魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。   作:暁真

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割と決着は秒で終わるって話。

 

「やっぱり鎌使えないかしらねっ、籠手じゃリーチが短すぎてやりにくい!」

「リーチが欲しいなら剣でも作ればいいじゃん!当たらないでよっ!」

「どうにも剣は大振りで性に合わないのよっ、危ない弾幕貼るわね!?」

『────』

 

 分離作業完了まで残り約4分。学習されるまでにぶっ飛ばしまくれの精神で私がラッシュ、二美が弾幕を貼り狼奈達に近づけさせないようエキドナをひたすら足留め。とはいえ段々と対応されてきているようで音速で繰り出している筈の一撃にエキドナの防御が間に合ってしまっている、このままだと非常にまずい。

 

「弍乃さん一度下がってくださいっ!」

「突っ込むのはいいけど当たらないでよミネルヴァっ!二重詠唱(デュアルコール)拡散(ディフュージョン)凍結(フリーズ)

「浮いてるし地面遠いし茨蔓(ソーン)使えないのがめんどい!けどまあやるしかないよね!」

「二美さん合わせてください! 強化詠唱(マキシムコール)光線(レーザー)っ!

「合体ビームだねわかるともっ!威力マシマシでゴーッ!」

強化詠唱(マキシムコール)雷霆(ケラウノス)ッ!」

 

「何来てるのよ、時間稼ぎなら2人でやるってのに」

「他にやれる事は全部やりましたのでお節介に!」

「吠えるようになったわね……いや、それは相変わらずか」

 

 狼奈達の護衛を頼んでいた筈だがなんだって後輩どもはこっちに来てしまっていたのか。別に護衛なしで大丈夫って話ならいいんだが……今どうなってんのあっち?

 

「分離のキーはティフォンが魔力の塊って事や!」

「シャツに染み付いた汚れみたいなもんですね!洗えば取れますっ!」

「抽象的すぎるわ、そうね……浸透圧みたいに別の魔力で押し出す感じにするのはどうかしら?」

「エキドナの負担がどうなるか次第だが……」

『それは私がなんとかするっ!』

「ありがとうメアリー、じゃあその方向性で行こう」

 

 

 

「……ま、あれなら問題ないか」

 

 全員で本を開いて必死にペンを動かす狼奈達の姿を確認、それだけならさっさと護衛戻れよと言いたいがどうも周囲に不可視のバリアが貼られているらしい。多分莉亜がやったんだろうな、やっぱあのインチキ形態ずるくないか?

 

「後別に下がってもやることないもの、一緒に行きましょう」

「……はいっ!」

『2人とも無茶はするな、エキドナが壊れる』

「加減が利かないとでも言いたいのかしらテルス?」

 

 随分と逞しくなった後輩に並び立つと褒められた犬の如く表情が明るくなった、もしかして前世チワワとかそんなんだったのかこの子?いやまあ別にそれはどうでもいいか、やるべきは時間稼ぎ。

 

「ちょっと弾幕止めなさい突っ込むわ!」

「ごめん無理当たらないように突っ込んで!」

「無茶言うわね!」

「そもそも壊さないように適度にダメージ与えろってのが無茶でしょ!加減難しすぎるよ!?」

「それでもやらねばなりません、行きましょう!」

 

 私、ミネルヴァ、ケレス、シルウィアの4人で二美達の弾幕に紛れ突貫。やっぱりやりにくい、射程に入る前に棍を錬成しておく。なんでか知らないけど長物がいちばんしっくりくるのだ、私は。

 

「殴打が無理なら素手で殴りなさい、エキドナを倒す必要はない事を忘れずに」

「分かってます、ごめんねエキドナさんっ!」

「これはギリギリ殴打になるかなっ!」

 

 先行してミネルヴァが素手でのラッシュ、ケレスが鞭による殴打でエキドナを微妙に仰け反らせる。絶え間ない弾幕の最中に追撃だ、流石に学習されてきているとはいえ効くだろう。んでもって……

 

「合わせなさいシルウィア!」

「はいっ!強化詠唱(マキシムコール)属性付与・迅雷(エンチャント・プラズマ)

