魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。   作:暁真

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映画直前には連動回があるよねって話。

「つまり三葉は……」

「色々1人で抱えすぎちゃった結果焦って」

「それを相談する事もできず深夜つい外に出てしまい」

「バッカスに捕まった、と」

「はい……」

 

「まあわかるけど、わかるけどさ?それならそれで一言くらい言ってよ!何も言わなきゃ私達だって気づけないって!」

「ごもっともです……」

「後まあ1人の時襲われたらってのもわかるけどさぁ……夜はないでしょ夜は、あの時デバイス持ってなかったんだし尚更。それで引っかかっちゃった訳だし」

「いつも昼とか夕方にゲートが開いてたから寧ろ安全かなって……」

「だとしても深夜徘徊です!警察に補導されますよ!?実際にはもっと恐ろしい事になりましたし!電話してくれれば相談くらいできましたのに……!」

「返す言葉がない……」

「いやまあ三葉も三葉なりにどうにかしようと思ってたんじゃない?今回はたまたまそれが凄い悪い方向n「こういう時のファウヌスは黙ってて!」理不尽っ!」

 

『私まで加わると泣かせてしまうな、あれは』

「それは困るな……いつもあの調子なのか?」

「今日だけだと思います……ファウヌスさんの扱いはいつも通りですが」

「まるでぬいぐるみだな」

 

 消えたバッカスを追うより事後処理と三葉さんの安全確認。被害を修復し終えてからすぐ弍乃さんの家に直行し盗聴器諸々の確認をした後追及が始まって……今に至る。皆三葉さんの事が心配だったのだから仕方ないとはいえ、流石にこのままは少し可哀想な気もする。

 

「あの、皆さん」

「いっつも三葉は最初に突っ込むんだからさぁ、もうちょっと……シルウィアさん?」

「検査も終わりましたし、話もひと段落したと思うので……ちょっと付き合ってほしい事があるのですが」

「それ僕達いる?」

「一応、お願いしたいです……弍乃さんについてのことなので」

「弍乃さんの?」

「ええ、テルス……いいですね?」

『分かっている、ダイヤルの番号を教えよう』

 

 ……三葉さんが戻ってきて、全員分のティタノデバイスも手に入った。今こそ開けるべき時だと、そう判断する。

 

「……」

「これ……」

「本当に開けていいんです……?」

「弍乃さんが最後に開けろ、と」

 

 部屋の奥に隠されていた金庫。相変わらず書き殴った文字はそのままで、生半可な覚悟で開ける事は許されないだろう。

 けど、だからこそ、開けるなら今。

 

『開錠番号は912、何の変哲もない唯の金庫だ』

「それじゃあ、行きますよ」

「そんな前置きしなくても……いや、何が出てくるかわからないもんなぁ」

「……どうもデバイスがあるのは確かだが、ふむ」

 

 特段ダイヤルが重いとか、扉が重いとかそんな事もなく厳重に忘れ去られていた金庫はあっさりと解除された。問題は……中身。

 

「……開けます」

「何が出てくるやら……」

『前にも言ったはずだ、大したものは入っていない、と』

「貴方にとってはそうかもしれませんが弍乃さんにとっては……っ」

「まああるのに使わない、となればこうなっているのが自然か」

 

 恐る恐る金庫を開けばまず出てきたのはやはり破壊されたディーデバイス。私がテルスと一緒に転送したものだろう。後は……

 

「……アルバム?」

「ちょっと埃被ってないそれ?」

『2年も放置していたのだ、金庫の中とはいえ少し埃は積もるだろう』

 

 奥から出てきた埃を被ったアルバム、少し強く握りしめた後があるのは多分弍乃さんのものだろう。これが大したものじゃないってテルスの眼は節穴なんだろうか……いや、そもそもテルスに眼はないか。

 

「タイトルは……特になし」

「とりあえず開いてみませんか?中身を見ない事にはなんで此処にあったのか分かりませんし」

「そうですね、それじゃあ……」

『……』

 

 恐る恐る、丁寧に表紙を捲る。どんな写真が入っているのか、と思ったけど……

 

「弍乃さん、と……」

 

 最初のページにあった写真は1枚。写ってるのは中学生位の弍乃さんと……

 

「……誰?」

「一宮さんの知り合いっぽく見えるけど……」

 

 並んでピースしてる金髪の女性。右腕が伸びてるしこの写真は彼女が撮ったものなんだろう、なんか弍乃さんは仕方なくピースしてる感じだしなんなら無表情だし。彼女の性格的にこんなものを作るとは思えないし……このアルバムはこの人の?

