まずは数を減らさねば話にならない。大鎌を投擲し分裂、放っておくと碌な事にならない
「へえ、こっちはお預け?メインディッシュはゆっくり食べるタイプ?」
「あんたが何考えてるかなんて理解してる、真っ先に処理しに行くのは当然でしょっ!」
「あーら怖い怖い、でも嬉しいわ。しーっかり私の事、覚えてくれてるのね」
「気持ち悪いのよ!さっさと帰ってもらう!」
「フラれちゃった……」
「余所見をしている暇はないぞユノっ!」
「ええい面倒くさいっ!」
文字通り横槍を入れてきたネプトゥーンには徒手空拳で応戦。やはり動きが鈍くなっているがマルス相手でもなければ充分動ける……ただ、いつまで動けるかは分からない。バッカスは確実に
「生憎今日は語り合う余裕がなくてなミネルヴァッ!」
「元からそんなの要りませんっ!邪魔をするなぁっ!」
ウルカヌスはいつも通りミネルヴァが。余波で周囲の
「そうやって群れなきゃユノさん1人倒せないのかな、アポロっ!」
「黙れっ!群れなきゃ私1人倒せなかったくせにうるさいんだよ!」
アポロはディアナが。
「数だけ増えたって!
鎌でなるだけ牽制してる
「ユノはやらせない、シルウィアも連れて行かせない!」
「悪いけど今回は……私も本気なんだよねっ!」
メルクリウスはケレスが対処……って肝心のマルスがノーマークだぞ!?何やって……
「認めん……このような決着は、決して……!」
……いや何やってんだあいつ、ただ立ち尽くしてるだけじゃ「余所見とは随分な余裕だな!」あーもう考えてるんだこっちは!
「んー、そっかそっか。君達こーんなに成長しちゃってたんだぁ……ユピテルのやり方が下手くそだったせいだねぇ」
「っ……!」
そしてバッカスは何をするでもなく佇んでいる。何もしてない……訳がない、早く対処しないといけないってのに……!
『出力79%まで低下、
「だったら
「ぐっ……!」
「後方注意よっ!」
「なっ、ガハっ……」
「んー、ネプトゥーンは愚直だけど周りの注意が疎かなのよねぇ、マルスちゃんにはまだ程遠いわ」
「減らず口を叩く余裕があるとは安心ねバッカス!」
「相変わらずの狂犬ねぇユノ。昔はあんなに大人しかったのに……」
「いつの話をしているのかしらっ!」
あの様子ならネプトゥーンは数分ダウンする筈、その間に残りの
「ふあぁ……あれ弱くなった?それともデバイスにガタでも来てる?メンテなしでどれだけ使ってきたかわからないものねぇ」
「言わせておけば!」
「まあ手加減してたのもあるけどさぁ」
「でももうちょっと急ぎなよ?タイムリミットは迫ってるからさぁ」
「それを強いてる側が言うんじゃないわっ!」
「せいろーん、正しい言葉は人を幸せにしないよ?」
「不幸にしてる奴が言う事かっ!」
ダメだ、ラッシュが全て見切られてる。身体が思考に付いてこない……クソっ、段々動きが遅くなってきてる……!
『出力70%まで低下、これ以上は補助も……!』
「無理させてるのは分かってる!これが終わったら暫く休ませてあげるからっ!」
「このザマなのに勝つ前提?余裕ね、ユノちゃん?」
「一度だって負けるつもりで戦ったことなんてないわ!」
……収納してるカオスデバイスから少しだけスパークが走った。テルスに相当無茶を強いているのは分かってる、分かってるけど……此処で出し惜しみして負けたらもっと面倒、許せテルス……!
「……やってられるか。
「ちょっ、マルスっ!?」
「だからあいつを囮にするのは嫌だったのに!」
……マルスは帰ったか。まああいつは元々決闘馬鹿だからな、こういう状況になったらやる気を無くすのは当然か。少しは楽に……
「っ!」
「ふふ、やっぱりデバイスにガタが来てるの……ねっ!」
「ガッ……」
「ユノさん!?」
……全身にスパークが走ったタイミングで刺突が腹部に直撃し吹っ飛ばされる。こんなに早くガタがくるとは思え……いや、飛び回る大鎌の制御か……ごめん、テルス。
「んー、この分ならそろそろかしらね。皆〜、撤退準備〜」
「は!?もう!?」
「逃がさないっ!
「別に逃走じゃないのっ!
……そうか。これは最初から……
「……納得は、納得はし難いが、ええい……!」
「だから付き合う気なんて、ないっ!」
「そうではないのだミネルヴァよ!私は……ちいっ!」
「逃げた……!?」
バッカスの奴、味方すら欺いて……何を考えている?
