「白……え待って弍乃ってアルビノだったの目紫なのに!?」
「違うに決まってるでしょうというか急に正気に戻らないで。まあ細かい説明をしてる時間はないし私自身説明できるほど記憶も復元されてないから端折るけど……二美は私が3歳以前の記憶がない事知ってるわね?」
「確かに昔聞いたけど……」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!?」
「何かしら三葉、時間がないから端的にやろうとしてたのだけど」
「だからと言って私達の知らない情報をいきなり流し込んでくるのはどうかと思うよ!?」
明らかに雰囲気の変わった弍乃さんから放たれる何それ知らないな情報の洪水に飲み込まれる前にやることはやっておかなきゃと接触。クロノデバイスの補助機能がどうこう言ってたけどつまりそれで記憶が戻ったって訳で……今の弍乃さんは私達のよく知る弍乃さん、の筈。
「さっきまで私も知らなかったしそれは許してちょうだい。どうもその失った3歳より前の記憶が……多分、一時的に復活してるのよ、ちょっとだけ」
「随分と曖昧な……」
「こっちだって曖昧よ、ぼんやりとしか思い出せない。んで……その記憶の中で私の髪は白だった。なんで黒くなったのかは知らないけど多分今の姿が正常な状態なんでしょうね、私」
「日本人なのに……?」
「拾った親が日本人だったから戸籍が日本になっただけではあるわ……うん、この話はこれで終わりね」
「いや謎を説明しようとして謎を増やさないで弍乃さん!?」
えーっとつまり弍乃さんの親は実の両親じゃなくて?弍乃さん自身は3歳以前の記憶がなくて?ついでに言えばその時は髪が白かった……と。うん全然繋がらないし分からない、ただ謎が増えただけだこれ。
「それより問題はエキドナの事でしょう、どれだけ抵抗してくれるかはわからないけど……そう時間はないわ」
「分かってるよ!ねえどうにかならないの弍乃!?弍乃から出ていったように引っぺがすとか!」
「できるならとうにやってる。エキドナは元々ティフォンが乗り移るために作った個体、ただの
「じゃあどうしたら……」
「……正直八方塞がりね、私たちじゃエキドナを破壊することはできても元に戻すことは不可能」
「そんな!?」
「クロノデバイスの力でも無理……なんです?」
『クロノデバイスはあくまで決戦兵器だ。都合の良い奇跡を起こすためのものではない』
「そう、これは神様が授けた奇跡の力でもなんでもないわ。ただスペックが高いだけの魔術デバイス。操作した通りにしか動くことはない」
「……そう、ですよね」
……弍乃さんが元に戻った代償にエキドナさんがティフォンに取り憑かれた。そして私達じゃエキドナさんを元に戻す事はできない……最悪を想定していたとはいえこんなのあんまりだ、最初からどっちかしか助けられなかったって事?
「嫌だ、エキドナを壊すなんて、私にはっ、できない。だって、大事な、ともだち、でっ……」
「分かってる……けど、これ以外に方法は「ある」……狼奈?」
涙目になってる二美さんを支える弍乃さんに狼奈さん……というか莉亜さん達が全員目線を合わせた。考えている事は同じ、と言わんばかりに。
「要は今エキドナに起きてる事はネバーワールド……私達が戦ってた奴らのやり口と同じ、終わらないネバーエンドか救いのないバッドエンドの強制って訳だ」
「魔術的な干渉でエキドナとティフォンを分離する事はできない……よくありますね、完全な同化を果たした以上分離する事はないって」
「まあパターンの1つやな、こういう時は何かしらピンポイントな隙を作るもんやが……」
「ないでしょうね、此処まで用意周到な以上」
「……本当に、あるの?エキドナ、元に戻せるの?」
どうやら莉亜さん達はエキドナさんを助ける手段を持っているみたいだ。確かにあの薄紫の本の力があれば可能かもしれない、けどそれじゃあ莉亜さん頼りになってしまう。それで……いいのかな?
「結末がないのなら作ればいい、バッドエンドが嫌ならもう一度書き直せばいい。私達はそうして誰かを望まない永遠や終わりから救ってきたの」
「それって……」
「うん。私達の力でこの
「じゃあ」
「ああ、エキドナは元に戻せる、んでもって……」
「ティフォンに落とし前付けさせんのは君らやで後輩ちゃん。ウチらは
「昔のメアリーならぱぱっとどうにかできたけど今は此処まで大規模な作業を
『やっぱり読み聞かせじゃなくてエキドナちゃんとお話しさせて莉亜!』
「全く我が儘だなぁメアリーは……いいかな、二美?」
「っ……うん!ありがとう、皆!」
「決まり、かしらね」
「……はい!」
「えっ何今の声何処から「細かい事はいいでしょファウヌス」こんな時だけ鈍感にならないでよ君達!?」
何処からか聞こえてくる無邪気な声は私達がエキドナさんを元に戻せると確信しているようで少し笑みが溢れる、だったらその期待に応えなきゃダメだろう。道は莉亜さん達が作ってくれる、だから私達と……弍乃さんと二美さんで、決着を付けるんだ。
「二美、
「分かってる、じゃあ狼奈達は私が」
「なら私は後輩達かしらね……そういう訳よ、準備はいいかしら?」
「莉亜さん達はともかく私達は自分で
「詠唱させてくれる時間があるとは思えないって話よ。私がティフォンなら乗っ取ってすぐゲートを……やっぱりね」
「っ!」
2人がデバイスを構えてすぐ上空に開くゲート。当然降ってくるのは赤い……いや、黒い?
