「わざわざ遠くからありがとう芽亜里、これ小説だけど狼奈の方じゃなくてよかったの?」
「お姉ちゃんの本がいいから」
「そっかそっか、大事にしてね」
「お姉ちゃんこそメアリーのこと大切にしてよ?」
「勿論、それじゃあ旅行楽しんで」
「うんっ!」
「……1年経つとやっぱりおっきくなるなぁ、子供って」
「そりゃまあ1番大きくなる時期やで?そらそうなるわ」
『背抜かされちゃった』
「まあメアリーの姿は自由に変えれるだろうし……っと、来たね皆」
「はいっ!勿論全員分買ってますよ!」
「よくそんな金があったわね……」
クロノデバイスのエラーが直って私がユスティアに戻るまで多分後1日くらい。ティフォンとの戦いが終わってすぐは迷惑かけないようにひっそり消えようと思ってたんだけど……
「なーに勝手にどこか行こうとしてるのかなこの薄情者!戻るまでまだ時間はあるんでしょ!?だったら勝手に居なくなったお詫びに明日丸一日私に付き合え!途中で戻ったらその時はまた16歳に戻してやるんだから!」
「最早脅迫までないかしらそれ」
「あ、じゃあ勝手に居なくなったら私のアルバムから弍乃の情けない所見れる写真を抜粋して……」
「やめなさい!?」
……というわけで強制連行され今日1日は二美に付き合って観光だ。いやまあそれだけならまだいいけど後輩達も小判鮫の如くついてきてるのはこの……なんだ?
「にしても児童書小説漫画に舞台って凄いマルチメディアだねぇこの作品。アニメとかなったりしない?」
「売上次第ではあるかもな」
「じゃあ私も一冊買っとこうかな、漫画版とノベライズ」
「お土産として買って帰ろうか迷いますね……」
「サイン本はお土産って言えるんだろうか」
「お土産ありふれたパイとかしかないけどここ」
「港町なのに!?」
どうせ私は買ってもあれなので二美達がサインを貰ってるのを側から眺めている。
「それじゃあまた後でっ!」
「うん、まあ後2時間くらいはあると思うからゆっくりでいいよ」
「三葉が勢いで誘った時はいやダメでしょって思ったけどどうにかなっちゃうとは……」
「まあ海があるなら泳ぎたいのが学生って生き物だ。そりゃ乗るさ」
「塩水は髪が痛むからあまり好きじゃないわ……」
「いや灰音はそもそも泳げんやろ」
「昨日も日光浴しかしてませんでしたね、まだビート板いります?」
「泳げないじゃないの泳がないの、水着は着るけど」
「まあそういうことにしといたるわ」
「何処に行ってもコントは発生するのね……」
あれか?こういう集まりは隙あらばコントを披露しなきゃいけない決まりでもあるのか?なんかそういうノルマでもあるのか?何も分からない……
「そういう訳で行きましょう弍乃さん!海ですよ海!」
「分かってる、分かってるから近いわ三葉、頭ぶつけてくる猫じゃないんだからもう少し距離を取りなさい」
「随分と懐かれてるねぇ弍乃」
「やる事は全部やったし関係絶って大人しく隠居したいのだけど私は」
『諦メロ、クロノデバイスヲ持ツ以上ティフォンカラ逃ゲル事ハデキン』
「いやあんたはなんでさも当然のように二美の肩に乗ってるのエキドナ」
「これで私も妖精が相棒だよ弍乃!」
「妖精というよりはメカペットのような……いやまあファウヌスみたいにぬいぐるみのフリしなくていい分楽そうだけど」
「鞄の中やっぱせまいよ八雲ぉ」
「我慢してお願いだから」
チワワの如く駆け寄ってきた三葉をどうにかしてもらおうと二美にヘルプサインを送ったのだが笑って流された挙句何故か一緒にいたエキドナにまで見放された、何故だ。
ん、なんでエキドナがこうなったか?原因は単純だ、元に戻ったエキドナを二美が
『弍乃』
「どうしたのよテルス」
『やはりクロノデバイスは外れないか』
「ええ、残念な事に変わらずエラー続きよ。貴方達に託せればだいぶ楽なのだけどそう都合よくは行ってくれないみたい」
『そうか……』
「まあ貴方達なら勝てるでしょう。
「それに私達めちゃくちゃ苦戦どころかほぼ蹂躙されてたんですけど!?」
