「……分からない、バッカスは何を目的としている?」
人気のない郊外で座り込みながら現状について少し考える。阿戸螺市におけるエキドナ回収任務は部分的には成功、全体的に見れば失敗という結果で終わった。全体的になどとお茶を濁す表現になった理由だが……
あの白の
「データ収集など悠長にしている暇があるのか?対策されるだけだろうに」
さらに訳がわからないのはクロノデバイスにエキドナのデータがしっかりと回収されていた事だ、つまり紛失している記憶の中で私は確かにエキドナと接触したらしい。それを持ち帰ったことで一応の目的は達成したと言っていいだろう、故に部分的成功なのだが……
「既にあのザマだ。本当に何を考えているバッカス」
持ち帰ったデータをバッカスに引き渡したがやった事といえばそれを組み込んだ新たな
「……付き合ってられん。やはり1人で行くしかあるまい」
これ以上彼女らを無駄に強くする訳にはいかない、それこそこれからに支障が出る。あの桃色と白色の
「……」
……彼女達は私を知っている。記憶を失う前の本来の私、「一宮弍乃」なる存在を。私は自分を拾ってくれた礼と自分の記憶を取り戻すためにバッカスに従っている、そこにそれ以上の義理も利もない。ただ恩を返すこととケイオスの滅亡を回避するという最もな大義に力を貸しているだけだ。
「私は……」
何を最優先とするか、と問われれば判断に迷う。ケイオスが滅んでしまえば記憶どころではない、だからといってそのために彼女達を倒して仕舞えば本来の私への手がかりは途絶えてしまう。二者択一、という訳ではないが……どちらを、優先すべきなのだろうか?
「……非合理的だな」
少々考えて思考を止める。こんなことを今考えるべきではない、時間の無駄だ。手がかりとはいえ彼女らがタルタロスの障害となっているのは事実、それの対処が先決だ。話ならケイオスの滅亡を回避してからでも聞ける、今はただ目の前の敵を倒すことを優先しよう。
「仕掛けるなら……」
手数はある程度見せているがこの数日で対応されるとは考えにくい。奇襲か、それとも……まあ細かい事は今考えると忘れるだけだ。敵は倒す、それだけを刻んでおけばいい。
「テルス」
『どうしたシルウィア、今更怖気付いたか?』
「まさか、確認をしているだけです。調整は文字通り完璧、ですよね?」
テルスの提案してきた秘策を実行するための調整は完璧だ。相変わらず徹夜する事になってしまったが机の上にはしっかりと2つのカオスデバイスが不具合なく並んでいる。また徹夜したことを怒られたけどまあそれはそれ、親じゃないんだからそんなにかっかしなくても……
『ああ、だが本当に良かったのか?』
「何が、ですか?」
『この作戦で本当に良かったのか、という事だ。1番合理的だが、これは君を……』
「そんな事ですか」
『何?』
「私はあの人を助けると決めました。けどそれは必ず私の手で、という意味ではありません。結果的にあの人が戻ってくればそれでいいというか……物凄い無責任な事言いますけど私達がダメでも三葉さん達がやってくれると信じてるので」
『君という奴は……』
「テルスはよく知ってると思いますが私は面倒くさがりなんです。だからこの秘策も寧ろ歓迎なんですよ?」
『……発破をかけているのか本心かは知らないが、そういう事にしておく』
発破5割本心5割だ。私はやっぱり本質的には面倒事が嫌いみたいで余裕ができるとすぐだらけてしまう、誰かが解決してくれるならそれでいいってなってしまうタイプの人間だ。今まではそうできる余裕なんてとてもなかったから必死になっていたけど……っていうのは言い訳か。まだ私1人休める余裕なんてとてもないし。
「問題は弍乃さん……ユスティアがいつ仕掛けてくるかですが」
『弍乃はともかく今の彼女は各個撃破を目論むとは考えにくい、前回テトラとエンネアに邪魔をされた分余計にな。となると……』
「敢えて集まる事で誘導できたり……しますかね」
『可能性はあるだろう、だがバッカスやメルクリウス達の乱入も考慮すると全員で交戦するのは避けたい。この策が通用するかどうかもまだ怪しいからな』
「ならテトラには残ってもらいましょう。ただまた2人とも居ないとなれば再び警戒しそうですし……」
『エンネアには同行してもらうべきだろうな』
「問題はテトラにどこで待機してもらうかって話ですが……」
『……ふむ、それなら私に考えがある』
「聞きましょう」
『まあ実に単純だ。乱入への解答になり万が一が起きた場合にも充分対応可能な策、要するに……』
