…ぐぬぬ~、腕の最適化が全く出来なーいっ!!どうしても動かす度違和感があるんだよなぁ~。
この金属が擦れる感じとか、指一つ一つを正確には動かせないところとか…うーん、油は差したんだけどなぁ?
「( ´~`)」
…やっぱり、何時もあるものだと思ってたからかな。無くなることなんて想像したことも無かったし、自分の手の細部なんてなんとくなくしか覚えてないや。
─ふぅ、取り敢えず他のことに取り組もう。そしたらインスピレーションが浮かぶかもしれないしね。
最低限の自由な部位は作れたんだ、次は生き残る手段を考えよう。
まぁ、一番手早いのはネファリスをあの場で倒して、侵食を止めること。でも、今の管理人達じゃネファリスは到底倒せない。多分、僕が最大限手を尽くしたって…勝率は3割にも満たないだろうね。
だから、次に考えるべきなのは僕のバックアップを先にしておくこと。あの時、タタは侵食を止めるためにバックアップすら放棄して力を注いだ。なら、あの戦いが起きる前にバックアップを取っておけば…データとしては生き残れるんだ。
だけど、それは今の僕は死ぬってこと。それって、生き残ったって言えるのだろうか?残ったデータからまた治されたってそれは僕の模倣品なんじゃないか…?そもそも、タタに憑依をしているような僕自体を再現も出来ないだろうし。
…そっか、この方法は少しだけ再旅者達の生誕と似たようになるんだ。だから、それはきっと僕であり僕でない新たな僕なんだろう。
人をその人たらしめるのは記憶か、元の身体か?それとも、その両方か?
きっと他者から見れば見た目も記憶も同じであればクローンでも同じに見えるだろう。死んだことを知らなければ。
いや、例え見た目が変わろうとも記憶を共有できれば一緒の人だと認識も出来る。
それは久しぶりに会った友達の見た目が変わってても昔話を話せば分かるみたいに。
だけど、自我はどうだ?…きっと、僕だったら自身がバックアップから作られたものであると知れば自分のことを偽物と思ってしまうね。そして、自己との差に傷つけられる。
だって、皆の心にあるのはあの時の死ぬ前のタタで、目の前に立つのはその情報から作られた模倣品である僕なんだから。
あぁ、そういえば…アルデリアのプロファイルにはワルファリンが間違って元の名前で呼んでしまったことを苦しんでる描写があったね。…つまり、再旅者は元とは別の者とされているのか。
じゃ、やっぱり僕のバックアップで出来た僕も別の者と定義できるね。
…それなら、この案も却下だ。僕は、僕であり続けたいし僕以外に僕を継いでは欲しくないもん。
…あぁ、くそっ。知能ユニットが熱くなりすぎた、冷却しないと─。ずっと上手く行かないことだらけだ…。けどやっぱり生き残るならネファリスをどうにかしなきゃいけない。
一体、どうすれば…?
「あー!TA-TAっ!こんなところに居たの?探したんだよー!わっ、暖かい?もしかして熱?へぇ、機械でも熱ってあるんだぁ」
「Σ(O_O;)」
びっ、ビックリしたぁ!?気が付かなかったよぉ!というか、機械に熱って概念はないよ!
「(`ー´ )」
「わわっ、TA-TA怒っちゃった?うーん、もしかしてくっつかれるの嫌?」
そういう訳では無いけど、急にくっつかれるとビックリするの!もっと、ほら抱きつく前に声をかけるとかさ?してくれたっていいじゃん!
「(-д- 三 -д-)」
「んー?あ、急に抱きつかれるのが嫌ってこと?確かに、後ろからだと驚くもんね!ごめんね?TA-TA」
「(^_^)b」
次から気をつけてね…?僕は、ビックリ系嫌いなんだ。
「うんうん!次から気を付けるよぉ!…ん?あれ、何かTA-TA喋ってる?」
はっ!?やっば、意識してなかったからアーツが漏れてる…!?ご、誤魔化さないと…!
「(?-?)」
「…気のせい?でも、なぁんか怪しいなぁ。それに、あたしはもしTA-TAとお喋り出来たら嬉しいけどなぁ。だって、そしたら今でも可愛いのにもっと可愛いもん!」
うぅ、勘が鋭いのやめて!ご、誤魔化すんだっ!ごり押せば行けるってっ!
「(?-?)」
「うーん、気のせいだったのかなぁ。うぅ、TA-TAと話せたら良かったのになぁ…うぅ」
えっ、な…泣いたっ!?あわっ、あわわ…ど、どうしよう!?と、取り敢えず慰めないとっ!
「(-∀-;)」
だ、大丈夫だよぉ?話せなくてもほら、顔でちょっとした会話ならできるから、ね?ほら、落ち着いて…。
「うぅ、TA-TAぇ…話してよぉ…」
えぇ!?全然泣き止まないよぉ…。く、くそぅしょうがないここはアーツを使うしか…!?