「初見殺しが通っただけでしょう。タネが割れてるのなら貴方達対応できない訳じゃないでしょうに」
「それは……というかそこまで買ってくれてるんだ、ボク達の事」
「ユスティアとしての記憶が知っているもの、随分と成長したわね貴方達。これで私が正常だったら心置きなく一線を退けたのだけれど」
『今の君を無理矢理元に戻せば何が起きるか分かったものではない……すまん』
「貴方が謝る事じゃないのテルス。悪いのは記憶失った私なんだから」
実のところユスティアとしての私は
『それは違う、原因は全てタルタロスで……』
「三葉、ちょっとテルスを黙らせておいて。先に行きましょう、海」
「あ、は、はいっ!」
『待て三葉、話はまd』
「本当にスリープモードにしちゃったよ」
「三葉ちゃんやるぅ、お気持ちモードのテルスは話長いからねぇほんと」
「経験あるんだ……」
「何回かね、それじゃあ行こう皆!」
『私ハスリープモードニスルナヨ?』
「やり方知らないしできないよ」
「解析してみましょうか?」
『ヤメロ』
「プライバシーの侵害だそうです」
「単純な拒否じゃなかった?」
とりあえずこのままだとテルスの長話が終わるまで立ち尽くす事になりそうなので三葉に切ってもらいサイン会場を後にする……いやなんで自然と私と二美が先頭なんだ、普通地元民の二美だけでしょこれは。
「いやぁ愛されてるなぁ弍乃は」
「何処目線よ」
「相棒目線?元だけど」
「羨ましいなら代わってちょうだい今すぐに」
「できるならしたいけど色々事情を加味して無理。また引っ越すなんて無茶だし時間結界貼るんならどうやっても間に合わない、弍乃を一緒に助ける事はできないかな……ごめん」
「だから別にいいって言ってるのよ。二美は私が遠ざけたんだから」
「人の気持ちも考えろー。思い出した時の私どんなだったか言ってあげようか!?」
「言わなくてよろしい……いや、今は直ってるけど当時は直せる保証もないしまた狙われる可能性もあったし、そのままの関係でいたいなんて思いはしても状況が許さないでしょう」
「でも私は嫌だった、以上!」
「……それは、悪かったと思ってるわ」
……当時はあれしか二美を守る方法がなかった。オルド以外の適性が極端に低いのだからオルドがなければタルタロスは二美を狙う理由がない、でも私の知り合いであるのならば人質としてまた攫われてしまうかもしれない。だから二美と私の記憶を消して関係をリセットした、それが1番面倒じゃないと思ったから。
「私もこれで終わりにしておく。海に行くってのにこれ以上辛気臭い話したくないわ」
「原因は弍乃ですー」
「聞こえなかったわね」
「嘘つけ!」
『仲ガ良イノダナ、本当ニ』
「正直嫉妬しちゃいそうです」
「あんた達は何様よ……」
ま、それはそれこれはこれ。今は私がまた記憶を失うまでこの1日を楽しむとしよう。
「……
「ねー、私も体育の授業目立たないようにするの一苦労だよ。転校してすぐやらかして運動部に勧誘されまくってさぁ……」
「二美は自分がそうなってたこと忘れてたから仕方ないでしょう。私も元に戻ったら色々と考えなきゃね……」
「……信じるよ。弍乃と、あの子達の事」
「戻ったら真っ先に会いに行くから安心しなさい。来なかったら多分ダメだったんだろうなと諦めなさい」
「安心って言葉の意味知ってる?」
「知ってるわ、だから無理だったらやっぱりかぁって安心なさい」
「知らないね?」
……海に着くなり熱に浮かれて暴走したのか後輩共は海水へダイブ。引率するべきシルウィアも童心に帰ったのかはわからないが一緒に泳いでしまう始末だ。私は正直疲れるのが面倒なので横になってようと思ってたのだが二美に強制連行、後輩共が狼奈達とはしゃいでる間限界まで泳いでみようなる馬鹿の行動に付き合わされ日没の今に至る。
いやまあ、お互い
「弍乃さん二美さんっ!線香花火やりましょう!夜まだですけど!」
「三葉さん、弍乃さんも二美さんもようやく浜辺に戻ってきたばかりですし……」
