脹相転生inキヴォトス   作:西中の虎の兄

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タイトルでお気づきかもしれませんが、今回は夏らしく海の回です。
実は少し前からオデュッセイアに触れようと思っていたのですが、ちょうどイベントストーリーでオデュッセイアイベントが来ているみたいなので……乗るしかないでしょう、このビッグウェーブに!!

また、今回はアヤメ編で使う予定の書き方(「ウソだろユメ先輩……」で使った書き方)の最終調整も兼ねています。

それと昨日、東方紅魔郷NewClassicが発売されましたね。
早くこの忙しさから解放されたい……


夏といえば海!!海といえば舟!!舟といえば星蓮船!!

夏のとある日、俺はオデュッセイア海洋高等学校の船、オリュンポス号に来ていた。

 

オデュッセイア海洋高等学校は固有の土地を持たず、海を拠点とし、複数の船団を校舎や領地とする海上学園だ。

 

そして、俺が今いるオリュンポス号もまた自治区の内の一つであり、学園の首脳部が存在している中枢機関的な船である。

 

何故俺がオデュッセイアを訪れたのか、その理由は3日前に俺の元にとある相談が来たからである。

 

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相談してきたのはヴァルキューレ公安局の次期副局長候補、志摩コノカ。

 

俺はこの時、またアイツかよ……と思った。だが、事態は想定以上に深刻だったのである。

 

その事態というのはヴァルキューレ内部の何者かがSRTの情報を『潮水の蛟龍』にリークし、SRT特殊学園の生徒が次々と拉致される事件が起きたというものだ。

 

聞いた話によると、最初に消えたSRT生徒の捜索に向かったFOX小隊も拉致されたとのことで――

 

「――というわけなんで、脹相さんの力を借りたいんすよ。……ってことでお願いするっす!!」

 

「お前な、あのFOX小隊ですらやられるようなところに俺一人で行って来いと?」

 

「そうっすけど?」

 

「……はあ、前にも言ったけど俺をなんだと思ってんだよ」

 

「アビドスのデカ蛇と伝説のスケバンに勝った人間っすけど?」

 

コイツ、この前の伝説のスケバンの時とそんなに言ってること変わんねぇな……

 

「まあ、潮水の蛟龍の懸賞金結構高いから引き受けるけどさ……」

 

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――ということがあったのだ。そして俺は今、オデュッセイアの生徒会にあたる組織であるアイランドの生徒会室へ移動している。

 

(それにしても……ここ、本当に船かよ!?船の上にビルがいっぱい建ち並んでるとかヤベーな……)

 

そう思いながら歩いている内に、気づけば生徒会室の目の前まで来ていた。そこでは1人の人が待っていた。アイランドのメンバーだろうか?

 

「初めまして、脹相さん。私はアイランドの海路ミナトと申します。」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

「ええ。では、こちらへ……」

 

案内された方について行くと、そこは一面がガラス張りになっており海中を一望できるようになっていた。

 

(すっげぇ……!!こういう部屋一回来てみたかったんだよな……)

 

俺は用意された席に座る。どうやら、これから関係者による会議を行うらしい。

 

「……すまない、俺の知り合いをリモートで参加させても構わないか?」

 

「別に構いませんが……」

 

俺は2日前にミレニアムで受け取ったPCを開く。そう、その知り合いというのは――

 

『初めまして、私は超天才清楚系病弱美少女ハッカーこと明星ヒマリと申します。』

 

「……えっ、えっと……私はアイランドの海路ミナトと申します……」

 

「おい、ヒマリ……初対面の人にその自己紹介しても混乱を生むだけだろ……」

 

『貴方は黙っていてください。』

 

「……ミナト、コイツはこういう奴だから気にしなくていいぞ」

 

「あっ、はい……」

 

何故、俺はヒマリをこの事件に介入させようと思ったのか。その理由はこれまた3日前に遡る――

 

