魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。   作:暁真

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答え合わせは知ってたの山って話。

 

「なっ……何、これ!?」

「テトラの時とはまるで様子が違う、何が起きて……!?」

 

 精神ダイブを2人で決行したのはまあ予定通り。ただユスティア……弍乃さんの精神世界は前に訪れたテトラのそれとは様子が明らかに異なっていた。

 

「時計が……」

 

 12時で止まるなんて事はなく延々と忙しなく針が動き続ける時計がひたすら並ぶ空間をひたすら2人で落ちていく、正直動きすぎて目眩がしてきそうだけど……弍乃さんを取り戻すためなんだ、我慢しろ私。

 

「っ、見えました!」

「急ぎましょうシルウィアさん!何があってもいいように!」

「はい!」

 

 時間感覚が少し朧げになってきた所でようやく見えてきた白い空間。ようやく少し休めそうな眼を一瞬閉じ、呼吸を整えて再度開く。

 

「それじゃあ!」

「行きましょう。あの人の……全てを、知るために」

 

 落下しているかのような、飛び上がっているかのようなよくわからない感覚を覚えながら空間へと突入。前と同じならもうすぐ地面の感触が……よし、来た。

 

「……変だったのは最初だけ?」

「みたい、ですね。この中が変になってたりはしないようです。記憶改竄も行われていないようですしもしかしたらテトラよりもスムーズにいくかもしれません」

「そうだったらいいんですけどね……ん、始まった」

 

 目の前で描き上がって行く風景は……何だろう、此処?教室のような、なんか違うような……

 

「……!?」

「シルウィアさん?」

「……ケイオスの、教育機関!?」

「へ?」

 

 おかしい、弍乃さんは日本人……というかこの世界の人間の筈。ケイオスの事はテルスと出会うまでサッパリ知らなかったらしいしこんな風景が出る事はありえない……筈。いや、ありえないなんてことはありえない、何か理由があるんだろう。

 

「……弍乃さん?」

「ですね、髪は白いですが……」

 

 描き上がった風景、何処か近未来的な教室で何かめんどくさそうにノートを書き記している人影。間違いなく弍乃さんなんだけど……髪はユスティアの時と同じ白いまま。確かに弍乃さんは元々自分の髪が白だ、なんて言ってたけどそれは3歳より前の話の筈、記憶が何かおかしくなっているのだろうか?

 

『此処を……』

「さ、さっぱりわかんない……シルウィアさん何書いてるか分かります?」

「……呪文(アーツ)の詠唱についての記述でしょうか。ディーデバイスのプログラムに類似した物が存在します」

「余計に分からなくなりました、色々と」

 

 本当にどういう事だろう。これが弍乃さんの記憶だというのなら呪文(アーツ)に関して色々書き込んでるのはどういう事?そういう知識を元々持ってたのならテルスさんを自分で直せただろうし……ん?

 

『自主学習は良いがこんな時間までとは感心しな……待て、それは?』

『教える義理はないよ』

『……驚いた。呪文(アーツ)を簡易プログラムとして落とし込もうとしてるのか、君は』

『見ただけで分かるならなんで聞いたの?』

『いや、流石に私も礼儀という物がな……』

 

「……誰?」

「何処かで、見たことがあるような……」

「シルウィアさんが知ってる人……?」

 

 気づいたらなんか居た弍乃さんと同じくらいの歳の男性。此処がケイオスだと仮定すればシルウィアさんが知ってる人かもっていうのは分かる、分かるけども……だからなんで弍乃さんがケイオスに

 

『ロ(・)ム(・)ル(・)ス(・)、礼儀をどうこう言うなら貴方はまずそのデリカシーの無さをどうにかした方がいい』

 

 ……え?

 

「ろ、ロムルスってたしかシルウィアさんの……」

「父の、名です。じゃあ、じゃあこの人は……」

 

 ……まさか。え、いや、そんな、ことが?

