魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。   作:暁真

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第四部 魔法少女は誓いを果たすって話。
唐突な異世界転移は終盤の特権って話。


 

「よいしょ……っと。別に座標さえしっかりしてれば生身でも大丈夫なのね」

「まあ僕が平気だったしなぁ」

「レムスさんの場合は世界と世界の狭間に放り出された訳ですから事情が違いますよ。よく記憶喪失だけで済みましたね」

「それは自分でも不思議に思ってるわ……」

『素体から頑丈だったのだろうな、それか汚染していたティフォンの魔力が一種の防壁になったのやもしれん』

 

 後輩共に一旦のお別れとそっちの世界を任せる節を伝えた後2人がかりでゲートを開き突入、抜けた先は如何にもファンタジーな世界でした、と。よくある異世界転移物みたいな導入から始まったが此処がオリンピアか、比較的平和な場所に転移したか?

 

「ファウヌス、此処どこか分かる?」

「んー……皆のいる場所とは少し離れてるかな。来たことない場所だけど目印があるから分かるよ」

「目印?」

「ほら、あの山。大きいからすぐ分かるでしょ?」

「ああ、あれか。確かに何度か見たことがあるな」

「確かによく目立つわね」

 

 早速使えない道案内かと思ったら流石に地元、指差した先にあるデカイ山で大凡の位置は割り出せるらしい。これで分かんないとかほざいてたら真面目にジンギスカンにする所だったぞ。

 

「霊峰オリンピア、この世界で最も神聖な場所。今は拠点として使われてるけど昔はあそこでよくお祭りとかやってたんだ」

「拠点?」

「散り散りになるよりは1箇所に集まって戦った方がいいからさ。生き残りは皆あそこに「なら話が早いわね、行きましょうエンネアちゃん」最後まで言わせて!?」

着身(マギアライズ)して行きますか?」

「勘違いされたら面倒だわ、走りで行きましょう。せっかく1日走っても疲れない身体なんだし」

浮遊(フロート)はいいか?』

「最初から呪文(アーツ)使ったら使ったで疑われるでしょうが」

「それもそうですね……では、走りましょうか」

「ええ、遅れたら焼くわよファウヌス「焼く!?」比喩表現よ」

 

 一応準備中父にもうちょっと帰らないことは説明したとはいえ早く帰るに越した事はない、とっとと(ロムルス)見つけて連れ帰るべくエンネアちゃんとダッシュで移動開始。目指すは霊峰オリンピア、どれくらいの旅路になるかは分からないけど……できれば3日以内で終わらせたいな、なんだかんだあの子達のこと心配だし。

 

「所でロムルスさんを見つけてどうする気です?」

「クロノデバイスを直すついでに改良する。後作る物もあるし……出来次第連れ帰るわ。シルウィアを5年も放ったらかして……タダで済むと思わないことね」

「……ノーコメントで」

「良い判断ね、あんたも下手な事言うとジンギスカンにするからそのつもりで」

「君だけは僕の扱いまともだと思ってたのに!」

 

 仕方ないだろなんかお前弄るの楽しいんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また1人で行っちゃったよあの人……」

「エンネアも居るけどほぼほぼ舎弟のノリだったしなぁ、本当に大丈夫?」

「まあエンネアはああ見えて基本的な所は理性が利いてる。万が一はないだろ」

「あれでですか……?」

「女性関連を除けばすっごいまともなんだよ……本当に……」

 

 デバイスの修理が終わったかと思えばファウヌス借りるとかオリンピアに行くとか弍乃さんが言い出して数日、諸々の準備が終わった彼女はエンネアを連れてゲートの向こう側へ行ってしまった。異世界へのゲートってデバイスだけで開ける物なんだと驚いたけどそれはそれ、行ってしまった以上私達には2人が帰ってくるのを待つことしかできないし……

 

 

『私が居ない間頼んだわよ後輩達、まあどうにもならなかったら最悪二美を頼ればいいわ』

 

