「シルウィアさん、そっちは!?」
『ゲートが開いた痕跡は見つけました、ただ推定時間が真夜中で……』
「じゃあ寝込みを襲われたって事!?」
『そうだとしたら三葉さんの家付近で
「三葉さんが自分から外に出ていった……?」
『そう考えるのが自然かと。何故かは分かりませんが……最悪を想定する必要がありそうです』
「最悪って……」
……三葉が、突然消えた。学校を早退して皆で探したけど手がかりは全く見つからなくてシルウィアさんを頼るしかなく、そのシルウィアさんがようやく見つけた手がかりが……よりにもよって、これ。
『無論手遅れという意味ではありません。バッカスのやり方を考えるに……』
「……三葉を、
『いえ、三葉さんの適合率は27%程で
「じゃあ、何を……」
安直に考えれば三葉を洗脳して敵にするかも、とか考えたけど……シルウィアさんが居るんだから元には戻せる。一宮さん達がカスと評する程の相手がそれくらい考えてない筈がない。なら、目的は……
『私が彼女ならやるのは……っ、ゲートが!?』
「このタイミングで!?」
『位置はそちらの方が近い……最悪
「あちょっ、シルウィアさんっ!?」
「寧ろあっちから来てくれるんだったらありがたいよ紗七……三葉をどうしたか聞き出せる」
「ティタノデバイスの事を考えるとシルウィアさんが来るまで待った方がよさそうですが……」
……深夜に開いたゲート、消えた三葉。あまりにも都合よくまた開くゲート……正直誘っているようにしか思えない、だけど。
「……行こう皆。早くしないと三葉になにされるか分かったものじゃない」
「僕も同意見、シルウィアが遅れるのは不安だけど……」
「今は三葉の事が第一。手遅れになんてさせてたまるかっての!」
「……シルウィアさんに付けてもらったデバイスの探知機能、使いましょうか」
「ええ、絶対に……助ける!」
ずっと助けられてきたんだ、此処で見捨てるなんて事ができる訳ない。何がなんでも……三葉を、取り戻す!
「しかしまあなんだ、ああは言ったがこうしてしまえば結構安全だな。君が此処にいたという事はバッカスと監視カメラをハッキングした私しか知らない、ちょっと細工して仕舞えばこの通りさ」
「……バレた時が怖いです」
「今更さ、それにこうしていれば」
「ひゃうんっ!?」
「いつも通り私が同僚を口説いてるようにしか見えない。心配するな」
「い、いつも通りって……」
バッカスさんに連れられて元の世界へ帰還するべく逃走開始……なんて事はなく、制服っぽい物に着替えさせられた私はウルカヌスもといエンネアに少し過剰なスキンシップを受けながら堂々と施設内を歩いていた。向けられる視線はなんというかその、同情されてる感じで……日常的にやってるんだろうなこの人。
「まあ君を連れている以上すぐゲートを開きに行くのも不自然だ。少し寄り道をしよう」
「……大丈夫なんです、それ?」
「なぁに、メルクリウスとネプトゥーンは今オリンピアに居るしマルスは不貞腐れて何処かに行ってる。バッカスも留守のようだし平気さ」
「ならいいんですけど……ひぃん!?」
「それにこういうのも悪くない。まあもうちょっと親交を深めたい所ではあるがそれはまあおいおいか……」
「何がですかぁ!?」
うぅ、この人本当に信用していいのかなぁ……?
「よし、誰もいないな。私とユピテル専用の部屋だったから当然だが」
「此処は……?」
「デバイスの調整部屋さ……じゃ、退職金代わりに頂いていこう」
「退職金……って、これ!?」
流れるように入った部屋でエンネアが無造作に手にしたのは……ティタノデバイス、それも数個。
「もう渡してしまってるものは回収できないが君達の分は必要だろう?」
「な、なんで……そこまで?」
「言ったろ?私は君が好きだ。欲を言えばずっと共に居たい。しかし戦争をしている今は中々に難しいし
「……」
やっぱりこの人迷いがない、一度こうと決めたら全速力で駆け抜けていくタイプだ。
「あの、やっぱり本当に、いいんですか?二度とケイオスに帰ってこれない可能性だってあるんですよ?」
「それがどうした?子供であるならまだしも私は22だ。自分の選択に責任を持つのは当然だしその代償も理解しているとも……というか世間ではどうも行方不明扱いだからな、私」
「そんなあっけらかんと……」
「そういうわけでケイオスから居なくなっても何の問題はない。では……む?」
「どうかしました?」
「……いや、なんでもない、行こう」
「は、はあ……」
「どうした、歩き疲れたか?なら抱えて行くが」
「自分で歩けますっ!」
エンネア、部屋の何処かを見つめて首を傾げてたけど……何かある筈の物がなかったりでもしたのかな……?