「日没にやるのもそれはそれで中々いいんじゃない?やろうやろう!」
「よくその元気があるわね二美……私は気苦労で疲労困憊よ」
「身体は疲れてないんだからさっ!ほらっ弍乃も!」
「全く……」
明らかに浮かれているとしか思えない三葉とどうにかストッパーになろうとしているシルウィア、ついでにシルウィアの心労を考えてない二美。中々に中々な面子である。エキドナはなんか自己メンテナンスだとかで一旦帰ってしまったしテルスはまだスリープモードだしで纏め役がいないのだ、こうもなろう。
「仕方ないわね、一回だ……け……」
「……弍乃?」
「
「魔力切れ……ですか?」
まあ付き合わないと言ったら付き合うまで纏わりつかれて面倒だろうなと判断して一緒に行こう……としたタイミングで
「……ごめんなさい、どうやら時間切れみたい」
「そんな、後1日は保つって……」
「存外クロノデバイスは優秀なのね、バグった原因をそろそろ自己修復するでしょう」
「……元に戻った瞬間クロノデバイスを回収したり、とかは」
「無理でしょうね、反射で攻撃するわ」
「だよね……うん、分かってた。そもそもこんな思い出を作れた事自体奇跡なんだし」
「貴方達が自分の手で引き寄せた奇跡よ、誇ればいいわ……うん、それじゃあ、お別れね」
恐らく後30分もしないうちに私はまたユスティアへ戻ってしまう。そうなる前になるべく遠い所へ行こうと
「二美?」
「お別れの前に……ほら」
「ん……ふふ、そうだったわね」
「二美さん……」
「おっとカメラマンはいらないよ、自分で撮るからさ。さいっこうの、笑顔で」
「チーズは?」
「やったら渋い顔するから不意打ちで」
「相変わらずね、全くもう……」
2人肩を並べて苦笑、そのタイミングでシャッターが切られたのか空中に現れた写真を二美がキャッチ。なんでもかんでも写真撮るクセは直ったのかと思ったけど全然そんな事なかったみたいだ。
「……それじゃあ絶対だよ弍乃。元に戻ったら絶対私の所に顔出す事、いいね!?」
「分かってるわ……三葉、シルウィア」
「はい」
「弍乃、さん」
「勝ちなさい、
「……はいっ!」
最後に後輩2人に檄を飛ばし、二美に背を向ける。また暫くお別れなんだ、情けない顔が最後ではいけない。
「弍乃」
「二美」
「ええ」
二美に簡素な別れを告げ
「……」
しかしどうも間一髪だったようだ。戻ってしまう直前だからなのだろうか、私ではない私の記憶がほぼ復元されている。
「全く、面倒ね……」
やはりこの肉体は
「……私は」
正直面倒とかそれ以前に怖くてたまらない、あの子達が私の記憶を整理するのならば確実にこの記憶は蘇る。この一宮弍乃ではない誰かの記憶が。
「私は、誰なのかしら」
それは本当に
「まあ、誰も答えては……」
……時間だ、再び私は
「くれない、けど……」
……願わくば、何があっても。
一度だけでもいい。二美とあの子達に、
それが意識が沈む前に願った、引き寄せなきゃならない奇跡だった。
「んー、んーむ……」
「どうしたんだよエンネア、さっきから難しい顔して」
「いや、これを見てくれテトラ」
「これって……あー、例の
「似ているのだ」
「似ている?」
「ああ、彼女と私の母は同じ研究チームに居た仲でな。アルバムに数枚写っているのを見た事がある」
「いや誰の……っておい、冗談のつもりか?」
「本気だ。母はティフォンから私を庇って死んだ故もう関係の知りようはないが……この顔を見間違えるはずがない」
「流石にどんな奇跡ってレベルの推論だぞそれは……」
これにて二.五部「魔法少女の劇場版って話」もとい「映画
あ、よければこちらの方を……
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なろう版、評価とブクマをよければ。
貴方の変身ヒロインは何処から?
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その他