聖剣伝説3 TRAILS of MANA   作:モティ

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第十話「フォルセナ防衛戦」

 

 フォルセナは堅牢な城門と城壁に守られた、騎士の国です。

 

 しかしデュランたちがたどり着いた城門は無惨にも破られ、市街地で戦いが行われているではありませんか!

 

 急いで突入したデュランたちが見たのは、フォルセナの騎士たちが懸命に魔法生やアルテナ兵たちと戦っている姿!

 

 横たわる騎士の姿が散見され、家屋にも被害が出ているではありませんか!

 

 状況は決してフォルセナ有利というわけではないようです。

 

「クソーーー! アルテナのヤツら!」

 

 激昂したデュランが剣を引き抜き、市街の戦いに飛び込みます!

 

 大地の裂け目で見かけた、マシンゴーレム……よりも弱体化している、量産型のゴーレムたちを叩き斬ります!

 

 それに助けられた騎士たちが驚きの声を上げました。

 

「デュラン!? 帰って来たのか!」

 

「すまん、アルテナの侵攻を知っていたが、橋が落ちて遅れた!」

 

「いや、オマエがいれば百人力だ!」

 

「デュラン!」

 

「おお、デュランが戻って来たぞ!」

 

 デュランの帰還に、わっと周囲の騎士や傭兵たちが活気づきます!

 

「デュラン、市街地はいい! こっちはあくまで陽動なんだ! ヤツらの本命は英雄王様だ! 急いで城に行ってくれ!」

 

「……分かった。街は頼むぜ!」

 

 騎士や傭兵たちの言葉に、デュランがアンジェラとシャルロットに目配せをします。

 

 急いで城に、と顎で指し示しますが、アンジェラの顔はことさら血の気が引いたままです。

 

「フォルセナの兵士だけじゃなくて、アルテナのみんなも倒れてる……」

 

 見ればアルテナのマジシャンもちらほらと倒れ伏しています。

 

 魔法生物がメインに暴れているようですが、それを召喚・使役していた術者たちでしょう。

 

 伏して顔が見えないだけで、もしかしたらアンジェラの知っている国民かもしれないのです。

 

 シャルロットが、自然とアンジェラの手をぎゅっとつなぎました。

 

 それを握り返し、青ざめた顔のまま、しかしアンジェラは強いまなざしで城を見据えます。

 

「お母様……これがあなたの望んだことなのですか……」

 

「アンジェラしゃん……」

 

「だいじょうぶよ、シャル。行きましょう、お城に」

 

 大丈夫ではない顔色で、それでもなおアンジェラは気丈に駆けだします。

 

 デュランたちが城へ駆け込むと、市街地よりもいっそう激しい戦いが繰り広げられていました。

 

 あちこちで魔法が飛び交い、怒声や叫び声が聞こえます。

 

 アルテナは市街地と同じように、城内にも魔法生物を暴れさせているようでした。

 

 量産された魔導兵器であるマシンゴーレムや、一角獣を模したのゴーレムのユニコーンヘッド。

 

 突撃力のあるこれら魔法生物に対処する騎士を、アルテナのマジシャンたちが魔法で狙い撃ち!

 

 そんな戦術にフォルセナは苦戦を強いられています。

 

「お前らーーー!」

 

 城壁の回廊に陣取り、騎士たちを狙うマジシャンたちへデュランが斬りかかりました。

 

 突然の乱入に驚いたマジシャンたちはとっさに対応できず、デュランの怒りの剣に沈んでいきます。

 

「デュラン! 帰って来たのか!」

 

「デュランだ!」

 

「デュランが戻って来たぞ!」

 

 城の高い場所でマジシャンを蹴散らしたデュランは、各所から見栄えする位置にいました。

 

 やおら、城内のあちこちで歓声が上がります!

 

 そしてデュランという援軍に気力が奮い立ち、フォルセナの騎士たちはマシンゴーレムやユニコーンヘッドの攻勢を押し戻すのです!

