挫折は誰しも通る道って話。
『システム再起動。カオスデバイス、アクティベート……同時に私も再起動だ。礼を言う、シルウィア』
「テルスっ!」
「テルスさんっ!」
『無論、何があったかは理解しているとも。弍乃は……最も面倒な事を優先して対処したようだ』
「……」
……弍乃さんが消えて、数日。部屋に篭って徹夜でテルスさんを修理していたシルウィアさんは無事再起動したカオスデバイスと投影されたテルスさんを見るなり泣いてしまった……目の隈も凄いししばらくは休んでもらわないと。
『今回の件に関しては私の不手際だ。最優先でメンテナンスを終わらせていればあの時不調をきたす事もなく、彼女を失う事もなかっただろう』
「違うんです、あれは、私が……」
『何度も言うが君に非はない、原因を求めるというのならあのタイミングで奇襲を仕掛けてきたバッカスとこの五年間で自己メンテナンスを数回しか行っていない私だ。後者に関しては設備も碌に整ってなかった分ハードのオーバーホールができなかったのもあるが……今となっては言い訳か』
「テルスさん……」
『しかし今回の襲撃、あまりにも妙だ。シルウィアを連れ戻すためだけなら最初にマルスを出撃させる必要もない、さらに言えばあの大量爆撃は君を殺しかねない。それを承知で決行したということは……ああ、そういうことか』
ホログラムのテルスさんは考える素振りで状況を纏めていく。確かにシルウィアさんを取り返す気ならあの自爆は過剰だ、それに物量で押すだけなら
『今回の襲撃、目的はただ一つと見ていい』
「……聞かせてください」
『一宮弍乃、あわよくばシルウィア・ウヌスも同時に始末する、ただそれだけだろう。後者は防げたが……おそらくはついで程度。本命はこれまで散々手こずらされた弍乃であり、そしてそれは達成されてしまった』
「……」
『私の不調はメルクリウスとネプトゥーンが知っていた。あのバッカスがそれを見逃す筈がない……弍乃を釣り出すためにマルスを出して来たのもあいつらしいやり方だ。邪魔をされないように全
思えば確かに妙だった。あの時のバッカスはマルスが戦線離脱したのも想定内みたいな感じだったし、何よりウルカヌスやネプトゥーンがあんなにあっさり撤退した事も。
『だが妙なのはシルウィアの生死を厭わなかった事だ、今後の事を考えるのなら奴らにとっては取り返したい存在だろう。放棄する理由となると……』
「……まさか」
「シルウィアさん?」
「完成してしまった?でもあれは……」
『……例の新型デバイスか、それなら合点がいく。弍乃と君を始末すれば
「
『君は一度見ている筈だ狐梟三葉。ユノとユピテルの戦いを目にしたあの時にな』
「……!」
そっかあれか。二人とも物凄い速さで戦ってたあの時の……え、でもあれってカオスデバイスだけの機能とか言ってたような……
「まだユピテルだった頃に着手していた新型……ティタノデバイスはディーデバイスの外付けユニットです。時間制限こそありますが、カオスデバイスと同様の機能を解放できる……でも、まだ未完成で……」
『シルウィア、これは仮定の話だが……』
「テルス?」
『タルタロスは私が不調だから仕掛けて来た、というのは原因の一端に過ぎないと考える。ただ弍乃を始末したいだけなら君を取り戻してすぐの頃に奇襲をかければいいだけだからな』
「……」
『故に』
『私が不調であり、尚且つティタノデバイスが完成した……この2点が今回の総攻撃に至った経緯と私は判断する。バッカスは弍乃がゲートを閉じようとするのも想定済みだったようだしな』
「えっ?」
『考えてもみろ、あのバッカスだ。この世界という新兵器の試験に最適な場所を潰す訳がない。奴はティタノデバイスの試験に邪魔となる弍乃だけを排除したかったのだろう……後に残るのは
……つまり、あのバッカスって奴は実験にちょうどいい相手が欲しかったからピンポイントで弍乃さんだけを始末したって事?
