ここ悪の組織じゃね?ヤバ   作:駆け出し旅人

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雑談

「これ大丈夫か? 女皇様の耳に入ったら、初日からクビになったりしない?」

「ははははは、ぶふっ、あはははは」

「笑いすぎだぞテメー」

「くくく、いやぁ、笑った笑った。流石の俺も初日からここまでやらかしたりはしなかったよ。やるねぇ」

「俺が悪いのかこれ?!」

 

 誰がどう考えても、とんでもなくコミュニケーションが取れなかった『少女』様が悪いと思うんだが。

 だが俺だけそう思っていても仕方ないところではある。

 

「そう不安がらなくても大丈夫だよ。女皇様は優しい方だ。話も聞かずに追い出すような真似はしないし、そもそも咎めることもしないだろうね。彼女は君よりも『少女』のことを分かっているだろうし」

「そんなもんかね」

 

 俺は女皇様には会っていない。当たり前といえば当たり前だが。

 だからその方がどんな奴なのかは知らないが、執行官達に会ってきた感じだと評価は高めっぽい。

 タルタリヤがそう言うなら、まあ深く悩まないでおくとしよう。

 

「まあ儲かったと思っとくか。で、どこまで話したっけか。……『少女』様が三位だから、四位の『召使』様か」

「あぁ、彼女か」

「なんでそんな嫌そうな顔なのかは分からんが、いい人だったな、『召使』様! 一見怖い人に見えたが、話してみたらめちゃいい人だったし、部下になるならあそこがいいな」

 

 変わった目をした白髪のクール美人。

 新入りってことで心配しながらも激励してくれたし、何より顔がいいんだよな。

『少女』様とかいう変人の直後に見たから補正かかってる可能性は否めないが、まあ今思い返しても高評価な人物ではある。

 

「そうか。まあ本当にあいつの部下になったなら、その時は気をつけなよ」

「うん? 何がだ」

「気に留めておいてくれればそれでいいさ」

「そうか」

 

 なんだろう、『召使』様となんかあったのかな。

 まあいいや。

 それから五位の『雄鶏』様、六位の『散兵』様は双方不在だった。

『雄鶏』様は政治家も兼任していたり、何よりタルタリヤの恩人だってことで顔を合わせてみたかったんだが、残念だ。

 

「『傀儡』様は……あー、仲良くやれる気がしないな。人と仲良くしようって気概がまったく感じられない。嫌みと皮肉の塊って雰囲気だ」

「そうだろう。俺も彼女と会ったのはほんの数回なんだが、なんでか『傀儡』には殺意の籠った目で睨まれるんだよな」

 

 まるで人形のように小柄で可憐な金髪の美少女。

 そこから繰り出されるのは見た目とはかけ離れた毒舌。

 端的に言って性格の悪い女だった。

 

「あんまり関わりたくはないタイプだ」

 

 眉をひそめながら、そう結論づける。

 

「逆に『淑女』様は結構いい方だったな。見るからに悪そうな顔してたし、実際そういうタイプの人物ではあったんだが、それはそれとしてファデュイでやってくコツとか教えてくれたり親切な人だったな」

「どんどん友達が増えてるようで羨ましいよ」

「あんま仲良くないのか?」

「『淑女』とは馬が合わなくてね」

「タルタリヤから出てくる感想、だいたいそれなんだが、執行官同士ってあんま仲良くないのか」

「仲良く……ねぇ。まあ俺達は能力だけで集められたメンバーだ。それぞれ抱えてる事情も目指すものも違う。馬が合う方が珍しい」

「そんなもんかね」

 

 まあタルタリヤの性格はそれなりに分かっているつもりなので、彼の人物評はあまり当てにしないでおくが。

 それから性格悪そうだった『富者』の話をして、これで終わり、と。

 十位には会えなかったのが残念だ。

 

「なんにせよだ。これからこの個性的にすぎる面々が上司になるわけか。……ちょっと嫌だな」

「ははは。ま、俺より強いんだ。執行官になるまでの辛抱さ」

「あー、そっか。タルタリヤも執行官じゃなかった時期があるんだよな。当然か」

「聞くかい?」

「また今度な」

 

 ■◆■

 

 それから新人研修だかなんだかをこなしながらの翌日。

 

「ちょっと。『見習』、止まりなさい」

「ん?」

 

 後ろから呼び止められて振り返る。

 するとそこにいたのはでっかいロボットに乗った『傀儡』様だった。

 

「ああ、『傀儡』様。何かご用ですか」

「プロンニア、出して」

 

 とんとんと彼女がロボットを突くと、パカっとロボットの一部が開いて、そこから何かを取り出す。

 金属製のドームカバーで蓋された、料理だろうか。

 

「手土産のお礼よ。食器は綺麗に洗ってから返しに来なさい」

「これは……開けてみてもよろしいですか」

「好きにしなさい」

 

 カバーを取ってみると、中身はフルーツケーキだった。

 

「おお。ありがとうございます『傀儡』様」

「どういたしまして。それじゃあ私はもう行くから。……。ああ、それから」

「はい、なんでしょうか」

「私は時々、お茶会をやっているのだけど、茶菓子を用意してくるなら参加しに来ても構わないわ」

「ええ。その時は選りすぐりの品をお持ちします」

「そう」

 

 ガシャンガシャンと鳴らしながらロボットと共に、『傀儡』様は去っていく。

 さては愉快な人だな。




存在しない記憶

博士「私が第二位『博士』。そして『少女(コロンビーナ)』のお兄ちゃんだ!」 
見習「おお、そうなんですね!」
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