魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。   作:暁真

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旅立ちはいつも必然って話。

 

「キャッチ!」

「55枚目……多分ジョーカーだろうけど3枚目なんて有り得るの……?」

「本当にパワープレイでカードになるんだ……」

「乱入……はなさそうね、バッカスが戻ってこない以上あっちも無闇に戦力は投下してこないか」

 

 光の粒子となって消えた道化師が居た場所に現れたカードをシャルルがすかさずキャッチ。これで今回の面倒事は終了……だよな?流石にこれ以上巻き込まれないだろ外伝系でもそこまで外部出演は出しゃばらないだろうし頼むから此処だけにしてくれ本当。

 

「これは……」

「赤と黒の……ジョーカー?」

「ねえ弍乃、なんかすっごい外伝が始まりそうな雰囲気なんだけど」

「頼むからこれ以上残業させないでちょうだい」

「だから社会人じゃないのに……」

『君は弍乃の真実を知った側の筈だが?』

「関係ないでしょ、別に元が33歳だろうが実年齢48歳だろうが今の弍乃は18歳で私の相棒!それが事実!」

 

 相変わらずこいつは能天気というかなんというか……まあそれが逆にありがたいのかもしれない、悩みすぎてる時強引に引っ張り出してくるのももう何回目やら。

 

「48歳……?」

「ああ言ってなかったわね、どうも私生きてた年数だけでいえばそうらしいのよ」

「嘘ぉ!?」

「このジョーカーも気になるけどそっちの方がよっぽど気になるんだけど!?」

「まあ話すと長くなるし戻ってからゆっくり話しましょう、マスターを待たせ続けてもいけないわ」

「それもそうだね……え、てことは私達の倍以上の年齢……!?」

「年下が……すっごい年上だった……」

 

 何がショックなのか分からないがこれ以上外伝展開に巻き込まれるわけにはいかない、強引に流れを上書きさせてもらうぞ……!

 

「後そこの後輩共はなんでついてきたのよ……賑やかしじゃないんだから」

「いやぁその……」

「身体が勝手に動いて……」

「一応私はメンテ前とはいえカオスデバイスありますから……多分使ったら壊れてたでしょうけど」

「あんた達ねぇ……」

 

 止めても無駄なのはわかっていたが一応苦言は呈しておく。主人公気質なのはいいことだが戦う手段ないのに出張られても困るんだ本当に。

 

「よしお疲れエキドナ!調子どう?」

『不具合ナシノ絶好調ダ』

「ならばヨシ!」

「はぁ……テルス、負荷は許容範囲内?」

『今の所はな、だがこのままという訳にも行くまい。ティフォンと決着を付けるためには再度クィリヌスに変神できるようにしなければ』

「……そう、ね」

 

 ティフォンの時間遡行(リバース)に対抗できるのは私のクロノデバイスしかない。時間結界もティフォンに対抗するため作られたものなのかもしれないけどタルタロスの中枢に入り込んでいた以上奴が対策していないとは思えない……ほんと、面倒だ。さっさと引退してしまいたいのに状況がそれを許さない。

 

「弍乃ちゃん」

「愛奈?」

 

 一旦帰ろうと変身解除したら同じく変身解除した愛奈達が駆け寄ってきた。何か気になることでもあったか?

 

「まだ悩んでる?」

「……そうね、戦ってるうちにスッキリするとかそんな事はなかったわ」

「しないの?」

「あんた程単純じゃないの私は」

「さらっとディスられた!?」

 

 ……このままクロノデバイスを直せないことを言い訳に今度こそ引退、なんて欲が湧いてきてしまっているのは事実だ。けどそれは(弍乃)の思考、(レムス)がそれを許すはずもなく……また板挟みだ。

 

「……思ったんだけどさ」

「何かしら」

「その悩み、どっちかしか解決できないのかな?」

「……どういう事?」

「弍乃の「これ以上戦いたくない」って願いと「自分で全部ケリを付けたい」って願い……確かにどっちかしかできないように見えるけどさ、それは同じタイミングでしか達成できないものなの?」

「……そう、じゃないかしら?」

 

 (レムス)は疲れた、戦い続けることに疲れた。これは事実、今すぐにでも後輩達に全部任せてなんならテルスとクロノデバイスも預けて後は任せたってしたい。(レムス)は自分でティフォンを倒して綺麗に終わらせたいって考えてるから……両立なんてとても。

 

「いやぁそれは通らないよ弍乃、というか仮に引退したとしてもし三葉ちゃん達が全員戦えなくなったらどうする気?何もしないの?」

「私の日常が脅かされるなら「あの子達ももうとっくに弍乃の日常の一部なんじゃないの?」……否定は、できないわね後そこの後輩どもは目を輝かせない」

 

 最初は関わりたくなかったのに気づいたらこれだ。こちとら関わりたくないってのにぐいぐい来るし避けようのないアクシデントが起きたと思えば頼れる先輩扱いだし……ほんと、どうしてこうなった。

 

「あら意外、こういう時意固地になるのが弍乃なのに」

「今回は否定するだけ面倒。すっごい否定したいけどここまで来ちゃったら事実として受け入れるしかないわ」

「弍乃さん……」

「そのジト目をやめなさい三葉に五葵。シルウィアも」

「愛されてるねぇ」

「何処がよ……で、何が言いたいの貴方達」

「まあ要するに……」

「切る順番を考えればいいんだよ、大富豪みたいに」

「……はい?」

 

 どゆこと?

