魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。   作:暁真

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見えてる地雷は踏み抜く物ってはなし。

 

「ロムルス、此処やれる?自動詠唱の部分は整理したからそっちで圧縮して」

「分かった。なら装神(マキアライズ)のプログラムを見直してくれ、現状ロスが一番大きいのがそこだ」

「分離と召喚の度に再形成するから……最初から生成して呼び出す形にすればロスは最小限に収まるはず」

「しかしそれだと総神(フルアームド)分の魔力を継続的に持っていかれないか?」

「それこそロムルスの理論を応用する。単体で稼働するんじゃなくて中に魔力血管を走らせて装備して初めて稼働する形式に」

「どうせ単体で動かすことはない、か……分かった、それで行こう」

 

 感動の再会を早めに切り上げ二人がかりで目の前のモニター共と対峙し可能な限り早く手を動かす。作業の優先順位は一に私のクロノデバイス改修二に三葉用のクロノデバイスんでもって余裕があればテルスの調整……まあ今優先すべきなのは前者二つだしテルスは戻ってからでもいいや、兎に角早く終わらせてあの子達の元に帰らないと。

 

「ロムルスさん、最新式の着身(マギアライズ)のコードです。これを組み込めば変身時のロスは目算で……」

「そうだな、だが問題は着身(マギアライズ)ではなく戦闘中のロスだ。今のままでは焼石に水……いや、使えるな。ありがとうエンネア君」

「後こっちでやる事は?」

「そのまま装神(マキアライズ)、後は細かい呪文(アーツ)の出力調整を頼む。そっちの専門分野だろう?」

「そうだね、久々の共同作業だけど問題なさそう」

 

 いつネプトゥーンやマルス、最悪ティフォンがすっ飛んでくるか分からない以上作業は爆速で。シルウィアが居れば更に速くなっただろうけどあの子が居ないと三葉達のデバイスが修繕できないし時間制限のない時空加速(クロノアクセル)ができるのもあの子だけ、家族感動の再会は残念ながら後回しだ。作業自体は2日もあれば終わるからそう待たせる事はないが……やっぱり万が一が怖い。最悪二美を頼れとは言ったけどタルタロスがまた時間結界を持ち出してくる可能性もあるしあまりアテにはできない、なんなら諸事情であまり表に出ないよう言ったから本当に最悪中の最悪だ、そうならないことを祈るしかない。

 

「なんかすっごい事をしてるのは分かるけど何が何だかさっぱり分からない……」

「ロムルス殿は奪ってきたデバイスを驚くべき速さで改修していたからな。製作者とはいえ惚れ惚れする技術力だよ」

「なんでキロンが誇らしげなのさ……」

 

 ファウヌス達には万が一に備えて周辺の見張りを頼んでいる。私が時空加速(クロノアクセル)を使った以上オリンピアに来たのはバレた、一度ゲートが閉じた以上猶予はあるけどクールタイムが終了したら爆速で突っ込んでくるだろうし残された時間はほぼないに等しい。三葉用のクロノデバイスとまでは行かなくとも私のクロノデバイスくらいは完了しておかないと多分ゲームオーバー、マルスは確実に装神(マキアライズ)してくるだろうし幾ら最適化(フォーマット)された身体とはいえどエンネアちゃんと2人がかりでギリギリくらいだろう、奴と戦うっていうのはそういうことだ。

 

「ロムルス、こっちは終わった、後はそっちの最終調整待ち」

「相変わらず速いな、少々時間をもらうが……大丈夫か?」

「構わない、最悪テルスだけでどうにかしてみせるよ。今までもずっとそれでどうにかしてきたんだし」

『意外だな、クロノデバイスを取り戻した以上私はお役御免かと思っていたのだが』

「あくまでクロノデバイスの方が性能が上ってだけ、使用感はテルスの方が断然上だし」

 

 クロノデバイスの性能はリミッターを極限まで外したからこその無茶苦茶で間違っても普段使いする物ではない、あくまでこれは対ティフォン用に後先考えず作った決戦兵器であってデバイスとしての総合性能ならテルスの方が遥かに上だ。使ってて疲れないし補助も抜群、燃費もそこそこ良い。正直この改修も使いやすくなるのとロスが減るってだけで燃費の悪さは相変わらずだし自動詠唱がない以外はテルスを普段使いしたいレベルだ。まあ自動詠唱はやろうと思えばできるんだけどそれには時間がない、だからとっとと作業終わらせて……

 

「ロムルス殿!」

「ゲートか!?」

「はい、見張り番から伝令!小規模なゲートの反応を確認しました!」

 

 ……なんでこう思考しただけでもフラグ回収するかなぁ全く!小規模って事は絶対アイツだろこれ、待ちきれずに飛び出してきたに違いない。クロノデバイスの改修にはもう少し時間がかかるし……仕方あるまい、幸いそれに関しては私の作業は終わっている。

 

