長らくお待たせいたしました。これより、アヤメ編を開始します!!
これのストーリーを構想し始めて早半年。長かった……
別作品も含めれば、毎日投稿3日目なんですよね……
というものあり、急いで仕上げたので、もしかしたら誤字脱字があるかも……?
もし見つけたら、報告していただけるとありがたいです!!
理解から最も遠い感情
今日は12月31日、1年が終わる区切りの日だ。12月31日といえば大晦日、皆大掃除だったり、正月に向けての準備をしている頃だろう。
(ついにこの日がやって来たな……)
そう、百花繚乱紛争調停委員会では、今日、委員長の座をかけた継承戦が行われるのだ。勿論、次の委員長に立候補したのはアヤメだ。
アヤメは実力もリーダーとしての統率力も優れている。実力に関しては俺が追いついてもすぐに抜き返されるし、俺にはアヤメのような統率力はない。
正直なところ、俺はアヤメを尊敬し、憧れていた。アイツは常に俺の上を行き続ける努力を続けている。だから、俺は模擬戦で1回も勝ち越したことは無い。
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ついに継承戦開始の時が来た。ちなみに俺は継承戦の立会人を任されている。継承戦では百花繚乱幹部から一人、百花繚乱外部の人間から一人の立会人が必要となるのだが――
(本来なら休日だから誰も来ない、っていうか来てくれないんだよなぁ……)
――とまあ、百花繚乱外部の立会人を呼ぶことが出来ず、かなりのピンチに陥ったのだ。そういうわけなので……
「あの~、どうして私なんですか……?」
「ああ、ごめんね。すぐ終わるから」
最終手段、セリナを召喚させてもらった。セリナの召喚方法?それは……
(「セ」の時に右手を上げて、「リナ」で下げる。)
分かりやすく言うと、“(゚∀゚)o彡゜セリナ!セリナ!”だ。セリナを選んだ理由?事前説明なく召喚できるし、何より百花繚乱の百の字も知らない人なので絶対に贔屓することがないと言い切れるからだ。
「これより、百花繚乱継承戦を開始する。いざ、尋常に――」
「――勝負ッ!!」
次の瞬間、銃による弾幕戦が開始した。百花繚乱制式ライフルは構造上、装填数は5発だ。なので、かなりの頻度で銃に弾を込める必要がある。そう、これが勝敗を分けた。
アヤメの強みは射撃だけではない。アヤメは赤燐躍動・載を発動しているときの俺相手に接近戦で有利に立てるほど近接戦を得意としている。そのため――
「勝負あり、そこまで。勝者、七稜アヤメ!!」
現委員長が銃弾を込めている隙にアヤメは接近。そのまま袈裟固めで動きを封じて勝利した、というわけだ。
「「「「おめでとう、アヤメ先輩!!」」」」
「流石だよアヤメ先輩!!いや、アヤメ新委員長!!」
「見なよ……オレのアヤメを……」
「……何言ってんの、ナグサ先輩」
皆がアヤメの勝利を祝う。なんか、どこぞのスケート漫画みたいなセリフが混ざっていたような気がするが、多分気のせいだろう。あと――
「そういえば、新しい副委員長には誰がなるんだろ……?」
「そりゃあ、脹相先輩でしょ!!だって、アヤメ先輩と同じぐらい強いし!!」
――ってな感じで、新副委員長に俺を推す声がかなり上がっていた。でも……
(正直、副委員長ってのは性に合わないんだよな。なっちゃったら、賞金稼ぎに行きにくくなるし。)
もし仮に、副委員長になってからも賞金稼ぎしようものなら他校から侵略行為だと非難されても不思議じゃない。自由な校風のゲヘナはともかく、特にしつこいトリニティなんかはそうだろう。そんなことをしたら、ゴリラが黙っていないはずだ。
まあ、これを機に賞金稼ぎを辞めるという手もあるのだが……
(でも、賞金稼ぎしないと金無いしなぁ……)
貯金があるうちはいいのだが、貯金が尽きた瞬間に即一文無しになるのだ。迷った末、俺は――
「――悪いが、俺は副委員長を辞退させてもらう。」
「……そっか。」
その時、アヤメは何処か寂しそうな顔をしていたように見えた。
当然、この時俺は知る由も無かった。この選択が最悪の結果を招くことを……
