最高効率の周回場解放のためにラスボス最速撃破したらシナリオブレイクしました。 作:ニャル太郎
あの後、計画通りに装備を揃えたり預言者じみたことを言ってみたり聖教会襲撃したり倒さないといけないネームドボス討伐のためにレベリングしたり死にかけたり寄り道したりアルヴェニール討伐したりして大体一ヶ月経った現在。
「
宝物庫の中でぬくぬくレベリング途中です。今は
しかし長年使ってるのもあってか刃こぼれしている。そろそろ新しいのを買おうかなとも考えてるけどあと向こう五十年程度は使い倒すつもりなのでもうちょい頑張ってくれや。
宝物庫産の武器も強いんだけどなんか手に馴染まないんだよね。剣に槍、
かといって神代の遺物を使わないのも可哀想ではある。どれだけ高火力で魅力的な力を持つ遺物でも使用者がいなければただの輝く置物。
古代技術が使われてる遺物なので魔法学会とかに渡せばとんでもない額で売れるんだろうけど、それは
「────侵入者ヲ確認」
なんて待っていると財宝の山の奥からやっとお出ましだ。
黄金で造られた全長十八メートルくらいの巨体に騎士の姿を模したゴーレム。額には狙ってくださいと言ってるかのような巨大な赤い宝石がはめ込まれいる。
「待ってたぜ、あれトモダチもつれてきとる」
剣と盾持ち、槍持ち、大剣持ちと大所帯。
いいね、多いに越したことはない。
「速ヤカニ退出セヨ。繰リ返ス。速ヤカニ」
「えいっ」
手入れが終わったロングソードを大剣持ちの額にぶん投げる。
吸い込まれるように命中した結果、額の宝石は砕け散り一体目の動きが停止した。
「敵意ヲ確認。対象ヲ排除スル」
殺意の波動に目覚めるとその巨体に似合わず槍持ちが猛スピードで突進。
動きに合わしてゆるりと躱す、が後隙を潰してくるようにもう一体の剣が振り下ろされた。
すかさず体をひねって空中回避して壁走り。
ゴーレム二体を誘導して、この辺りかな。
「飛躍術『翔』! からーの、
全身に魔力を巡らせて最大出力でひとっ飛び、目標地点は槍持ちの額。
武術の一つ、飛躍術はその名の通り縦横矛盾に飛び回ることができる。
『翔』はそのなかでも扱いやすく体への負担が少なく最序盤で覚えられる優れもの。
そして汎用性の鬼と言われる
「人間ライフルアターック!」
弾丸が如く高速で目標地点に着弾、見事宝石を粉砕。
ついでに自分にもダメージが入るデメリット付きだが問題な、あれなんか暗く────
────衝撃、理解した瞬間には視界は暗転。
頭上から迫りくる巨大な盾に気づけず、悲鳴も許されず、あっけなく潰されてしまったのだった。
侵入者を排除したゴーレムは持ち場に戻り秘匿の守護を続ける。
もはや秘匿を暴くものは誰もいないのに、創造主のために無意味な警備を己の活動が停止する日まで永久に続けるのだ。
「盾で潰すなんてまねっこか~?」
瓦礫の中から
身代わり人形がなかったら死んでたよ、ありがとう呪術師のばあちゃん。
ちなみにこれが最後の一つなのでもう
盾持ちはというと復活したのに反応してくれない、死ぬと敵意解除してくれるのは優しいね。
「来いよ黄金兵、ビビってんのか? お前が守りたい秘匿を暴かれて世に知らしられたくなけれりゃ全力でかかってきな」
ゆったりとした動きが一変、殺意全速力で走ってきた。
その守護魂に敬意を示すように…………あっやべ、剣まだ回収してないじゃん。
「うおおおおおごめんごめんごめんゴーレムくん一旦タンマ! さっきのなし!」
聞く耳持たず、執拗に追いかけてくる。そもそも耳ないですけど。
額の宝石さえ破壊できれば活動停止するので雑魚敵ランキング堂々の一位のくせしてたまに三体くらいまとまって出てくるから油断できない。でかいクセに速いってずるい、巨体
「さてどーしよかな、盾持ちだと人間ライフルアタックだと防がれちゃうし」
走りながら強そうな武器を探す。あるのは魔学研究者達が喉から手が出る程に欲しい神代の記憶媒体、黄金世紀の石板、古代金貨と使えなさそうなものばかり。っておいこらさっきまで辺り一面に武器転がってたのにどこいった? 使われないのがそんなに嫌だったか?