「行ってくるよロムルス。エンネアちゃんも手が空き次第来て、マルス相手なら勝てるか怪しいし」

「しかしまだクロノデバイスは……」

「それなら私も行きます、ロムルスさんとの作業は居なくてもそこまで変わらない補助ばかりですし」

「……分かった。レムスを頼む」

 

 なんかロムルスの奴随分物分かりが良くなったな。あの時は状況が状況だったからってのもあるけど……信じてくれてるんだろうか、私(レムス)を。なら嬉しいな、昔のあいつは私の事ずっと放っておけない奴扱いだったし。

 

「それじゃあ行ってくる、ダメでも時間は稼ぐから」

「君でダメならその時は終わりだろう……頼んだぞ、そして帰ってくるんだ」

「ロムルス殿は我々が死守致します、ご安心を」

「あれ僕も?」

「何を当たり前のことを……では、任せました」

 

 今までの話だけ聞くと妖精達にロムルスを守らせるのはちょっと不安だがあれでも4つのデバイスを奪った、つまり4人の魔導士(マギスター)を倒してきた実績があるんだ。少なくとも奇襲で崩れるなんて事は余程の事が無い限りあり得ないだろう、傷付けたらただじゃおかないから覚悟しとけよ。

 

「行きましょうレムスさん。恐らく……」

「うん、マルスが来てる。あいつは決着を望んでるからね、だから……」

 

 ま、ひとまず……

 

「私(レムス)ではなく私(弍乃)として、決着を付けに行くわ」

 

 15年よりはだいぶ短いがかれこれ5年の因縁だ、とっととケリを付けに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テルス、場所は?」

『そろそろだ。ゲートを目視で確認できている以上私は不要だと思うが?』

「ないとは思うけどあれが幻影(イリュージョン)だった場合を考えてよ、それに着地地点なんざゲート見ただけじゃ判別できないんだしどのみちテルス頼り」

『確かにデバイスの反応を検知できるのは私だけだが……』

 

 山頂を滑り落ちるように降りて移動。アイツの事だから特段不意打ちは無いと思うけどティフォンの方が何か仕込んでる可能性もあるし転移(ワープ)で即到着、って訳にもいかない。何かの間違いでマルスに憑依でもされてたら……正直クロノデバイスが間に合うまで太刀打ちのしようがない。あのデッドコピーを使ったマルスとか考えたくないぞ絶対勝てないって。

 

「エンネアちゃん、一応ティタノデバイスは温存。十中八九アイツは私との決闘を望んでる、まあ最適化(フォーマット)は戻ったし勝負にはなると思うけど……万が一の時はお願い」

「嫌です、貴方がダメだったら私はもっとダメです。だから勝ってください、ロムルスさんのためにも」

「手厳しいわね」

『それだけ君を評価してるということだ。今の君が負けるとも思えんがな』

「過大評価よ全く……クロノデバイスなしで何処までやれるかしらね」

 

 毎回毎回思うが皆私に何を期待してるんだ全く、完全無欠のヒーローなんて柄じゃないしやってることは面倒事を潰して回ってるだけだし。ヒーローっていうのは三葉みたいな子を言うんだっての。

 

『弍乃、予想通りこの先にディーデバイスの反応だ』

「でしょうね……じゃあ、行きましょう」

 

 都合よく開けた場所に陣取っているらしいアイツの顔を拝みに山道を駆け抜け突入。森の中とかよりは全然ありがたい、何せぶつかり合っただけでクレーターが出来るレベルだし事後処理が大変ってレベルを遥かに通り越す。エンネアちゃんがいるとはいえ時間がどれだけかかるものか……

 

「……レムスさん」

「ええ、律儀な事で」

 

 突入した先ではマルスが珍しい事に暴れもせずただポケットに手を入れて立っていた。まるで誰かを待っているよう……いや間違いなく私なんだけど。

 

「……ク、ククク、ハハハ!やはり、やはりお前だったか我が最大の好敵手、ユノよ!」

「相変わらずなようねマルス。憂さ晴らしは済んだかしら?」

「いいや全く!バッカスの愚策で貴様と決着を付ける機会を失ったあの日から我が内に燻る火種はただの燃え残り……だが、再び相見えたというのならば話は別だ!今日こそ真の決着を付ける時!」

「タルタロスの現状については特に何も思わないのね」

「考えるまでもない!アポロもバッカスも弱かったから散った、それだけの事よ!そこの裏切り者は知らぬがな!」

 

 あれこれあったのにこいつは相変わらずすぎて逆に安心する。本当に戦う事以外に興味はないみたいだ、元の性格がどうだったかは知らないけど余程闘争に飢えていたと見える。

 

 

