ここ悪の組織じゃね?ヤバ   作:アウグスティン

17 / 17
璃月

「これ、溶接しておいて」

「はーい」

 

『傀儡』様から渡された金属製のパーツを熱してくっつける。

 モンドからスネージナヤまで戻ってきて数日、特にこれといって、大きな仕事もなく、彼女の手伝いをしていた。

 雪国であるスネージナヤでは、暖房器具は必須だ。

 だから国をあげて、あちこちにでっかい機械製品を設置しているのである。もちろん機械なのでたまに壊れては、こうして誰かが修理に向かう必要がある。

 

「こんな感じでいいですか?」

「どうやって繋げたのよこれ」

「え、こう。熱してですが」

「とても溶接したように見えないんだけど。まあちゃんと繋がってるみたいだからいいわ。プロンニア」

 

 納得いってない顔のまま、受け取ったパーツを巨大ロボのプロンニアに渡す『傀儡』様。

 いったいなにが不満だというのか。言われた通り、ぴったり綺麗に繋げてやったというのに。

 

「ところで、モンドに行ってた時、ロザリンとなにかあったの?」

「どうかしました」

「あなたがお茶会に来る時って大抵、私かコロンビーナが呼んでくるでしょう」

「そうですね」

 

 たまにタルタリヤや『召使』様に引っ張っていかれたり、自分で参加させてーと言いに行くこともあるが。

 

「でも最近になってから、ロザリンに連れてこられることが増えたじゃない? だから気になってたのよ」

「ああ、そういうことですか。訓練受けたり、酒飲まされたりが増えたからじゃないですかね。モンドでもそこまで特別なことはしてないですよ」

「ふうん。ほんとかしら」

「本当ですよ。一緒に行ってましたけど、一緒の仕事してたわけじゃないですからね。こっちはいつも通りの治安維持でしたし。まあ、今回は風魔龍とかいうのを、珍しく殺さずに済ませましたけど」

「風魔龍……? それも倒してきたの?」

「ええ。モンドで被害出てましたので」

「そういうことね」

「……? どういうことですか?」

 

 なにやら勝手に納得したらしい。

 

「私が勝手に話すのもどうかと思うから、本人に聞いて……やっぱりなにも聞かずに黙っておきなさい。あなたに深く関わるようなことではないもの」

「あっはい」

「ま、必要ならロザリンから話すでしょう」

 

 よくわからんけど、まあ誰にでも事情とかあるよな。うん。

 ともあれ、そんな調子で回された簡単な作業をこなして、なんとか装置が再稼働した。

 

 ■◆■

 

「よ、タルタリヤ。なんだか忙しそうだな」

「やあ親友。サンドローネの手伝いは終わったのかい」

「まあな」

 

 仕事を終えて、グラードまで戻ってきたところ、タルタリヤを見かけたので声をかける。

 

「なんかあったのか?」

「これからあるのさ。俺も神の心を取りに行くために、出発するんだよ」

「へえ。どこ行くんだ?」

「璃月だよ。岩神の神の心を手に入れにいくんだ」

 

 てことは岩王帝君に会いにいくのか。

 

「そういえばそろそろ迎仙儀式の時期か」

「よく知ってるね。って、そういや璃月の出だっけ」

「まあな。あんま岩王帝君に迷惑かけるなよ。戦いを挑んだりな」

「それは相手の出方次第かな」

「マジでやるなよ、お前」

 

 タルタリヤが岩王帝君より強いかどうかはわからないけれども、山みたいな槍をぶん投げたとかいう逸話があるからな。

 これが実話だった場合、めちゃくちゃ大雑把な戦闘スタイルなわけだ。

 

 ただの神話だったとしても、迎仙儀式で見る岩王帝君の姿はおっきな竜である。

 そんなもんが暴れたら、大惨事になることは間違いない。

 

「ハハッ」

「笑い事じゃないぞ、まったく」

「そうそう。ついでになにかお土産でも買ってきてあげようか? 懐かしいものもあるだろう」

「ん、そうだな。……、なんかそれっぽい菓子でも買ってきてくれ。後は調味料かな。唐辛子があったらよろしく頼む」

「わかったよ。伝言とかはないかい?」

「いや、別にいつでもすぐ帰れるからな」

 

