脹相転生inキヴォトス   作:西中の虎の兄

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最近調子がいいので、どんどん投稿ペースを上げていきます


『クズノハ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(頭が……痛い……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ここは、何処だ……?」

 

俺が目覚めると、そこは先ほどまでいた雪原……ではなく、鳥居のある謎空間だった。あと、何故か先ほどまで背負っていたはずのナグサの姿も消えていた。

 

(なんだこれ……バックルームとか8番出口とかと同じ類の何かか?)

 

そう思い、俺は鳥居をくぐってみることにした。だが――

 

「ん?さっきの場所に戻って……?」

 

そう、どれだけ鳥居をくぐっても最初の場所に戻されるのだ。

 

(脱出手段は無さそうだし……アレをやるか)

 

大抵、ゲームではダンジョン内で迷ったときに脱出魔法を使ってテレポートする。なら、テレポートなら脱出できるのではと思い、俺はセリナを召喚しようとする。その時だった――

 

「その腕――何をやっておるのじゃ?」

 

「少し、“Helpme,SERINAAAAAA!!”のサインを……って人!?」

 

まあ、誰だって、“(゚∀゚)o彡゜セリナ!セリナ!”してる所を見たら困惑するだろうけど、まさか人がいるなんて……

 

「元気そうでなによりじゃ。もう動けるのなら、帰るがよい。」

 

「あの、申し訳ないんですけど一つ聞いても……」

 

「なにかの?」

 

俺は先ほどからずっと気になっていたことを聞くことにした。それは……

 

「……どういう経緯で俺はここに?」

 

「それを話せば長くなるが……よいか?」

 

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謎の領域の主らしき人曰く、俺はナグサの右腕を汚染したもの――黄昏に当てられて気を失っていたらしい。だが、彼女の話では、本来なら黄昏に呑まれていても不思議ではなかったそうだ。

 

「……そうなるのを俺の呪力が未然に防いだ、と――」

 

「ほう、その力は呪力と言うのか。その、神秘とは正反対の性質を持ちながら、恐怖とも異なる未知のエネルギー。時には反転し、神秘とも似た性質を持つこともある、その力は……」

 

「そうですね」

 

「……始まりはただの疲労だったであろう。だが、其方の肉体は常に黄昏を排除しようと神秘に近しいエネルギーを生成していた……」

 

「つまり、黄昏の影響を排除しようと無意識下で反転術式を使った結果……」

 

「そうじゃ、其方の脳はその反転術式とやらの負荷に耐えきれなかった」

 

だが、これには違和感が残る。

 

「いや、今までに反転術式の使用中に意識を失ったことはない……なら、何故?」

 

「これは妾の推測にすぎんが、其方が今までに反転術式を使用したのはどういう時かの?」

 

「ほとんど、傷を負った時……ってまさか!!」

 

そう、反転術式では毒物を除去するためには、有害物質の特定に高度な呪力操作と時間が必要だ。そのため――

 

「つまり、無意識のうちに黄昏を特定・除去した際の脳の疲弊?」

 

「そういうことじゃ。」

 

そうだとすれば、目覚める前の頭痛の原因にも納得がいく。

 

「あの……今更なんですけど、ここは?」

 

「そういえば、言っておらんかったの。ここは『黄昏の寺院』じゃ……」

 

(『黄昏の寺院』ってことはもしかして……)

 

「貴方があの大予言者クズノハなのか……?」

 

「妾が本当にクズノハだとすれば、どうするのじゃ?百花繚乱の後継者として何か聞きたいことでもあるのか?」

 

(――後継者?今、俺のことを後継者って言わなかったか……?)

 

百花繚乱の後継者はアヤメなはず、そう思った俺は無礼を覚悟で質問を質問で返すことにした。

 

「ご無礼を承知で聞くのだが、俺を百花繚乱の後継者と判断した理由は……?」

 

「……百蓮じゃ」

 

「……えっ?」

 

「確かなことはただ一つ、百蓮は其方を導いた。それだけじゃよ――」

 

「……あっ、はい。そっ、そうなのかー」

 

いや、訳が分からない。俺が後継者だと思われたのは白蓮のせい……?だとすれば――

 

(百蓮がこの『黄昏の寺院』に入るための鍵になっているのか……?)

 

それ以上考えても答えが出そうにないので、これは一旦置いておくとしよう。

 

「……やっぱり貴方はクズノハ様だ、断言できる。」

 

「ほう?」

 

「まあ、都市伝説で百蓮はクズノハ様が作ったってことになってるからな。この『黄昏の寺院』を領域として捉えれば理解できなくもない。それに――」

 

そう、これが一番の謎だ。ここにいる間、俺の肉体は無意識化で反転術式を使い続けていた。だが――

 

「ここに来てから、呪力が練れない……というか、阻害されてるって言った方が正しいか」

 

ここに満ちている強力な神秘が呪力の働きを阻害している。言ってしまえば、陰実でいう聖域みたいなものだ。負の呪力に正の呪力をぶつけることで中和し打ち消すことができる。白蓮は退魔の銃――つまり、魔虚羅が使う「退魔の剣」みたいなものなのだ。

 

「つまり、呪力を阻害できるくらいの神秘ってことは百蓮と同等。だから、貴方をクズノハ様だと思ったって訳だ」

 

「成程……流石は呪術師と言ったところじゃ。」

 

「……ということは、合ってるのか?」

 

「それはどうかの。だが、よい時に来てくれた。一つ使いを頼まれてくれぬか?」

 

そう言って、推定クズノハ様は俺に謎の巻物らしき何かを渡す。

 

「『シャーレ』の先生に渡して欲しい」

 

「シャーレの先生……!!」

 

「其方、知っておるのか……?」

 

(あっ……ヤバい。口を滑らせた……これ、本来なら知ってちゃいけないやつだよな?)