 

『その女性の名は十窯二美。かつて一宮弍乃の友であった人間だ』

「なんで過去形?」

「確かに一宮さんと知り合ってから影も形も見た事ないけど……」

「……」

 

 弍乃さんが呪文(アーツ)を使ってまで忘れようとした存在。喧嘩別れでもしたのならわざわざアルバムを金庫に残す事もないだろうし、ただの友達を忘れようだなんて思わない筈……

 

「テルス、確認を」

『なんだ?』

「彼女の適合率は……何%でした?」

「シルウィアさん?」

「急に何を……ああ、そういう事か」

『随分と回りくどい事を聞くな』

「納得、したくて」

 

 辿り着いた結論は一つ。

 

『彼女の適合率は普通の一般人と同等だった……が』

「……」

『破壊されたこのデバイスに限り8()2()%()という弍乃すら越える数値だった。まあつまる所、弍乃は最初1人で戦っていた訳ではない』

「やっぱり……」

「でも5年1人で戦ってきたって最初……」

『それは彼女の存在を忘れていたからだ。十窯二美……いや』

 

 彼女もまた……

 

魔導士(マギスター)ウェスタの事をな』

 

 魔導士(マギスター)として、戦っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さて、では話すとしようか。十窯二美という人間について』

「いやなんでこっち来てんだよ、自宅でやれ自宅で」

「此処ボクの自宅」

「はっ倒すぞ」

「思ったより様になっているな、アポロ」

「テトラだ、というかなんでお前居るの?」

「辞表を叩きつけてきた」

「はぁ!?」

「まあまあテトラちゃん……ってあれ、その写真二美ちゃん?」

「知ってるんですかマスター?」

「うん、あの子と一緒に良く来てたからね。どうも転校しちゃったみたいだけど……」

 

 気分転換に場所を変えようと八雲さんの父が経営する喫茶店へ。ちょっとテトラがうるさいが今日はちゃんと頼むもの頼んでいるのだから許して欲しい……まあ6人という大所帯なのは申し訳ないと思ってるけど。

 

「元々常連だったのは二美ちゃんでね、弍乃ちゃんは最初半ば無理矢理連れて来られてたような……」

「あぁ……」

「まああの人が自分から来るとは……」

 

 さらっと明かされる過去に苦笑しながらアルバムの写真を手に取る。何度見ても弍乃さんの表情は鉄面皮で私の知る彼女と同一人物であるとはとても思えない、一体何が……って、うん?

 

「テルス、これ……」

『気づいたか、やってみるといい』

「その写真に何か?」

「何か細工があるようには見えませんが……」

 

 多分この写真はディーデバイスを使って撮影されたもの。だったら……

 

再生(リプレイ)

「えっ」

「ホログラムが……!?」

 

 ビンゴ、やっぱり記録(メモリア)で作られた写真。撮影から逆算して約2分間の映像記録を内蔵しているこれは再生(リプレイ)を合図に閲覧する事ができる。テルスに話してもらうよりこっちの方が彼女の……二美さんの事を知れる。

 

『私は補足説明に回るとしよう。気になる写真があれば再生(リプレイ)するといい』

「ほう、全部なのか?一々記録(メモリア)を使うのも手間だったろうに」

『それについてはおいおい説明しよう』

 

 ノイズしかなかったホログラムが正常化し、映像になる。さて、二美さんはどんな人なのか……

 

[つまる所これからは2人で魔法少女!仲間が増えるよやったね弍乃ちゃん!]

[……意図が理解できない。タルタロスに狙われているのは私、何故あなたは自分から巻き込まれた?]

[それと魔法少女ではなく魔導士(マギスター)だ。そのデバイスも所有者は君ではない]

 

 多分何処かの路地裏。学生服の弍乃さんに陽気に話しかける彼女が二美さんなんだろう、随分と明るい人だ。

 

[そーいう細かいのは別にいいでしょ。私は君が心配で割って入った、そんで成り行きで変身した、以上!難しいことは何もない!]

[……やっぱり理解できない。非合理的すぎる]

[私は理屈じゃなく感性で物事を考えるからさっ!ほらせっかくなんだし記念に1枚!]

[そんな時間は……]

[あるに決まってんでしょ学生なんだし!ほーらピースピースっ!]