「…ふふっ、TA-TA?嘘泣きだよっ!やっぱり皆騙されるだね?これ、いいワザでしょ?あ、うーんでもこんなに嘘泣きしても話さないってことは気のせいなのかな?」
「!Σ( ̄□ ̄;)」
う、嘘泣き…!そんな高等テクニックをっ!?チェンは五歳児ぐらいだと思ってたのに!くそぅ、もう知らない!
「(#`皿´)」
「ご、ごめんって!あ、ちょっとTA-TA!?待ってよぉ!」
ふん!僕はやるべきことをするから、バイバイっ!
「あー!待って、待って─うぅ、行っちゃった…。悩んでるみたいだから手伝ってあげたかったのに間違えちゃった。…あれ?でもなんでTA-TAが悩んでるって分かったんだろう…」
ふぅ、やっと落ち着いてきた。やっぱり知能ユニットはもう少し高性能の物が欲しいなぁ。でも、そこまでの技術は無いんだよね…。はぁ…。でも、少しだけチェンのお陰で気持ちが軽くなった。
もしかしたら、悩んでることバレてたのかもね。まぁ、でも嘘泣きは許さないケド。
…よし、取り敢えずやってみなきゃ分からないんだ。動き続けよう。失敗は成功の元、だもんね。
まぁ、先ずは…武器、作っちゃおうかっ?
そうだなぁ、やっぱり僕は侵食を止めるために尽力するだろうから考えることが少ないものがいいよね。それで、アンドレイとかに見つかりにくいもの…。小型な暗器とか?でも、ネファリスもアンドロミラも倒す手段にはならないだろうしなぁ。
…そうだ!バックアップじゃなくて緊急脱出装置はどうだろう?多分僕の意識は知能ユニットに依存してる…と思う。
だから、超域を消滅させる瞬間、知能ユニットを排出すれば…!僕は生き残るし…知能ユニットは元々、暇潰しで入れたもの。だから無くても超域を失くすときには要らない!
…よし、よし!これなら行けそうっ!なら、早速色々弄ってみよう!
そうだなぁ、内部的に故障しかけたら知能ユニットを排出するプログラムを隠していれてみる?僕が痛みに耐えれない時に動くようにして…。
いや、でもあの時は意識ほぼゼロみたいだったから、オーバーロードをしたらにするかっ!ふふんっ、僕はタタ自体だからこの程度のプログラム簡単簡単っ!
あ、そうだついでにちょっと遊びも入れとこっ!まぁアンドレイにはバレないでしょっ!電源が完全に落ちた時に、光ってるところ押すと怒る表情を出す感じにしよっ!ディスプレイの裏に源石を入れて…よし、光るようにしてっと。
…よし!完成っ!いやぁ、やっぱり僕は天才だっ!それに、このイタズラに気がついた時のアンドレイの顔を思い浮かべると…ふふっ!笑いが止まらないねっ!
「もう、なんでランドブレーカーがこんなに居るの?!あー!そっち行っちゃダメだって!そうそう、そっち!うん、そこでジッとしてて。大丈夫、守るから。ゼッタイ」
カメラ越しに作業員を安全な所に案内しながら、アタシは中枢基地にメッセージを送る。でも、中枢基地から返信は帰ってこない。
(どうして応答がないの?もしかして…中枢基地も襲われてる?もー、まいっか…とにかくデータサンプルを引き継いで…)
「ヴ、ヴァァ!」
「な、なにアレ?煙を吸ったランドブレーカー、変になってるじゃん!めっちゃキモい…」
(ちょ、ちょっとだけ怖いかも。いや、怖くない…怖くないし?でも、ちょっとだけアレ使お…)
少し震える手でアタシはタタがアタシの誕生日にくれた発明品を触れた。それは、彼が縫ったオリジムシのぬいぐるみにちょっとした知能ユニットとディスプレイを着けただけのペット。
でも、不安な時は何よりも頼りになる子だ。それに、思い入れもあるし。
「オリちゃん…あれ?うっそ、電源切れちゃってる?ゴメン、オリちゃん…直ぐバッテリー変えるから、アレ?なんでここだけ…」
初めて電源が切れてしまったオリちゃんの表情を映し出すディスプレイの隅の一点だけ電源が切れてるハズなのに、光ってて。アタシは好奇心に負けてその光ってるディスプレイに触れた。
「…?あれ、何ともない…わっ!?」
「オタンジョウビオメデトウ!ヨウヤクキガツイタ?フフッ、イタズラセイコウ!…タイセツニシテクレテアリガトウネ」
「…これ、タタの声…じゃん。もう、イタズラ好きなんだから…。ホント、イジわる。隠しプログラムあるなら教えてくれたってイイじゃん…」
ホント、タタは何時もアタシに隠し事をするんだから。…でと、これはチョー嬉しい…。あ、もう…涙が止まらないよ。こんなところタタに見られてたら笑われてたカモ…。
「…はぁ、よし!元気出てきた。それに、やる気もねっ。そうだ、おもてなし班の準備もしとかないとね…」
…そういえば他のタタが作ってくれたものにもナニかイタズラしてそうじゃない?あとで確かめてみないと…!
再旅者って周りも本人も曇らせしやすそうですよね。…やっぱりアークナイツくんは人の心ないんやね。いや分かりきったことか!