 

 僅かにできた隙を突きシルウィアと共に迅雷(プラズマ)を纏った棍をストライク。強化(マキシム)で増幅された電流でようやく全身に回る巨体だ、これでも数秒痺れるだけに留まるだろう……ならば。

 

「少し道を開けなさい、ちょっと試すわ」

「試すって!?」

「時を止める、エキドナのだけね」

「ちょっ、何やる気!?」

 

 再チャージ中のカウントはⅤ、あまり止めることはできないだろうがずっと止めなければならない訳でもないし充分だ。まあ一部分だけしか止めれないだろうがそれでいい、全部止まってしまえば逆に不都合が起きる可能性もある。

 

「こう、だったかしら」

 

 クロノデバイスにチャージした魔力を棍の先へ回す。本来は解放(リリース)に使われるリソース、それを一点に集中させて行うもう一つの時間凍結(クロノフリーズ)。何故かは分からないが私はそれをどう使うか知っている、不思議なものだ。

 

『────!』

「向かってくる分にはおおいに……」

 

 流石にここまで攻撃を浴びせ続けていると完全に学習されたようで弾幕を受けながら猛スピードで此方へ向かってくる。多分焦るべきタイミングだろうけど……今なら逆に好都合だ。

 

「結構よっ!」

 

 爪を振り下ろすエキドナの右腕を弾きカウンター、接触した表面から魔力を一気に流し込む。解放(リリース)と同じで詠唱は必要ない、究極の初見殺しだ。

 

時間凍結(クロノフリーズ)V(フィフスカウント)

 

炸裂(バースト)

 

『〜〜〜!?』

「流石にこれは学習できるわけないわね。吹き飛びなさい」

 

 役目を終え放り投げた棍をヤクザキックで勢いを付け右腕にストライク、悶えるエキドナをまた吹き飛ばす。感覚的に上手く行ったようだ、封じれるのは……5分くらいか?

 

「一度弾幕止めなさい、これ以上はノーダメージよ」

「学習終わっちゃったか……ってあれ、エキドナの右腕……」

「動いて、ない?」

 

 姿勢を立て直したエキドナだが右腕が動かない、うん、成功だ。

 

「エキドナの時間を止めたの。あの巨体だから右腕だけになっちゃったけど」

「って事は時間凍結(クロノフリーズ)!?」

『そうか、炸裂(バースト)の方か!確かにあれなら無力化という目的に最も適している……使えるのなら先に言ってくれないか弍乃』

「知ってるのテルスさん!?」

「知ってるもなにもこれとテルスの作者は同じよ。データとしてインプットされてるでしょう」

 

 時間の流れそのものを止める解放(リリース)は確かに強力ではあるがチャージに対する効率の悪さ、防御手段を既に展開されている場合の対処という問題点がある。それに対応するための手段がこの炸裂(バースト)だ。

 

「これで時間稼ぎ中右腕は使えない筈、頭部と左腕と尻尾と弾幕にさえ気を付ければいいわ」

「まだ結構あるんですけど!?」

 

 本来解放(リリース)に使われる魔力を一点に集中して叩き込む事で対象の時間だけを止める。当然解放(リリース)より魔力効率は良いしタイマンなら一方的に攻撃できる利点はそのままだ。とはいえダメージは全て解除後に後回しされる事、今回のような巨体が相手の場合停止範囲が一部分で終わってしまう事と欠点も目立つ。どちらも一長一短だが個人的には炸裂(バースト)の方が扱いやすい、考える事が少なくて済むし奇襲性は此方の方が上だ。

 

「ついでに言えば2回目の時間停止ができる余裕もないわ、後2分気張りなさい!」

「それは言われずともですっ!」

「弾幕効かないって事ならこっちもステゴロアゲインだよ弍乃っ!」

「ここまで人数が多いと戦いというよりリンチになってしまう気もしますが……」

「綺麗事は必要ない、それと二美はステゴロより弾幕の相殺に専念しなさい」

「ん、あー……分かった。それじゃあ引き続き任せたよ!」

「私も二美さんと一緒に行く、もう少し頑張ってね皆!」

 