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コノカから仕事を請け負った時、俺はヴァルキューレの内部情報について調べようと考えた。だが、俺は潜入捜査のやり方を知らない。なので、ハッキングで内部情報を検索すれば良いのではないかと考えたのだ。

 

「――というわけなんだが、ヒマリ……協力を頼めるか?」

 

「……申し訳ありませんが断らせていただきます。私にはメリットがありませんので……」

 

一度は断られてしまった。だが、俺には確実にヒマリをやる気にさせる秘策があった。

 

「……ハハハ、あの天下の超天才清楚系病弱美少女ハッカーさんですら適当な理由をつけて断るくらい、やっぱりヴァルキューレのネットワークシステムは優秀なんだな~」

 

そう、徹底的に煽って巧みに手玉に取るのだ。

 

「はい……?」

 

「いやぁ、できないならできないって正直に――」

 

「……できますよ」 

 

「……?声が小さくて聞こえな……」

 

 

「……それぐらい簡単にできますよ!!分かりました、やればいいんでしょう!?やれば!!」

 

 

「ああ、期待しているぞ」

 

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――と言うわけで今に至る。会議にはリモートでヴァルキューレ公安局の尾刃カンナとコノカ、そして連邦生徒会防衛室長不知火カヤも参加するらしい。

 

(……防衛室って確か、SRTとヴァルキューレの総締めだったか?そこが出てくるってことは――)

 

こういったことからも、今回の事件の深刻性が伺える。

 

「それでは、皆さん揃ったようですので――会議の方を始めていきましょうか……」

 

そんなこんな考えているうちに会議が始まった。司会を務めているピンク髪の糸目の人が恐らくカヤなのだろう。

 

「初めまして、脹相さん、海路ミナトさん、明星ヒマリさん。私は連邦生徒会にて防衛室長を務めている不知火カヤです。よろしくお願いしますね。」

 

「よろしくお願いします……早々で申し訳ないんですが、まず『潮水の蛟龍』について教えてもらっても?」

 

俺はずっと気になっていたことについて尋ねてみることにした。

 

「ええ。脹相さんと明星さんにはまだお伝えしていませんでしたね……」

 

「カヤ防衛室長、その件については私から説明させていただいても?」

 

そう言って立候補したのはカンナさんであった。ちなみにカンナさんとは1年の頃からそれなりに交流があり、飲み仲間*1としてよく一緒に居酒屋に行ったりしている。

 

「『潮水の蛟龍』、本名は護守ナナミ。潮や空気の流れを感じるだけで波の方向も嵐が来る時期もわかるという才能を持ち、さらにはそのカリスマ性で多くの部下をまとめ上げて海賊団を結成、オデュッセイアの内外で金品の略奪や恐喝など、さまざまな悪事を繰り返している……狐坂ワカモ、栗浜アケミらと並ぶ凶悪犯だ。」

 

「……尾刃さん、ありがとうございます。次に今回の事件について整理しましょうか――」

 

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あれから暫くして会議が終了した。大体の事件の流れは事前に聞いていた通りだった。ここで知った情報も含めて改めてまとめ直すとこんな感じになる。

 

まず、1週間前にオデュッセイアに潜入していたSRTのとある小隊が突如として消息を絶った。その翌朝、事態を知ったカヤはFOX小隊を捜索に向かわせたのだという。だが、捜索初日に今度はFOX小隊の天神山オトギが何者かによって拉致されたのだという。そして、その日の夕方にさらなる事件が起きた。

 

FOX小隊の宿泊していたホテルに海賊が現れ、残る3人を待ち伏せして拉致したのだというのだ。カヤによると、この宿泊先は誰にも知られないよう極秘で予約したもので、自分とヴァルキューレ内部の関係者……つまりは幹部クラス以外は知るはずのない情報だという。こうした経緯から、ヴァルキューレ公安局の内部に海賊とつながっている人物がいるという事実に行き着いたらしい。

