最高効率の周回場解放のためにラスボス最速撃破したらシナリオブレイクしました。   作:ニャル太郎

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4.ようこそ『花の都』へ

「いいかい、空腹状態で転移門(ワープポイント)を使うと内臓がしっちゃかめっちゃかになって胃の中のモノをおろろろろろろろ」

 

少年の前でゲロを吐くを実績解除しました。殺してくれ。しかも空腹だから余計に辛い、自分が何をしたっていうんだ。

 

「ご、ごめんなさい、僕、知らなくて……」

「大丈夫、これから知っていこうね、うぷッ……」

 

慌てた様子でモーネが背中をさすってくれる。その優しさが心に突き刺さるんだわ。

 

「ほんでここって」

「あ、ここはブルームの地下水路に繋がる道です。おじい様の代に作られた秘密の抜け道のような場所なんです」

「へ~そうなんだ~」

 

滅んだブルームに入る最初の水路でもあるから通りで見覚えのある道なわけだ。管理も行き届いてるからか湿っぽい雰囲気はなく綺麗で歩きやすく舗装されている。ちゃんと都市としての機能を保っているようで何より。

 

「そういえば、まだ自己紹介がまだでしたね」

 

モーネはぴょこぴょこと歩いて自分の前に立ち、お辞儀をする。

 

「魔学研究学会『繁栄の瑠璃』会長、モーネ・ラピス・シュタインでございます、以後お見知りおきを」

 

さっきまで気の弱そうな少年とは一変、凛々しく立ち振る舞い、青い瞳の瞳孔が星型のように輝き出した。というか思ったよりも肩書がごついな。人口の半分が技術者とは言ってたけど、まさか子供もそうだとは予想外。

 

「魔学研究学会って、転移門(ワープポイント)生み出した連中のお偉いさんじゃん」

「いえいえ! 僕はただ術式を作り出しただけで、実際に案を出したのは違う人で、僕はまだ駆け出しで……あ、いえなんでもないです!」

 

しょもしょもと瞳から星型が消えて恥ずかしそうに俯いた。どうやらこっちが本当の性格のようだ。これでほんとに中身が変わってたらどうしようかと思ったぞ、割と普通に人格乗っ取られてましたーとか当たり前だからね。

 

「ええと、とにかく行きましょうか!」

 

こちらです! とモーネはぴょこぴょこと歩き出したのでついていくと頑丈な鉄扉が見えてきた。

 

どうやらここから街の中に入るようで鉄扉には何重にも施錠魔法がかけられており特定のパスワードを入れないと入れない仕組みになっている。慣れた手つきでモーネは入力し、扉を開けた。

 

「ようこそ! 魔学都市改め『花の都』ブルームへ!」

 

扉を開けた途端、最初に肌に触れたのは真っ白な花弁ではなくほのかに油と金属の匂いが混じった蒸気だった。

 

視界の先に広がっていたのは花とは程遠い配管が咲き乱れるスチームパンクの街並み、赤レンガの建物には真鍮の装飾が施され規則正しく歯車が回る音があちらこちらに鳴り響いていた。街道には路面電車(トラム)がベルを鳴らしながら走り去っていく。

 

街の中心には巨大な時計塔が立っており、丁度正午の鐘が鳴り響いた。

 

「どこだここ!?」

 

あれ花は!? 『花の都』なのに花ないじゃん! ゲームだとあちこち壊れまくってて花どころか瓦礫と瘴気まみれで建物も廃墟ばかりのステージだったけど! 公式ファンブックだとめっちゃ華やかな街並みには魔法陣だらけの都市だからむっちゃ楽しみにしてたのに! あ、花壇はちょこちょこあるわ。

 

「すごいでしょう? 元々は花をふんだんに使った街だったんですけど、魔学技術を組み込んでいくうちにこうなってしまって」

「そうなんだ、まあこれはこれで面白い景色だけども」

「夜になると魔力が籠った蒸気が噴き出てまるで夜に咲く花みたいで綺麗なんですよ、でも風に舞う花弁とは比べ物にはなりませんがね」

 

それどっちかつうと『霧の都』っていうのが適切じゃない? どこぞの島国の都市の名前になっちゃいそうだけどさ。景色は悪くないからこれはこれでありだけどやっぱ花まみれのファンタジーガッツリのも捨てがたかったんだけどなぁ、デザインした奴に出会ったらちょっとめんどくさい小言でも言ってやろ。

 

っと、小言を言う前に自分の腹の虫が文句を言ってきやがった。

 

「あ、ちょうどお昼ですしご馳走しますよ!」

「え? いや流石に年下に奢られるほど……ほど……」

 

ポーチを取り出して持ち金を確認。

ジャララ、と金貨三枚が手のひらに転がった。ざっくり日本円換算で三百円程度。

 