「紅白ならぬ紅黒やなぁ……血の色みたいで気色悪いわ」
「製作者の趣味の悪さが透けて見えるよねぇ先輩、ボクちょっと1発殴りに行きたいぐらい」
「その殴りに行きたい奴が出てきますよ皆さん!」
「島が……揺れてる?」
大量の黒い
「来るぞ、準備はいいな!」
「勿論、って言いたいけど正直心の準備は……」
「深呼吸よ二美。エキドナと戦うんじゃない。エキドナを好き勝手してるティフォンと戦うの、私達は」
「……うん、そうだね弍乃。これは助けるための戦い、弍乃とエキドナを利用してくれたあいつへのお礼参り」
「弍乃さん」
「どうしたのかしらシルウィア?」
「……身体は、大丈夫なのですか?」
全員デバイスと本を構えいつでも変身できる状況の中、シルウィアさんが弍乃さんに問いを投げかける。確かに戦ってる途中でまたユスティアに戻ってしまう可能性だってある、それは……大丈夫なんだろうか。
「大丈夫とはいえないけど……1日2日は持つと思うわ、逆に言えばそれがタイムリミット。2度目の奇跡は……貴方達で頑張って起こして」
『弍乃……』
「頑張って三葉のサポートに徹する事ねテルス。シルウィアを助けてやったのに私を見捨てるなんてしたら壊れるまで呪うわよ」
『そんな事するものか。必ず君は助け出す、絶対にだ』
「ふふっ、相変わらず下手な人間より人間らしいわね貴方は」
「昔の弍乃よりよっぽど感情豊かだよねテルスって」
「だまらっしゃい、いつまで昔の話を擦る気……いや、それは後にしましょう。来るわ」
「!」
小島に大きな罅が入り、中心から崩落していく。そうして地面が崩落してできた大穴から……
「エキドナ……!」
「ったく、弍乃の事といい趣味が悪いぜタルタロスってのは」
轟音と共に機械仕掛けの翼をはためかせ飛び出す黒い竜……間違いなく、エキドナさんだ。綺麗だった赤の装甲は全部煤みたいな黒に染まって……黒?
「もしかして……」
「多分そうでしょうね、ついさっきまでずっと私はティフォンの魔力に汚染されていたみたい。身体が妙に軽いのもそのせいかしら」
「ずっとって……3歳の頃から!?ティフォンに遭遇した訳でもないのに!?」
「一体全体どういう事なんです……!?」
「細かい事はいいわ。重要なのは……」
明らかに細かい事ってスルーしちゃダメな案件だけど確かにそんな余裕はない。
「どうにかして狼奈達がティフォンを分離させる時間を作る事。何分かかる?」
「5人『6人!』……ごめんごめん、6人で一斉に仕上げるなら7分くらいで終わる筈。その間あの機械達とエキドナの相手は任せていいかな」
「分かったわ……聞いたわね、最初から
「勿論です!」
「此処で使わなきゃなんのための出し惜しみって話だよね」
「5分でティフォンを倒せってのも中々に無茶な気がするけどね!」
「それでも無理を押し通すのが私達ですよ」
「背中、預けますよ弍乃さん」
7分、短くもないし長くもない微妙な時間。ティフォンを分離したら残り5分……それなら
「悪いけどシルウィア、貴方は三葉達に背中を預けなさい。私は……いや、私達は」
「2人一緒が一番強いからねっ!行こう弍乃!」
「ええ!」
「……なんか負けた気分」
「何を!?今そんな話してる場合かなぁ!?」
「はいはいファウヌスは隠れてて。それじゃあやろうか、皆!」
自然と2人を中心に横並び、デバイスとペンを操作する。
弍乃さんもクロノデバイスを慣れ親しんだように弄って……
「『メアリー・スー!』」
「フェアリーテイル!」
「オデッセイ!」
「ロマンス!」
「ミュージカル」
「『「「「「
「『「「「「
一斉変身、なんでか知らないけどバリアフィールドが全員を覆うような巨大な物になってる。多人数で同時に展開するとこうなる物なんだろうか?
「
「
『「
最初に同時変身した時と同様変身完了はほぼ同時。弍乃さん……ユスティアが味方なのは心強……うん?
「サトゥルヌス……?」
「ユスティアじゃなくて?」
「こっちの方がユノと似ているから使い勝手が良いのよ」
「待って待ってそのデバイスどうなってるの!?」
「サトゥルヌス……農耕神であり時間の神、ギリシャ神話の神クロノスと……」
「時間がないっつってんだろパンドラ!?」
……ユスティアではなくユノの装甲を全部パージしてマントを羽織ったような姿、サトゥルヌス。確かにユスティアよりそっちの方が似合ってるけどなんか謎が余計深まったような……
「まあ細かい事はどうでもいいよ!」
「ええ、助けに行きましょう……二美の大事な友達を、ね」
2人が手を翳すと同時に身体がふわりと浮き始める。打ち合わせ通り全員に
「お、おお……飛んでる!」
「魔法少女は飛ぶ物でしょ?」
「まあそういうものかな……よし、ペンは持ったね皆!」
「おう!」
「楽しい改稿作業の始まりや!締切は短いでぇ!」
「締切の話はやめましょう!?」
「ノーミスのリテイクなしで仕上げるわ」
莉亜さん達が先行して突貫。
「私達は
「バッカスの時より多くないこいつら?」
「準備運動には持ってこいでしょ」
「
「ティフォンの分離まで持たせますよ!」
私達は黒い
『大丈夫か、弍乃』
「ええ、問題ないわ。それと」
「露払いみたいなもんだけど……」
弍乃さんと二美さんはいつの間にか武器を構えて。
「こいつら全員」
「倒しちゃってもいいよね!」
我先にと、
貴方の変身ヒロインは何処から?
-
セーラームーン
-
リリなの
-
プリキュア
-
まどマギ
-
シンフォギア
-
その他