 

 ……あれだけ自分で処理することに拘ってた人が私達に任せてくれたんだ。心配だからってそれを裏切っちゃいけない、私たちは私たちでやれることをやらないと。

 

「テトラ、新しいデバイスはどうですか?」

「どうしたもこうしたも……中身がお前達と同じになったってだけだろ?まだ使ってないんだから分かるわけねぇだろインテリじゃねえんだこっちは」

「それはそうですね……上手くいっていればいいのですが」

「開発者が言っていい言葉じゃねえぞ」

「プログラムを打ち込んだのはお母さんですから……」

 

 弍乃さんの置き土産って言う訳ではないけど修理ついでにテトラのデバイスが新しく……というか私達の物と同じデバイスを最適化(フォーマット)する形式になったらしい。デバイスに蓄積された戦闘データを参照しているから最初から適合率は高くなってるんだとか。

 

「そういう割にはもらった時「これでもうスペックが頭打ちって言い訳できねぇな」とかほざいてなかったっけ?」

「面子ってもんが分かんねぇのかお前。それでも飲食店の娘か?」

「それとこれと何が関係あるのさ」

「客に笑顔で帰ってもらうためには御世辞とおべっかが……」

「はいはいストップストップ!2人とも毎度の事だけどヒートアップしないの!喧嘩ならいつも通り外でやってきて!」

「なんかこの流れも見慣れてきましたね」

「慣れって怖い」

 

 最近はテトラと八雲が口論から模擬戦に発展するのも見慣れた光景だ、ついでに紗七が静止するのも。なんかもうこの2人売り言葉に買い言葉ですぐヒートアップするから下手にダメってするより一回スッキリさせた方が丸く収まるのは正直どうかと思う。戦えば適合率は上がっていくってもっともらしい理屈はあるけど……

 

「よし表出ろ八雲、今日も揉んでやるよ」

「人が居なくて助かったねテトラ、帰るまでの時間を考慮しなくていい」

「人居ないからいいけど2人とも早めにね?」

「分かってます、5分で戻ってきますから」

「んじゃそういうわけで行ってくるね」

「……ファウヌスが居ないとちょっとリアクションが寂しいね」

「居なくなって分かる賑わいですね……」

 

 ファウヌスはあの2人と一緒に上手くやれてるんだろうか。いっつも余計な事ばかり言ってるから不安で仕方ない。本当にジンギスカンになってないかが心配だ、まあないとは思うけど。

 

「……それにしてもあまりに動きがありませんね」

「バッカスがやられて慎重になってるんとかじゃ?」

「それにしても、です。回収したバッカスのデバイスは両方お母さんが持っていますが……オリンピアに行くまでの間彼方が取り返しに来なかったというのも妙です」

「テトラの時は即座に回収しにきたもんね」

「あのバッカスが自分がやられる事を想定していないとも思えませんし……」

 

 タルタロスに残っているのはマルスとメルクリウスとネプトゥーン。前者2人はともかく任務に忠実なネプトゥーン辺りは一度此方に来てもおかしくないのに……確かに何か妙だ。

 

「でもまあ任された以上は何が来てもいいようにしておきましょう!二美さんを呼ぶ羽目にならないように!」

「そうですね、しっかりと備えましょう。デバイスもしっかり直った事ですし」

 

 あれこれ考えすぎるのもよくない。今はとりあえず備えて……信じて、待つんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファウヌス、このペースだと霊峰までどれくらいかかる?」