 

「はえ~デュランしゃんはだいにんきでちね!」

 

「へへっ、これでも剣術大会で優勝したからな。顔は売れてるぜ」

 

 にっと笑うデュランへと、眼下から大きな声がかけられます。

 

「デュラン! 練兵場に行ってくれ! 大物がいるんだ! そいつが邪魔で奥の院と連携が取れない!」

 

「分かった! すぐに行く!」

 

 騎士の声に応じて、デュランたちが再び駆けだします。

 

 連絡路を通りながら、マジシャンや魔法生物たちを蹴散らし練兵場へと急行します。

 

 練兵場につながる扉を開けば、そこに広がる光景を見てデュランがあっと声を上げます!

 

 それは、巨大なゴーレムの姿!

 

 マシンゴーレムに似た姿ですが、見上げるほどの大きさで、両手にハンマーを装備していました!

 

「ガーディアンS!」

 

 アンジェラがデュランの隣で呻き声を漏らします!

 

「強いのか? ……いや、強敵みてぇだな」

 

 デュランが問いかけましたが、アンジェラが答えるまでもなく、練兵場に倒れ伏す大量の騎士たちがその強さの証明になっていました。

 

 それでもただ独り、防戦ながらガーディアンSに挑んでいる戦士がいました。

 

 完全鎧に身を包んだその男に、デュランが声を上げます!

 

「ブルーザー!」

 

「デュラン! 帰ってたのか!」

 

 そう、彼こそデュランと剣術大会の優勝を競ったブルーザーです!

 

「まだ生きていたか!」

 

「抜かせ! 剣術大会で優勝したくせに、こんな状況で遅れてくるんじゃねぇよ!」

 

 憎まれ口を利きながら、ブルーザーは嬉し気でした。

 

 なにせ決勝で争った相手がこんな危機的状況に現れたのですから、心強いことこの上ありません!

 

 そしてそれはデュランもまた、剣を競った相手が国の危機に踏ん張っている様子に、勇気と闘志を覚えずにはいられませんでした。

 

「ブルーザー! 危ない!」

 

 さて、一拍デュランへ意識が向いたブルーザーへと、

 

 ズガーンッ!

 

 ガーディアンSがハンマーを振り下ろします!

 

 間一髪!

 

 ハンマーを躱したブルーザーが後退したところに、一足飛びにデュランが降りて肩を並べました。

 

 敵は強大!

 

 しかしフォルセナの剣術大会で優勝を争ったふたりは、まさに決勝を戦ったこの練兵場で共に戦うことに燃え上がっていました。

 

 つい、デュランが唇の端を釣り上げます。

 

「思い出すな、決勝」

 

「あれから強くなったんだろうな?」

 

「そっちこそ」

 

「オレは猛特訓して、必殺技を身に着けたんだ! もうお前にも負けないぜ!」

 

「今は頼もしいぜ。オレは右から攻める! 左を頼むぞ!」

 

「応!」

 

 お互いに剣を一度打ち合えば、左右に散開!

 

「アンジェラ! 魔法で遠距離から牽制をしてくれ! シャル! 倒れてる騎士たちの回復を任せたぜ!」

 

 そしてデュランがふたりに大声で指示を出し、ガーディアンSを右から攻め始めました。

 

 ガギーンッ!

 

「いつもに増して硬ぇな……!」

 

 ガーディアンSのサイズは見上げるほどの巨体!

 

 こぢんまりとしたマシンゴーレムと比べて、さらに装甲がぶ厚くなっているようです。

 

 だと言うのに反撃とばかりにデュランへと振り下ろされるハンマーのスピードはなかなかのもの!

 

 ガヅーンッ!

 

 紙一重で見切りをつけてハンマーの一打を躱しますが、その威力は迫力満点!

 

 練兵場の石畳を粉砕して欠片を舞い散らせます!