 

『それは自覚しているが……』

 

 つまり……

 

『君こそその他人への関心の無さをどうにかした方がいいと思うな、レ(・)ム(・)ス(・)』

『……うるさい』

 

「……おかあ、さん?」

「嘘でしょ……」

 

 弍乃さんが、シルウィアさんの……母親?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、バレちゃった」

「ほんっとうに居やがった……あいつ信用していいんだな?エンネア」

「していないのならあの場で倒していただろうな」

「そうか……んじゃ、やるか」

「全くせっかちね。もう少し待ってくれたっていいじゃない」

「待った結果どうなるかなんてのは目に見えてんだよ、あいつらの邪魔はさせねぇ」

「貴様にこれ以上好き勝手はさせんよ、バッカス」

「ああ言えばこう言う、ね。少し躾が必要かしら……」

「ハッ、もう間に合ってんだよそんなのは!装神詠唱(アームドコール)、ヒュペリオン!」

「寧ろ必要なのは貴様だな!装神詠唱(アームドコール)、イアぺトス!」

「言わせておけば吠えるわね、いいでしょう……最初の実験台は貴方達よ。裏切り者共」

「先に捨てたのはそっちだクソ女!どっちが実験台か試してやるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ロムルス、そっちのコード簡略化しすぎ。そこまでやると高確率でエラー吐く』

『おっとすまない……レムス、君もだ。そのコードはそこまで分けなくても正常に動作するだろう?』

『……確かに、もう少し減らせる』

『だろ?まあこの調子なら卒業までには理論と基礎プログラムは完成するだろう、落ち着いて行こうか』

『そうだね……ん、もうこんな時間か。ロムルス、先帰ってていいよ』

『君を監視する人員が居なくなるから無理だ。また徹夜する気だろう』

『……バレてた』

 

 ……やっぱり目の前で流れているのは一宮弍乃ではなくレムス・ウヌスの記憶だ。シルウィアさんが間違いなく両親だと言っているのだから本当なのだろう。ただそうなるとやっぱり弍乃さん=レムスって事で……そこがどうしてもわからない、だって弍乃さんと彼女の年齢はあまりにも違いすぎる。

 

「……馴れ初めは同好の士だったとは聞きましたが、学生時代からこんな感じだったんですね」

「シルウィアさんは家族アルバム見てるみたいな感覚だったりするんです?」

「かもしれません。ただ……なんで弍乃さんの記憶にこれがあるのかは謎ですが」

「ですよね……まあ、見ていけば分かるんじゃないですか?」

「それもそうですね……もっと深くまで行きましょう。お母さんと弍乃さんの繋がりを、知らないと」

 

 学生時代の思い出から風景を進める。なんかこの2人一緒にプログラミングしたりほぼデートみたいなお出かけしてたりちょっとした事で喧嘩したり……凄い青春?って奴してるなぁ……

 

『できたぞレムス!これが……』

『うるさいロムルス、そんなに叫ばなくても聞こえてる。でも気持ちは分かる……できたね、私達の卒業制作』

『卒業制作で作る代物では間違いなくないがな』

『そうだね、とはいってもまだ試作段階だし……実用化できるのはもっと先。それまで頑張ろう、ロムルス』

『……変わったな、君も』

『そう?』

『昔の君は人付き合いとか真っ平ごめんだったろうに。あの時私が同じ班だからと干渉しなければ今頃君は1人寂しくコーヒー片手に徹夜で卒業制作を作っていた筈だ』

 

 ……なんだろう、そういうことを実際やってそうな人が知っている人の中で1人だけ思い当たるんだけど。やっぱり同一人物なのかなぁ……?

 

『なんでやけに具体的なの……』

『実際そうだろ。で、どうする?』

『どうするって……?』

『名前だよ名前。今はプログラムしかできていないけど実用化するなら当然ガワが要る、そのデバイスの名前、考えておかなくていいのか?』

『……その時が来たら考えるよ』

『全く君という奴は……』

 

「……このプログラムって」

「私達のデバイスの基礎となった物です。当時まだ複雑な機器と手順が必要だった呪文(アーツ)の行使を途轍もない簡略化に成功した天才2人……それが私の両親なんです」

「す、凄い人達の娘だったんですね、シルウィアさん……」

「それが誇りであり、呪いでもあったのですが……行きましょう」

 

 なんか隙あらば惚気てるし微妙に変な感じがするので私も早くしたかった所だ。少々急ぎ足のシルウィアさんに合わせて歩を進める。次に見えて来たのはパソコンくらいの大きさの機械の前で首を傾げる2人。

 

 

『……うーむ』

『流石に……大きすぎるね』

『持ち歩きはできなくもないが……どう見ても携帯できる物ではないな』

『操作もだいぶ手間だし』

『……当分の目標は小型化だな』

 

 ……あれが、デバイスの試作機?