[……]

 

 流れるようにデバイスを手に持ち弍乃さんにピースをさせ呪文(アーツ)すら唱えず一枚、これがこの写真の記録。

 

「随分と……」

「元気な人、だね」

「凄い陽キャって感じがするなぁ」

『彼女がデバイスを手にしたのは機獣(ヘカトンケイル)に吹き飛ばされた弍乃が手放してしまったものを掴んだからだ。まさかあそこまで適合率が高いとは思わなかったが……』

「自動詠唱を難なく行っているようですし余程相性が良かったのでしょうね……」

「自動詠唱?」

『このデバイスにロムルス・ウヌスが搭載していた機能、元々はクロノデバイスのシステムだ。適合者(デヴァイサー)の脳波とリンクし、思考された呪文(アーツ)を即座に出力する、それだけのもの』

「だけってレベルじゃない……」

「私達がコード入力でやっと呪文(アーツ)を使えてるのに……」

 

 そう、このディーデバイスはお父さんが私用に作った物。クロノデバイスの廉価品として作られた特別品。ただそれでも私の適合率は64%止まりだった、彼女の82%って数字は……奇跡に等しい。

 

「……ひとまず他の写真も見てみましょう。これだけじゃ二美さんがどんな人か把握できない」

「二美さんもそうだけど一宮さんもなんか雰囲気違うような」

「そうですね……」

 

 記憶の中にある弍乃さんはもう少し感情豊かで合理非合理を理由に物事を判断する人ではなかった。この映像の彼女はなんというか……機械のような無機質さを感じる。

 

「お待たせしました、当店オリジナルブレンド……話聞いてねぇだろ適当に置いとくぞ」

「では私が三葉に渡そうか」

「それそいつの分だけじゃねえが?」

「無論私は紳士だ、全員に回すとも」

「おうさっさとしやがれこっちはホール回してんだ」

 

 テトラとエンネアがごちゃごちゃ言ってるのを思考の片隅に追いやりページを捲る。基本的に二美さんと弍乃さんのツーショットだけどやっぱり弍乃さんの表情は無機質で……凄い違和感。

 

「では次、行きます。再生(リプレイ)

「二美さん滅茶苦茶写真撮ってたんだね……」

着身(マギアライズ)中に撮ってるのもある……」

「しかも全部満面の笑みですね」

 

 次に選んだのはベンチで2人並んで座ってる写真。このページの中でこれだけ2人の距離が縮んでるような気がしたのが理由だ。

 

[弍乃ってさ、必要不必要で物事考えるじゃん?]

[人生の時間は限られている、無駄な事は避けて生きるべき]

[んーでもさぁ、その無駄とか無駄じゃないって誰が決めるの?無駄って思ってた事が意外な所で役に立つ事もあるし]

[将来から逆算して考えた場合の結果]

[……じゃあ弍乃は将来やりたい事、もう明確に決まってるの?]

[良い大学に入って、良い企業に就職して、稼ぐ。それが最も合理的]

[じゃあ、その先は?]

[それ以外に必要な事が?]

[うわ重症]

 

 ただの日常会話、にしては内容が重い。間違いなくベンチで2人仲良く座って話す事ではない。

 

[つまり弍乃は知らないんだ、楽しい事色々]

[必要ない、無駄な事]

[んんー、よしっ決めた!]

[何?]

[私が弍乃に色々と教えてあげるよ、無駄じゃない無駄な事。いや、無駄塗れの楽しい人生って奴をね!]

[必要ない]

[もーそんな事言わずにさぁ。絶対その人生設計は虚しくなるだけだって、ほらそういうわけでまずは1枚!]

[何故……]

[友達付き合いってのは写メに始まり写メに終わる物!思い出は何にも変え難い大切な無駄なのさっ!ほーら撮るよ!]

[理解できない……]

 

 ……なんというか、弍乃さんが二美さんに振り回されている、というよりは二美さんがどうにかして弍乃さんを真人間にしようとしてるような、そんな雰囲気を感じる。

 

「……一宮さんってこんな人だっけ?」

「言い回しはそれだけど……こんな無表情じゃ少なくともないよね」

「皮肉もないし」

 

 皆も似たような感想だ、これがあの弍乃さんになるイメージは少なくとも私にはない。

 

『……シルウィア、三葉』

「はい?」

「テルスさん?」

『弍乃が消えたあの日、君達は聞いたはずだ。「私が弍乃を人間に戻した」と』

「……」

 

 そうだ、確かに彼女はそんな事を言っていた。けどこの様子を見るに……

 

『あれは合っているが間違いでもある。彼女が普通の人間になるまで私がした事はあまりない。この無表情でただただ事務を処理するだけのような人間を普通の喜怒哀楽を持つ人間に作り変えたのは……』

 

 

 

『他でもない、十窯二美その人なのだよ』

貴方の変身ヒロインは何処から?

  • セーラームーン
  • リリなの
  • プリキュア
  • まどマギ
  • シンフォギア
  • その他
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