「って、危っ」
振り下ろされた剣を間一髪で躱す、ってもうこんなに距離を詰められてるじゃん。
しかもいつの間にか部屋の隅に追いやられてた。
ここが宝物庫産のゴーレムのいやらしいところ。規則的に動く警備兵的なのだと思ったら実際は高性能AIのように戦術を編み出して追い詰めてくる。的確な分析に無駄な動作を完全に排除して職務を全うする健気な創造物。
開発側の
「……しゃーない、あまりやりたくない戦法だけどやるっきゃないか」
立ち止まってポーチから丸薬を取り出して飲み込む。直後、活力が湧き出る感覚が全身を包み全神経が研ぎ澄まされる。
その隙に合わせてゴーレムは愚直だがそれでいて圧倒的な剣筋で斬りかかってくる。直撃まで十秒もないが、無理やり相手の動きに合わせて構えた。
「拳術『剛』」
拳術『剛』、筋力と技量増加させる防御武術。さらにはパリィの強化といった重要な役割がある。
通常、パリィとは相手の攻撃に合わせて弾く技術。ただし“体格差が激しいと発動できない” “一度ミスれば被弾、最悪死” “大型
その弱点を補うために拳術『剛』で筋力と技量を底上げ。さらに弾くタイミングと有効範囲を少しだけ伸ばしてくれる、ついでに体格差人型大型問わず全ての攻撃をパリィの対象とさせる荒技武術。
つまり、巨石のごとく大きい剣でもこの細い腕で簡単に弾けてしまうのだ。
「────」
衝撃と衝撃がぶつかり合いゴーレムのほんの少しだけよろめく。瞬時に飛躍術『翔』を使って頭上よりはるか高みへ。
「飛躍術『隼』!」
飛躍術の中でも最上位の力を持つ『隼』。
縦横無尽に高速で飛べるがゆえに体への負荷が凄まじく、対策せずに使えば内臓が破裂してしまうが気合いと根性で乗り切る。態勢を整える間に拳にありったけの魔力を込めて彗星の如くゴーレムの額に向かって落下。すかさず盾で身を護るが、もはやその盾は意味を成さない。
「もろとも砕けろ! 人間ライフルアタック!」
盾ごと破壊し額の宝石にこれまでの鬱憤をぶち込んだ。着弾した衝撃でゴーレムごと倒れこむ。いくつかの遺物が壊れたけど許せ、命かかってんだこっちは。
「……うぅええあぁあ〜痛いし気持ち悪いし疲れたぁあ」
だから格闘術は嫌いなんだよ。体力消費前提ビルドはゲームだと気にしなかったけど現実だと痛いし内臓は無事だけど体のあちこちが泣き叫んでる。丸薬飲んでなかったら今頃愉快な芸術作品になってたところだ。
「さてレベルは、おっ二十三レベか。上々上々」
ゴーレム三体だとやっぱ美味いな経験値、でもソロでやる相手じゃない。
だけど天涯孤独だから一緒に戦ってくれる相手もいないからどうしようもない。
バラバラになったゴーレムの亡骸を見ると
「そうだ、剣回収しないと」
ボロボロの体を叩き起こして立ち上がる。うおっ生まれたての小鹿の気分。
最初に倒したゴーレムの残骸に行き剣を回収……あれ抜けない。
「げぇ~めんどくさいなぁもう、ふんっ!」
最後の力を振り絞って剣を引き抜く。ガキンッと聞きなれない音が聞こえたけど意外にもすっぽり抜けた。やはり力、力はすべてを解決してくれる。
「……あえ? なんか、刀身が、ぽっきり折れてらぁ」
喪失感のあまりその場で倒れる。もう無理、立ち上がれない。
さよならロングソード、平凡であるからこその強さだったよ。
ちょうどそのタイミングでゴーレムがリスポーンしてきた。
「────侵入者ヲ確認。速ヤカニ退出セヨ」
「……すません、今悲しくて動けないので出口まで運んでくれませんか」
「承認シマシタ。案内モードニ移行シマス」
「あんがと」
ごーれむくんだいすき。
【
〇黄金ゴーレム Lv1☆
推奨Lv:1~
『Soul Lead』の
全長十八メートルの巨体であり近接戦闘が得意とする錬金術で作られたゴーレム。自然発生するゴーレムとは違い剣と盾、槍、大剣など多種多様な武器を使用し黄金で作られてるためか人間のように滑らかに動ける。その代わりに装甲自体は脆く、額の宝石を破壊すると完全停止する。
宝石の耐久はスライム程度なので小石を投げるだけでも簡単に破壊できてしまう。
公式通販で売られているマスコットぬいぐるみ「ごーれむくん」が大人気。
【技紹介】
〇人間ライフルアタック
そんなものは存在しない。