 

「最初に完成したデバイスは廃熱などの問題もあり大型化してしまったそうです。子機を作るという案もあったらしいのですがコンセプトから大きく逸れてしまうため無しになったと」

「逆になんで此処からディーデバイスやカオスデバイスサイズに……?」

「ああ、それはですね……」

 

 急ぎ足ながらシルウィアさんの足はこんな状況だというのに少し弾んでいる。懐かしい物を見て感慨に浸っているのか、それとも……

 

『魔力供給を人間の身体から?』

『逆転の発想ですよ先輩、魔力供給を内蔵機関で賄おうとするから大型化しちゃうんですって。そりゃあ自分の魔力を使う分疲れちゃいますけど携帯できるようにするならこれしかないんじゃないかなぁ』

『しかしだな……そうなると使用者との相性が出ることに……』

『それでいいんじゃないロムルス?パテルもありがとう。ようやく糸口が見えてきた』

『お役に立てたなら幸いです!それじゃあちょっと理論を纏めて来ますね!』

『……君というやつはだなぁ』

『何をやっても無理なら原因を切り捨てるしかないよロムルス。それが1番合理的』

 

 

「最初のデバイスは魔力供給も機械が行うことで誰でも同じ結果で呪文(アーツ)を行使できる、という想定だったみたいなんです。ただそれだとどうしても小型化できない、ということでデバイス自体は供給を人体から賄う形で案を変更。当初の計画案は後に機獣(ヘカトンケイル)へ転用されました」

「そういう経緯で……!?」

 

 初めて知った。私達のデバイスも機獣(ヘカトンケイル)も元は同じ……そう考えると本当に凄いんだな、この2人は。さて、次は何が……

 

『……もう少しだね、後はデバイスと人体の相性を調整したい所だけど』

『そこまで行くと肉体の方を弄ることになる、それは一度置いておこう』

『だよね……となるともう発表できるんじゃない?』

『まあ、そうなる。それと……ちょっといいか?』

『別に予定はいつもないもどうぜ……ロ、ロムルス?』

『どうした?』

『ど、どうしたもこうしたも……その箱は何?急に取り出して』

『そんな表情は初めて見たな……コホン、では畏まらせてもらおう』

 

『ずっと言おうと思ってたんだ、レムス。私は……』

『そういうのこのタイミングでやるの……?』

 

 ……

 

「……し、知りたくありませんでした。まさか父さんがこんな風情も何もないプロポーズをしたなんて……」

「……次行きましょう、次」

 

 多分誰も見て得しない奴だこれ、早く先に行こう。

 

 

『では、魔術制御デバイス「ハルモニア」完成を祝して……』

『かんぱーい!』

 

 次の風景は宴会って感じだ。話ぶりを見るにデバイス開発は上手く行ったらしい。あ、レムスさんそそくさと逃げようとしたのロムルスさんに首根っこ掴まれてる。

 

「汎用魔術デバイス「ハルモニア」、コマンド入力のみで小規模ではあるが呪文(アーツ)を簡単に行使できる。呪文(アーツ)の行使に大規模な装備と施設が必要だった当時のケイオスでは文字通り革命的な代物でした。まあ瞬く間に普及……とまでは行きませんでしたけど呪文(アーツ)を身近な存在にした事は確かです」

「どういう凄さかはイマイチ理解できませんけど……あれからディーデバイスになったのは凄いですね。できれば製作者本人の声も聞きたかったですけど」

 

 ……なんとも不思議な事に今の今まで弍乃さんの声が全く聞こえてこない。テトラの時は元に戻りつつあったテトラの意識がちょっかいをかけてきてたけどそれすらない。やっぱり何かおかしい事になってるんじゃ……?

 

『そういやタルタロスからもオファー来てるらしいじゃないですかお二人とも。受けるんです?』

『正直迷ってるんだ。あくまでハルモニアは呪文(アーツ)を民間でも扱えるようにしたもの。それをわざわざ軍事に転用しても今までの設備で充分となるのがオチだ』

『これをベースに1から作り直すって話なら別だけどね。軍事用なら身体の方をデバイスに合わせる方式になりそうだ、というか軍事作戦を目的とするなら……』

『な、長くなりそうっすね……』

 

 実際こうしてディーデバイスやカオスデバイスが作られてるっていうのは彼女達にとってどうなんだろうか。仕方ない事情があったのは分かるけど……

 

『というか君はどうなんだパテル。意見を言ってくれないと反応のしようがないぞ』

『んー、私は稼ぎが良くなるなら良いかなって思いますよ?まあ今は呆れるほど平和ですし需要はない気もしますけど……ちょっとでも収入増やして子供に奮発してあげないとって』

『意外と現実的だね……うん?子供?』

『あれ言ってませんでした先輩?私一応子供居るんですよ?何のために定時上がりしてると思ってんですか』

『というかエンネアちゃんの事は何回か見てるだろうレムス。なんだと思ってたんだ』

『……知らなかった』

『先輩も結婚するらしいですしママ友同士もっと仲良くなりましょーよいえーい』

『それはウザ絡み……』

 