 そもそも休日にはちょこちょこ帰っている。特別タルタリヤに伝えてもらうようなこともない。

 

「そうそう。せっかくなら万民堂にも寄っていきな」

「万民堂?」

「璃月の飯屋だよ。手ごろな価格だけど、質と量は俺が保証する。ただ一つだけ気を付けないといけないことがある」

 

 と、俺は言った。きっと深刻な表情をしていたことだろう。

 

「へえ、なにかな」

「絶対に店内では下手なことを言わないように。大変なことになるぞ」

「ほう。それはそれは、興味深いな。どんなことになるって?」

「あそこの店は……めちゃくちゃ軽率に特大大盛りにしてくるんだ。テーブルに山積みの料理を提供されてしまう」

「ああ……それは、大変だね」

「そうだろう。味はいいんだが、美味しいものでも無限には食えないからな」

 

 思い出すだけでも恐ろしい。

 満面の笑みで大盛りの食事が運ばれてくるのだ。

 

「ああ、もちろん、暴れたりもするなよ」

「わかってるよ。むしろ飯屋で暴れそうなのは、ロザリンの方だろう」

「え、ロザリンさんも行くの?」

「そうだね。まったく、俺に付き添いなんていらないってのに」

「ハハッ」

 

 ロザリン様、働きすぎでは。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ロノヴァが拗ねージナヤ(作者:怒飲焼)(原作:原神)

「っしゃ!できたァ!うっ…」▼日本から転移してきた大学生、「カナメ」は毎日毎日何かを作っては数時間気絶していた▼その手には赤紫の目の模様が…▼これは、日本から転移してきた「無いなら作ればいいじゃない」精神の大学生が、様々なものを作ろうとしてロノヴァに殺される話である!▼なお、ロノヴァの仕事量が2倍になることは考慮しないものとする▼


総合評価:1061/評価:8.04/連載:10話/更新日時:2026年10月05日(月) 00:00 小説情報

何やら神に喧嘩を売った雪国に転生したらしい(作者:てきとーでいこう)(原作:原神)

原神のスネージナヤが面白すぎて創作意欲湧いたので書きました。▼性転換は作者の性癖です。▼原神を雰囲気でプレイしていた旅人がスネージナヤで転生した話。▼主人公はナド•クライまでしかプレイしておらず世界任務は全く手をつけず、魔神任務のみやる旅人であったとする。▼魔神任務が追加されるたびに亀のように遅く書くと思います。▼注意!!!▼作者は原神を細かくは把握してない…


総合評価:1857/評価:8.89/連載:11話/更新日時:2026年09月29日(火) 22:19 小説情報

俺が執行官……ってコト!?(作者:爆死san)(原作:原神)

▼やってくれたなドットーレ!!▼……某スレでみたネタで思い付いたものです。不定期で更新していきます……


総合評価:7221/評価:8.95/連載:37話/更新日時:2026年09月17日(木) 09:27 小説情報

開拓者を開拓者した夜について(作者:ひまなめこ)(原作:崩壊:スターレイル)

前世崩壊スターレイルと言うソシャゲを遊んでいた主人公はある日原因不明の死を遂げて崩壊スターレイルの世界へと転生してしまう。▼崩壊スターレイルの世界はかなり過酷であるが、運が良いことに彼は親にも環境にも、そしてそこそこの才覚にも恵まれて順風満帆な人生を送る事が出来た。▼そんな彼の人生が大きく変わる転換点となるのは大学の入学式直後、憧れの折り紙大学に首席で入学出…


総合評価:3665/評価:7.99/連載:20話/更新日時:2026年09月26日(土) 14:41 小説情報

ピンク髪とどうも縁があるらしい(作者:詞(みょん))(原作:鳴潮)

鳴潮の世界に転生したが、この世界は転生者がどうこう出来る世界ではない。▼それ故大人しく、静かに、目立たずに過ごしていたシオンだが……彼はどうにもピンク髪のヒロインたちと縁があるようだ。


総合評価:3466/評価:9.08/連載:11話/更新日時:2026年06月22日(月) 16:27 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>