脹相転生inキヴォトス 作:西中の虎の兄
入学前最後にアビドスに行くかミレニアムに行くかでめちゃくちゃ迷いましたがアビドスにしました。
アビドス砂漠って広いので術式の修行とか出来そうですし……
あれから一か月が経ち、入学まで残り5日を切った。
「赤血操術――百斂 穿血」
一か月かかったが遂に百斂の習得に成功した。……というか、これがないと色々と困るのである。その理由の一つが銃についてだ。
(まさか、銃弾に呪力込めたら絶対銃が壊れる呪いにかかってるとは思わなかったんだよなぁ……)
数日前のことである。俺は銃を持っていた方がいいと思って比較的使いやすそうなハンドガンを購入したのだが……実際に呪力を込めて使ってみると銃がボロボロになってぶっ壊れたのだ。
(確か、夏油が急に呪力を一気に込めると器がもたない的なこと言ってたよなぁ……)
そう思って今度はゆっくりと呪力を込めて使ったのだが、それでも壊れてしまったのだ。
(これもう天与呪縛の類だろ……今のところ何のメリットもないけど。)
それからは銃を使い捨てするのも勿体ないのでまともな遠距離攻撃が苅祓しかなかったのである。しかも、毒の効きやすさは相手の持つ正の呪力みたいなエネルギーの量によって違うことも判明してしまったので赤燐躍動しか実践的な技が残らなかったのである。そのため、より百斂の習得を急ぐ必要が出たのだ。
「百斂が使えるようになったから遠近対応できるようになったけど……黒閃と領域展開は無理だったな……」
あと、反転術式についてはある程度深い傷を負っても治せるぐらいにはなった。赤血操術による縫合と組み合わせれば千切れた腕の回復ぐらいなら出来たが、流石に生やすのは出来なかった。
「……これで術式関連はかなり安定したんじゃないか?」
黒閃に関しては運ゲーなのでついにやることが無くなった……と思ったが一つだけやりたかったことがあった。それは……
「……拡張術式!!」
……というわけで今、俺はアビドス砂漠に来ている。何故、アビドスまで来たのか?それは周りを巻き込む可能性があることと、誰もいない砂漠であればどれだけ血の海が出来ようと迷惑が掛からないだろうと思ったからだ。
拡張術式
生得術式を後天的に変更する事は不可能だが、術式の解釈を広げて応用する事でその術者固有のオリジナルの呪術=技を新たに生み出す事はできる。これを拡張術式と言う。拡張術式の開発は、その術者自身の才能やセンスに大きく左右される。
俺が今回、拡張術式に使用するのは苅祓である。
「赤血操術――苅祓 解」
苅祓 解の仕組みは簡単だ。苅祓の回転速度を上げることで、鎌鼬に近い原理で斬撃を飛ばすだけ。勿論、名前の由来は宿儺の技の“解”だ。
(また失敗だ……摩擦熱で苅祓の形を保てなくなるから全然上手くいかないんだよなあ……)
正直なところ、思いついただけで実用には程遠いだろう。ならどうするか。
縛り
何らかのリスクや制限を自身に掛ける事で、引き換えに術式の性能の底上げや呪力出力の増加などのメリットを得る。破った場合は得たメリットを失ったり、最悪の場合何らかのペナルティが降りかかる。
俺が苅祓 解が自壊しないように課した縛りは2つ。
1つ目。術式の開示をしなければ使用できない。
(原作だと術式の効果や呪力を底上げするのに使われてたけど、こういう使い方もできるんだな……)
2つ目。対生徒への出力を2分の1に抑える。
これは後から付け足した縛りだ。1つ目の縛りだけでヘルメット団相手に試し打ちしたところ、一撃でヘルメット団が遮蔽物として利用していた岩が真っ二つに斬れてしまったからなのだが……
「それにしてもこの辺には何にもないなぁ……」
一応、今日までの1か月の間にキヴォトスの各地について調べてはいた。アビドスは頻繁に砂嵐が発生するため、市街地以外で人がいるところをあまり見かけない。
(取り敢えず、腹も減ったし市街地に行って食事でもするか……)
暫く歩くと市街地に着く。その中に『柴関ラーメン』という店があった。
(ここ最近は和食しか食べてなかったし丁度いいか……)
そう思って店の扉を開ける。
「いらっしゃい!兄ちゃん、この辺りじゃ見ない顔だな。遠くから来てくれたのかい?」
店の大将らしき犬が話しかけてきた……犬!?でもまあ喋るパンダ*1とかいるぐらいだし理解できなくはない。
「はい、百鬼夜行から来ました。」
「かなり遠いところから来たな!」
そう言って大将はメニュー表を渡す。見てみると、とんこつ醤油やとんこつ味噌など様々なラーメンがあった。
「注文は決まったかい?」
「じゃあ、とんこつ醤油で!!」
暫く待っているとラーメンがやって来た。テーブルに置かれたラーメンからは今までに感じたことのないような美味しそうな匂いがする。麺はモチモチしていて、チャーシューもやわからすぎない食感で、噛めば噛むほど肉汁が出てとても美味しい。
「どうだ、美味いか?」
「はい、今までに食べたことがないぐらい美味しいですよ」
個人的に前世も含めて一番美味しいラーメンだったと思う。食べ終わって会計を済ませて店を出ると大将もわざわざ外に出て見送ってくれた。
「兄ちゃん、また来てくれよ!!」
「……はい!!また来ます!!」
大将に俺は笑顔で答える。それに大将も笑顔で返してくれた。
(楽しかったな……アビドス……)
その後、駅に着いた俺は今日1日のことを思い返しながら百鬼夜行自治区行きの電車に乗り込んだ。
それから5日後、ついに百鬼夜行連合学院入学の日が訪れる。
この小説を書くにあたって、百鬼夜行連合学院について予習しようと思い、スマホはファンパレのせいで容量が足りなかったため、実況動画で百花繚乱編を観てきました。
感想を短くまとめて言うと、アヤメは真の自分を理解してくれる者が誰もいなかったから病んでいったというお労しい人で見ていて辛かったですね……
次回は百鬼夜行連合学院入学編です。