(……バッカスめ、クロノデバイスを持ち出したな。下手くそなダミーまでよく作った物だ)
(だがあれに適合できたのはレムス・ウヌス唯1人と知ってるだろうに……何を考えている?まさか新たな
「あら、全員集合?ティタノデバイスもないのによく来たこと」
「バッカス……!」
「どの口が言うかなぁ、ゲートを開くのはそっちの匙加減でしょ」
「狙ったように出てきましたね」
「こっちとしては一人一人来てくれた方がありがたかったのだけれど……集まっちゃったものはしょうがないわねぇ」
ゲートが開くと同時に感知したデバイスの反応を追えばそこに居たのはやっぱりバッカス。ネプトゥーンもメルクリウスもそういうことする性格ではないしウルカヌスは絶対やらない、マルスも論外だし消去法で三葉を攫ったのならこいつしか居ないと思ってた。
「単刀直入に聞くわ、三葉を何処にやったの?」
「三葉……ああ、ミネルヴァちゃんのこと?そんな名前なのね」
「惚けないでよ、今ボク達結構怒り心頭でさぁ……」
「ふふ、構ってほしい子犬みたいで可愛らしい」
「八雲さん、それじゃ相手のペースに乗せられるだけです……こういう時は実力行使で」
「君の躊躇の無さが今だけはありがたいよ……」
……こういう時一番物騒な手段に出るのは大概五葵だ、でものらりくらりと躱されるよりは良い。
「全く物騒ねぇ……はい、欲しいのはこれでしょ?」
「っ……!」
「やっぱり……」
欠伸をしながらバッカスが投げつけてきた何かをキャッチし、確認する……間違いない、三葉のスマホだ。
「随分と呑気だったわねぇあの子、なんでかは知らないけど夜更けに1人っきりなんて危機感足りないんじゃないかしら」
「危険にしてるのはそっちじゃないか!」
「まあ深夜徘徊に関しては何も返せないけど……」
「そこは言い返そうよ紗七!?」
「……御託はいいです、何が目的ですかバッカス」
こんな状況で呑気に突っ込みを入れるファウヌスと八雲は無視、五葵と共にデバイスを構えて距離を詰める。
「ま、話は早い方が助かるわ……いい加減返してほしいのよ、貴方達のデバイス」
「そんな事だろうと思ったわ」
「いつも通りと言えばいつも通りですが……」
「と、言いたい所だけど……それを返してもらった所でもう私達じゃ使えないらしいのよねぇ、ウルカヌスが首傾げてたわ」
「……」
ああそうか、私達のデバイスはほぼほぼ別物になってるってシルウィアさんが言ってたっけ。じゃあ何が……
「そういうわけで私からの要求はこうよ、ちょっとオリンピア攻め落とすの協力してくれない?無論ミネルヴァちゃんは返すし
「ファウヌスの居る前で言ってくれるわね……」
「皆がそんな色々と見え透いた魂胆に乗るもんか!」
「そりゃまっぴらごめんだよ、でも……」
「三葉さんが……」
「そ、貴方達の可愛いお仲間はこっちで如何様にもできるってわけ。ま、たかだか一人な訳だし見捨てても別にいいんじゃない?」
「どの口が!」
……やっぱりこいつは悪辣にも程がある。従ったら従ったで今度は三葉にも同じような提案をするだろう、そうなったら……考えたくもない。
「あーでも……貴方達
「そっちだって制限時間があるのは知ってる、追いつけないにしても粘る事はできるわ」
「ああ言えばこう言うわね、やっぱり子犬みたいでかわ「
「シルウィアさん!」
一触触発の状況でバッカスを狙って放たれた雷……どうやらシルウィアさんも追いついたみたいだ。ただ、あいつも予想してたのか涼しい顔で避けてる。全部想定済みとでもいうのだろうか?
「間に合いました……無事ですか、皆さん!」
「ボク達は、だけど……」
「このままじゃ三葉さんが」
「っ……やはり、ですか。公権力が見苦しい真似をしますねバッカス!」
「公権力だって後ろ暗いところは幾らでもあるのよ?それを気づかせないように処理するのが腕の見せ所……というか自分の立場分かってるのかしらシルウィアちゃん?」
「何を……!」
『待てシルウィア、下手に動けば不利になるのは此方だ……三葉の安否を確認するまでは手を出すな』
「しかしテルス!」
『また失いたいのか君は!』
「っ……!」
今にも
「ふふ、いい子ねぇ……ああそうか。シルウィア、貴方あの端末がブラフの可能性とか考えてるのかしら?」
「貴方ならやってもおかしくないですからね……!」
「し、シルウィアさん落ち着いて……!」
「酷い言われようだこと。なら見せてあげようかしら?しっかりこっちで預かってるって」
「!」
此処まで余裕を崩さない以上三葉を捕まえたって事自体は本当なんだろう、大事なのはどんな扱いを受けているか。それ次第で対応の仕方も変えなきゃ「その預かり物とやらは此方かな?」……え?