 

「二美ちゃんの話を聞くに今弍乃ちゃんとあの子達はまだ戦いの真っ最中なんでしょ?」

「じゃあ今引退してももしかしたらでまた戦わなくちゃいけなくなる時が来るかもしれないって事」

「それは面倒でしょ?」

「急に息ぴったりになるわね……」

 

 まあ、考えてみれば確かにそうだ。私はただ引退したいってわけじゃなくて極力面倒事の少ない平穏な日常を送りたいだけ。万が一が起きてまた戦うことになったら……それは面倒だ、凄く。

 

「じゃあその「引退」ってカードはまだ切る時じゃない。先に「ケリを付けて」憂いを無くしてから切るべきだと思う!」

「なる、ほど?」

「いつも弍乃が言ってることと同じだよ。どうせ面倒事はやってくるんだからその規模をどれだけ抑えられるかって話」

「切り方をちゃんと考えれば必要最小限で済むと思うんだ」

「……ったく、引き留めじゃないんだから」

 

 一理ある。でもあの子達はもう私よりも強くなってる、遅れないようまたクィリヌスになるためにはクロノデバイスを完全に修理する必要があって、それにはロムルス……が……

 

「……」

「弍乃?」

「ま、そうね。それが一番楽」

「でしょ!」

「ええ、考えてみりゃ隣で火事起きてるのに呑気に寝てる奴が何処に居るかって話。悩むだけ面倒だったわ」

「スッキリした?」

「お陰様で」

「ならもう心配ないね!はやくコーヒー飲みに戻ろっ!」

「あんな砂糖の飽和水溶液をコーヒーと呼ぶ神経も相変わらずね」

「私にとってはコーヒーだからいいのっ!」

『太ルゾ』

「レディになんてこと言うのかなエキドナ!?」

 

 ……思考を纏めたいがひとまずは栄養と糖分補給だ、皆でコーヒー飲んでケーキ食べよう。

 

「シルウィア、二人見送ったらデバイスのメンテ再開するから準備しておくように」

「はい、お母さん……あっ」

「「お母さん!?」」

「ったく……ええ、私の娘のシルウィア・ウヌスよ、よろしく」

「「しかも外国人!?」」

「まあそうなるよねぇ、さながら「それ以上は言わせないわ」アッハイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タルタロスのデバイスとカオスデバイスのコード整理は終わったわ、あとはガワを修理するだけ、置いておく」

「は、はい!」

「流石の速さ……頼もしいです」

 

 コーヒー飲んで皆と駄弁って、帰る2人を見送ったあと二美と少し話をして別れてすぐさまデバイスの整備……あれ私戻ってきてから2日目だよね?ちょっとハードワークが過ぎない?いやまあ最適化(フォーマット)のおかげか身体はあんまり疲れてないけども。

 

「エンネアちゃんはそのままティタノデバイスを、私は三葉達のデバイスをやる。ちょっと確認しておきたい事もあるしね」

「確認しておきたい事?」

『適合率か?』

「違うわ、もっと根本的なこと」

 

 シルウィアが勝手に作った工房を巡り巡って自分が使うことになるとは因果な物だ。まあ自分で一から設備を作るなんて面倒極まりないし感謝しかないのだが、流石我が娘。三人で作業しても全然問題ない広さなのは想定していたのかはたまた広げたのか……まあ今考えるべきはそれではない。

 

「……」

「レムスさん、何を?」

『ディーデバイスのプログラムを読んでいるのか』

「ええ、私の勘が正しければ……」

 

 ささっとシルウィア達のデバイスを終わらせ本命であるあの子達の魔改造ディーデバイスを整備開始。正直な所ずっと気になってはいたが踏み込まなかっただけの事だが、今ここではっきりさせなきゃならない。

 

「これは……」

「……凄まじいですね、何をどうしたらこんな複雑なコードを」

「……ふふっ」

「お母さん?」

 

 デバイスを構築するコードを閲覧し解析、どんどん疑念が確信へと変わっていく。やっぱおかしいと思ってたんだ、ファウヌスみたいなのしか居ないっぽいオリンピアでディーデバイスがこんな魔改造されてるの。

 

『弍乃、何かおかしい所でもあったのか?』

「いいえ、完璧よ。完璧過ぎるほどに……ただ、やっぱり癖は抜けないみたいね」

「癖?」

「確かにデバイスのコードは作成者の手癖が出ますが……」

「この分じゃ残りも全部そうみたいね、私が手加えるの魔術制御関連くらいしかないじゃないもう」

 

 正確には私が居ないから少し疎かになってる、の方が正しいか。ほぼ一から打ち直しみたいなもんだし。

 

「シルウィア、またちょっと離れる事になるわ。あの子達の事お願いね」

「お願いって……」

「エンネアちゃんもどうせ暇でしょ?しばらく付き合いなさい、下であの子達と駄弁ってるあの羊も連れていくから」

「……一応聞いておきます、何処へ行くつもりで?」

「言わなくても分かるでしょ、オリンピア」

「オリンピア!?なんでまた……」

 

 一つ解決したと思ったら次から次へと面倒事が降ってくる。相変わらずままならないものだ。面倒じゃない面倒を選択し続けるにも限度があるってのに。

 

「決まってるでしょ?」

 

 でもまあ……これだけは、面倒であっても面倒と感じないかもしれない。何せ(レムス)がそうしたいと叫んでる。

 

 

 

 

 

 

(ロムルス)を探しにいくのよ」

 

 託した娘を放って5年も放浪しやがって。顔見たら一発ぶん殴ってやるから覚悟しておけよ?




 更新頻度が駄々下がりしてしまいましたがなんとかまた一つの区切りまで辿り着きました。ここまで読んでくれた読者の皆さんに感謝を。
 これにて第三部「魔法少女を貫き通すって話」が完結し、次回より第四部「魔法少女は誓いを果たすって話」に突入します。最終章まであと一息ですのでどうか応援の程をよろしくお願いいたします。

あ、差し支えなければこちらの方も……






貴方の変身ヒロインは何処から?

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