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継承戦の日から3週間くらいが経った。アヤメは委員長の仕事で多忙を極めていた。
「アヤメ、ちょっと痩せた?大丈夫か?」
「大丈夫、多分環境の変化だからすぐに慣れるよ」
10人分くらいの任務をたった一人でこなす。必然的に俺を含めた他の部員が任務に出ることは少なくなった。
「やっぱりアヤメ委員長すごいよね~!!」
「確かに、完璧超人って感じでカッコいい……」
「私もいつかあんな風になりたいな~」
勿論、後輩たちから慕われているし、当然彼女には今までに積み重ねてきた人望もある。俺もまた、強くなるための努力を欠かさない彼女の精神を尊敬していた。
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だが、それから数日後、突如として歯車は狂い始めた。アヤメは俺に百蓮と一枚の手紙を渡し、北部へと向かった。
百蓮。大預言者クズノハが作り、代々受け継がれてきた銃とされ、この銃を扱えることが百花繚乱紛争調停委員会の正統な継承者の証とされる。アヤメが残した手紙には、百蓮を自分が使えなかったことや、クズノハの存在を疑う言葉が記されていた。
(大予言者クズノハが実在するか確かめに行くから留守の間は任せた、か……)
俺は誰だってそっとしておいてほしい時間ぐらいあるだろうし、数日もすれば帰ってくるんじゃないかと思い、気長に待つことにした。だが、その夜に事件は起きた。
(あれ、手紙が無くなってる……?)
机の上に置いておいたはずの手紙が何処かに消えたのだ――
――とは言ったものの、手紙は10分もせずに見つかった。ナグサがそれを持っていたのだ。
「なんで……なんで、教えてくれなかったの……?」
「なんでって……そんなに気にしなくてもいいだろ?どうせすぐに帰って――」
俺が言いきるよりも前に、ナグサは何処かへ行こうとする。
「……何処行くんだよ」
「何処って……アヤメを追いかけて連れ戻す」
「あのさぁ、追いかけて連れ戻すって……それ、ただのストーカーじゃねぇか。数日もすれば帰ってくるんだし――」
俺はアヤメの所へ行こうとするナグサの肩を強く掴む。
「……やめて。離して……!!」
「……っ!!」
ナグサに突き飛ばされ、俺は後ろへ倒れ込む。俺が立ち上がるまでの隙をついて、ナグサは走って行ってしまった。
(あぁ、これは面倒な事になったな……)
こうして、アヤメを連れ戻そうとするナグサを連れ戻すために俺は北部へと向かうことになってしまった……
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ナグサは思いの外、すぐに見つかった。エビス分校付近の焼き鳥屋台で焼き鳥を食べていたのだ。まあ、彼女らしいといえば彼女らしいのだが。だが、それ以上にこの後が本当に大変だった。
「ほら、焼き鳥奢ってやるから、それ食べたら帰るぞ」
「……嫌」
「もし、帰るって言うなら焼き鳥20本食わせてやるけど?」
「嫌」
「……即答かよ。お前らしくねぇな」
いつものナグサなら適当に焼き鳥で宥めておけばなんとかなるのだが、今日は一筋縄じゃいかないらしい。こうなったら最終手段を使わせてもらおう。俺はスマホを開き、とあるアプリを起動する。
「AIチーちゃん、AIレグルスを起動してくれ」
《了解。》
「何言ってるの……?」
この前のSRT事件の後、AIチーちゃんを自由に使えるようにアクセス権限を貰っていたのだ。第三者に正論で指摘させまくって冷静にさせる作戦とでも名付けよう。
《「あのさぁ、なんでそこまでしてアヤメを追うのかなぁ?別に追いかけっこしてる訳じゃないんだしさぁ?誰にだって少しの間そっとしておいてほしい時間ぐらいあるはずだよねぇ!?これってさぁ、アヤメの権利の侵害だよねぇ?」》
「そ、それは――」
AIレグルスに指摘されたナグサは黙り込み、何も言えなくなる。
《「だよねぇ、普通なら分かるよねぇ?わかるでしょ、察せるよね普通は。それをしないってことはつまり――」》