……弍乃さんから聞いた話では私を助けるためテルスは物凄い真面目に策を考えてくれていたらしいけど多分今回の本気度はそれ以上だ。今のテルスは使える物はなんだって使う勢い、何がなんでも弍乃さんを取り戻す気でいる。まあそれは私も同じ、だからこそこの秘策に了承したのだ。
『……以上が作戦概要だ、やれるな?』
「無論です、何がなんでも……やりますよ、テルス!」
『そうだな、何がなんでも、だ……随分、頼もしくなったな』
「まるで今までの私が頼りなかったみたいな……」
『自分の意志で
「それを言われると何も返せませんね……」
サラッと古傷を抉られたが過去の自分が愚かなだけのため甘んじて受け入れる。過去は過去で今は今、もう昔の私じゃない、恩人1人助けられないでタルタロス、もといティフォンなんか倒せるものか。
「……決行は、と言いたいですが仕掛けてくるのは彼方側」
『だが此方である程度誘導は可能だろう。我々
「ええ、作戦通りに行きましょう」
今すぐ決行、とするには長作業で疲れてしまった。少しだけ休んで……万全の状態で、あの人を迎え撃とう。
「という訳で皆さん、手筈通りにお願いしますね」
「随分と駆け足な説明だったけど本当に大丈夫なの……?」
「しかも電話で一人一人でしたね……」
「全員集まってから説明すると弍乃さんが来ちゃうってのは分かるけどなんか所々端折ってた気もするし」
「ま、まあ大体は分かったからいいんじゃないかな……ね?」
「今回ばっかしは三葉が能天気過ぎる気も「ファウヌスにだけは言われたくない」なんでぇ!?」
季節は秋がやってきたばかりの日曜昼下がり。何処かに遊びに行こうかなんて考えてたら唐突にシルウィアさんから連絡が来たと思えば結構端折った説明の後「今すぐ
「すみません、けど確実に遂行するためにはこうするしかなくて……」
『所々端折ったのは単純にシルウィアが焦って舌足らずになっていただけだがな』
「やっぱり……」
「シルウィアさん結構そういう所ありますよね」
「謝りますからその憐れむような目線をやめてくれませんか!?」
『諦めろ、こればかりは君の悪癖だ』
「無慈悲な追い討ちまでセットだね」
「この前の私みたいになってる……」
いつぞやを思い出すフルボッコ具合だ、流石に同情する。なんか最初はミステリアス美人って感じだったけど案外シルウィアさんも打ち解けると面白い人になったなぁってしみじみ……いやそんなこと今考えてる場合じゃない。
「ったく、面倒な事させやがって。終わったら一番高いブレンド頼んでもらうからな?無論全員な」
「ま、何れ雌雄を決するのだから余力があるうちに……三葉!早かったないつ来たなんならこの作戦が終わってからのこと」
「うるせぇお前はちょっと黙ってろエンネア!」
「二人とも!」
「準備は万端ですね?」
「無論だ、万が一が起きても充分対応可能、つまり終わってからの事をゆっくり考える時間も……」
「ある訳ねぇだろというか黙れっつったろこの変態」
どうも何か準備を済ませてきたらしいテトラとエンネアの二人も合流。相変わらずエンネアは喧しいけどこういう時に限っては信用できる。普段?いや普段はその、なんというか、その……気づいたら手を伸ばしてくるの勘弁してほしいかなって……
「まあそういうわけで有事用に駆り出されてきてやったが……あんま戦力としては期待すんなよ?私の適合率は成長し続けるお前たちと違って62%で打ち止め、多少は戦えるがそんだけだ」
「アポロだった時よりはかなり強くなってると思うけど……」
「あんな馬鹿な戦い方してて勝てる方が可笑しいんだよ。私のデバイスもこっちに合わせて
「身長と一緒で今後に期待だねテトラ」
「ぶっ飛ばすぞ八雲」
「君達顔合わせたら即口論するね?あれか、喧嘩するほどなかy「「絶対に違うから(な)!?」」否定する理由なくなったよ!?」
テトラも口調は荒いままだけど随分と柔らかくなったというか……周りを頼ることを覚えたというか。最近だとこっそり紗七に戦い方を教えてるとか聞いたしかなり心を開いてくれてるんだと思う……皆タルタロスに居た頃よりもほんと、ずっと良い顔をしてる。
「こうして話すのも良いですが皆さん。全員集まった以上……」
「ああ、そろそろ来るだろ。というかなんで各個撃破しないんだあいつ?」
「前回我々が救援に来たからじゃないか?取り逃がす可能性を考えれば全員集まったタイミングで仕掛けるというのは理に叶っている」
「二美さんに会いに行ったときもそうだったし多分そうじゃないかなぁって」
「あっちは詠唱すらせず
