一人はつらいよ   作:ハラシキア

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責任

どうしたものか。

幼い容姿の少女。大変可愛らしいが、以前会った時と変わって無さ過ぎる。

 

別に嫌いではない。むしろ、好ましい容姿なんだが、肩書が邪魔なんだよな。

変な称号の所為で英雄的行動を強いられてるからな。

悪名に変わる可能性があるし、ロリコン扱いされるのは尊厳的に死ぬ。

それさえ無ければ生涯捧げても後悔無いんだが、如何せん社会的に人間で居る為には我慢が必要だ。

全くロリコンに世界は優しくないぜ……。

 

「変わって無くて安心したよ。さっきも良かったけど、俺は今のレナちゃんも好きだよ」

 

「では、私を貰ってくれるんですか!!!」

 

「いや、その……」

 

なるべく、オブラートに包みつつ簡単に説明する。

理解はしてくれたようだ。

不満気な表情だな。納得は難しいよな。俺だって納得してない。

 

「ぶっちゃけた話、レナちゃん好きだし。問題ないなら今すぐにでも」

 

言葉をきった。危ない。大人として最低限のモラルは守れたようだ。

バレバレの様だった。顔を真っ赤にしつつ、嬉しげに何処となく嬉しそうにしてるレナちゃん。

理性が大変だった。そこにある小屋に今すぐ向かいたかった。

 

咳払い一回。危険が危ない。

年齢的にセーフでもコンプラ的に不味い。あるいはセンシティブ過ぎると言うべきか。

ピンクな空気を変える為に話題を変えることにした。

 

「そういえば、別に今日じゃなくても良かったんじゃない?知ってるだろうけど、財宝が見つかったんだよね。まあ、レナちゃんだから無碍に扱わなかったけど、もうちょっと良いタイミング……。あぁ、もっと良い機会があったとおもうんだけど」

 

気が抜けていた。言語は日本語でも通じるが、外来語が混じると正確な意味で伝わりづらい。

多少なりとも伝わりはするんだが、意味が抽象的というか大雑把な伝わり方になってしまう。

 

少しだけ好奇心というか知識欲に瞳が輝いてる。

あー、少し不味ったな。とりあえず、後回しにして貰おうか。

 

「ごめん。催促するようだけど、話聞かせてくれる?」

 

「あっ、はい。えっとですね。ディア御姉様からはじめさんの未来を教えて貰ったんです。それで今日がとんでもない日だとは聞いてるんですが、深くは聞けてません」

 

「ああ、なるほどね」

 

厄日なのか今日は。それにしても龍と戦った日では無く今日なのか。

うん、心当たりしかねぇわ!十中八九財宝の事だろ。

 

「実はちょっと前からこの街で活動してたんですが」

 

「うん?もしかして、偽装魔法しか使ってなかったの?」

 

「はいっ!もっと早く会いたかったんですが、ディア御姉様から忠告うけておりまして……」

 

「……それはヤバそうだ」

 

ディアナの未来視でも変えられないのか。影響も考慮してる辺り確度も高いんだろうな。

時空に強いレナでも動けないとなると、因果関係絡みの決定事項か。マジで面倒だわ。

 

唐突に。影が俺たちを隠した。

見上げた。大きな翼。蝙蝠に似ていた。でも、強大で威圧感と美しさがあった。

(ドラゴン)と一目見て分かった。あの翼を持つ生物は他に居ない。そう思っていた。

 

直ぐに勘違いだと分かった。翼は見えても胴体部分が小さかった。翼がある以上は東洋龍じゃなくて西洋龍の形状に近い筈。

不思議に感じながら目を凝らす。人の形が見えた。

龍の翼を持つ人。そんな種族に心当たりが無い。もう少し勉強しようと思った。

 

吸血鬼(ヴァンパイア)ですね。真昼間で龍種に匹敵する大翼を誇示……。相当な強さを持ってます」

 

「戦闘になったら不味い?」

 

「私達なら負けはしないとは思いますが、あまり時間を掛けると再生能力と魔力差で不利になります。また夜になったら朝まで耐久するのが鉄則です。徹底的に再生能力を阻害しつつ、弱点属性の聖や火を使いながら眷属と本体を攻撃。それが一般的な戦い方ですが、私達だと弱点を突くのが難しいので不利になったら撤退ぐらいの方が良いと思います」

 

「なるべく戦闘は避けようか……」

 

「そうしましょう……」

 

近付く吸血鬼(ヴァンパイア)。目的は俺たちで間違いないようだ。

黒中心の豪華爛漫な格好。想像していた吸血鬼の姿そのままだ。

二十代ぐらいの男性。容姿は悪くは無い。肌に血の気が感じられないが、言い表せない怪しげな魅力がある。

まるで深淵を覗き込んでいる感覚だ。底知れないナニカの引力があった。

 

何か疲れてそうだな。先程の印象は霧散した。草臥れる中年みたいだ。

俺を見て何やら納得した様子だった。思案気な面持ちで考え込んでいる。

今の所だが、敵意は特に感じないな。とりあえず臨戦態勢を解く。

そこで漸く安心した表情に変わった。

 

こちらも準備が必要か。視線をレナに向けると頷いてくれた。言いたいことは伝わったらしい。

手を軽く振った。魔法でテーブルと椅子を良いものに変わる。あくまで見た目と形状を変えただけだが、ここでは相手を尊重する態度が重要だ。

地面に降り立ち歩いてくる相手に警戒の色は見られない。若干緊張してるのが気になるが、それは話をしてみないと分からないだろう。

 

「歓談中の所だが、少し時間を頂けないだろうか」

 

「作法に不慣れな庶民ですが、それでも良ければ」

 

「構わない。奥方もそのように」

 

「分かりました!」

 

唐突過ぎて反応出来なかった。どうやら勘違いされているらしい。

すぐに否定しようとした。だが、男の視線の動きに良からぬモノを感じた。

 

男はレナの腹部を見ていた。釣られる様に確認した。

何故か膨らんでいる。言葉が出ない。

 

「はじめさんの子供ですよ。責任とってくださいねっ!」




やったねはじめくん!家族が増えるよ!
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