 二美とディアナを対遠距離に回し5人で突撃。残り約112秒で分離準備は終わるらしい、それくらいの時間なら……余裕だ。

 

「右腕動かせないからって動きが単調よ」

 

 分担して各部位を相手する。シルウィアとミネルヴァが頭部、ケレスとウェヌスで左腕、私は単独で尻尾。1人だけ負担が大きい気がするがまあデバイスのスペックは高いし気にしない事とする。

 

「にしたってこうも図体がデカいと受け止めるのも一苦労ねっ!」

 

 横薙ぎに払われる尻尾を先程と同じ要領で弾き回し蹴りでカウンター。理想は残り102秒間ずっとこれを続ける事だがそう上手くはいくまい、学習能力を考えるとそろそろ攻め手を変えてくるだろう。

 

「弍乃さん後ろっ!」

「っ、成程全身に砲門が隠されてるのね……!?」

 

 右脚の装甲がスライドして現れた砲門による奇襲を瞬間的に浮遊(フロート)を解除してギリギリ回避。一体何と戦う事を想定してこんな全身に……いや、ティフォンか。想定しているのは。

 

「あれなら別に壊しても構わないでしょう!?」

「直るとは思うけどエキドナが痛がるから極力やめて!?」

「ああ言えばこう言うわね手間のかかるっ!」

「赤ちゃんの世話してるみたいに面倒だなぁほんと!」

 

 捉えられると判断したのか親の仇の如く集中砲火される光弾を光線(レーザー)固定(ホールド)流体(フリュイド)結界(プロテクト)を組み合わせたシールドで受け流す。狼奈達がやってたのを真似してみたが結構使いやすいなこれ、元に戻った私が忘れている事を願おう。

 

「ったく……だったら代案とか考えなさいよ!」

「思いつくならやってる!」

「代案ないのに却下するとかどういうつもりかしらねぇ二美!」

「今詰める事じゃないよぉ!?」

 

 砲撃が微妙に止んだタイミングで弾丸(バレット)追尾(ホーミング)を使いシールドを投擲、砲門を壊したいところだが壊すと二美がぐちぐちうるさいのは分かりきっているため移動するバリア程度に留めておく。あーもうなんでこう面倒な戦いをせにゃならんのか、二美を元に戻した時といいシルウィアを正気に戻した時といい毎度毎度手加減ばっかりしてるのは如何なものか。

 

「まあそれはいいでしょう、そろそろ分離作業も終わる、分離したティフォンがまた何かに取り憑く前に一撃で仕留めなきゃなのだけど……いい案は?」

「ある!」

「即答ね、内容は?」

「さっきのあれを皆でやろう!」

「あれって……」

「まあ、できない事はないわね」

 

 残り84秒、分離させるまでは良いとして分離後のティフォンをどう仕留めようかと考えるまでもなく二美の提案。確かに7人分の収束なら確実に仕留められるだろう、ただどうやって連携を?

 

「とりあえず掛け声は……決めたっ!」

「うわぁなんか急に脳内に!?」

伝言(テレパス)ですか……というか、掛け声……?」

「皆の息を合わせないとあらぬ方向に飛んでいっちゃうからさ……皆さっきの見てるだろうしやり方はわかるよね?」

「私達に……できるんですか?」

「無論できるっ!そしてトリガーは……三葉ちゃん、いやミネルヴァ!君に任せていいかな!?」

「わ、私っ!?」

「いや理由を説明しなさいよ理由を」

 

 残り61秒、絶え間なく続く砲撃を二美と2人がかりで防ぎながら確実にティフォンを仕留めるべく作戦会議……いや会議かこれ?二美の一方的な報連相な気もするが。

 

「理由?そりゃあミネルヴァちゃんが1番今の弍乃を知ってて皆を引っ張るリーダー分で後1番主人公っぽいから!」

「最後はいるんです……?」

「当然!こういうのは並び方が大事なのっ!そういう訳でフォーメーションだよ皆!」

「いやノリと勢いで決めていいのそれ!?」

「戦いはノリの良い方が勝つって言うでしょ?後いい加減防ぎ続けるのも限界だし早めにお願い!」

「だったら無駄に話さなければよかったのよ……準備はいいかしらミネルヴァ?」

「……勿論ですっ!」

 