「ふざけてる……」
『あれはそういう奴だ。合理的で露悪的、味方からすら嫌悪される存在。実績が確かなだけの人間だよ』
「……テルス」
『シルウィア?』
「あの時、もし、もしもです」
「私が
「……」
机に両手をついたまま、溢れるように声を溢してその表情は伺えない。けれど、深く後悔しているのは明らかだった。
『戦う意志のない君が
「……そう……です、よね」
『気に病む必要はない、私も弍乃もそれが一番面倒じゃないと判断して行動しただけだ。それに過ぎたことのもしかしては意味がない、時間はかかるだろうが……少しずつ、切り替えてほしい』
「……」
気のせいか、シルウィアさんの両手にかかる力が強くなった気がする。ただ弍乃さんを失ったから、というだけでは説明が付かないくらい取り乱しているような、そんな感じが……
「……三葉さん」
「シルウィアさん?」
「……テルスは、貴方が持っていてくれませんか」
「私が……?でも、私はカオスデバイスの適性は……」
『ない、カオスデバイスで
「分かっています、それでも……今の私には、テルスを持つ資格も何も、ありませんから」
「……」
……こういう時は大体何を言ってもダメって経験則がある、刻まれた傷は早々癒えない。だったらできることは……
「分かりました。そういう事なら」
「……ありがとう、ございます」
「でも」
「?」
「……待ってますから、シルウィアさんが立ち直ってくれるの」
「……」
……でも、せめて後押しくらいはさせてほしい。このまま彼女が押し潰されてしまうのは弍乃さんが望んだ事じゃない、それに……私は、託されたから。
『……
「ふふ、AIでも祈るんですね」
『弍乃にも昔同じ事を言われた。私はAIなのに人間味が多すぎる、とな』
「やっぱり……それじゃあシルウィアさん。私皆の所に戻りますね」
「ええ……心配しなくても、私は大丈夫ですから」
「それ大丈夫じゃない人の常套句ですって……また来ますからね」
私は弍乃さんの代わりにはなれない、それでもある程度何かしてやる事はできる。ただ託されたからって理由じゃなくて……弍乃さんの言葉を借りれば、それが一番面倒じゃないから。
だから今はゆっくりでもいいからシルウィアさんが立ち直ってくれる事を信じよう、できる限りの手助けをしてあげて。
『……む』
「テルスさん?」
ひとまず皆の所に戻ろうと弍乃さんの家を出てすぐにテルスさんが何かに反応した。まさか時間結界?あっちもあっちで結構な損害が出ている筈だし速攻で仕掛けてくるとも思えないけど……
『……妙だ、時間結界が展開されてないというのにディーデバイスの反応を検知した』
「えっ?」
『座標を送る、急いでくれ。私の仮定が正しければ……非常にまずい』
「わ、わかった!って……これ」
テルスさんが送ってくれた座標は皆との待ち合わせ場所。また懲りずに仕掛けてきたのか?それにしては時間結界が張られていないのが……いや、テルスさんはそれが問題だって……ううん、考えるな、今は急げ!
「皆!何……が……」
そうして何も考えずに全力で走って、たどり着いた先では。
「あれぇ?居ないと思ったら今更来たんだミネルヴァ。もう勝負付いちゃったよ?」
「アポロ……!?」
以前とは違う姿のアポロが。
「やっぱりあいつの居ないお前たちなんてこの程度なんだね、アハハッ」
「ぐっ……」
「紗七!?」
「逃げて、三葉……」
「動きが、見えない……」
「っ……
「三葉!?」
「お前の事だからそう来ると思ってたよミネルヴァ、ウルカヌスには悪いけど……いや、いっそ連れかえればいいか」
「舐めるなぁっ!」
『待てミネルヴァ!あれは……』
衝動のまま
「ざーんねん♪」
「なっ!?」
けど、それは軽く避けられた。速い……いや、動きのレイヤーがそもそも違うような、これは……
「あーそうそう、今はアポロじゃないんだよねぇ」
「何、これっ……!?」
肉眼がアポロの動きを捉えられない、もしかしてこれが……
「この姿の時はさぁ」
「アポロ・ヒュペリオンって呼んでよね」
貴方の変身ヒロインは何処から?
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セーラームーン
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リリなの
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プリキュア
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まどマギ
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シンフォギア
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その他