「……シルウィアさん。行けるの、ですね?」
いつ来てもおかしくないユスティア……弍乃さんを待ち構えるため全員でデバイスを構え臨戦態勢。
「ええ、任せてください。私を……信じてくれるのなら」
『私達、の間違いだ』
「テルス……」
「ふふっ、今更な事聞くんですねシルウィアさんも。元から私達は信じてます」
「そうそう、というか1番一宮さんに帰ってきてほしいのシルウィアさんでしょ、主に家事」
「うぐっ」
「何で年下のボク達が定期的に掃除しないといけない羽目になってんのか……」
『全くだ、いい加減冷凍食品のみの食卓はだな……』
「なんでまたこう……っ!」
「……来たか」
……待ってる途中にまたシルウィアさんフルボッコタイムが始まるかと思ったけどそんな暇はないみたい。エンネア達の予測通り……来た。
「……見計らったような時間と場所。誘ったか?」
「皆さん、手筈通りに!」
「分かってます!行くよ!」
「時間結界、展開っ!」
「……ふむ、そう来るのか」
「確かにこれで私の奥の手は封じられる、考えたな。だが……」
「テトラ、エンネア!」
「分かってる、下手打ったら承知しねぇぞ!
「必ず勝て!
「……何?」
続いて時間結界展開完了後テトラとエンネアが事前に展開しておいた別の結界へ
「……姑息な手段を使うな。万が一の保険と言ったところだろうが……今回は逃さん」
「まさか、私達は勝つ前提でやってる。負ける心配なんてしてるのはそこのファウヌスだけ「僕のことなんだと思ってるの!?」ちょっと黙っててあと避難してて」
「ええ、そして……」
『今回こそ、我々は君を取り戻す!』
「本当の貴方に、弍乃さんに戻ってもらうよ、ユスティア!」
「それは優先順位が外れる、第一目標は……ケイオスの、存続だ」
お互い譲り合うことなんて勿論ない、何か合図のように全員がデバイスを構える。
私達4人はティタノデバイスを。
弍乃さんはクロノデバイスを。
「
『ああ、行くぞ!』
そしてシルウィアさんは
全員が同時に
「……見たことのない姿だな」
「シルウィアさんが……」
「ユノの鎧を……三葉みたいに……」
「カオスデバイスで
……シルウィアさんは私がテルスを使った時みたくユピテルの姿の上にユノの装備を身に纏った新たな姿に。確かに
『厳密には違うな。
「え」
「シ、シルウィアさん?」
『混乱させてすまないな。今この身体の主導権は私に委ねられた、今まで通りテルスと呼んでくれればいい』
「うそぉ!?」
声はシルウィアさんのままなんだけど実際に喋っているのはテルスさん。皆が会議中にどっか行っちゃうもんだから私しか事前には知らされてなかったんだ、ちゃんと話聞きなよもう……
「……機械が人間の体を?馬鹿げている、臆病なあまり責任から逃げたか」
『いいや違う、彼女は逃げたのではない。私を信じて任せたのだ!』
「……任せた?」
『ああそうとも。我々機械は人間の意志を尊重し、より良き友であるべき存在。だがそれは決して臆病であり続ける事を肯定する事ではない!』
感情が昂っているとしか思えない仕草でテルスさんはシルウィアさんの身体を動かし話す。やっぱり……機械であってももう立派な心があるんじゃないのだろうか。
『彼女が逃げるために私に身体を委ねるというのならば私はそれを拒否する、だが彼女は「覚悟」を決めて私に全てを託したのだ!君を救う、ただそのために!それに応えずして何と言おうか!』
「……理解できんな。結局は逃げただけだろう」
『できないのならさせるまでだ、私の、ユピテル……いや、違うな』
少し弍乃さんに似てる腕振りを見せたテルスさんは少し考え込み。
意気揚々と、
貴方の変身ヒロインは何処から?
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セーラームーン
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リリなの
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プリキュア
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まどマギ
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シンフォギア
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その他