 

「うぉりゃ!」

 

 デュランはハンマーを振り下ろし、伸びたガーディアンSの腕へと剣を振り下ろします。

 

 ガゴンッ!

 

 伸びた腕は胴と比べて装甲が薄く、どうやら稼働させる都合上、打撃にも強くはないようでした。

 

 デュランは剣越しに確かな手ごたえを感じます!

 

 何度か斬り込めば腕の破壊できる!

 

 そう確信した直後!

 

 グルグルグルグル!

 

 ガーディアンSがハンマーを構えたまま、胴体を高速回転!

 

 横殴りのハンマーが、嵐のような連続攻撃を仕掛けてきたのです!

 

「クッ!? うぉああ!」

 

 デュランはこのハンマーから逃げきれず、剣を盾に受け止めます。

 

 鈍い衝撃が響けば、デュランの体が宙に浮き、ずしんと壁に叩きつけられてしまいました!

 

「ガハッ!」

 

「「デュラン!」」

 

 同時、ブルーザーとアンジェラの頭に血が昇ります!

 

「このデカブツ! こっちを見ろ!」

 

 ブルーザーが、ことさら派手に剣を打ち込みます。

 

 その攻勢にデュランへ追撃しようとしていたガーディアンSが方向転換。

 

 ひとまず近くのブルーザーへと標的を変える動きに移行します。

 

 その隙にシャルロットがデュランに駆け寄るのを確認して、ブルーザーはひと安心です。

 

 しかしガーディアンSの双つのハンマーがブルーザーひとりに集中するのです!

 

 完全鎧に身を包んだブルーザーはデュランよりも高い防御力が自慢です。

 

 そんなブルーザーをして、このハンマーの双撃は長く耐えられるものでありません!

 

「ダイヤミサイル!」

 

 そんなガーディアンSの頭部へと、横殴りに土の魔法が突き刺さりました!

 

 その衝撃に、バランスを崩したガーディアンSのハンマーはあらぬ方向を叩きます。

 

「アルテナのマジシャン!?」

 

 突如として飛び出してきた魔法にブルーザーが警戒の色を滲ませます。

 

 見た目格好からして、アンジェラはまさにアルテナの出身!

 

 しかしそんなアンジェラがアルテナ側のガーディアンSを攻撃するのですから、混乱するのも無理はありません。

 

「安心なさい、味方よ! デュランの仲間なの!」

 

「……信じるぜ! ありがとよお嬢ちゃん!」

 

 近距離ではブルーザーがガーディアンSを剣で攻め立て。

 

 遠距離からアンジェラがダイヤミサイルを的確に撃ち込む。

 

 即席のコンビネーションはなかなか上手くハマり、シャルロットはばっちりデュランを回復しきることができたのです。

 

「ありがとよ、シャル!」

 

「きをつけるでち!」

 

「ああ!」

 

 こうして戦線に復帰したデュランに、ガーディアンSが両手のハンマーを大きく構えます。

 

 そして再びぐるんぐるんと回転し始めたではありませんか!

 

 先ほどデュランを吹き飛ばしたローリングハンマー!

 

 絶え間ない嵐のような打撃に、デュランとブルーザーが大きく後退をさせられてしまいます!

 

 しかしこのローリングハンマーが、徐々にふたりに近づき追い詰めてくるではありませんか!

 

「ダイヤミサイル!」

 

 アンジェラもダイヤミサイルで攻撃を仕掛けますが、高速の回転が魔法を弾き飛ばしてしまいます!

 

 危うしデュランとブルーザー!

 

「くっ!? ……おいデュラン! あいつの回転を止める! 後は頼んだぞ!」

 

「なに!? どうするってんだ!?」

 

「チェッ、お前を倒すために猛特訓した必殺技だったんだがな!」

 

 ブルーザーが両手で剣を握って大きく突き出した構えを取ると、なんと回転をし始めたではありませんか!

 

「古式旋風剣!」

 

 そして回転突撃!

 

 己を一個の竜巻と化したブルーザーが、ガーディアンSへと吹き荒れます!