秘匿の墓守(ハイド・キーパー)くんの素材を売ればとりあえずお金は確保できるから別に焦るほどではない。問題はこのモーネとかいう魔学研究学会長の前でこの魔物(モンスター)の素材を出した途端根掘り葉掘り問いただされる運命に落ちる。

 

それだけは避けたい、こちとらのんびり気ままに平穏なレベリングライフをしたいだけなのに。

 

「お金大丈夫そうですか? もしよければ奢ります!」

「……ひゃい……おねしゃす……」

 

な、情けねえ。こんな子供に奢られるの情けねえよ。

しかもお金がないんだぁって思われたのがいっちゃん恥ずかしいよ。

 

けどあそこで見捨てるのは正直夢見が悪くなるし、全部ガルディオが悪いよガルディオが。

 

「それじゃあこっちです! おすすめの場所があるんです!」

 

手を引っ張られモーネに案内されていく。色とりどりのレストランやカフェテリアが並ぶ店を通り抜けて、かすかに肉の匂いが漂う路地裏に入る。

 

入り組んだ路地裏を迷いなく進んでいくといくつもの花壇に囲まれた場所に一台の白いキッチンカーが止まっていた。匂いの元はここからのようだ。

 

肉を焼いている音が耳から胃袋に伝わり、食欲を刺激される。

思わずよだれが出ちゃう、仮面付けてるからバレないけど。

 

「いらっしゃい! あら、モーネ様じゃないの! お昼休憩かい?」

「そんなところですね、ハンバーガー二つください!」

「はいよ! すぐ作るからそこで待ってな」

 

注文して大体数分、香ばしい匂いのハンバーガーを渡される。もちろん御代はモーネ持ちだ。

設置されたテーブルに座り、いざ実食。

 

「いただきます」

「いただきまーす!」

 

一口(ガブリ)、と熱々のパティから旨みが凝縮された肉汁の大波が嵐のように暴れ出す。チーズも濃厚で口の中でとろけて肉汁と混ざり食欲を加速させ、レタスもしゃっきりとして薬味として最高の役割を果たしていた。

 

「ファンブックにも書いてたけどやっぱブルームの飯って最高〜! コラボカフェとかでよく食べてたけど現実で食べるのとはまるで違うわ、いやこれも現実っちゃ現実だけど」

「何の話ですか?」

「思わず口から感想が飛び出ただけ、って口についてんぞ」

 

モーネの口の周りに付いた食べかすを拭き取る。よく孤児院のちびっこどもによくやってたのでふと懐かしい気持ちになる。いい加減墓参りに帰らないとな……。

 

「もう! 子ども扱いしないでください! これでも十二歳ですから!」

「十分子供だろ、子供はよく食べ、よく寝て、よく遊ぶ生き物なんだから」

「むぅ……」

 

ぷくっと頬を膨らませてハンバーガーにがっついた。ありゃりゃ機嫌損ねちゃったかね。

 

「……やっぱり僕って会長に相応しくないのかな」

 

ハンバーガーを食べ終わるや否や、ぽつりと呟いた。

 

「僕が会長になれたのも、あの人が選んでくれたからであって僕自身の実力じゃないんです」

 

悔しさが交じり合った小さな声が耳に入るが、あえて聞こえないふりをしてモーネに個人的に気になる質問を投げた。

 

「ほ~ん、ところでモーネはどうしてあんな野原に?」

「え、えっとそれは……調査のためというか……」

 

モーネの話曰く、最近ブルーム周辺の魔物(モンスター)が狂暴化し訪れる行商人や警護隊が襲撃にあったと報告が多発していた。ついには先日魔物(モンスター)がブルームを襲撃したという通報があり、その通報者こそ先ほどボコボコにしたガルディオだったのだ。

 

市民に不安を煽らせないように内密に調査するように誘導され、今朝魔物(モンスター)の拠点と思しき場所にやってきた結果嵌められたとのこと。

 

「ちょっと警戒心がなさすぎるな、普通そんな都合のいい奴来たら怪しまない?」

「うぐぅ……」

 

その通りでございますと言わんばかりに顔がしわくちゃになっちゃった。

 

「てか学会の人らに手伝ってもらえばよかったじゃん」

「……皆さん忙しそうでしたから、僕のような子供の話なんか聞いてくれないと思ったんです」

 

俯きながら、それでも聞いてほしいように胸の奥にしまっていたであろう本音を話し始めた。

 

「ブルームは技術都市であるために常に多方面からの依頼で立て込んでいて円滑に事を進めないといけないんです。騎士団の皆さんも遠征に行ってしまいとても頼める状況じゃなくて、そんな時に突然魔物(モンスター)の襲撃が起きて市民の方々が不安がって、ガルディオに何か起きてからでは手遅れになるかもしれないって言われて急に怖くなって、誰にも言えなくなってしまって……」