「はあぁ……シルウィアは連れて帰りたかったけど仕方ないか。さっさとしてよネプトゥーン!」
「撤退!?」
「一体何を考えて……」
……まずい、このままじゃ、非常に。
「うんうん、皆素直でよろしい。でもウルカヌスは最近惚気で言う事聞かないし……いっそお熱のミネルヴァちゃんを攫っておくべきなのかしらね?」
「誰が、そんな事をさせると思うのかしら……!」
「まともに動けそうにないその状態で言われても説得力ないわユノ。後別にしないし」
「ぬかせっ!」
……テルスは多分補助からデバイスの制御にリソースを集中させてる。これ以上無茶をすれば最悪
「んじゃ、そう言うわけで……」
「ガハっ……」
まともに動けなかろうが、勝てる見込みがなかろうが……
「さようなら、プレゼント、楽しんでね?」
「バッ……カスゥ……!」
諦めた方が、余計面倒なんだ……!
「全員、逃げて……」
「
「っ、まだゲートから降ってきます!急がないとユノさんが……!」
……ああくそっ、止めきれなかったおかわりがやってきた。あの子達にも一応話しておいた筈だが……気づいてない、だったら……
「
もう
「えっ」
「
「なんで!?」
「何かくる訳じゃ……!」
「……あ」
「待ってください、ユノさっ」
シルウィアが慌てて駆け出そうとするけどごめん、タイムリミット。
「
追加で降ってきた奴らも含め
次の瞬間、視界を覆うほどの大爆発が巻き起こった。
「……何、が……」
「皆!……クソっ自爆だなんて何を考えてるんだあいつらは!」
唐突にユノさんが張った
それに砂埃も酷くて、何が起こっているのか……
「……じば、く……?」
「全部、巻き込んで……」
「ってことは……」
……ようやく視界が晴れてきた。辺りはクレーターだらけで、完全に荒野と化して……ってそうだ。
「ユノさん!」
さっきから身体がスパークしたり明らかに動きが鈍かったりしてたのに全然フォローに回れなかったあの人。万が一
「!」
居た、一際巨大なクレーターの中心部に立っている……けど。
「テルス……流石に、システムの維持に集中しなきゃか……分かってる。やらなきゃね」
「ユノさんっ!?」
「……何ぼさっとしてるのよミネルヴァ、こっちはこれから大仕事だってのに」
「大仕事って、その身体で……!?」
駆け寄ったユノさんの身体はあちこち鎧が破損し、スパークは一部どころか全身に。とてもじゃないけど戦える姿ではない、下がらせないと……
「……あれ、見えるでしょう?」
「ゲートが……」
「ゲートは開くのや維持に大量の魔力を消費する。だから一度閉じると再発動までそこそこ時間が必要なのだけど……今回はさっきやこの後の事も考えて開けっ放しにしてるみたいね」
「じゃあ……」
「だから、閉じる」
上空にはいつもより巨大なゲートが未だに大穴を開けている。確かに今増援が来られたら……耐え切れる自信はない。ないけど……!
「その身体じゃ無理です!やるなら私達で」
「無理よ、シルウィアが言ってたけどそのデバイスにはリミッターが設定されてる。あれは閉じれない」
「けど!」
「今だけはけども何もないわ……ね、シルウィア」
「……何を、するつもりですか」
慌てて走ってきたであろうシルウィアさんも合流、ユノさんに質問する声は……分かっているけど認めたくないような感じで。
「
「だったら私が!」
「ダメ、また貴女を危険に晒すわけにはいかないの。テルスに怒られちゃう」
「そんな事を気にしている場合ですか!?」
「気にするわよ……だって貴女は私にとっても恩人のようなものだし」
「……え?」
「恩人……?」
2人して困惑する中彼女はまともに動かすのすら辛いだろう身体をどうにか動かし、まだ形を保っているビルを伝ってあっという間にゲートの近くへと行ってしまう。そうだ、早く追わなきゃ……!
「シルウィアさん、掴まって!」
「……はい!」
シルウィアさんを抱えて同じように跳躍。1人でなんてさせない、皆で帰らなきゃ意味なんてない!
「……ごめんねテルス、最後の最後にまた無茶をさせるわ。
追いついて着地する頃にはもうユノさんは詠唱を始めてしまっていた。時間がないのは分かるけどなんでそんなに早まるのっ!
「なんで1人でやる気なんですかっ、ユノさん!?」
「
「シルウィアさん?」
「それは、リミッター解除、全魔力を注ぎ込む……ダメです、ダメ!」
「貴女なら気づいているでしょう?これ以外に手はない……
……全魔力って、つまり
「だから1人でさせないって言ってるじゃないですか!