 

さらに驚くべきことに、SRTとは関係ないはずのオデュッセイア生4名が、突如ダイビング中に姿を消してしまったという。ミナト曰く、原因は不明だが恐らく装備が特殊なものであったこと、そして4人組であったためにSRTの人間と間違えられて拉致されてしまったのではないかとのことだ。

 

そして、護守ナナミにSRTの機密情報を漏らした可能性がある人物として、連邦矯正局の次期局長・監原ミスズの名前が浮上した。なぜ彼女の名前が挙がったのかというと、カンナさんによれば、その理由は1ヶ月前に起きたある事件に関係しているらしい。

 

その事件というのは、ヴァルキューレ海警が捕らえた海賊が護送中に逃げ出してしまったというものだ。そして、その護送を任されていたのは、ほかでもない監原ミスズだった。

 

そして今、監原ミスズは海賊を逃がした責任を問われ、謹慎処分を受けているという。しかし――

 

「その件なんだが……先日、突如として監原ミスズが自宅から消えたんだ」

 

カンナによれば、自宅周辺及びヴァルキューレの建物という建物をくまなく探したものの、それでも見つからなかったらしい。

 

「つまり、逃げるってことは、何かやましいことがあるんじゃないかってことだろ?」

 

「ああ、そういうことだ。理解が速くて助かる……」

 

「そうだな……ヒマリ、取り敢えず監原ミスズの交通系ICの利用履歴を調べてくれ」

 

『分かりました、少々お待ちください――出ました。キヴォトス内の全路線において該当なしです』

 

「……となると、空路か?」

 

カンナの言葉を聞き、ヒマリはさらに検索を続ける。

 

『……ありました。監原ミスズはゲヘナのヘリポートから山海経へと向かったようです』

 

「山海経?オデュッセイアではなく?」

 

「……山海経は三大校ほどじゃないが広いんだ。田舎に行けば、ほとんど使われていない漁村が結構あるしな。それに船ってのは、定期的に寄港してメンテナンスしなきゃならない。」

 

実際、最強と謳われたバルチック艦隊も、イギリスによって各地の港を封鎖され、1年以上修理もできないまま航海を続け、日本海に着いた頃にはすでに満身創痍だったと言われている。*2

 

「海賊からすれば、そういう人目につきにくい場所はうってつけなんだよ」

 

まあ、これは少し前にスタイリッシュ海賊スレイヤーをしていた時の経験なのだが……

 

「成程……?」

 

「あと、監原ミスズって奴はヴァルキューレの幹部クラスなんだろ?そういう人物は何処が海警の警備の目がないか熟知してるはずだ」

 

「……つまり、彼女は護守ナナミと接触しようとしていると?」

 

『仮にそうだとすれば……』

 

「――成程な。では、今から私もそちらへ向かうとしよう」

 

「お願いします、カンナさん」

 

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――と大体こんな感じであった。そして現在、俺は小型船に乗り換えて山海経へと向かっている。

 

「それにしても、山海経か……」

 

山海経には過去にシャドウとして一度だけ訪れたことがある。その時はスタイリッシュ海賊スレイヤーとして剣で海賊を狩りまくり、盗品を横取りしたのだが……ちなみに奪った金品は匿名でアビドス高校に寄付しておいた。

 

そんなことを考えているうちに、おそらく監原ミスズが潜伏している場所に着いた。というか、ヒマリに衛星をハッキングさせてGPSで位置情報を割り出していたので、最初から居場所は分かっていたのだが――

 

(港に着いたわけだが……あれは、海警の事務所か?)

 

とりあえず、俺は建物の中へと静かに忍び込んだ。中でどんな会話が交わされているのか、耳に呪力を込めてそっと聞き耳を立ててみると――

 

「あの、ミスズさん!?貴方、謹慎処分中だったはずでは……?」

 

「――はい。確かにそうなんですが、どうしても海賊の逃走を許してしまったことを謝罪したくて……」

 

(どういうことだ?この内容……まさかとは思うが、監原ミスズは白?)