 残り42秒、分離と同時に仕留められるよう行動開始。魔力を収束するべく皆で手を繋ぐ。

 

「本当に繋ぐだけでいいのこれ?」

「なんでか分からないけどできる!」

「……非常時用の緊急魔力供給機能ですね。どちらも放出するとこのようになるとは」

「えっ合体技用機能じゃなかったの」

「だからそんな訳ないでしょうに……」

 

 ミネルヴァの両隣に私と二美、私に連なってシルウィアとケレス、二美に連なってディアナとウェヌス。繋がる手を強く握り腕を前に構え砲身を形成、魔力の収束を始める。

 

「あっちの準備もそろそろ終わるわ、出来次第シールドを切り離して……一撃で仕留める、いいわね?」

「はいっ!」

「照準は私達で補正するから……ミネルヴァちゃんは声を合わせてくれればいい。私達の魔力ほとんど注ぎ込んでるから失敗しないでよ?」

「あのそれ言われると責任とか凄い重圧がっ!?」

「そんな取り乱せる余裕があるなら大丈夫よ。落ち着いて、深呼吸」

『私のサポートもあるのだ、安心してやれ』

 

 残り29秒、切り離すとは言ったもののシールドの限界が近づいてきている気がする。早く終わらせろよ狼奈達……チャージ完了を分離完了時間に合わせてるんだこっちは。

 

「よし、行くよ皆」

「校正もバッチリや、外さへんでぇ!」

「書き換えるだけだし外すも何もないと思いますけどオズ!」

 

 残り24秒、狼奈達の準備が終わったらしい。シールドに回してる魔力をギリギリまで切り詰めチャージを急ぐ。

 

望む終わりへ、理想の明日へ!

今一度、書き直す!

これは終わり、そして始まり!

誰かのために捧ぐ

「『白紙(ゼロ)から描く物語(ストーリー)』」

 

 狼奈達の詠唱が始まった、全員で意識を研ぎ澄ませその時を待つ。

 

「「「「「『 () () () ()』」」」」」

 

「あれが……」

『周囲一体に魔力が拡散している。技術体系が違う故詳しくは分からんが……先ほど見たような概念の上書きだろうな』

「ならっ!」

「ええ、照準合わせなさい!」

 

 狼奈達を中心に広がるオーラが周囲を囲み、範囲内に巻き込まれたエキドナの動きが止まる。完了とチャージ完了まで残り12秒。

 

「「「「「『 マー』」」」」」

 

「きたっ!」

「それじゃあ合図任せたっ、ミネルヴァちゃん!」

「はいっ!」

 

 詠唱完了と同時にエキドナが完全に硬直し、体表を覆っていた黒が1箇所に集まっていく。あれが完全に個体になったタイミングで……!

 

「ここまで来たんだから外さないでよミネルヴァ!」

「いや私達も照準補正はしてるからねディアナ?」

「さっさと終わらせて夏の海を楽しみましょう!」

「今はどちらかと言えば秋だと思いますが……」

「なんでここに来て締まらないのよ貴方達は……」

「ふふっいーじゃん、仲間って感じで」

「勿論2人も一緒にです……今!」

 

 大事な瞬間だというのに緊張感がない後輩達に呆れ、ミネルヴァの号令に引き戻されて手を強く握りしめる。さあ、終わらせよう。

 

「コンセンテースッ!」

 

「「「「「「「!」」」」」」」

 

 ミネルヴァの掛け声を合図に全員で手を強く握りしめトリガー、圧縮しきった魔力を細い針のようにし一つになったティフォンの魔力へ発射。

 

「いっけぇぇぇぇ!!!!」

 

 相変わらず圧縮したというのに7つに分かれた閃光は螺旋を描いて混じり合って。

 

 

『───オ───ノ───レ────ニド────モ──』

「……2度?」

 

 間違いなく貫通し、疑問を残す断末魔と共にティフォンの魔力を消滅させた。




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n度目のなろう版リンクです、よければブクマと評価(ry

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