻撃タイミングもモーションもフレーム発生も全て完全に把握しているから問題ない。『
所詮は組み込まれたプログラム────だが今回は違う。
だからこそ小さな手で頭を抱えた。
土壇場で意味のわからん挙動をされたらどうしようもない。
────無理だ。勝てない。絶対に。ゲームで何度も戦って検証したことあるからこそ断言できる。
今のままでは、だったらやることは一つ。
まずはこの世界に
VRゲームが元なら反射神経が重要となり、現実世界なら体力づくりが基礎となる。
昔の、前世の感覚を取り戻しながら前世よりもはるかに成長しなければならない。
上等じゃボケ、そんな苦行はもう慣れっこじゃ。
(……とりあえず、まずはこの終わってる状態をどうにかしようか……)
よりによって捨て子スタートか、先は長そうだとため息をつく。
それから割とすぐに孤児院を経営してる善良なシスターに拾われて、気づけば六年ほど。
年月が経ち僅かだが世界の仕組みを理解できるようになった。
まずゲームでよくみるステータス画面は
ステータス値はあくまで目安なのだが、実際には数値以上の力を発揮していることも発覚した。
現に体格差がそれなりにある三~四歳差の少年共に囲まれて、全員返り討ちにしてやったのでどうやら数値+身体能力=実力らしい。
それに痛みもある。殴られたら痛いし蹴られたらもっと痛いしとにかく痛い。木から落っこちて骨折なんてしたらもう地獄。
だからこそ、この世界が
「ガキとはいえ勝てばちゃんと経験値入るのはゲーム通りか、とはいえレベルアップするほどの量じゃないのでうまみなし。二度と楯突くなよバカが」
調子に乗ったガキをしばくという点では美味しいか。
反射神経も鍛えられていいイベントだった。それでもまだ全盛期には及ばんけど。
「格闘戦のパリィは慣れてないから苦手なんだよな、早く
あわよくば剣も欲しい。ロングソードがいいな、使いやすくて手入れも楽だから。
孤児院のお手伝い頑張ったら買ってもらえるかな~木剣でもいいから剣の技術を上げたいんだよな~。
「あ、待って? 今生きて六年だよな? だとするとあの
一年後。
割と猶予がないのに気づく。
「うおおおおっ! ガキしばいてる場合じゃねえ! まずは町のお使いイベントをこなしてそれから、えっと~……とにかく急げ! 行動あるのみ!」
全てはレベリング計画の準備のために走り出す。
────それから三ヵ月後、孤児院が襲撃される。
「哀しましょう……
黄金使徒の第十二位、
「黄金使徒がひとり、この『溺哀の歌姫』
「ちっすその名の通りの雑魚ボスさん、さっそくで悪いが経験値になってもろて」
「えっどなたプベキュ」
頭上から失礼と言わんばかりに借りパクしてた鍛治師のハンマーで脳天をカチ割る。
理解するまもなく
「不意打ちで殺せるところは変わってなくてよかった、だから第十二位止まりなんだぞ」
期待に新人(笑)でもう少し年月が経てばそれなりに歯ごたえがあるボスに成長するけど、まあ弱いので誤差の範囲。
「一般人からしてみれば全然強いんだよね。結構面白みあるけど、なんか弱いんだよなぁ……」
しかし予定より早いのは想定外、いや想定しておくべきだった。
とにもかくにもサクッと経験値ゲットしてレベルも四からなんと二十二に上昇、貴重な経験値だから大事にしていこう。
「────……、っ」
「……シスター?」
「あ、貴方は、無事でしたか……」
「シスター! 貴方こそよくご無……」
無事なわけが、なかった。
虫の息で頭からは血を流していた。下半身は瓦礫に挟まれ完全に潰れて、右腕はあらぬ方向に曲がり、その中には数名の子供が死んでいる。かろうじて左腕は無事だが女性の細い腕ではこの瓦礫を抜け出すことも無理に近しい。
祈祷師を呼んでこればまだ間に合うが問題はこの周辺が一斉に襲撃されていること。今の体力なら近くの町まで半日、いやそれだとシスターが持たない。近場の教会から『聖書』をパクって回復させるか? だめだ信仰値が足りなくて使えないしそもそも自分の神秘値が異次元過ぎて祈祷に制限がかかって無理だから。
(…………手遅れ)
思考を巡らせた結果、そんな無慈悲な言葉が頭に浮かぶ。
所詮自分は一端の転生者に過ぎない。
「あの者は……?」
「……あ、えっと、賊ならぶっ殺しました、ただ……」
孤児院は自分覗いて全滅です。なんて、口が裂けても言えなかった。
言い淀んでいると何かを察したようにシスターは、自分の頭を撫でる。
「……ありがとう、よくがんばりましたね」
「いえ、自分は未熟者ですゆえ」
「……フフッ、貴方はいつもそうやって、素直に褒められてはくれませんね……」
優しく頬を撫で涙を拭き取った。その手のぬくもりは失われているというのに。
「胸を張って進みなさい。貴方が生きることに、意味があります」
「…………」
「そしてどうか悔やまないで、運命とはそういうものであり……いつかは解放されるべき……もの……で……」
その言葉を最後に、シスターは永い眠りについた。
「……………………うい、感傷タイム終わり」
雨が冷たいね、あれ止んでるじゃん。
それからシスターと孤児院の子供達の遺体を放置するわけもいかないので二日かけて墓を作った。
すぐに
「そんじゃ、いってきます」
返事はない。ただ風だけが吹いていた。
帰ってくるのは大体十年後くらいの予定だけど、そん時にこの土地まだ残ってるといいなぁ。
なんて淡い期待を胸に打倒魔王の旅の第一歩を踏み出した。
【ボス紹介】
〇『溺哀の歌姫』
推奨Lv:11~
『Soul Lead』の
黄金使徒第十二位の官位に位置し、深海色の髪を持つ人魚ように美しい女性。慈悲深い性格で常に哀悼の心で唄い、相手を溺没させる。
戦闘開始時、『
変化したフィールド内のみ潜水が可能となるため攻撃を当てるのが難しく本体は水の中から攻撃するため非常に厄介なボス、と公式からはそう紹介されてるが出現ポイントには必ず波紋が発生するためかさほど脅威にならない。ついでに本人の攻撃タイミングも掴みやすいので比較的倒しやすい部類。
ちなみに
戦闘開始直後、即座に身を隠すなどの行動をして
捜索状態に入った
武器は大剣やハンマーといった部位破壊を得意とする武器、あるいは破壊属性が付与されてる魔法をぶつけることで簡単に討伐できてしまう。
上記のことから『
・余談
なお