 

己の中の本音を吐き出すたびに徐々に涙声になっていく。その話を自分は茶化さず真剣に静かに聞いた。

 

「だから、少しでも皆さんの負担にならないようにしようと思って、それで……」

「結果迷惑をかける形になっちゃってるんだ」

「…………はい」

 

しわくちゃだった顔がもっとしわくちゃになって今にも泣きそうになってる。でもごめんな、個人的に己を卑下する人間は気に食わないんだよ、そういうやつを画面の先で散々見てきたから。

 

「あのね、君はもう少し周りの人を頼るべきだよ、子供だからと言ってきいてくれない人たちじゃないんでしょ?」

「そ、それは……」

「子供だからって卑下するのはそれこそ君を選んだ人の思いを踏みにじってると自分は思うけど」

「……」

 

モーネは何かを言い返そうと口を開くが、何も言わずにただ拳を強く握り黙っていた。

 

「たとえ自分が死ぬのがわかっていても、大切な場所を守りたいって気持ちが先走る気持ちもわかるよ、さっきみたいに虚勢を張ったのも最後までブルームのために何かをしたいっていう気持ちは本物だろうけど、それで君が死んだら託した人が泣いちゃうだろ」

 

ぽん、と小さな頭を撫でる。

 

所詮自分は部外者だ。ブルームにはブルームの事情があるから踏み込むべきではないのだろう。

だがな、お節介かもしれないし何も事情を知らない自分が言うのもあれだが、先走った男のせいで一つの国が滅んだ記録があるからちょっと注意しときたい。

 

モーネは若いが責任感がある、だからこそ付け込まれたんだろう。この世界にはそういう悪意が至る所に潜んでいる。主に聖教会とか。

 

「会長である以前に君はまだ子供だ、一人で抱えずに信頼できる人に話してみたらきっと手伝ってくれる人がいるよ」

「……そう、でしょうか」

「もちろん、それに君が会長に選ばれたのもその人がモーネだからこそ選んだんじゃないかな?」

「僕、だから?」

「最後までやり通す勇気と覚悟を見て、信じて選んだと自分は思うよ」

 

実際はどうかは知らんけど、少なくともこの少年にそこまでの大役を任せるなんてよほど信頼がなければ絶対にやらない。

 

「だから思い詰めないで、君は十分強い子だから」

「……! はい!」

 

暗かった表情が花が咲くように笑顔になる。この経験を糧にどうか強く成長していってほしいものだ。

 

「と、ところで、あの……」

「あぁごめん、撫でまわしやすい頭だったからつい」

「それは全然よくて、その、まだ貴方のお名前を聞いていないんですが」

「……まあ、別に覚えておく必要はないよ」

「で、でも……」

「いいのいいの、これからの君はもっといろんなことを見て聞いて記憶するんだろうし自分のような木っ端を覚える必要なんてこれっぽっちもないんだよ」

 

名乗るのが恥ずかしいとかではなく単純に行く先々で名乗るほどの者でもないムーブかましすぎて完全に自己紹介のタイミング逃しちゃっただけなんだよね。

 

それとは別に名前を残すと他の黄金使徒に殺されちゃうってのもあるからその防止。アルヴェニールに名乗らなかったのもあいつ自分の記憶を何かしらの形して残すことができちゃうからうっかり名前なんて残したら敵討ちに来られちゃう。あとはほぼムービースキップみたいなもんで相手が自己紹介中は不意打ちし放題ってのもある。

 

「そうですか、ならせめて何かお礼させてください!」

「ふぅん? お礼、お礼ねえ」

 

その言葉を待っていたぜ、と口角を上げる。

 

「なら、ブルーム一の鍛冶職人を紹介してよ」

「ブルーム一の、鍛冶職人? それだけでいいんですか?」

「それだけで十分なのよ、あれもしかして難しそう?」

「……いいえ、いけます! ご紹介してみせます!」

 

(キラ)ッ、とモーネの瞳に星が宿った。どうやらこれは仕事モードとか本気モードになると出てくるものみたい。

 

「そうと決まれば行きましょう!」

「おうよ、ってどこに?」

「あの時計塔、僕の実家です! 善は急げですよ!」

「はいはいはい、わかったから、あ、ごちそうさまでした! 美味しかったです!」

 

店員に感謝のご馳走様を伝えて再びモーネに手を引っ張られ、今度は路面電車(トラム)に乗り込んだ。

 

「この路面電車(トラム)すごいでしょ? 実はこれは僕の兄様が設計してくれたものなんですよ!」

 

