ここ悪の組織じゃね?ヤバ   作:駆け出し旅人

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画面の前のみんな〜、週明けだよ〜。
『博士』はもうしばいたかな〜?


孤児院

「すぅー……あの、荷物をお持ちしましょうか」

 

 と、俺は言った。

 

「ありがとう。だが私は見た目ほど柔ではなくてね。気遣いだけ受け取っておこう」

 

 自分のこと柔な見た目だと思ってんのだろうか。

 いや、見た目は柔な方ではあるか。顔は凛々しいけれども、身体は別にムキムキって感じじゃないし。

 

「いえその、絵面的にですね」

「そうか。ではお言葉に甘えるとしよう。それなりに量があるからな。落とさないよう気をつけてくれ」

 

『召使』様から荷物を受け取る。

 まあこれで多少はマシな絵面になっただろう。

 流石に上司に荷物持たせて手ブラで歩くのはな。

 

「それにしてもすごい量ですね」

 

 気配からして人外だし、これくらい食べるタイプの生き物なのだろうか。

 

「ああ、子供たちの分だからな。なにぶん食べ盛りなのでね。いくらあっても足りないくらいだ」

「子供?」

 

『召使』様、既婚者だったのか。

 そりゃまあ綺麗な人だしな。残念。

 

「どうかしたか? 妙な表情をして。やはり重かっただろうか」

「そんな柔に見えますか? このくらいぜんぜん平気ですよ。どこまで運ぶんです」

「壁炉の家までだ。頼めるか」

「ええ、もちろん」

 

 どこだろ。マンション? 

 まあ着いてけばいいか。

 

 ■◆■

 

 そのまま連れて行かれたのはでっかいお屋敷。

 おお、執行官って儲かるんだなぁ。入ってよかった、ファデュイ。

『召使』様が扉を開けると、音に気づいたのか中からパタパタと走ってくる軽い音が鳴った。

 

「お父様、おかえりなさい!」

 

 お父様? 

 荷物で俺の顔が隠れ気味だから、親に間違えられたのだろう。

 それにしてもお父様とは、ずいぶんと育ちの良さが窺える。

 

「いや俺は──」

「ただいま。いい子にしていたかい」

「うん、みんなで仲良くしてたよ」

 

 わちゃわちゃと、思ってたよりも多くの子供が集まってきて、わいわいがやがや賑やかになる。

 それで『召使』様のことをお父様と呼んでいる。

 ……? 

『召使』様、男だったのか。いや、そういう人もいるか。……触れないでおくか。

 

「その人はだれー?」

「ああ。紹介しよう、彼は」

「はじめまして。俺はお父様の……、う〜ん、友達の──だ。よろしくね」

「友達か」

「失礼、お気に障りましたらすみません」

 

 ファデュイや執行官のことを子供たちが知らない場合、部下と名乗るのはよくないかな、と思ったのだけれど。

 

「いや、構わないよ。さて、荷物を持ったまま立ち話もなんだ。上がってくれ」

「お邪魔しますね」

 

『召使』様の先導のもと、大量に買い込んだ食料をキッチンに持っていく。

 というか、う〜ん。

 

「ここ、何かの施設ですか?」

「うん? そうか、すまない。壁炉の家で伝わっていなかったのだね。ここは私が運営する孤児院の一つだ」

「孤児院。なるほど。どうりであまり似ていないわけです。……、……? 今、一つって言いました?」

「壁炉の家は世界中にあるからね」

 

 聖人か? 

 

「それはなんとも、素晴らしいですね」

「そうでもない。壁炉の家はファデュイの構成員を育成する施設でもあるからね」

「なるほど」

 

 と、その話は苦虫を噛み潰したように言う『召使』様。

 いい人なんだろうな、多分。

 

「さて。これから子供たちと食事をするのだが、君も食べていくだろう?」

「いいんですか?」

「構わない。元より君と友好的な関係を築くために声をかけたのだからね」

 

 人じゃなさそうな『召使』様の好意的な言葉を、そのまま受け止めるべきではないだろうが、こう言われると照れるな。

 

 ■◆■

 

 大量の食事の用意を始める『召使』様。

 その胸元には大きなヒマワリが輝いている。

 

 比喩でもなんでもなく、手慣れた手つきで棚から取り出したヒマワリ柄のエプロンを付けて料理をしているのだ。

 そこはかとなく誇らしげに、子供たちから貰ったと言っていた。

 

 俺も最初は料理を手伝っていたのだが、子供たちからキラキラとした目を向けられて、お話を聞かせてほしい、と言われる。

 

「こちらは気にしなくていい。子供たちの相手をしてやってくれ」

「ええ、わかりました」

 

 なんとなく『召使』様のことを理解しつつあるが、本人よりも子供を優遇する方がいいのだろう。

 

「ようし、何の話が聞きたいんだ? 冒険者やってたからな。それなりに話題は……あ〜、いやどうだろう」

 

 めちゃくちゃ強いからな俺。冒険者生活で苦労らしい苦労とか、した覚えないな。

 

「えー! 面白いお話ないのー?」

「つまんなーい」

「待て待て。わかった。俺の故郷の英雄譚を話してやろう。ほら、大人しく座りな。ようし、ではでは。むかーしむかしある所に、ムサシという男の子がいた。彼は星を見るのが大好きで、その日も夜空を見上げるために出かけていた」

 

 そんな風にしばらくお話を聞かせていると、『召使』様から声がかかる。

 

「そしてコスモスは──」

「ご飯が出来たぞ。みんな、皿を並べるのを手伝ってくれ」

「おっと。じゃあお話はここまで。続きはそうだな、飯食ったらな」

 

 ■◆■

 

 思いのほか騒がしい一日になった。

『召使』様の手料理も食べて、お話も語りきっての帰り道。

 

「友好的な関係を築きたいと言ったことを覚えているだろうか」

「え? はい、覚えていますが」

「君と私はまだ数回しか話したことがない。友好関係を築くためにはお互いのことを知る必要があるだろう」

 

 なんだろう、めちゃ婉曲に誘われたりしているのだろうか。

 

「まずは私から情報を開示するとしよう」

 

 というわけではないらしく、『召使』様の話をまとめるとこうだ。

 壁炉の家の子供たちを守りたいが、一人で守り切れるとは限らないため味方がほしい。

 というところに人格に問題を抱えていなさそうな実力者が現れたから、もしもの時はこちら側に付いてほしい。

 

「なるほど」

「どうだろうか。もちろん対価は払おう」

「なら構いませんよ」

「ありがとう。それで君を雇うにはいくら必要かな」

「いえいえ、モラじゃ足りませんよ。もっと価値のあるものでなければ。これでも力にだけは自信がありますからね」

「ふむ。では何が必要だろうか。私で用意できるものであればいいが」

「また壁炉の家に呼んでください、てとこでどうでしょう」

「ふふ。気に入ってもらえたようで何よりだ。もちろん構わないさ」

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