「多分明日には着く。思ったより2人が速……いや速くない?此処までペース一切落ちてないよ?」

最適化(フォーマット)した人間は大体こんなものよ。あくまで副次効果だけど」

「そりゃあ最初に会った時三葉達に魔導士(マギスター)やめろって言うわけだ……」

「私としても三葉には平穏な暮らしを送ってもらいたいのだが……」

「だったらそうなるように今できる事をしなさい。何もしなかったら面倒ごとばかり増えていくわ」

「そうですね、急ぎ……いえ、もうすぐ日が沈みます。適当なところで休憩しましょう」

「適当な所と言ってもほぼ森よ?何処か開けた場所でもあればいいけど」

「後10分くらいでこの森は抜けれるはず。そしたら平原に出るから……」

「間に合うならいいわ、とっとと抜けましょう」

 

 休みなしで転移先の小高い丘から道中の森を駆け抜け一直線で霊峰オリンピアへ、この分なら明日にでも着くだろう。というか魔導士(マギスター)やめろ発言は正論に見せかけた発破だぞ?なんなら嫌われる目的もあったし……失敗したけど。

 

「しかしロムルスはどうやってデバイスを整備する環境をこの世界で整えたのか……」

呪文(アーツ)で格納していたんでしょう。私も離反する際にやりました」

「妙に器具が増えてると思ったらそういうことだったのね……」

「しばらく整備ができないくらいにはゴッソリ持っていきましたね。ネプトゥーンやマルスが出てこない辺り上手く行ったのでしょう」

「まあ話は分かったわ。あれほぼほぼ一から組み直しみたいなもんだったし相当用意周到だったみたいね……やっぱり蹴りも入れようかしら」

「……ファウヌス、今のレムスさんに下手な事を言うなよ?」

「ワカッテマス」

「何をコソコソ喋ってるのかしら……」

 

 まあリスク分散というのも分かる、分かるが……あいつたしか失踪したの5年前だよな?シルウィア当時13歳とかだよな?進学したばかりの娘を1人にするとか何考えてるんだあいつぶっ飛ばすぞ。異世界転移する余裕があるなら娘も連れてけっての全く……やっぱ再起不能一歩手前くらいまでやっておいた方がいいか?

 

「で、一応確認しておきたいのだけど」

「なんでしょうか」

「貴方じゃないわファウヌスの方。貴方が出てくれば無駄な勘違いとかないと信じていいのかしら?」

「いやぁ微妙かなぁ……僕は改造されたデバイス託されて「奪われないように」ってだけ言われたからそれこそ戻って来たら何やってんだお前って言われる可能性も「やっぱりジンギスカンにした方がいいかしら」ねえ酷くない!?」

「今からでも私のデバイスを偽装しましょうか?」

「別にいいわ……面倒ね、私がロムルスの名前を出してもタルタロス側と勘違いされるでしょう」

「私に至っては何回かタルタロス側の戦力として戦ってますしね……」

「凄い不安になって来たわ……かと言って1人で来てたら来てたで道分からないわ万が一があるわで時間がかかってた事は想像に難くないし」

「先行き不安ですね……」

 

 ……とりあえず最優先目標はロムルスを見つけてクロノデバイスを修理ついでに改修する事。次点でタルタロスの残り3人の内誰かとエンカウントしたら倒して記憶復元。ティフォンの奴が何か暗躍してないかだけが不安だ、何か起きる前にクロノデバイスの改修が終わっているのが望ましい。これでスムーズに話ができるならいいんだがなぁ……

 

「まああっちに潜伏してるメルクリウスからの定時報告もありますしタルタロスの動向はある程度分かります、落ち着いていきましょう」

「そうね……ん?」

「ああ、話してませんでしたね。メルクリウスはとっくに記憶戻ってます、というか私が戻しました。今は何もなかったフリをしてもらってあっちの情報を集めてもらってます」

「……エンネアちゃん」

「はい」

「そういうの、先に言ってちょうだい……」

 

 これだから報連相しない奴らは……!

 

『君が言えた事ではないぞ』

「だまらっしゃい!それはそれこれはこれ!」

『三葉達が居なくてよかったな』

 

 後お前も一言多いんだこのポンコツAI!

貴方の変身ヒロインは何処から?

  • セーラームーン
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