連行されながらモーネは楽しそうにブルームで作られた発明品のことを話し始めた。

 

今乗っている路面電車(トラム)は魔学技術で無人自動運転化に成功したモノで前方に障害物があるならちゃんと急ブレーキが利く代物、デザインなどはモーネの兄が設計したがブレーキや魔力回路については本人が編み出したらしく、その技術を王都の偉い人に見込まれて同じデザインのモノを導入した実績を持つことをサラッと明かされる。

 

先ほど使った転移門(ワープポイント)は『風魔法』の応用で生み出された『空間魔法(ディメンション)』で作られた設置型魔法。モーネ自身が検証と実験、改良を繰り返して安全に運用できるようにしたりと十二歳の割にとんでもない功績を持ち合わせていた。

 

他にも魔力を流し込むと灯りがつく魔力灯(マナランプ)やガスを使わない魔導自動車など様々な魔学技術を使った発明品を作っては多方面にプレゼンして売り飛ばして経済をぶん回している凄腕商人でもある。

 

「それとそれと、南の農業区にはかつてのブルームを彷彿とさせる花畑エリアがあるんです!」

「すごいな、色々と」

 

物流や特産品、魔学都市特有の技術力等聞いていくうちにブルームの技術力はゲーム本編よりはるかに()()()()()()ことがわかった。いやゲーム本編も対黄金使徒撲滅パイルバンカーとかアホが考えたんかっていう兵器があるけども、それとはまた別にゲームの世界観の技術だけでは再現はできない知恵がふんだんに使われている。

 

「ここで降りますよ! さあ早く!」

「わーったから引っ張らない、ローブが伸びちゃうでしょ」

 

でも技術進歩はいいことだしさほど気に留めるほどでもないか、こちらとしては快適にレベリングできればいいのであまり考えないことにしよ。

 

路面電車(トラム)から降りて大体十分ほど歩いてようやく目的地の時計塔に着いた。

 

「さあこっちですよ!」

 

上機嫌なモーネの後をついていくと、時計塔から白い鎧の騎士団風の人達が出てくる。

出迎え、とは少し違う。談笑しながら出てきた様子で自分達のことなど眼中にないみたいだし。

 

「では予定通り学会の予算の半分を『聖騎士団』に、残りは聖教会の方へ送りましょう。あぁそれから迎撃システムに関しては取り外すように手配してますので」

「それが賢明だろう、全くこの都市は油と鉄臭くてたまらん、汚染物質でも飛んでいるのか?」

「その気持ちわかりますよ、僕もこの都市にはうんざりしていましたからね」

 

何やら不穏な話が聞こえてきたな? 会長であるモーネに言わずに話を進めるのはよくないんじゃないかと進んでいくと、目の前の光景に思わず足を止めた。

 

立ち止まった自分を見て不思議そうに首を傾げたモーネは同じ視線の先を見て彼の青い瞳が真ん丸になり、あんぐりと口を開ける。

 

「ほ、本当に大丈夫なんですか? ここって一番魔王城から近いですしむしろ協力を要請した方が……」

「黙れ、魔学など、ましては魔法なんてものは存在してはいけないのだぞ」

「しかし……」

「何か困ることでも? 聖教会は予算不足と聞いたんですからありがたく受け取るといいですよ」

 

真っ白な鎧に十字架のシンボルが刻まれたマントを着こなしている金髪碧眼の男とその隣を歩く茶髪で眼鏡をかけた冴えない青年。

 

そして一緒に出てきた赤髪で青い瞳を持つ少年、()()()()()()()()()()()()()がいたのだ。

 


 

【都市紹介】

『花の都』ブルーム。ゲーム本編では既に滅んでいる『廃都』の一つ。

通過しなくともストーリーに関係ないステージで出現する魔物(モンスター)も狡猾かつ狂暴で一筋縄ではいかないものばかりである。またステージ内には継続的にHPを削ってくる瘴気の霧があるため入る場合は瘴気耐性を上げるかいくつかの『祈祷』を覚えておくのがよい。

 

なおブルームの地下宝物殿に保管されている『武器』は『Soul Lead』屈指の最強武器ばかりでありRTA勢は迂回してでも手に入れる走者がちらほらいる。

 

白豊剣(アルベド)なしのソロ攻略をする場合は紅血なる細剣(ローズ・レイピア)『徒桜刀』がおすすめ。さらに覚醒させると二つとも英魂武器(オーバー・ウェポン)に進化する。

 

花を模した魔法陣が至る所に存在し光っている魔法陣に全て触れると隠しボス『七華騎士団』と戦える。休憩なしの七体連続戦闘となるため万全の準備をしてからはいること。七体全員が第二形態持ちで途中でゲームオーバーとなったら一からやり直しなので気を引き締めよう。

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