 

「ヒマリ、この建物内の監視カメラをハッキング。可能であれば、彼女の表情からその言葉が真実がどうか確認してくれ」

 

『分かりました、ついに私が開発した「超高性能AIチーちゃん」の出番ですね!!』

 

「……」

 

『なんなんですか、その反応は……?』

 

「えっ、いや……AIの名前がちょっとな……」

 

『そうですか?このAIの名前や性格などは私の友人の名前から取ったのですが……』

 

お労しやチーちゃんさん。勝手にこんなところに名前と性格を使われて……本名含めて誰かは知らないけどチーちゃんさんはキレていいと思う。

 

『――解析が終わりました。その結果なのですが……』

 

ヒマリがそう言うと、突如画面が変化し、3頭身のデフォルメされたキャラクターが画面上に現れた。

 

《ここからは私、AIチーちゃんが担当させてもらうよ》

 

「お、おう……」

 

《先程のミスズさんの発言についてだけど……「――はい。確かにそうなんですが、どうしても海賊の逃走を許してしまったことを謝罪したくて……」これは本心からの発言で間違いない》

 

「……」

 

《そして、ヴァルキューレの海警と思われる人の発言は……「あの、ミスズさん!?貴方、謹慎処分中だったはずでは……?」これも間違いなく演技じゃない。彼女は心の底から驚いている》

 

「……つまり?」

 

《ここ1時間の彼女たちの会話も参照させてもらったけど、恐らく彼女たちは白で間違いないよ》

 

『……となると、SRTの情報を売った人物は監原ミスズではない?』

 

「なら、誰が……?」

 

(監原ミスズ以外に怪しい人物は居たか……?いや、待て……まさかこれは真犯人に辿り着かせないための――)

 

 

誘導?

 

 

(もしそうなら一体、誰が、何のために……?)

 

「……ヒマリ、ヴァルキューレ警察学校内部からのオデュッセイア全域への発信記録を調べてくれ」

 

『はい――調べてみたところ、確かにFOX小隊が拉致された日の朝に1件発信記録がありました』

 

「ヒマリ、ヴァルキューレ内部の監視カメラをハッキング……」

 

『……分かっています。そういうと思って先に済ませておいたのですが――』

 

「……どうした?」

 

『……単刀直入に言います。SRTの情報を護守ナナミに売り渡したのは――』

 

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―???side―

 

「フッ、随分と遅かったではないか――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「尾(・)刃(・)カ(・)ン(・)ナ(・)」

*1:
流石に未成年なので酒は飲まないが

*2:
諸説あります




1話完結のつもりが長くなりすぎて2分割になってしまいました……

―ここから先はちょっとしたネタバレ防止のため、念の為モザイクをかけておきます―


ちょっと話は変わりますが、この前VIVANTを見ていて感じたんですがカンナと野崎守ってなんとなく親和性高い気がする……という概念から生まれたのが今回の話だったりします。

――とは言ったものの、本来は七囚人回にある人物を登場させる予定だったのですが、その人物が堂々と表舞台に出るタイプではないので、結局お蔵入りに。つまり、VIVANT2期がこの回を生み出してくれたんです。

要するに、VIVANTみたいな小説が書きたい!!ってことですね。

これを見た人なら察すると思いますが、ご察しの通りミスズは何処ぞの新庄ポジになってます。

新庄&ミスズ「そんなの知らない……」

そして、既にお察しかもしれませんがAIチーちゃんの元ネタはAIハヤト(と各務チヒロ)です。

通常投稿復帰後の投稿時間はいつがいいですか?

  • 17:30(少し早めに)
  • 18:00(今までどおりに)
  • 18:30(大体真ん中ぐらいで)
  • 19:00(週一投稿と同じ)
  • 19:30(少し遅めに)
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