「……チーちゃん、それぐらいにしとけ」
《「あのさぁ、僕が喋ってる時に割り込むなん――」》
このままだと、AIレグルスが喋り続けて埒が明かなくなりそうだったので、強制的に電源を落とした。まさか、ここまでロールプレイングに凝るとは……AI恐るべし。
「やり方は悪かったが……分かっただろ?あんまり他人のプライベートに深入りしようとするなってことだ。」
「……分かってる。それは分かってた。私はただ納得したいだけなの……なんでアヤメがクズノハ様に会おうとしたのか、それが知りたいだけなの……!!」
(そうか、俺が間違ってたな……)
昔のナグサなら、きっとアヤメがいないと不安だからという理由でアヤメを追いかけてたと思う。でも、違った。ナグサだって成長していたのだ。そこまで言われちゃあ……
「仕方ねぇな。」
「……えっ?」
「行くんだろ?アヤメのとこに。」
「あっ、ありがとう……」
「言っとくけど、一瞬だけだぞ?アヤメに真意を聞いたら即帰るからな」
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あれからどれくらい歩いただろうか。山を越え、谷を降り、暫くして出た雪原でアヤメと会った。
「……なんで来たの?」
アヤメの声は、前に聞いた時よりも一層弱々しく感じられた。
「何でって……私はアヤメを……!!」
「……あんただけじゃない。なんで、脹相まで来たの?留守は任せたって言ったはずだよね……?」
「話せば長くなるんだが……」
「もういい、聞きたくない」
アヤメは今までにないような冷たい声で言う。
「ほんっと二人とも、私のことなにも知らないよね」
そして、次の瞬間耳を疑うような言葉がアヤメの口から出た。
「いや……分かろうともしなかったのか」
「お前は誰よりも努力家で、人望も……」
「だから、そういう所だよ。脹相」
この時、俺は気づいた。確かに俺はアヤメの強さを理解していた。だが、それ以外のこと――つまるところ、彼女の本心を理解しては居なかったのだ。
「古来より、人の心とは摩訶不思議。理解したと嘯くも、それは傲慢……ガラスのように脆いものさね。」
俺達の背後から突如、謎の声が聞こえた。まさか、これが伝説のクズノハなのではと思い、俺は後ろを振り向く。そこにいたのは……
「我は、風流と物語を慈しむ道行き人。雪にまみれた迷い子を救いに来たのさ。」
……和服を着た肌が真っ白で変な模様が入っているちょっとイタいおばさんだった。
(……なんか見た目からして中二病だった世界線のセイラムみてぇな奴だし、絶対クズノハじゃないなコイツ。)
そう思いながら、再びアヤメの方を見る……が、そこにはもうアヤメは居なかった。おばさんの方を見ると、その隣にはアヤメがいた。どうやら、あのおばさんについていくようだ。
それを追いかけて連れ戻そうとするナグサ。その時、アヤメの口からまたしても信じられない言葉が飛び出した。
「私は……あんた達のことを友達だなんて思ったことなんて、無い」
この言葉を聞き、俺は一瞬放心状態になった。
(……ああ、どうして)
だが、すぐに俺の意識は現実に引き戻された。
「待って、アヤメ!!」
ナグサがアヤメの方へ走って行き、ワープゲートのようなものに手を伸ばそうとしたのだ。
「ナグサ、止めろッ!!巻き込まれるぞ……!!」
だが、時すでに遅し。ナグサの腕はワープゲートに呑まれ、黒く染まった。
「ああああ!!!ぎあぁぁぁぁっっ!!」
ナグサは痛みの余り、右腕を抑えてうずくまり、暫くのたうち回った後動かなくなった。
「おい、大丈夫か!?」
脈を確認すると、どうやら気絶しているだけらしい。俺はナグサを背負い、山を下りようと歩き出したその瞬間、意識を失った。
死なないで欲しかったよ、和田さん。
最後まで拷問に耐え抜いてみせた和田さんに黙禱――
次回、『クズノハ』!!お楽しみに……
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シャドウ様シャドウ様シャドウ様ー!