「ちょっ、降ろしてっ、いい加減降ろしてって!」
「しかしこういう場面は颯爽とこうして登場するのが筋という物ではないか?さながら記念撮影をする夫婦のような」
「そういうのいいからぁ!」
……えーっと、えー、え?
「ウルカヌス……」
「何故、此処に、というか……」
「お姫様抱っこしてるのは……」
「……三葉ァ!?」
「何がどうなってんの!?」
え、ちょっ、どういう事!?なんでこの状況でウルカヌスが堂々と歩いてきてしかも三葉抱えてて……え?
「……これはどういう事かしらウルカヌス?」
「簡単な事だ、愛想が尽きた。それと三葉、今にも殴りかかりそうなその右手を引っ込めてくれ」
「だから早く降ろしてって言ってるでしょ!」
「早々こんな機会ないのだから後5分くらいは……」
「5秒でも恥ずかしいよ!」
……ねえ、あれ漫才でもしてる?
「そこまで嫌だというのなら仕方あるまい……むう、やはりもう少し仲を深めてからか」
「仲良くなってもこういう事は基本しません!」
「乙女心とは難しいものだ……さて、先日ぶりだなシルウィア」
「ウルカヌス、貴方……」
「ウルカヌスではない、エンネアだ。それが私の本当の名」
『……自力で、記憶改竄を元に戻したというのか』
「左様だ。あの時ユノがお前に掛けた
「今程貴方をどうでもいいと野放しにした事を後悔した事はないわ。全部台無しにしてくれちゃって……!」
さっきまでの余裕があからさまに崩れたバッカスが杖を地面に叩きつけると同時、開いたままのゲートからあの時のように
「ほざけ、惚れた女を泣かせて得る安寧など笑止千万!涙に浮かぶ平和よりも愛しき者と共に歩む苦難の方が万倍良いに決まっている!」
「……ええっと、状況がよくわかんないけどつまり」
「ウルカヌスさんがタルタロスを裏切って……」
「こっちに協力してくれる、って事で……いいんですか?」
「エンネアだ。そもそも私は望んでタルタロスに居た訳でもない、寧ろ敵であった者……元鞘に戻っただけの事」
てっきり三葉が好きすぎるあまり寝返ったとかそういうもんだと思ってたけど割と複雑な事情があるらしい。いやまあ三葉が大好きってのは事実なんだろう、現に啖呵切りながらウインクしてるし。
「その言葉、信じましょうウルカヌス……いや、エンネア。それと三葉さん、これを!」
「私のディーデバイスと……テルスさん!?」
『後で話す事は山程あるが今はこの状況を切り抜ける事が本題だ、やれるな三葉!』
「あ、あはは……はいっ!皆は下がってて!」
「深夜徘徊してて攫われた子を放って置けるわけないでしょ三葉!」
「バッカス相手は無理でも
「下がった方が危険ですもんね!」
「ついでに僕もその方が安ぜむぐぅ!?」
「ま、ぶっつけ本番という訳にも行かんか……では、バッカスは我らが受け持とう」
三葉がシルウィアさんからデバイスを受け取ったのを合図に全員変身体勢。ウルカヌスと並び立つのも変な感じだけど……シルウィアさんも元は敵だったし今更か。後ファウヌスは余計な一言言わなくていいからさっさと逃げなっての。
「……ふふふ、全員テスト相手にしてあげるわ」
「被験者でしかないお前が何をいうか……それは此方の台詞だとも!」
「貴方のデバイス、此処で破壊する……!」
「行こうテルスさん、ぶっつけ本番!」
『調整は完璧だ、恐れずに行け』
……全くすぐに調子戻るんだから。終わったら色々とお話だからね?
目の前の三葉……ミネルヴァは見慣れた姿の上に一宮さんの鎧を身に纏った新たな姿へ。なんか当然と言わんばかりに隣に立ってるウルカヌスも見慣れない姿になってる。
「数だけ並んだ所でどうにかなるとでも?」
「そっくりそのまま返す!テルスさんっ!」
『全システム正常に稼働を確認。行け、ミネルヴァ』
「はいっ!」
左手に剣を、右手に鎌を
我先にと、お騒がせなリーダー分はバッカスに突っ込んでいった。
貴方の変身ヒロインは何処から?
-
セーラームーン
-
リリなの
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プリキュア
-
まどマギ
-
シンフォギア
-
その他