 

前世でその名前聞きました、なんて言ったらヤバい奴だと思われるし……あっ、そうだ!!

 

「あ~、その、トリニティの知り合いから聞いたんだ。百合園セイアっていう」

 

「ほう、そうじゃったのか。百合園セイア……か」

 

(セイア。もしかしたら、お前に興味を持ったクズノハ様が近々会いに来ちゃうかもしれん。すまん……)

 

その時だった――突然、俺の視界がぼやけ始める。

 

(なんだ、これは……)

 

「どうやら、別れの時のようじゃの。また、何かあればここへ来るとよい……」

 

段々と意識が薄れていく中、彼女が発した最後の一言だけははっきりと聞き取ることができた。

 

「……この大予言者クズノハが其方の力となろう」

 

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次に俺が目覚めた時、そこは先ほどまでいた雪原だった。時計を見てみると、どうやら気を失ってから30分も経っていなかったらしい。

 

「……戻ってきたのか?」

 

俺は立ち上がろうとするのだが……

 

「……っ!!なっ、なんだこれ……!?クソ重いんだが……!!」

 

何故か、体を押さえつけられているかのように重っ……

 

(押さえつけられてる……?あっ……)

 

この時、俺は思い出した。気を失う前、ナグサを背負って下山しようとしていたことを。

 

(――ということは、この重さの正体は……?)

 

やはり、気絶してるナグサだった。しかも、今の俺は反転術式の使い過ぎで呪力が枯渇しており、身体強化もままならない。そのため……

 

「これを呪力強化無しで背負って帰るってことか……?」

 

ナグサの名誉のためにも一つ言っておこう。この“重い”というのは脂肪ではなく、筋肉のせいだ。多分……

 

(これで下山はしんどいし、セリナでも呼ぼうかな……)

 

流石に深夜なのでセリナに申し訳ないとも思ったが、背に腹は代えられないので、結局助けてもらうことにした……

 

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あれから数日後、病室で意識を取り戻したナグサが、衝撃的な一言を口にした。

 

「百花繚乱紛争調停委員会を解散する」

 

「……は?」

 

「百花繚乱紛争――」

 

「……聞こえてんだよ、だから『は?』つったんだ」

 

ナグサが言うことには、アヤメがいなくなった百花繚乱紛争調停委員会にはもう価値はないのだという。

 

「だからって、解散する必要はねぇだろ……!!」

 

「解散の報告書はもう陰陽部に提出しておいたから」

 

俺にはこれを止める力はない。ただの委員長補佐では副委員長には権力面で勝ちようがない、だから甘んじて受け入れるしかないのだ。

 

(ああ、そうだ。こうなったのは全部俺のせいだ。)

 

俺には覚悟が無かった。百花繚乱と向き合う覚悟が。賞金稼ぎでも、百花繚乱でも、俺はどちらも中途半端だった。

 

賞金稼ぎを優先し、ここ最近は特にニヤニヤ教授関連でヴァルキューレに呼ばれて不在の機会が多かったから、俺がやるはずだった任務の一部は実力的にほとんどアヤメに流れていたのだろう。

 

そう、俺がアヤメを追い詰めたのだ。なら、今の俺に出来ることは……

 

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「ねぇ、聞いた?アヤメ先輩とナグサ先輩の次は脹相先輩までいなくなったんだって……」 

 

「えぇっ!?百花繚乱解散するの……!?」 

 

3年の先輩達は既に引退済み、俺を含めた2年も全員失踪。こうなってしまった時点で、百花繚乱が組織として残っていける訳が無かった。

 

もちろん、俺もナグサも学校にも行かなくなった。俺の場合、前世で高3までの内容はすべて把握しているので問題ない。ただ、英語や漢文が存在しなかったり、歴史が知っているものと違うせいで欠点ギリギリという危うさはあるのだが……

 

俺は日本史派だからキヴォトス史がどうとか言われても全然わからない。だったら世界史を取ろうかと思っても、選択肢がキヴォトス史しかない時点で……

 

(マジで終わってんだよな……歴史。ただでさえ分からんのに休んだらついていけなくなりそうだけど……)

 

それと、“百鬼夜行の鬼神”としての賞金稼ぎの仕事は全てやめた。後輩たちに俺を探させないためだ。というのもあり、必然的にシャドウとしての活動時間が増えた。

 

 

「知っていますか?絶対的な強者、それ故の孤独――」

 

 

いつかは覚えていないが橋姫リューがそう言っていた。

 

きっと、アヤメは一人だった。

ただ、物理的な意味でそうだったわけではない。

それでも、どこかで人としてというより生き物としての線引きがあったのだろう。

 

花を咲かせることも愛でることもできる。

だが、花に“自分を分かってほしい”なんて思わない――

 

模擬戦で、アヤメと対等に戦えたのは俺だけだった。

 

(俺が、アイツを利用してやるべきだった。それなのに、俺はその役目から逃げた……)

 

今、俺に出来ることはただ一つ――

 

(俺が、必ずお前を救ってみせる……!!)




恐らく、お気づきの方もいるかもしれませんが、今回のタイトルはリゼロの名前回に感銘を受けて誕生しました。
もしかしたら、今後も名前がタイトルの回があるかも……?

本編開始直後のユメ先輩の立ち位置はどうする?

  • 連邦生徒会職員→シャーレ移籍
  • 柴関ラーメンのアルバイト
  • 無職の酒カス
  • シャドウ様シャドウ様シャドウ様ー!
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