「裏切った所で大した問題だと思っていないだろうお前は」

「私が気に留めるのは私を満足させてくれる者のみだ、つまりこの場においてはお前ただ1人!また強くなったのだろう?相手にとって不足はない!」

「私がユスティアだった事も把握済みと……それだけ知ってて現状に興味なしって逆に感心するわね。いいわ、その気だというのならお望み通り決着を付けましょう」

『私の使用感を忘れてはいないだろうな?』

「まさか、5年間ずっと一緒だったのよ、忘れる訳がないじゃない」

 

 これ以上の会話は無用と言わんばかりにデバイスを構えたマルスに応じて此方も構える。見た所ティタノデバイスを使う気配はないが……一応警戒しておくか。

 

「エンネアちゃん離れてて、着身(マギアライズ)するのは万が一の時だけでいい」

「分かりました……ご武運を」

「ええ、いい所見せないとね!」

「吠えたなユノ!いいぞ、雌雄を決する時だ!」

 

 昔ですら辺り一帯クレーター塗れだったんだ。なるべく被害は抑えたいが……まあ無理だな、大人しく全力で戦おう。

 

「変身詠唱(チェンジコール)、ユノ!」

「変身詠唱(チェンジコード)、マルス(06)ッ!」

 

 体感久しぶりのユノへの変身、やっぱしサトゥルヌスと比べて全体的に身体が楽だ、というか今までよりずっと身体が軽い。多分私が再度最適化(フォーマット)されたからだろう……多分、これならいける。

 

「「呪文詠唱(アーツコール)、錬成(アルケマイズ)!」」

 

 マルスに私(弍乃)の癖は見切られている、今回は初手に鎌ではなく長槍を錬成し私(レムス)の戦い方で迎え撃つ。

 

「得物を変えたか!いいぞ、ずっと同じでは面白味がないからな!」

「こっちとしてはこれっきりにしたいんだけど……ね!呪文詠唱(アーツコール)、加速(アクセル)!」

 

 しっかり地面を踏み締め加速(アクセル)で加速して突撃。正面から打ち合えばまた鍔迫り合いで膠着する、となれば……

 

「ならば吹き飛べ!」

「お断りよっ!」

「ほう、そうくるか!」

 

 正面で打ち合うと見せかけて大剣と槍が交差するギリギリで身を捻って離脱、後ろに回り込んで先制攻撃を狙う。まあ通れば儲け物程度だがある程度イニシアチブは取れる、勢いのまま……

 

「なっ……」

「……何?」

 

 ……なんだ?振り下ろそうとした槍が見えない力場に押し留められている。マルスが自動詠唱を使えるなんて聞いた事もない、それに本人も驚いているようだし一体これは……

 

『後ろだ、避けろユノ!』

「っ!?」

 

 テルスの警告を聞き咄嗟に鉄棒の要領で勢いを付けて跳躍、上に飛んだタイミングで丁度魔力弾が槍に直撃して木っ端微塵に……間違いない、此処には私とマルスとエンネアちゃん以外に誰か居る。ネプトゥーンか?しかしあいつはこんな真似をするような奴じゃない、なら……

 

「……決闘に割って入るなんて随分と無粋な仲間が残っていたものね、マルス」

「全くだ……何処に居る!姿を現せ!貴様は今私の顔に泥を塗ったも同然の行為を働いた!」

「待機しておいて正解だったようだな……!」

 

 流石にマルスもまた乱入で決闘を台無しにされては溜まったものではないらしい、エンネアちゃんも臨戦態勢だしもしかしたら一時休戦も……

 

「あらら、マルスちゃん1人だと心配だと思って来たのに余計なお世話だったらしいっすねぇ」

「……は?」

 

 ……あり得ない声が聞こえた。知っている、知っているけどこの場に、いや、この世に居ていいはずのない声が。

 

「今の、は……」

「ま、お望み通りカッコは見せるけど……本来咎められるべきは独断専行した君の方なんすよねぇ、だからまあこれはある意味罰って事で」

「……レムス、さん」

「分かってる、分かっている!だから落ち着いて!」

 

 どうやら聞き違いではなかったらしい。私だけじゃなくエンネアちゃんも激しく動揺している、当然だ。

 

「貴様は何者だ!何の権限があって此処に居る!」

「何ってそりゃあ……」

『ユノ、この魔力反応は……』

「……テルス、今だけは黙って」

『……分かった』

 

 声がした方向を向けば何処からともなく現れた黒い靄が人の形を成していく。まあ、そういう事なんだろう、相変わらず悪趣味な奴だ。

 

「同じ同僚として、っすよ?」

 

 だけど、今回だけは、いや、今回もやり方を間違えたな。

 

「……誰だ、貴様は」

「やだなぁ、私の事忘れ……いや、姿違うから分からなくて当然か。ンンッ……私よ私、バッカス」

「は?バッカス?貴様が?」

「ええ、と言っても……」

 

 お前は……

 

 

 

 

「今のこの身体ではパテル・アイタレイアって名乗った方が正確らしいけど」

 

 

 絶対に、やっちゃならない事をした。

貴方の変身ヒロインは何処から?

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