「エンネア!?」

「……という事は、この方は、彼女の母親……!?」

「どういう事なの……」

 

 思いがけない所から変な衝撃が飛んできた。え、あのエンネアが?この人から?嘘でしょ?雰囲気全く違……いや何処か軽いのは似てるか。

 

「……つ、次に行きましょう、次に。多分母さんの……レムス・ウヌスの記憶はもうすぐ終わる……筈です」

「さっきから空気がなんか気まずい……」

 

 多分私も同じ表情をしてるんだろうけど凄い困惑した顔でシルウィアさんは歩を進める。しかしこう今までと違って結構長いな、記憶。そこまで細かく見ないと元に戻せない……って事なんだろうか。

 ならちゃんとしっかり最後まで見届けよう。次は……病院?って事は……あ。

 

「これは……」

 

 ベッドで赤子を抱えるレムスさんと優しく見守るロムルスさん。つまりこれって……

 

『……ねえ、ロムルス』

『どうした?』

『私、ちゃんとこの子の母親になれるかな?』

『なれるさ、私が保証する』

『ちょっと不安だね……でも、やり遂げないとだ』

『それはどちらの話かな?』

『どちらも。この子の母親も、軍事用デバイスの製造も』

『後者はしばらく私に任せて君は前者に専念する事だな』

『じゃあ私が戻るまでパテル達のお目付け役よろしくね。私はこの子の……シルウィアの親として、頑張るから』

 

「お母さん……」

「……」

 

 記憶の中とはいえ自分を見る、っていうのはどんな感じなんだろうか。家族ビデオを見るような感じなのだろうか?それともまた……

 

「まだ、そこそこ続くみたいです……行きましょう」

 

 何処か名残惜しさを感じる声だった。シルウィアさんからすれば会いたくてたまらなかった母親が目の前に居るんだ、そりゃあ少し立ち止まりたくもなる。けど……私達はレムスさんを見にきたんじゃなく、弍乃さんを取り戻しにきたんだ。早く行かなきゃ。

 

「……!」

 

 私の少し先を歩いていたシルウィアさんが唐突に足を止めた、それも険しい顔で。同じ場所で立ち止まれば描かれるのは普通の街並み。

 

『……で、クロノデバイスの評価はどうだった?』

『もう少しデチューンしてくれと言われたよ。流石に性能だけを追い求めると使用者を選びすぎる』

『最適化(フォーマット)前提とはいえそれでも、か。そうなると何処まで性能落とせばいいかなぁ……』

『ふぉーまっと?』

『ああごめんねシルウィア、ちょっとパパとお仕事の話してたんだ』

『せっかくのお出かけなのに悪いね、何処か行きたい所はあるかい?』

『うみ!』

『それはまた今度ね、プールなら行けるんだけど』

『や!』

『だよね……』

 

 なんて事はない1つの家族の団欒だ。手を繋いで街を歩いて……

 

『……ん?』

『レムス?』

『ねえロムルス、彼処……』

 

 ……唐突に立ち止まったレムスさんが空の一点を指差した。何を見つけたのだろうか、そこには何も……

 

『……空がどうかしたのか、レムス?』

『くも?』

『確かに雲はあるねシルウィア……レムス、私の見間違いじゃなければなんだけど』

 

 

 

『なんで、空に罅(・)が(・)入(・)っ(・)て(・)る(・)の?』

『……何?』

 

 

 遠方で細かくは見えないけど、注視すればなんとか空の一部が昼なのに黒ずんでるのを見つけた。これ何処かで……そうだ、ゲートが開いた時と同じ!って事は……

 

『なっ……』

『空が、割れている……!?』

 

 ガラスが倒壊するように崩壊する空の景色、開かれる巨大なゲート。そこから姿を見せたのは……

 

『なんだ、あれは……!?』

 

 ……前にテルスさんに見せてもらったことがあるし、なんならエキドナさんにも凄いよく似ている。

 

『おおきい……』

 

 それは色んな動物の特徴がまぜこぜになった、巨大な竜。

 

『ロムルス!急いで研究所に行こう!何か……何か、嫌な予感がする!』

 

 

 

 「ティフォン……!」

 

 ケイオスを一度滅ぼしかけた、怪物だ。

貴方の変身ヒロインは何処から?

  • セーラームーン
  • リリなの
  • プリキュア
  • まどマギ
  • シンフォギア
  • その他
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