同じように
「……使えば貴方達も
「見てます!だから止めようと「複数の魔力が混じれば混じるほど反発は酷くなるの、被害を拡大させるつもり?」っ、死ぬかもしれないんですよ!?」
……もう詠唱は終わってしまった。ユノさんから溢れ出す魔力とゲートがぶつかり合ってバチバチと音を立て始めている。
「元から死んでたような人間よ私は。それに此処で貴方達が全滅する方が面倒だもの」
「面倒とかどうとか関係ないでしょう!?」
「貴方達まで巻き込まれたら確実にこれからの戦いは勝てないし……またシルウィアを連れて行かれたらテルスになんて言われるか。バッカスも最悪な置き土産を残して行ってくれたものね……」
一番危険なのは自分だというのに困ったような微笑みを浮かべていた、少しでも私とシルウィアさんを安心させるためなのだろうか。そうこうしている間にもぶつかり合う魔力はどんどん激しくなって……ダメだ、もう近づく事さえ……
「待って、ダメです、私まだ、貴方に何も……!」
「言ったはずよシルウィア。貴方は私にとっても恩人のようなものって」
「何で今そんな話を……」
「テルスが私を人間に戻してくれたの。作ったのは貴方なんでしょう?だから……貴方を助けたのは恩を返しただけ。何も気に病む必要はない」
「ぁ……いや、やだ、やめて……!」
段々とゲートは塞がっていくけど……気のせいか、ユノさんの周りの空間が歪んで……
「……こりゃダメね、ミネルヴァ」
「今度はなっ……って、え?」
「私はともかく、そいつは必要でしょう?持っておきなさい」
「な、な、な……」
唐突に飛んできた何かをキャッチしてみれば、それはあちこち火花が飛び散っているカオスデバイス……つまりテルスさん。そしてそれを手放したという事は……
「……まあ、死にはしないわ。精々が暴走で何処か別の世界へ飛ばされるくらいでしょう」
「何も安心できませんよ!?テルスさんまで手放すなんて、それっ……!」
「私は常に最悪を想定して動いてるだけよ……ん、ああ……」
辺りが歪みに歪んで視認すらままならない、まだ何か言いたげなユノさんの表情すら朧げで……
「シルウィア」
「……」
「テルスを直したら聞きなさい、あの金庫の番号。見つけてるんでしょ?」
「……え?」
「
「待って、待ってください」
「シルウィアさん!」
今にも走り出してしまいそうなシルウィアさんを慌てて止める。ユノさんはシルウィアさんを巻き込みたくないから1人で行ったのに、結局止められなかったら……彼女を助ける助けない以前の問題だ。
「まあ、悪くはなかったわ」
「ダメ、行かないで!行かないでよぉ!」
「……ミネルヴァ」
「ユノ、さん?」
最早モヤでしかない目の前の風景に取り込まれた彼女は、最後に私に微笑んで。
「テルスとシルウィアのこと、お願いね。無理矢理にでもどうにかできそうなの貴方だけだから」
「こんな形で……託されたくなんか……!」
「私も正直嫌よ……けど」
「なんだかんだ悪くなかったわ、貴方達と付き合うのも」
その言葉を最後に歪んだ空間は捻ったゴムが解けるように光を発しながら元に戻って。
「……ゲート、が……」
それが収まる頃にはゲートも……
「……あ、あぁ……」
ユノさんの姿も、消えてなくなってて。
「……っ!?テルス、さん……」
託されたデバイスは、盛大に画面が割れて。
「また……何も、何も……」
ただ、シルウィアさんの号哭だけが、響いていた。
本作品は此処で一区切りとなります。此処から先は言ってしまえば3クール目、完結まであと半分くらいの道筋と言った所でしょうか。少々更新ペースは落ちてきてしまっていますがそれでもよければ拙作をよろしくお願いします。
あ、誠に勝手な話ですがよければこちらの方も……
『レムス!』
《ええ……幾ら時間を止めて
同じだった。
《だから……使う。
『なっ……何故それを!?』
《クロノデバイスの
『最終手段だそれはっ!だから……!』
《でも、これ以外に手はない。貴方も分かってる筈》
『っ……!』
置かれた状況も、その選択も。
《……ロムルス、シルウィアをお願い。私は人間にはなれても、母親にはなれなかった》
『そんな事あるものかっ!君は最初から人間だ!そして立派な母親だとも!』
《……昔から変わらないね、ロムルス。だからこそ、惚れたのかも》
『だから戻ってこい!絶対に、絶対にだ!』
最後に遺した、言葉と。
《うん……ロムルス、シルウィア》
『……』
《愛してる。ずっと、永遠に》
その、消え方まで。
『……私は、私は……!』
まだ、幼かったけれど。
『最愛の人を犠牲にして得る平和など、欲しくは……なかった……!』
父の号哭は、はっきりと、記憶に焼き付いていた。
貴方の変身ヒロインは何処から?
-
セーラームーン
-
リリなの
-
プリキュア
-
まどマギ
-
シンフォギア
-
その他