 

 高速で回転するガーディアンSのハンマーと、高速で回転するブルーザーの剣!

 

 ふたつの旋風がぶつかり合い、

 

 ズガーンッ!

 

 競り負けたのはブルーザー!

 

 その鎧すらびきびきにダメージを負いながら、大きく吹き飛ばされてしまったのです!

 

「ブルーザー!」

 

「オレに構うな! 今だデュラン!」

 

 吹き飛ばされながらも、ブルーザーが大声を張り上げます。

 

 見ればブルーザーの反発する回転により、ガーディアンSもその回転を止めているではありませんか!

 

「うおおおおお!」

 

 その隙に!

 

 デュランが大きく振りかぶった剣を、渾身の力でガーディアンSの片腕へと振り下ろしました!

 

 ガギィン!

 

 確かな手応え!

 

 しかし、まだ足りない!

 

「なら!」

 

 振り下ろした勢いを殺さないまま、デュランも捻転!

 

「十文字斬りだ!」

 

 剣の軌跡が十字を描き、

 

 ズシンッ!

 

 ついにガーディアンSの片腕を落としたのです!

 

「やったでち!」

 

 吹き飛ばされたブルーザーに駆け寄り、ヒールライトをかけながらシャルロットも歓声を上げます!

 

「よし! これで攻撃力半減! このまま押し切り……」

 

 しかしデュランが勢いずいた、その時です!

 

 ジャキーン!

 

 突如、ガーディアンSの脚部が胴体に収納され、代わりに車輪が出てきたではありませんか!

 

 ぎゃりりりりりりりりりりりッッ!

 

 そしてガーディアンSは一輪車により、縦横無尽の高速機動をし始めたのです!

 

「は、速ぇ!? うぉおっ!?」

 

 高速で機動するガーディアンSは、時にデュランを一輪車で轢き飛ばす勢いで突撃!

 

 時にハンマーをぶつけるように突撃!

 

 これにはデュランも回避に専念せざるを得なくなってしまいました!

 

「ダイヤミサイル!」

 

 アンジェラも懸命に魔法でその巨体を捕えようとしますが、高速のガーディアンSを捉え切れません!

 

「んもう! あんなの当てられるわけないじゃない!」

 

 おそらく威力を分散した小さなホーリーボールを撒けば当てられるかもしれません。

 

 しかしぶ厚い装甲にダメージが通らないことは明白!

 

 猛スピードのガーディアンSの厄介さに、デュランが焦り始めます。

 

 ブルーザーか己かが、体を張って止めた隙に攻撃を叩き込むしかない。

 

 しかしまだシャルロットが駆け寄り、ヒールライトを施されているブルーザーはまだ動けないようです。

 

 このままではデュランがガーディアンSに捉えられ、やられてしまう!

 

 デュランかブルーザーか、どちらかが欠ければ、敗北は必至!

 

 そんな焦燥感の中で!

 

「あっ!?」

 

 ハンマーで砕かれた練兵場の瓦礫に、デュランが足を取られてしまったのです!

 

 バランスを崩したデュランは、まさにハンマーの格好の餌食です!

 

 迫りくる大きなハンマーに、悪あがきのように剣を構えた瞬間!

 

「うわああああああああああ!!!」

 

 天から。

 

 飛来する何者かがガーディアンSの脳天に、

 

 ゴチーーーーーンッ!!!

 

 と激突!

 

 さしものガーディアンSもこれには大きく軌道が歪んで城の壁に正面衝突!

 

 デュランは事なきを得たのです!

 

「いたたた……」

 

 そして天から降って来た者が、ふらつく足取りで立ち上がって周囲を見渡します。

 

「ここ、どこ? フォルセナ、ついたの?」

 

「あっ!? お前は!」

 

「ケヴィンしゃん!?」

 

 ジャドで別れた三人のひとり!

 

 獣人王の息子、ケヴィンではありませんか!

 

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